目に涙を浮かべながら、KIDのことを語った山本美憂
2019年6月2日(日)兵庫・神戸ワールド記念ホールにて開催された『RIZIN.16』。その第12試合で浅倉カンナ(パラエストラ松戸)を判定で下した、山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE 22)が試合を振り返った。
最後の質問で「KID選手に伝えたいことはありますか?」と、昨年9月に他界した弟・山本“KID”徳郁のことを聞かれた山本はしばらく言葉を発することができず、声を詰まらせながら「本人が目の前にいて伝えられるのが一番良かったんですが、絶対にどこかで見ているから、これからだよって言っていると思います」と自らに言い聞かせるように答えた。
今まで戦った選手の中でタックルを切るのが一番大変な相手でした
――浅倉選手に最初のテイクダウンを切られた時の気持ちは?
「全然覚えてないです。覚えてないことがショック(笑)」
――そこから強い小手巻き、首を巻いての返しは練習していたのですか?
「あれはレスリングの技です。牛殺しっていう。それですぐにパッと出たのだと思います」
――下からの仕掛けはクインテットの練習もあり、強いベースで心配なかった?
「カンナ選手の方が総合の経験もあるし、グラップリングは上だと思っていたので、下からの(仕掛けの)エスケープと上からのプレッシャーのかけ方を特訓しました」
――浅倉選手の洗濯バサミチョークに驚きはなかったですか?
「ひとつひとつ絡んできたものを外したり、手をコントロールしたりする基本的な練習をずっとしてきたので、そういうところで焦りはなかったです」
――浅倉選手に勝ったことでベルトが見えてきたと思うのですが。
「今やっとそこに近付いたのかなって実感はあります。試合前からそういう声は聞いていたんですが、それよりも目の前の一戦に勝つことだけに集中してしてきたので、今やっと、次にそういうタイトルマッチのチャンスあれば光栄です」
――RENA選手が今度ベラトールに出場しますが、山本選手も挑戦したい気持ちはありますか?
「それはコーチと相談して」
「カンナ選手が入ってくるのは想定して練習していて、何度もタックルで倒されたのでそこをしっかり落ち着いて自分のレスリングの捌きをやれば大丈夫と、ずっと言い聞かされてやってきました。でも今まで戦った選手の中でタックルを切るのが一番大変な相手でした。でもレスリングも今回いっぱいやってきたので対応は落ち着いてできました」
――アーセン選手も勝って、初めて親子で勝った記念すべき大会になりました。
「今回は絶対に親子で勝つと決めていたので、アーセンが勝った時点で私も勝つって思いました。凄く嬉しかったし、力になりました」
――試合前にアーセン選手とお話は?
「今まで通り練習通りやれば絶対に大丈夫だと。アーセンは試合で思い切って戦ったので、ママもパンチ一発一発を当てに行く時は思い切り当てに行ってねと言われました」
――KID選手に伝えたいことはありますか?
「本人が目の前にいて伝えられるのが一番良かったんですが、絶対にどこかで見ているから、これからだよって言っていると思います」