シュートボクシング
レポート

【シュートボクシング】海人がチューチャイを全く寄せ付けずKO、改めて野杁正明戦と世界進出をアピール。植山征紀は佐藤執斗とのタフファイト制す

2022/02/13 21:02
SHOOT BOXING 2022 act.12022年2月13日(日)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第6試合)71.0kg契約 3分3R延長無制限R ※ヒジ打ちありエキスパートクラス特別ルール○海人(TEAM F.O.D/S-cup2018世界王者、前SB日本スーパーライト級王者、SB日本スーパーウェルター級1位)TKO 3R 2分21秒 ※左ボディブロー×チューチャイ・ハーデスワークアウトジム(タイ/HOOST CUP日本EXミドル級王者)  シュートボクシングの絶対的エースの海人は、作年2月のREBELSで日菜太との70kg級日本人最強決定戦を制し、前戦となった12月大会ではジョー・FELLOWGYMに2R KO勝ちするなど2021年を無敗のまま終えた。現在9連勝中。2022年こそは世界の強豪との対戦を実現させたいとアピールする。  チューチャイは元ラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級5位、ルンピニースタジアムでは6位にランクインしたことがある。180戦以上の経験があり、日本ではホーストカップを主戦場にすると、長島☆自演乙☆雄一郎、ダニロ・ザノリニ、匡志YAMATOらと対戦。2021年12月にはHOOST CUP日本EXミドル級王座決定戦トーナメントを制して王座に就き、その勢いのままSBのリングに残り込む。  1R、サウスポーのチューチャイに対して海人はオーソドックス。あまり手が出ないチューチャイに海人は左カーフキックと右ロー、ジャブを上下に打ち分ける。強い右ローを軸にサウスポーにスイッチしての右アッパーや左ボディを繰り出す。ワンツーからの右ヒジも繰り出し、初回は海人のやりたい放題となった。オープンスコアは10-9×3で海人。  2R、チューチャイの左ミドルにはすかさず強い右ローを蹴り返していく。サウスポーになると左カーフを連打、さらに左ボディを連打しての左ヒザ。右ローから右ヒザ。海人のパンチを警戒してチューチャイが頭を下げると海人はヒジ。このラウンドも海人の一方的な展開に。OPスコアは10-9×3でやはり海人。  3R、海人はジャブから右ストレート、右ロー、チューチャイが頭を下げるとすかさずヒザを突き上げる。徹底的に強い右ローを蹴り、右ストレート、左ボディ、右カーフ。そしてコーナーへ追い詰めると右カーフを警戒して左足を上げるチューチャイを左ボディの連打でダウンを奪う。  チューチャイが立ち上がると海人は再びコーナーへ詰め、素早いパンチのコンビネーションを回転させてチューチャイにガードを固めさせるとすかさず左ボディを突き刺し、チューチャイが倒れたところでレフェリーが試合をストップした。  圧倒的な勝利を収めた海人は「今年一発目の試合、他団体の王者をしっかり仕留めていいスタートが切れると思います。他団体の王者はK-1以外にいてないと思いますが、6月できるかな? できるように僕も動いているし、4月も試合があるのでそこでも勝って、世界に挑んでいく年にするので今年もよろしくお願いします」と、6月に実現が期待されるK-1王者・野杁正明戦、そして世界との戦いへ向けてアピールした。 [nextpage] ▼セミファイナル(第5試合)55.5kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○植山征紀(龍生塾ファントム道場/SB日本スーパーバンタム級王者)判定2-0 ※29-29、29-28、30-27×佐藤執斗(グラップリングシュートボクサーズ/SB日本バンタム級王者)  ハードパンチャーとして知られる植山は、26勝のうち14のKO勝ち、2018年11月のSB日本スーパーバンタム級王座決定戦では笠原友希を3RTKOで葬りベルトを獲得。2019年2月には安本晴翔に唯一の黒星を付け、RIZINには4度出場して3勝(2KO)1敗。栗秋祥梧、江幡塁、志朗に3連敗を喫したが、2021年6月のRIZINでTKO勝ちして復活。11月のRISEでは京谷祐希に負傷判定で敗れ、12月の防衛戦では竹野元稀にKO勝ち。  DEEP初代ストロー級王者カン・サトーを兄に持つ佐藤は、トリッキーな動きから繰り出す蹴り技を得意とし、SB中部地区の注目株。2020年3月の『KROSS×OVER11』では、ベテランの藤原あらしに判定勝ち。2週間後のRIZIN名古屋大会では國本正義と激闘を繰り広げ、7月にはMA日本バンタム級王者・KING剛も撃破。12月のSB日本バンタム級王座決定戦で伏見和之をKOして王座に就いた。  両者は2018年5月に対戦しており、植山が3RでKO勝ちを収めている。当初、植山は別の対戦相手との試合が決まっていたが、新型コロナ陽性判定者の濃厚接触者となったため欠場。代わって佐藤がリベンジの機会に名乗りを上げた形だ。  1R、プレッシャーをかけてじりじりと前へ出る植山に対し、佐藤はステップで左へ回り込む。長い距離からパンチと蹴りを伸ばす佐藤は死角から打つような左フック。佐藤が組み付いてスタンディングの肩固めを狙うと植山は組みなおして首投げを狙うが、佐藤はこれを外すというSBらしい攻防も。変則的な蹴りを繰り出す佐藤に植山は手間取りながらも、終盤は佐藤にロープを背負わせて左ボディを何度も打ち込んだ。オープンスコアは佐藤10-9×2、植山9-10。  2R、前へ詰めて来る植山に佐藤は横前蹴り、掛け蹴り、飛び二段蹴りと多彩な蹴り技。