「マジでレベルの差を見せます」と張り切る大沢
2019年6月30日(日)東京・両国国技館で開催される『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN~K-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント~』。
同大会のライト級スーパーファイトで、里見柚己(K-1 GYM横浜infinity)と対戦する大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB)が6月5日(水)埼玉・川口市のBeauty Style M’sにて公開練習を行った。
3月の『K'FESTA.2』での篠原悠人との一戦では精彩を欠く動きで判定負けを喫し、試合後には次の試合の内容次第で進退をかけると覚悟を示した大沢。今回は1週間前に呼吸困難で救急車で運ばれるアクシデントがあり、激しいトレーニングは出来ない中シャドーボクシングのみの公開練習となった。
追い込み真っ最中の時期に練習が制限されている状況の大沢だが「普段からきついトレーニングをしているし、スパーリングでも強い人とやっているから不安はない」とキッパリ。身体を動かせないことによる減量だけが不安要素だと語った。
不安も募る状況だが、大沢は「本当にマジで死ぬかと思って、救急車呼んで大丈夫だったんですけれど、それからの状況はやっぱり身体を動かせないので。練習できないことは全然問題ないんですよ。何が不安かって言うと練習できなくて体重が落ちないことが嫌なだけ。練習は積み重ねなので。みんな試合が決まって練習をバーとやったりしますけれど、それって意味がない。試合が決まる前からの普段の練習が試合に活きる。だから今まで散々きついトレーニングをしている、スパーリングも強い人とばっかりやっているので練習できないことに対する不安は一切ないです」
前回の篠原戦は大沢本人も楽しみにしていた試合だったが、攻防が噛み合う場面は少ない試合に終わった。またあの時は、試合に集中できないメンタル的な問題も抱えていたという。
「篠原選手との試合はむっちゃ楽しみにしていました。でも試合前に色々あって、試合の時のアップも全然していないし、緊張も全くしていなくて上の空だったですね。心ここにあらずということをインタビューで話して落胆したファンもかなりいたと思います。でもそれはプロとして、正直に言わないといけないなと思って言いました。プロとして格闘技以外のことをリングに持っていくのは絶対に良くないことだと僕は思うので、それが本当に駄目だったなと思います」
もう二度とファンを裏切りたくない。その気持ちがあるからこそ、大沢は今回の試合に進退をかけると宣言する。
「自分の勝ち負けどうこうじゃなくてファンを裏切りたくない。あとはファンの人も見たら分かると思うんですが、僕と里見選手じゃ実力が全然違うので、俺が勝つのは当たり前だと思うんですよ。熱い試合をするわけじゃなく、練習でしたことを試合でしっかり出さないと駄目。だから今まで練習でしてきたことをちゃんと試合で出したいなって思います。僕のちょっと悪いところは、相手に合わせちゃうところなんですよね。相手が強くても弱くても競った試合をしちゃうっていうか。だからそこを突き抜けて今回は“らしくなく”KOを狙おうとは思ってます」
対戦相手の里見は大沢との試合を“通過点”と表現していたが、それについては「若干ムカつく(苦笑)。最初は良い子だなと思ってたんですけれど、通過点だとか言ってきて、コイツよく自分の実力でそんなこと言えるなと思いました。もちろん上手い選手だとは思うし、これから先どんどん伸びる選手だとは思いますが、ちょっとそこは勘違いしてんなとは思いますね。あんまりナメてるとクソガキ本当に沈めるぞ、って感じですね」と闘争本能にもスイッチが入っている。
6月1日に新宿FACEで開催された『K-1 KHAOS NIGHT.8』で解説を務めたことも「KHAOSはめっちゃ刺激を受けて、正直解説じゃなくて普通に見たかった(笑)。解説しながらもずっと拳ギュッと握り締めてました。同じ階級のトーナメントだったので、あの中から近い将来戦う選手が出てくるなって感じですね」と大沢には大きな刺激になった。
大沢自身、今から7年前にKHAOSと同じ新宿FACEでKrush-60kg挑戦者決定トーナメントを戦っていたことがある。「あの頃のギラギラしていた気持ちを今回は見せたいか?」と問われると、大沢は「あれって7年も前ですか? 実はあの時も辞めようと思っていたんですよ。これで優勝しなかったら辞めるってジムの人たちに言ってて、確かにあの時のトーナメントはギラギラしてましたね」
7年前のトーナメントを懐かしみつつ「またギラギラしていた頃の気持ちを見せたいんですけれど、それって相手によるじゃないですか。あの時は一回戦の相手も準決勝の相手も決勝の相手もギラギラできる選手だったから。例えば他の戦った選手には申し訳ないんですが、上手い選手じゃない、ガツガツくるファイターだったんです。でも里見選手は上手い選手なわけで、ギラギラしてる選手じゃないし、熱い選手でもない。そういう選手に対して熱い試合しても逆に空回って負けちゃうと思う。ギラギラした試合はしたいけれど、今回の対戦相手にそれは難しい」と冷静に里見戦を分析する。
「メンタル面で勝つ気は当たり前なので倒すことをずっとイメージしていて、そういうところを意識して気持ちを込めてやっています。格闘技ファンや里見選手のファンからすればムカつく発言になっちゃうかもしれないですけれど、ちょっと俺と里見選手じゃレベルが違う。攻撃力もスピードもテクニックも全て俺の方が高いです。顔も俺の方がカッコイイっす(笑)」。
気持ちを込めた上で格の差を見せるとクールに語っていた大沢だが、里見が「若い選手が頑張って上の選手を潰していかないとK-1が盛り上がらない」と世代交代をしたいと宣言したことを聞くと「それは今言われて知ったんですが、僕もう世代交代って言われるぐらいの歳すか? そんなジジイじゃないと思うんだけどな。見た目もまだ若いし……自分が世代交代と言われているような歳だと思ったら…ちょっとショックっす」と苦笑い。
その一方で「まだまだ早いっすね。通過点とか言ってましたけれど、通過点じゃなくてUターンしてって感じです。まだ全然早い、レベルが全然違う!」とヒートアップ。「マジでレベルの差を見せます。全局面で僕の方が強いところを証明します。全局面で僕の方が上のところを皆さんにお見せしたいですね」と完勝宣言した。
最後にファンにメッセージを求められると「6月30日の両国国技館大会、僕の試合ももちろんそうなんですが、プレリミナリーファイトで僕の後輩の寺島輝も出るので皆さんそっちの方から期待してください」と、大沢は自分より後輩の寺島をアピールした。