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【Krush】寧仁太・アリが延長戦で競り勝ち王座奪取、菅原美優が因縁の相手に完勝でV2、松谷綺が2戦目も技術見せて完勝、鈴木翔也が大逆転KO

2022/02/20 22:02
Krush.1342022年2月20日(日)東京・後楽園ホール ▼ダブルメインイベント第2試合 Krushウェルター級タイトルマッチ 3分3R延長1R×松岡 力(K-1ジム五反田チームキングス/王者)延長R 判定1-2 ※9-10、10-9、9-10○寧仁太・アリ(K-1ジム総本部チームペガサス/挑戦者)※寧仁太が新王座に就く。松岡は初防衛に失敗。本戦の判定は30-29、29-30、29-29。  松岡は空手からキックボクシングに転向し、新日本キックボクシング協会でプロデビュー。2017年に現在のK-1ジム五反田に移籍し、2018年1月からKrushに参戦した。2019年8月のK-1で近藤魁成にKO負けを喫して引退を口にしたが、2020年7月に復帰宣言。2021年4月には加藤虎於奈を判定で破り、第9代Krushウェルター級王座に就いた。戦績は11勝(5KO)8敗2分。  寧仁太は184cmの長身を誇り、第25回K-1アマチュアAクラス -70kg優勝。2021年3月のK-1では海斗をKOで葬り、6月のKrushでは第7代Krushウェルター級王者・山際和希をも判定で降した。戦績を6勝(4KO)1敗。  両者は2021年9月の「K-1 WORLD GP第2代ウェルター級王座決定トーナメント」に出場し、寧仁太は1回戦で小嶋瑠久を破るも準決勝で野杁正明にKO負け、松岡も1回戦でマキ・ドゥワンソンポンにTKO勝ちするも準決勝で安保瑠輝也にKO負けを喫した。  1R、出足は両者とも慎重。ローで距離を計る。すると松岡は意表を突く後ろ蹴り。右ミドルを当てる松岡だが、寧仁太も左ミドルをヒット。寧仁太の鋭いワンツー、ハイキックが空を切る。松岡は寧仁太の右ミドルを身体で受けてワンツーを打つ。両者とも慎重な初回となった。  2Rの出足も両者慎重。松岡はいきなり右ハイを蹴ると寧仁太はワンツー。松岡の左ミドルに一度下がった寧仁太だが、すぐに飛び二段蹴り。松岡はジャブから右ミドル、さらに右ロー。寧仁太がパンチを伸ばすと右カーフを狙い撃ちし、前足を意識させてのワンツー、右ストレートで攻勢に出る。密着するような接近戦でパンチを上手く当てるのは松岡。終盤、松岡がワンツーを打つと寧仁太が右ストレートを返してクリーンヒット、さらにもう一発右をヒットさせた。  3R、いきなり左右フックで前に出た松岡に寧仁太も左フック。すると松岡が足を止めての打ち合いを仕掛ける意外な展開に。寧仁太はワンツーからアゴへヒザを突き上げる。右カーフを蹴った松岡に寧仁太がワンツー、仰け反る松岡へ右ハイもヒットさせる。  松岡はなおも打ち合いにいき、ヒザを突き刺す。左右の連打で寧仁太をコーナーへ追い込む松岡。寧仁太はブロックしているが劣勢だ。右フックからの左フックで松岡がヒットを奪い、寧仁太は下がる。さらに真へ出る松岡。右カーフからワンツー、寧仁太も右フック。激しい攻防となった。  本戦の判定は三者三様のドロー。延長戦Rへ突入する。松岡のインローがローブローとなって中断。再開後、松岡は右カーフの連打、寧仁太も右ローを返す。松岡は右ミドルから後ろ蹴り、そして左右フック。寧仁太の右ローからの右ストレートで松岡が足をすべらせてバランスを崩す。すぐにスーパーマンパンチを放ち挽回にいく松岡。寧仁太の左右ヒザには左右フックだ。前に出て手を出す松岡に寧仁太は飛びヒザ蹴りからハイキック。  互いに決定打はなかったが、判定は2-1で寧仁太が勝利。タイトル奪取に成功した。  