MMA
インタビュー

【修斗】西川大和と対戦する“職業筋肉”グラップラー山田崇太郎「一本を取りたい──どんなスタイルも、互いにルールで許されているんだったらやる」

2022/03/21 13:03
【修斗】西川大和と対戦する“職業筋肉”グラップラー山田崇太郎「一本を取りたい──どんなスタイルも、互いにルールで許されているんだったらやる」

 2022年3月21日(月・祝)18時から、後楽園ホールで開催される「プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2022 Vol.2」にて“ウェルター級”の5分3Rで、山田崇太郎(同級世界3位/The Pandemonium)が、西川大和(世界ライト級王者/西川道場)と対戦する。

 山田は、国内最高峰のグラップラーで世界ウェルター級3位“職業筋肉”の異名を持つ。

 QUINTETでは「TEAM CARPE DIEM」のメンバーとして、FN2、FN4で活躍。チーム優勝に貢献し、2021年1月にはプロ修斗にも初参戦。“コンゴの怪人”グンター・カルンダに68秒、外ヒールフックで一本勝ち。国内トップグラップラーとしての実力を見せつけている。

 そんな山田がようやく迎える第2戦は、誰も想像がつかなかった1階級下の世界王者・西川とのマッチアップとなった。

 西川は、立ち技の試合でも活躍する二刀流の“北海道の野生児”。2020年に修斗初参戦を果たすと大尊伸光、マックス・ザ・ボディ等、一癖も二癖もある強豪を撃破。負けなしの快進撃を続け、2021年9月に川名TENCHO雄生の持つ世界タイトルに挑戦。近代MMAでは不利と言われるガードポジションからの打撃で川名の顔面を破壊。見事史上最年少世界王者に輝いた。

 その戦い方の是非が業界全体で議論される程、話題となった西川だが、戴冠後の初戦となった2021年11月の「VTJ2021」で菅原和政と対戦し、再び引き込む形となった西川は、パンチを被弾し右目を腫らすなどピンチもあったが、最後はリアネイキドチョークでタップを奪いフィニッシュしている。

 この19歳、Z世代のライト級王者を、山田はいかにとらえているのか、聞いた。

――3月21日に後楽園ホールで開催されるプロ修斗で、ウェルター級で西川大和(世界ライト級王者/西川道場)選手と対戦する山田崇太郎(同級世界3位/The Pandemonium)選手です。前戦は、2021年1月31日に、修斗でグンター・カルンダを1R、ヒールフックで極めました。あの試合はMMAとしては、2017年9月のZST以来の試合ですた。どのような感触を得られましたか?

「特別印象がないんです、本当に。勝てて良かったとか、そういうのはありますけど」

――特に久しぶりのMMAだからという緊張もなくという、淡々と?

「緊張は常にあるんですけど、別にそれは何に対しても緊張はあるので。MMAだからって、いうことではなかったかもしれないですね」

――カルンダの蹴り足を掴んで引き込んでの外ヒールでした。

「映像とかは自分でも見返したりはしたんですけど、さほど印象がないというか(苦笑)。構えとかコーチから指摘された反省点みたいなところはあるんですけど」

――なるほど。では、MMA復帰2戦目がウェルター級に上げて戦う西川大和選手と決まったときにはどのように感じましたか。

「僕はオファーが来て、その場でやるって返事してます。来た瞬間に試合を受けています。体重とかがつくれるんだったら、そんなオファーを断ったりはしない。直前とかで体重が落ちないとか以外は、減量が間に合って、こういった名前のある選手ならば」

――まずはスタンドから、キックの試合にも出ている西川選手のスタンドをどのように見ていますか。

「普通に強いなって。判断が早いというのもあるし、攻撃パターンとかもいろいろありますよね」

――北大や柔術、さまざまな寝技を採り入れているという西川選手の組み技、寝技について、どのような印象を持っていましたか?

「強いと思うし、結果を出しているじゃないですか。けっこう練習もしていますよね。だから、やっぱり立ちも組みも強さというのはあるんだろうなと。まあ“勝つというのが強いこと”だと思うので」

――互いに強い組み技を持っています。西川選手の組みの強さというのは……。

「そうですね……個人的な技術体系というか、自分で考えて、ひらめきとかでやっているのかなと感じる部分もあります。誰か指導者にずっとついて、体系立てて柔術をやっているというような印象はないです。知っている技術を自分なりに組み合わせたりとか、ひらめきなのかなと」

――何かの軸があって広げているというよりも、これまで自分でやってきたものを積み上げているという形に感じると。

「そうですね。でもその引き出しがいっぱいあるから、自分の中で選択肢もあるから、組み合わせている。立ち技をベースに、多くの選択肢の中で、必要なものをチョイスしてやっているのかなと。その状況で判断が早いという印象はありますね」

――系統立っていない部分というのは、良さでもあり、突くべき点にもなりますか。

「どちらもですね。セオリーじゃない想定外の部分もあるかなと思いますし。柔術でわりとオーソドックスなものなんですけど、彼の技術は、他の選手が真似きるということはないと思うんです。西川選手の独自の技術というか」

――西川選手が、今のMMAの中で引き込むこともあることについては?

「僕個人的には好きなので、そういうスタイルも見たいなと思います」

――興味深いのは、もしグラウンドになった場合、山田選手が上になるのか、下になるのかという点がまず一つあります

「そうですね、それはいろいろ考えてるんですけど、格闘技なので、MMAなので、そのルールで許されることはどれも選択肢にあります。その戦略は僕のコーチが考えていますね」

――ちなみにコーチというのは?

