王者・瓦田(左)の初防衛戦の相手は、交流もあるベテランの大沢に決まった
2022年4月30日(土)東京・後楽園ホール『Krush.136』の対戦カード発表記者会見が、3月7日(月)都内にて行われた。
Krushライト級タイトルマッチ3分3R延長1Rとして、王者・瓦田脩二(K-1ジム総本部チームペガサス)vs挑戦者・大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)が決定。
瓦田は 伸びのある右ストレートを武器にアグレッシブなファイトスタイルでデビューから5連勝。東本央貴、川崎真一朗、ワン・ジーウェイに敗れたが、その後は覚醒して2021年7月・9月の「第6代Krushライト級王座決定トーナメント」で優勝し、王座に就いた。2019年12月から8連勝と快進撃を続けていたが、前回2月のK-1で篠原悠人に判定で敗れて連勝がストップ。今回が初防衛戦にして再起戦となる。戦績は14勝(6KO)4敗。
大沢は小学生の時から始めたボクシングで優れたテクニックを持つベテラン選手。2018年9月にはKrushライト級王座に挑戦してタイトル奪取ならずも、同年12月の「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」では準優勝を果たした。2020年7月のKrushで蓮實光にKO負け、12月のK-1では瓦田脩二に延長戦で判定負けと連敗を喫したが、2021年3月の川崎真一朗戦に延長戦で勝利して脱出。7月の卜部功也戦では判定で敗れるも、12月の弘輝戦で延長戦の末に勝利をもぎ取った。戦績は27勝(3KO)19敗3分。
両者はプライベートで仲が良く、瓦田にとっては「憧れの先輩」という間柄だが、2020年12月のK-1で対戦して瓦田が延長戦で勝利を収めている。
会見で挑戦者・大沢は開口一番「意気込みは変わらないですね。普通に、とにかくこのベルトが本当に欲しい。それだけです」とベルトを見ながらコメント。
迎え撃つ王者の瓦田は「1週間前にK-1で自分の思うような試合が出来ず負けてしまって。Krushのベルトを獲ってK-1のリングに上がるにあたって、多くの方が応援してくれていたのに期待に応えられなかったのでめちゃくちゃ悔しい気持ちでしたが、こうやってまた素晴らしい選手と防衛戦を組んでいただいたので期待に応えられるように、自分としても精一杯練習してベストコンディションで臨めるように頑張ります」と、捲土重来を誓う。
前回戦った時の印象とそれから自分が変わった部分を聞かれると、大沢は「脩二の印象はやりづらい。圧力って感じですかね。前に出てきて。苦手なタイプです。負けてからずっと脩二のことを考えて練習したこともあったので、脩二が王者になると思っていて、なってからもずっと脩二のことを思って練習しましたね。12月の弘輝選手都の試合の時も身長の高い選手とばかりやっていて、脩二が王者になってからずっと対策は始まっています。だから変わったところは自分もパワーを付けて、圧力をずっと付けて頑張っています」と、前回敗れてからずっと打倒・瓦田へ向けて動いていたと明かす。
瓦田は「まだまだ自分はキャリアも浅いんですけれど、1Rから3Rを通して戦い方が上手いなと学べたこと。自分を想定して練習していたと言っていましたが、自分がその後も試合をやった時に声をかけてくれたり、大沢選手のジムに行った時は指導もしてくれていたので、自分としては本当に素晴らしい人と素晴らしい選手という印象です」と、大沢へリスペクトの気持ちを話した。
前回のK-1で連勝がストップし、変えようと思った点は何かとの質問に瓦田は「今まで思っていないような欲がちょっと出てきてしまっていて。それで負けてしまって、たくさんの方からメッセージや手紙を送っていただき、その時に初めて周りの応援してくれる人のために戦いたい、勝って一緒に喜んでもらいたいって気持ちが芽生えました。今までこんな気持ちになったことがなかったので、これがいいか悪いか分かりませんが自分は今その気持ちが強いです。周りにも喜んでもらえるような内容で結果も出していきたいと思います」と、内面で大きな変化があったという。