新王者となった寧仁太は「ちょっと試合後に喋るの考えている余裕がなくて考えていなかったんですが、本当に自分一人の力では巻けないベルトだし、試合中も何回かヤバいと思ったんですが、ベルトを獲れたのは皆さんのおかげだと思っているのでこのベルトは皆さんに捧げます。総本部のみんながベルトを獲っていてプレッシャーがヤバくてどうなるかと思っていたんですが、自分を信じてやっていれば願いはかなうのでそれが見せられたと思うので、ここからK-1のベルトにも挑戦したいと思っているのでもっともっと頑張ります」と、感謝の気持ちを伝えた。  試合後のインタビューでは「内容よりは結果が欲しかった。延長になった時にやっぱり王者は強いと思って、気持ちが折れかけたら(梶原)龍児さん(総本部代表)が鼓舞してくれて這い上がりました。(最後に競り勝てたのは)龍児さんが鼓舞してくれたからだと思います」と振り返る。その言葉は「僕は小学校高学年の時は暴れん坊だったんですが、『暴れん坊だったんだからここでも暴れて来い』と言われて背中を押されました」というものだった。  一方、松岡は3Rに打ち合いに行ったのは「2Rにアゴが折られたので延長へ行ったら嫌だと思ったからです。どうせやったら倒したかったんですが、僕の力が入らなくてダメやったですね」と、2Rにアゴが折れていたことを告白した。 [nextpage] ▼ダブルメインイベント第1試合 Krush女子アトム級タイトルマッチ 3分3R延長1R○菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/王者)判定3-0 ※30-28、30-29、30-27×優(NEXT LEVEL渋谷/挑戦者)※菅原が2度目の防衛に成功。  菅原は第5回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-50kg優勝、第6回・第7回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-45kg優勝の実績を引っ提げて2019年1月にプロデビュー。2戦目で初黒星を喫したがその後は負けなしで、2020年11月の女子アトム級王座決定トーナメント決勝戦で第3代Krush女子アトム級王座に就いた。2020年3月に美容技術専門学校を卒業し、“戦う美容師”として活動している。2021年3月には3戦全勝のホープNOZOMIからダウンを奪って勝利し5連勝。5月のMIOとの初対決で判定負けするも、11月のタイトルマッチでの再戦ではダウンを奪っての判定勝利でリベンジ&初防衛に成功した。戦績は7勝2敗。  優は中学・高校と陸上部に所属し、インターハイで4位の実績を持つ。30歳を過ぎてからキックボクシングを始め、現在は代官山にある美容室のオーナーでありアイリスト(アイメイクアーティスト)。2017年5月にKrushでプロデビュー。2019年11月にチャン・リーから勝利するも、2020年7月の「第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメント」準決勝で菅原美優に敗れ、11月の山田真子戦でも敗れて連敗となったが、2021年5月にMOEから延長戦で勝利をもぎ取った。戦績は3勝5敗1分。  1R、菅原は右ローとジャブ、ミドルを空振りするとバックハンドブローで軽くヒットを奪う。優が前へ出てくると前蹴り。右カーフを蹴る菅原に優はパンチで突進したがホールディングに。優のミドルには左フックを合わせに行く。菅原に先手を取られる優は組み付きが増える。  2R、菅原は右フックからヒザ、さらに左ミドル。離れると顔面前蹴り。優が前へ出ようとするとタイミングのいい前蹴りで転倒させる。菅原は右カーフから左の顔面前蹴り。優は足を掴んでしまう。左手で推しながらのヒザ蹴りも見せる菅原。優のパンチは空を切り、菅原がこのラウンドもペースを握った。  3R、菅原が右ローを連打。ワンツーで入り込む菅原に優はクリンチ。