2019年6月2日(日)兵庫・神戸ワールド記念ホールにて開催された『RIZIN.16』。大会終了後、榊原信行RIZIN CEOが総括を行った。
「全体的に熱のあるいい大会だったと思います。興行自体は選手がいい試合をして大会の熱を作るのもひとつですが、始まる前から関西のファンの期待感、飢えていたファンの皆さんたちが関西にRIZINが来たという期待感で、チケットも増席に次ぐ増席で、8,107人の方に来ていただくことが出来ました。ファンの皆さんの力に助けられて素晴らしい大会の熱を作って、それが特に前半、RIZINに初参戦で上がってきてくれた選手たちのモチベーションの高いファイト、前半の熱のある試合につながったと思います」と、興行的には大成功だったと、関西初進出に手応えを感じたようだ。
しかし、会場の熱の高まりとは裏腹に、PRIDE時代と比べると低迷する視聴率の話になると榊原CEOの表情も曇る。
「正直、RIZINはここまで決して褒められた視聴率ではないんですね。4月もゴールデンでやっていただきながら5・8%。それは裏環境が厳しいレギュラー番組が並んでいますが、井上尚弥選手の試合は10%ディレイでとりました。かといって井上選手が数年前にコンスタントにその数字をとっていたわけではない。会場に来てくれるファンとは違う視点で、お茶の間のファンを釘付けにする何かの答えが僕らも見つけられていないと思います。いろいろなことを試行錯誤しています。決して諦めているわけではなく、まだまだお茶の間人たちにたくさん見てもらえるチャレンジができるはず」
CM中に那須川が左ミドルキックでブランコを悶絶ダウンさせた その中で起こった、今回のフジテレビの中継問題。今回フジテレビで生中継した3試合のうちの、メインイベントで行われたISKA世界フェザー級王座決定戦、那須川天心(TARGET/Cygames)vsマーティン・ブランコ(アルゼンチン)戦の途中、2Rにブランコが右の眼上から流血。レフェリーが傷の具合をチェックするため試合を一時中断させると約1分のCMが入ったが、このCM中に那須川がミドルキックでダウンを奪い、CM明け直前にはヒザ蹴りで2度目のダウン。この2度目のダウンを奪った直後に中継が再開されたため、視聴者はクライマックスの始まりを見ることができなかった。
このことについて榊原CEOは次のように説明した。
「今回は初の3試合連続全て生放送。その後、天心が中継席に降りて自分の試合を振り返る。これもあらゆることを試行錯誤した上でのチャレンジだったんですが、そんな中でSNS上で大炎上していると聞きました。カットのタイミングでCMに行って最初のダウンシーンが入ってないというオンエアーがありました。地上波という放送環境はCMを流してくれるスポンサーの方がいて無料で皆さんに届けられている中で、だからしょうがないということではなく、本当に申し訳ない思いと、放送としても前向きに新しいチャレンジをして起きた残念な事象ではある。
カットやアクシデントが起きてドクターチェックが入った時に、必ずCMに行くという決め事をしていたようですね。ただ思いのほか、CMの1分の尺の中でドクターチェックがスムーズに済んだことがあって。ファンの皆さんは生で流した意味があるのって感じだと思うんですよね。大事なシーンが入らなかったわけですから。それは本当に申し訳ないですが、でもいい経験を積ませていただいたので、今後こういうことがないように整えていきますのでご勘弁していただきたいと思います」
つまり、ドクターチェックなどで試合が一時中断された場合にはCMに行くとの取り決めがあったことが、今回の問題につながったのだという。
「フジテレビさんとしてはどこかでCMを消化していかないといけないですよね。ドクターチェックが入って、それも傷の深さとか状況によって変わる。金的やドクターチェックが入った時にはこれまでの過去の事例をもとに1分間くらいの時間はかかるというところでCMにいったのだと思います。僕もオンエアーを見ていないので、そこは自分なりの確認をしたうえでフジテレビサイドと話をして今後の対策を考えていきたいと思います。
状況を見ながらケースバイケースだと思いますが、回復を待つとか治療的なことを考えた時に、これは時間がかかりそうだと判断して思い切っていく手があるかもしれませんが、これは地上波のスポーツ中継の命題だと思います。誰がどの感性でその判断をするのか。凄く責任が重い。しっかり今回のことを次につながるような形で検証して、伝える機会があれば発表したいと思います」と、榊原CEOは今回の反省点をフジテレビ側と検証して対策を講じると約束した。