今回はタイトルを懸けての再戦。その要素が試合にどう影響するか。両者は次のように答えた。
大沢「ベルトが懸かっているので。この前試合した時は僕が赤コーナーで脩二が青コーナー。僕が先輩で脩二が後輩。今回は立場も完全に変わって、脩二が王者で僕が挑戦しに行く形。ベルトは関係めちゃくちゃしますよ。本当に毎日、この話をもらった時から眠れないくらい毎日ベルトのことを考えているのでかなり関係するんじゃないですか」
瓦田「自分がこのベルトにたどり着くまで8連勝だったんですがかなり遠回りして、やっと辿り着けて。自分の中では本当に宝物で絶対にどんな選手にも譲りたくない。ライト級にはたくさん選手がいてこのベルトを目指してやってきているから、自分もこのベルトを持っている選手としてプライドがあるし、ベルトに懸ける想いは強いので、そういう気持ちの溢れる試合が出来たらなと思っています」
初対戦では複雑な心境で臨んだと思われる2人だが、2度目ということで前回とはまた違う心境なのだろうか。大沢は「前回も複雑ではあったんですけれど、リングに上がったらやることはひとつなのでそれは今回も変わらないですね。今回はどうせ僕が王者になって、今見ているバカなアンチどもが意味わからないコメントをしていると思うんですけれど、選ばれたのは僕なので(笑)。黙って見とけって感じですね、バーカ」と、アンチへ向けて毒を吐く。
瓦田は「1回目にやった時も決まった時はいろいろ思っていたんですけれど、さっき大沢選手も言っていたようにリングに上がったらそういう気持ちは出てこないので。前回は自分が大沢選手の戦いに飲まれてしまっていたので、自分が手を出せていなかったからそういう気持ちが残っていたのかって言葉もいただいたんですが、そういうのは全然なくて。ただ技術があって上手いからカウンターが怖くて出せなかっただけで、リングの上では関係なく試合は出来ると思います」と答えた。
初防衛というプレッシャーはどうか。瓦田は「防衛してこそ価値が上がっていくと思うし、ライト級初代王者の梶原代表(瓦田の師匠)も防衛を続けていくにつれてKrushのイメージがついて来たと思うので、自分も防衛を重ねていく一発目の防衛戦ということで気合いが入っています」と、逆に気合いが入るとした。
普段から肌を焼いている大沢だが、この日はさらに黒さが増していた。理由を聞くと「昨日東京に帰って来ました」とのことで試合へ向けての合宿かと思いきや「沖縄に遊びに行っていました」と笑う。
2度目の対戦。どういう決着がふさわしいと思うかとの問いに、大沢は「今回は期待を裏切ります。倒します。KOします。判定はいきません。これはマジです」と、いつもは堂々と判定勝ちを宣言するところでまさかのKO宣言。大沢はニヤリと笑みを浮かべた。瓦田はその言葉を受けて「倒しに来たところを思いっきり返り討ちにしてやります」と受けて立った。
また、中村拓己K-1プロデューサーからは「4月30日は梶原さんが初代のこのベルトを巻いた日。同じ日に瓦田選手がタイトルマッチをやるのも運命的なことを感じます。大沢選手が初めてベルトに挑戦したのも10年くらい前。それからKrushのリングもいろいろな選手が出て来て、いろいろな選手がベルトに挑戦していく中で大沢選手くらい10年近く同じベルトを目指して戦って、タイトルマッチに挑むのもあまりないことだと思います。そういった意味でベルトに対する想いは凄く強いと思います。瓦田選手も交流のある先輩とベルトを懸けて戦う、しかも梶原さんの巻いていたベルトを4月30日に挑戦者を迎えてやるのもいろいろな想いがあるでしょう。ぜひ2人の歴史、ベルトが作ってきた歴史と一緒に見てもらいたい」との談話も。
最後に大沢は「4月30日は梶原代表が獲った日なので、脩二は思い入れが絶対にあると思うんですけれど、関係ないです。俺だけを見てろって感じです。それだけです。今回は一切おちゃらけなしです」。瓦田は「こうやって会見で聞いていてもめちゃくちゃ思い入れが強いことが伝わってきましたし、自分もこのベルトは絶対に放さない、何が何でも放さない覚悟でリングに上がりたい。最高の状態に仕上げます」と、それぞれ意気込みを語った。