優が入ってくると近距離で右アッパー、右フックを当てる菅原。離れると菅原が前蹴り、優が左右ミドルで対抗すると左右フックを合わせる。優をプッシュして下がらせると顔面前蹴りをクリーンヒット。さらに飛び込んでのヒザ蹴り。優はホールディングが多いため警告が与えられる。最後は菅原が右ストレート。  判定は3-0で終始先手を取り、ペースを握り続けた菅原の勝利。2度目の防衛に成功した。  菅原はマイクを持つと「押忍。もっともっと成長した姿を見せたかったんですがもっと練習頑張ります。アトム級全員で頑張っていきますので応援よろしくお願いします。押忍」と、アトム級選手全員で盛り上げていきたいと語った。 [nextpage] ▼第8試合 Krush女子アトム級 3分3R延長1R○松谷 綺(ALONZA ABLAZE)判定3-0 ※30-28×2、30-27×豊嶋里美(TEAM OJ)  豊嶋はデビューから6戦目まで勝ち星がなかったが、2020年9月の「DREAM KAHOS」トーナメントの1回戦で延長戦の末に谷田美穂から嬉しい初勝利。決勝では打ち合いを繰り広げたが森川侑凜に判定負け。11月のチャン・リー戦にも敗れたが、2021年8月にホープのKihoから勝利を収めた。11月には紗依茄を相手に前へ突進する気迫のファイトを見せるも、判定で敗れている。戦績は2勝7敗2分。  松谷は兄・桐と共に2021年7月から卜部功也が代表を務めるALONZAに所属。2021年8月にKrush初参戦を果たし、森川侑凜からダウンを奪って判定勝ち。戦績は4勝2分で無敗。キャリアは浅いながらもそのテクニックには定評がある。今回が高校生としては最後の試合。  1Rが始まると同時に豊嶋がパンチの連打で突進。松谷は左ミドルで対抗し、豊嶋が入ってくると左回ってかわす。左ミドル、前蹴りで距離を取ると右ストレート。かまわず前へ出ていく豊嶋だが松谷はパンチをうまくかわして右ロー、左フックを当てていく。右ロー、相手の右側の死角からの左フック、さらにサイドへサイドへと動いて死角から攻撃。右ローと同じモーションで右ストレートを当てる松谷。  2Rは豊嶋の前進を左右前蹴りで止め、右ローを蹴ってワンツー。豊嶋のワンツーはバックステップやサイドステップでかわし、右ミドルと右ストレート。しかし豊嶋にプレッシャーにかけられている状態は続く。それでも松谷は前へ出てくるところに右カーフ、そして右フック。豊嶋はガムシャラに左右の連打。  3R、豊嶋のパンチをかわして右ストレートを打ち込む松谷は豊嶋が近付くとヒザ蹴り。さらに右ミドルをビシビシと蹴っていく。しかし、豊嶋は下がることを知らず前へ出る。その突進をかわして松谷が後ろ蹴り。左右ミドルからの連打を見舞う松谷に豊嶋が右ストレート。松谷は左へ体を傾けながらの右ストレートを何度も当てる。最後は左ボディから右ストレート、さらに右ストレートをまとめ打ちした松谷。  判定3-0の完勝でKrushでの2戦目も勝利で飾った。 [nextpage] ▼第7試合 Krushスーパー・ライト級 3分3R延長1R○松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)判定3-0 ※30-29、30-28、29-28×斉藤雄太(K-1ジム五反田チームキングス)  1R、始まると同時に前へ出る松本がワンツーの連打と右ロー、斉藤も打ち返すが松本の右三日月とヒザ蹴りで後退する。手数を出して前へ出ていた松本だが、次第に斉藤の返しのパンチが当たるようになり、斉藤は飛び込んでの左右を打つ。1Rにしてかなりの消耗戦となった。  2R、ヒザ蹴りとワンツーで優勢に立つ松本だが、斉藤の左右フックも被弾する。斉藤はジャンプして飛び込んで左右ストレート、さらにバックハンドブロー。松本は前に出てとにかく手数を出していく。  3Rは斉藤が左右フックで攻めていき、松本が右フックで迎え撃つ。