2019年6月30日(日)東京・両国国技館で開催される『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN~K-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント~』。
同大会でK-1に初参戦し、スーパー・ライト級スーパーファイトで第4代K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ライト級王者の佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONE KREST)と対戦する、KING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王者・不可思(クロスポイント吉祥寺)が6月6日(木)都内所属ジムにて公開練習を行った。
入念にストレッチした後はシャドー、そして1Rのミット打ちを行った不可思。得意の右ストレートを始めとし、左右ミドル、ヒザ蹴りをリズムよくミットに叩き込んでいった。
「今までずっと5Rヒジありルールでやっていて、今回は3Rヒジなしなのでそこのペースやリズムの違いは意識して練習しています。最近は5Rが多かったですが、昔はずっと3Rでやっていたので特別な感じはないです。苦手だということもない。むしろ3Rで、1Rから思いっきり行けるので自分のいいところが出せると思います」と、K-1ルールへの対応も問題なしのようだ。
「調子は凄くいい感じです。いろいろやってきたことがここへきて、どういう動きをしたら自分が一番いい試合ができるのか分かってきた。今度のK-1でそれが出せそうなので自分でも楽しみです」と、これまで試行錯誤してきたことがようやくまとまったと明かす。
「KNOCK OUTでチャンピオンになってからは打ち合いに行き過ぎてもらっていたり、悪いところをなくそうと思って試していて、ここ数試合ではそれがいい結果につながらないことが多かったが、よくなかった試合があったからいろいろ今はつかめている。周りは調子が悪いと思っているかも知れませんが、自分の感覚では前よりも強くなっている手応えを感じています。最近はそれが結果につながっていなかっただけ。今の自分が一番強い。それがK-1で出せる思っているから楽しみなんです」
2018年8月にKNOCK OUTスーパーライト級王座に就いて以降は3戦して現在2連敗。最初の1敗は本場タイでも活躍しているムエタイ一流選手チャド・コリンズに喫したものだが、2敗目はシュートボクシングの若手選手である西岡蓮太(SB日本ライト級王者)に喫したものだ。しかし、不可思は「この間の試合もやってよかったと思っている」という。
「だから次の試合ではいい動きが見せられる自信がある。逆に言えば、K-1の試合に間に合ったからよかった。もし前回の試合の感覚でやっていたらK-1で下手な試合をしていたかもしれない。やっとどうしたらいいか分かった状態なので、今は迷いがない。試行錯誤していろいろ試してきたが、今ははっきりと分かった形です」と、失敗も経験して“完全体”に近づいたようだ。
改めてK-1に参戦した経緯を聞かれると、不可思は「具体的に出ようと決めたのは3月くらい」だと答えた。
「昔から魅力的な舞台だと思っていたし、やりたいとずっと思っていた。出ると決めた理由はいろいろ考えていて、KNOCK OUTのベルトを獲って次に目指すもの、モチベーションをえていたんです。何があるのかと考えた時に、いろいろな団体のベルトを獲って、あとK-1のベルトも獲ったらそれは自分だけだし、自分にしかできないことだと思って。それで出てベルトを獲りに行こうと決めたのが3月です」
不可思はこれまでREBELS、RISE、Bigbang、KNOCK OUTと主要キックボクシング団体のベルトを全て奪ってきている。このベルトコレクションにK-1のベルトも加えたいということだ。
ただし、「そこがゴールだとは考えていない」とも。「その先がづながるか分からないが、K-1のベルトも獲れたら面白いと思うし、それはオンリーワンだと思うから」と唯一無二の存在を目指す。
大会ポスターにもあるように不可思は“侵略者”という位置づけ。これに本人は「ずっとKNOCK OUTでやっていたのもあるし、KNOCK OUT側の選手とK-1側の選手が関わることはないものだとお客さんも思っていただろうし。これからK-1に馴染むのではなく、自分の感覚的にも外から乗り込んできたという感覚が強い。その方が燃える」と、自分でも侵略者の立場として行きたいとした。
対戦する佐々木については、「去年のトーナメントで2位だし、KRUSHのベルトも獲っていて一発目でこんな相手を用意してもらえてありがたい。手堅い選手で倒されることもなく地味に強いので、そこは嫌なところだけれど、そこで倒せば僕の評価も上がる。僕を査定しやすい相手を用意してもらった。僕に求められているのは佐々木選手を倒すことだと思っています」と、ちょうどいい相手を用意してもらえたと認識。
カード発表の記者会見ではにらみ合いを仕掛けたが、佐々木は不可思を無視。それについては「のってこないと思っていましたね。思った通りでした。佐々木選手と僕が対照的で、あれはあれで面白い画になった。僕はアツくバチバチやり合いたいが、あれはあれで面白いかなって思う」と予想通りだったとする。
佐々木と同門である武尊とは、キックボクシングを始めた頃にタイのジムで一緒に練習している旧知の間柄。SNSでもやり取りをしていて、ファンなら両者が友人関係であることを知っている。
「K-1参戦が決まってからはゴング格闘技(現在発売中)で対談もしたし、一緒にご飯も行っていろいろ話しています。楽しみだね、と言っていますね。でも佐々木選手とは同門なので、そこは突っ込んだ話はしていません。『相手のセコンドには就かないよな?』と聞いたら、普段も就いていないと言っていましたね。そこは良かったです。でも、リングに上がって就いていたら『おいおい』って感じですね」と笑った。
また、今大会でゲーオ・ウィラサクレックが保持するK-1スーパー・ライト級王座に挑戦する安保留輝也が、不可思に「歓迎する。ここまで上がって来い」とメッセージを送っていることについては「僕が上がって行くことでK-1が盛り上がるストーリーが作りやすい。留輝也選手も僕が上がることで面白いストーリーを作れると分かっているから、ああいう発言をしているんでしょう。だからそこまで行ってやる。今度の試合で留輝也選手がベルトを獲ったら面白いと思う」と、すぐに行ってやるら待っていろと言わんばかり。
そして「自分が勝っていい試合だったと言っても、お客さんが面白くなかったと言うのでは意味がない。お客さんが盛り上がれるか、アツくなれるかが基準だと思っています。だから、今回はどこで決めるか分からないが、1Rから倒しに行く。でも、思い切り自分が楽しめれば勝手にいい試合になる。お客さんが盛り上がる試合が見せられると思う。リスクは考えていませんし、自分はリスクを背負って倒しに行く時が一番いい動きができる。そこが持ち味。思い切り楽しみに行こうと思います。ワクワクしているし、楽しむのが一番です」と、自分も観客も楽しめる試合をすると意気込みを語った。