「礒野元さんですね。セコンドにもついていただきます」

――頂柔術の礒野氏ですね。岡見勇信選手をUFCタイトルマッチに導いた名将です。

「GENスポーツパレスのジムに来てもらって教えてもらっているので、出稽古という感じじゃないですが、スパーリングとかを見てもらっています。それに自分のThe Pandemoniumでフィジカルは鍛えて」

――スタンドから始まるMMAで、お互いがどうアプローチするかも注目です。組む場合もどんな組み手で互いの得意な部分に持っていくのか。

「そこもMMAのルールの中で当てたりとか、勝負したいなと思っています。ウェルター級に西川選手が階級を上げた。その意図もあるでしょうし、大きな選手に小さな選手がどう戦おうと考えるか。やっぱり駆け引きみたいな部分もある。戦略も考えてくるタイプだと思います」

――系統立っていないという西川選手の寝技に対して、山田選手の寝技は軸がたしかなものの、ネックロックなどの首系や足関節に独特なものを感じます。それに得意のオモプラッタからの極めの展開、そしてバックテイクも。

「いや、思いつきですね。練習でやってないので(笑)。ネックロックも試合前から使おうと思ってたとかそんなことはなくて」

――そうですか? 西川大和選手とは哲学は違うものの、独自の発想という部分では似ているところもあるのかと。

「いや、どうですかね。西川くんのことをそこまで深く理解しているわけじゃないので。でも、ルールで許されているんだったらやるものかなというのはあります。それは“極めたい”というところに帰結するものです」

――その意味で、組みの引き出しは山田選手の方が多いんじゃないかと感じますが。

「それが有効か有効じゃないかというのも含めて考えて、ですが、僕のほうが技の引き出しはあるんじゃないかなと思います。でも、格闘技って選択肢が限られた方が、実際は判断できて選手はやりやすいという考え方もあります。技術を教えるコーチが技を教えすぎていて、試合のときにそれが、その選手や状況にちゃんと適した技なのか、悩んでしまうこともある。なので、引き出しの多さが=強さということでもないのかなと」

――技を取捨選択すると。

「MMAはやること多いので、たとえば年間の計画で、コーチ側とここは省いておくとか。打撃であっても、どこかしらに偏ったりするとバランスが崩れると思いますし、一点強化型みたいな選手が勝つというのも分かります。すべてが出来た上で突出した武器がある」

――あらためてウェルター級での西川大和選手をどう考えますか。

「まあ……見たことがないですからね。西川選手のウェルター級の試合を。以前は無差別級的にやっていても直に見ていない。ただ、少なくともすごい身体が大きいタイプ、サイズが大きいタイプとは思ってはいないです。でも、僕もウェルター級で小さいほうですからね」

――どんな試合を見せたいと考えていますか

「試合内容はこうなったらいい、みたいなのはあっても、実際にその通りになるわけじゃないですから、とりあえず自分としては頑張ろうと。もちろん“一本取りたい”っていうのはあるんですけど、それは結果であって、試合内容を考えているわけではない。そこに向かって戦う、ということです。

 それに、西川選手は、ここまで話した通り、珍しいというか、現役チャンピオンで個性のある選手じゃないですか。注目もされていて。その西川選手と僕で、いい試合というか、いい作品ができたらいいなとは思いますね」

プロフェッショナル修斗公式戦・計量結果

PROFESSIONAL SHOOTO 2022 Vol.2
2022年3月21日(月・祝)後楽園ホール
[開場]17:15[開始]18:00

▼メインイベント 第8試合 世界バンタム級選手権試合 5分5R
岡田 遼(王者・2度目の防衛戦/パラエストラ千葉)61.1kg
安藤達也(挑戦者・同級1位/無所属)61.1kg

▼セミファイナル 第7試合 ウェルター級 5分3R
西川大和(世界ライト級王者/西川道場)76.6kg
山田崇太郎(同級世界3位/The Pandemonium)77.3kg→77.1kg

▼第6試合 バンタム級 5分3R
石井逸人(同級世界4位/TRIBE TOKYO MMA)61.0kg
石橋佳大(同級世界5位/ZEEKジム)61.2kg

▼第5試合 バンタム級 5分3R
後藤丈治(同級世界8位/TRIBE TOKYO MMA)60.8kg
ダイキ・ライトイヤー(修斗GYM神戸)61.0kg

▼第4試合 フライ級 5分3R
関口祐冬(同級世界4位/修斗GYM東京)57.0kg→56.7kg
宮城友一(同級世界5位/キックボクシングDROP)56.5kg

▼第3試合 バンタム級 5分2R
Lyo'o(reversalGYM OKINAWACROSS×LINE)61.2kg
齋藤 奨司(FIGHT FARM)61.0kg

▼第2試合 フライ級 5分2R
大竹 陽(HAGANE GYM)56.6kg
山内 渉(FIGHT FARM)56.5kg

▼第1試合 フライ級 5分2R
内田タケル(パラエストラ松戸)56.4kg
佐々木駿友(T-GRIP TOKYO)56.4kg

※須恵樹季(TRINITY-SUNS)vsソルト(マルスジム)の一戦は、須恵が大会前、調整中に負傷し3週間の安静が必要と診断され欠場。試合は中止に。

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