松本のワンツーに斉藤がバックハンドブロー。ヒットを奪うのは松本だ。斉藤の頭が何度も仰け反る。細かく手を出していく松本に斉藤は左右フックを振り回して必死の反撃。試合が終わると、両者とも両手を両膝についた。  両者全力を出し尽くしたタフファイトは、判定3-0で松本の勝利となった。 [nextpage] ▼第6試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R×林 勇汰(FLYSKY GYM)KO 2R 1分26秒 ※右フック○佑典(月心会チーム侍)  林は5勝(1KO)6敗1分1無効試合の戦績だが、パンチを主体とするアグレッシブなファイトスタイルで常に会場を沸かせる。2019年6月の「スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント」のリザーブファイトでは小倉尚也を左フックで2度ダウンさせて初回KO勝ちを収めたが、8月の金子晃大戦、11月の玖村将史戦(Krushスーパー・バンタム級タイトルマッチ)と連敗中。フェザー級に階級を上げ、2020年9月の「第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント」に出場が決まっていたが、左目の網膜剥離の再発で欠場。2021年10月に復帰を果たし、水津空良を初回KOした。戦績は6勝(2KO)6敗1分1無効試合。 佑典は身長170cmのサウスポーで、戦績は15勝(6KO)5敗。K-1 JAPAN GROUPには2021年2月のKrushで初参戦し、桝本翔也を1R2分36秒、左ストレートで2度ダウンさせてTKO勝ちしている。欠場者を受けて3月のK-1に緊急参戦し、一階級上のスーパー・フェザー級で横山朋哉と対戦するも初回29秒でKO負けを喫した。9月も代打出場となるも斗麗にKO負けを喫した。戦績は15勝(6KO)6敗。  1R、サウスポーの佑典に林はどんどん前へ詰めて行くと佑典は左へ回り込む。距離を詰めた林が左フックを空振りすると佑典の右フックでダウン。ラッシュする佑典はラウンド終了直前にもワンツーでダウンを追加する。  2Rも前に出てくる林を左インロー、ワンツーで迎え撃つ佑典。林が入り込むところでジャブをジャストミートした佑典。そのチャンスを見逃さず、下がった林に左をフェイントして林が左フックを打とうとしたところへ飛び込んでの右フック。林がダウンしたところでレフェリーがストップした。  佑典はマイクを持つと「今日のMVP候補に入りましたか? 2連敗して終わっていくんちゃうかと思われていたと思いますが、今が一番強くなっているのでここからベルトを目指して這い上がって行くので見といてください」とアピールした。 [nextpage] ▼第5試合 Krushライト級 3分3R延長1R○鈴木翔也(OGUNI-GYM/NJKFライト級王者)KO 2R 0分41秒 ※右フック×弘輝(WORLD TREE GYM/team ALL-WIN)  鈴木はスーパーフェザー級に続いてライト級を制したNJKFの二階級制覇王者で、戦績は28勝(8KO)18敗1分。2021年6月大会では吉田凜太朗に判定勝ちで2度目の防衛に成功しているが、2022年9月には健太に敗れた。  弘輝は2020年6月にKrush初参戦を果たしたサウスポーで、初陣ではSEIYAを3Rでマットに沈めた。しかし、9月の朝久泰央では1Rに飛びヒザ蹴りでダウンを奪うも、2Rにハイキックで壮絶な逆転KO負け。3月のK-1では大沢の弟子である龍華にKO負けと、勝っても負けてのKOのファイター。7月の「第6代Krushライト級王座決定トーナメント」の1回戦で東本央貴を判定2-0に降したが、9月の準決勝で里見柚己に判定2-0で敗れて戴冠ならず。12月のK-1では大沢文也に延長Rで惜敗。戦績は7勝(5KO)5敗1分。  1R、サウスポーの弘輝は右へ回り込みながら左ミドル、左ストレートからの右フック。鈴木も右ストレートを打つが、右ストレートを空振りしたところに弘輝が右フックからの左フックでダウンを奪う。前に出る鈴木が打ち合いに来ると弘輝はワンツー、左右フック。鈴木の連打にコーナーへ詰まったかに見えた弘輝だが、カウンターの左ストレートでダウンを追加。  2Rも開始早々、攻めてきた鈴木から左フックでダウンを奪う弘輝。鈴木は立ち上がってまたも前へ出るが、弘輝の強打を浴びてダウン寸前に。しかし、勢いに乗る弘輝が打ち合いに行ったところで鈴木の右フックのカウンターが炸裂。弘輝はバッタリと倒れ、レフェリーが即座にストップ。弘輝は起き上がって抗議するが、足がふらつく。  大逆転KOに成功した鈴木は「8年ぶりのKrushのリングに上がれて嬉しかったです。めちゃめちゃ強かったです。準備してきたつもりですが強かったです。このリングでやっていくにはルールに合わせた練習をしないといけないと思いました。弘輝選手ベスト4なので、あと何人か倒せばチャンピオンを出してくれるかなと思います」と、Krushのタイトルを狙うと宣言した。 [nextpage] ▼第4試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R延長1R○安川侑己(志村道場)判定2-1 ※29-30、30-29、29-28×目黒翔大(優弥道場)  1R、左右フックでアグレッシブに攻める安川にサウスポーの目黒は右カーフを狙い撃ち。どんどん接近戦を仕掛けてパンチ一辺倒の安川に目黒は左ボディ、右カーフ。安川はバックハンドブローも繰り出す。  2R、接近戦で大きなパンチを打つ安川に目黒は細かくフック&アッパー。相手の左側へとポジションをとる目黒は右アッパー、右フックを当てていく。しかし安川は攻撃の手を休めず前へ出て次々とパンチを繰り出していく。  3R、雄叫びをあげて気合いを入れた安川はまたも左右フックを繰り出しながら前へ。目黒はショートフック&アッパー。目黒の右カーフでバランスを崩す安川だが右ストレートを当てて前進。目黒はバッティングで右目上から流血しながらも、向かってくる安川を左右のフックで迎え撃つ。  両者手を出し合うタフなファイトとなり、前へ出て攻め続ける姿勢を見せた安川の勝利となった。 [nextpage] ▼第3試合 Krushスーパー・ライト級 3分3R延長1R○塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)KO 3R 1分40秒 ※右ミドルキック×小林孝彦K-1ジム総本部チームペガサス)  1R、前へ出る塚本に小林はリングを大きく使って左へ回り込む。塚本が追ってくると左右フックを巧みに当てる。小林は左ボディを狙い撃ち、それでも塚本は前へ出て右ミドルと左ローを蹴る。塚本の蹴りが出てくると途端に塚本ペースとなり、パンチも当たり始めた。  2Rも回り込みながら左ボディを打つ小林は、左ボディを意識させて同じモーションで左フック。これが決まると一気に連打でラッシュ。塚本をコーナーへ釘付けにさせたが、倒し切ることが出来ず逆に塚本のヒザ蹴りを何度ももらってダウン。さらに右ミドル連打で追い込む塚本。  3Rも塚本が右ミドルとヒザ蹴りで小林を圧倒。右ミドルからの連打、そしてヒザ蹴りでダウンを追加。小林は左フックで必死の反撃も右ミドルをもらって身体がくの字となって後方へ吹っ飛び、塚本のKO勝ちとなった。  塚本はマイクを持つと「前回いい試合できず地獄のような3連敗していたんですけれど、それでも応援して会場へ来てくれる人がいて、そのおかげで連勝できました。上でふんぞり返ってるやつらに喰いついていきます」とアピールした。 [nextpage] ▼第2試合 Krush女子アトム級 3分3R延長1R×谷田美穂(K-1ジム大宮チームレオン)判定0-3 ※27-30×3、26-30○紗依茄(月心会チーム侍)  谷田は148cmと女子アトム級の中でもさらに小柄ながら攻撃の手を休めない突進ファイター。デビュー以来5敗となかなか勝利をつかめなかったが、2021年6月にAIKOに判定勝ちして嬉しい初勝利。11月にはJKファイターのKihoと引き分けている。戦績は1勝5敗1分。  紗依茄は17歳のJKファイターで、ジュニアで6冠王、第9回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-50kg優勝の成績をあげ、2021年1月にプロデビュー。ジュニア時代から積み上げてきた卓越したテクニックでAIKOから勝利を収めたが、6月の2戦目ではチャン・リーのパワーに屈し初黒星。11月には豊嶋里美にステップワークを駆使した戦い方で勝利した。戦績は2勝1敗。  1R開始早々、紗依茄の右前蹴りからの左ハイで谷田がダウン。再開後、左右フックで一気に襲い掛かる谷田。紗依茄は前蹴り、右カーフ、右ハイを蹴って回り込む。谷田は勢いよく突っ込むが、紗依茄のリーチ差を活かした攻撃に加えて速いステップで回り込むためなかなか捉えることが出来ず逆に紗依茄の右カーフをもらう。  2R、勢いに乗る紗依茄はハイを蹴りつつ右カーフ、前蹴り、ワンツーで前に出てくる谷田を迎え撃つ。谷田は入り込んでも組んでしまうため攻撃に結びつかない。前蹴りで徹底的に突き放す紗依茄。  3R、ガムシャラに突っ込む谷田に紗依茄は前蹴り、クリンチも多くなる。谷田が突っ込んでは両者ホールディングの展開となり、紗依茄が判定で勝利した。 [nextpage] ▼第1試合 Krushライト級 3分3R延長1R×堀井 翼(K-1ジム五反田チームキングス)延長R 判定0-3 ※8-10×3○南雲大輝(八光流柔術総本部)※本戦の判定は27-28、28-28、28-28。  堀井は2019年3月にK-1 JAPAN GROUPに初参戦、1Rにダウンを奪われながらも3度のダウンを奪い返して1R2分46秒でKO勝ち。その試合のインパクトもさることながら、もっと話題を集めたのは試合前の個性的すぎる“メンチ切り”だった。堀井が「フラッシュバック」と命名したこのメンチ切りは、相手に背中を向けてエビ反りになって相手を睨みつけるというもの。しかし、6月の瑠久戦では喧嘩っ早さが仇となり、記者会見で乱闘騒ぎを起こして会見は中止に。試合では瑠久に判定で敗れ、その後も不可思と山崎秀晃にKO負け。2020年6月の南雲大輝戦では相手のローブローにより反則勝ち。2021年4月の里見柚己戦では判定負け。戦績は6勝(4KO)5敗3分。  南雲はMMA(総合格闘技)からミャンマーの頭突きありの超過激格闘技ラウェイに転向し、2017年12月にはミャンマー・ヤンゴンで開催されたAir KBZ(エアカンボーザ)チャンピオンシップにて67kg級の2017年王者となった。2019年6月、K-1への参戦を表明し、11月に初参戦したがKO負け。2020年6月の堀井翼戦は反則負け、8月の東本央貴戦では初回KO負け、2021年3月のK-1ではゴンナパーに2RでKO負けと5連敗ながら「第6代Krushライト級王座決定トーナメント」に抜擢され、7月の1回戦は不戦勝も9月の準決勝では瓦田脩二にKO負けを喫した。キックボクシングの通算戦績は2勝7敗。  1R、堀井が右ストレートをボディに打てば、サウスポーの南雲も左ボディストレート。薙ぎ払うような右フックを何度も狙う南雲に堀井は右の三日月を蹴る。南雲が入るところへ堀井がヒザのカウンター、すかさず南雲も左ボディ。南雲が右フックを打つとバックハンドブローを放つ堀井。南雲の左右フックが顔面を捉え、蹴りは堀井という展開。  2R、南雲の右フック左ストレートがヒット。堀井はバックハンドブローを空振りして勢い余り転倒。南雲は左の三日月を蹴りながらの左右フック、さらに左ボディ。堀井も負けじと右の三日月、南雲の左フックに右インローを蹴って転倒させるが、堀井が右目上をカットしてドクターチェックに。再開後、南雲の右フックで堀井はダウン。ここで2度目のドクターチェック。再開後は右インローを蹴る堀井。  3R、思い切り右フックを振る南雲に、堀井はパンチと蹴りでボディを攻める。堀井のジャブがよく当たるが南雲は下がらない。堀井が右ローでカーフを蹴ると大きくバランスを崩す南雲。堀井はさらにヒザも南雲は左右フックを打つ。南雲はホールディングが多く減点1。最後は右ストレートをヒットさせて攻め込んだ堀井の執念が実を結び、本戦の判定はドロー。  延長R、ボディへの右ヒザと右の三日月で攻める堀井に南雲はフラフラになりながらも右フックを強振。南雲は腕を叩くラウェイのポーズをとって自分を鼓舞する。流血が目が見えにくそうな堀井だが、ボディを蹴るとガードが下がる南雲へ連打。ドクターチェック後、ジャブ、右の三日月、そして右ストレートを当てる堀井。南雲も手を出すが堀井の右三日月にフラフラとなる南雲だが、延長戦終了直前、南雲が振り切った左フックで堀井が倒れ、これがダウンに。  すぐに立ち上がって「ダウンじゃない」とアピールした堀井だが、認められず試合終了のゴング。判定3-0で南雲の勝利となったが、因縁は続きそうだ。 [nextpage] ▼プレリミナリーファイト第2試合 Krushフェザー級 3分3R×井上咲也(K-1ジム大宮チームレオン)KO 3R 0分34秒 ※右フック○寺島 想(AX GYM) 寺島はKrushで活躍する寺島輝の弟で、K-1カレッジ2020 -60kg王者。今回がプロデビュー戦となった。井上は2勝(1KO)1敗1分の戦績。  1R、サウスポーの井上は左ミドル、寺島は右ミドルを蹴って思い切り右ストレートを放つ。寺島の攻撃に頭を下げた井上に寺島はヒザを突き上げる。左フックからの右ストレートで寺島がダウンを奪い初回終了。  2R、寺島は井上を左へ回らせて右ミドル、そして右ストレートとつないでいく。勢いよく攻める寺島が左フック、さらにヒザ蹴り。井上は右フック、飛びヒザ蹴りで劣勢を挽回しようとする。  3R、井上が右ボディから左フックを見舞い、さらに攻め込もうとしたところで右フックが相打ちの形となったが、倒れたのは井上の方。寺島が見事なKO勝ちで会場を沸かせた。 [nextpage] ▼プレリミナリーファイト第1試合 Krush女子アトム級 2分3R×加藤りこ(K-1ジム五反田チームキングス)判定0-3 ※28-30×2、28-29○吉崎 生 (K-1ジム大宮チームレオン)  吉崎はK-1アマチュア大会で数々の優勝歴を誇り、『K-1 AWARDS 2021』で最優秀アマチュア選手賞を受賞。今回がプロデビュー戦となった。加藤は3勝2敗の戦績。  1R、サウスポーの加藤は左ロー、吉崎は右ローで蹴り合う。加藤の左ミドルがいいタイミングで決まるが、それに続く左ストレートは届かない。吉崎は加藤の打ち終わりに右ストレート。その後も打ち終わりを狙われた加藤は距離を取って左ミドルを蹴っていく。  2R、前に出ようとする吉崎を前蹴り、左ミドルで止める加藤。しかし、、次第に吉崎が距離を詰めて左ストレート、m着いフック。手数を出す吉崎に加藤はヒザで対抗するが前に出て手数を出してくる吉崎に防戦一方に。それでも左ストレートを打ち返すが手数で吉崎が上回る。  3R、右ストレートでどんどん前へ出る吉崎に後退するかクリンチしてしまう加藤。ヒザ蹴り、左ストレートを出すが吉崎の手数になかなか攻撃を返せない。吉崎の右ストレートが連続ヒットし、組み付く加藤。最後まで吉崎が連打を見舞って試合終了。判定3-0で吉崎がデビュー戦を勝利で飾った。
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