それでも植山はロープ際に追い詰めて左右フックと左ボディ。佐藤も負けじと左右フックで打ち返す。後ろ蹴りと左フックでボディを攻めつつ、左アッパーも繰り出す植山。佐藤は左フックを返すが植山はもらってもすぐに前へ出る。ならばと右カーフを蹴る佐藤。OPスコアは10-9×2で植山。  3R、いきなり打ちに行く植山に佐藤も左フック。下がらず打ち合いに来た植山に佐藤はフロントチョークを狙うが植山が投げるようにして防ぐ。右アッパーを突き上げる植山に佐藤は左右フック。連打で追い詰める植山だが、佐藤もすぐに左右フックを打ち返して打たれっぱなしにはならない。両者とも攻撃を当てるが決定打にならず攻め疲れが見える。両者譲らずの打ち合いとなり、勝敗は判定へ。  お互いに攻撃を当て合うタフファイトとなったが、判定2-0で植山が返り討ちにした。  大会終了後、シーザー武志SB協会会長は大会総括で「佐藤は戦い方がSBにピッタリの戦い方をするので僕は好きです。でも植山の方が一枚も二枚も上手だったかな。佐藤は試合が急遽決まったのに頑張ってくれて感謝しています」と、佐藤を評価した。 [nextpage] ▼第4試合 SB日本ヘビー級 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限○坂本優起(シーザージム/SB日本ヘビー級2位、前SB日本スーパーウェルター級王者)KO 1R 1分20秒 ※左フック×オリバ(team K’s/シーザージム渋谷)  坂本は2009年11月にプロデビュー戦を行い敗れたものの、その後は12連勝をマーク。2013年4月には鈴木悟を破り、SB日本スーパーウェルター級王座を奪取した。2014年4月には小西拓槙、11月には内村洋次郎、2015年2月には長島☆自演乙☆雄一郎、6月にはT-98を破るなどSB中量級のエースとして大活躍したが、2015年後半からは黒星が増え、2020年12月に思い切ってヘビー級に転向。2021年12月にはジャミオン・モスを破って4連勝をマーク。戦績は34勝(7KO)16敗。  対するオリバはMMAファイターで、2020年3月の『GRACHAN44×BRAVE FIGHT』で引退試合を行ったが、今回SBで1試合限りの復活。  1R、坂本が右ローを蹴ればオリバも右ロー、左ミドルを蹴れば左ミドルを蹴り返す。左右フックを振り回すオリバが打ち合いに持ち込むと、坂本もこれに応えてフックで打ち合う。両者の危険なパンチが交錯する中、坂本の左フックでオリバはもんどり打って倒れて大の字に。坂本のKO圧勝となった。 [nextpage] ▼第3試合 SB日本ウェルター級(67.5kg)エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○村田義光(シーザージム/SB日本ウェルター級4位)TKO 延長R 2分57秒 ※セコンドからのタオル投入×井藤勇斗(NEX SPORTS)※本戦の判定は28-29、28-28×2。  村田は2018年9月にプロデビューすると2連続KO勝ちを飾り、3戦目でKO負けしてプロ初黒星。しかし、その後は3連続KOを含む6連勝と快進撃を続けていたが、2021年2月にイモト・ボルケーノに敗れた。今回が約1年ぶりの再起戦となる。戦績は8勝(5KO)2敗。  井藤は2021年7月の『YOUNG CAESER CUP CENTRAL』で磯村真言を2Rに右ストレートでKO。大会MVPも受賞した2戦2勝(2KO)の新鋭だ。  1R、サウスポーの村田に対して井藤は左へ回り込み、村田を左回りにさせて右ストレート。さらに組んでロープに押し付けると3連打でダウンを奪う。その後もパワフルなパンチの連打で村田を追い込んでいく井藤。右ストレート、左右フックに、村田は組んでの投げとヒザ蹴りで対抗する。井藤のアグレッシブが目立ったが、終盤は村田が首ヒザでスタミナを奪ったか。  2R開始と同時に前蹴りで井藤の顔面を蹴り飛ばした村田だが、井藤はかまわず強打を繰り出して前へ出る。組まれるのを嫌がる井藤に村田はしつこく首相撲で組んでいき、ブレイクがかかるまでヒザ蹴りの連打。離れると強打を繰り出す井藤に村田は左ハイキック、前蹴り、左フック。そして組んでのヒザ蹴り連打。井藤は削られていく。  3R、ようやく右へ回り始めた村田はパンチから組み付いてのヒザ。パンチからヒザにつなぐ村田に、井藤はそのヒザをキャッチして倒しにかかる。村田は首ヒザの連打でダウンポイントを挽回してドローに持ち込んだ。  延長R、パンチのスピードがなくなってきた井藤に村田は左ミドル、前蹴り、ワンツー、さらに首相撲からのヒザ。井藤はその足をキャッチして持ち上げ投げる。村田は左ストレートから首相撲のヒザ蹴り連打で圧倒し、ついにダウンを奪う。その後も首相撲からのヒザ蹴りを連打。さらに左ハイを2度クリーンヒットさせ、首相撲でねじ伏せて今度は頭部へのヒザ蹴りを連打。残り時間は3秒だったが、井藤のセコンドからタオルが投入され、村田の逆転TKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第2試合 SB日本フェザー級(57.5kg)エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限○山田彪太朗(シーザージム/SB日本フェザー級2位)判定3-0 ※30-28×2、30-29×翔(GREED GYM)  山田は2019年8月にプロデビューすると4連勝(無効試合を挟む)を飾ったが、2021年4月に今回対戦する翔にダウンを奪われて初黒星を付けられた。その後は元貴、田渕神太を破ったが、12月の川上叶戦で延長戦の末に惜敗。戦績は6勝(2KO)2敗1無効試合。  翔は2019年3月にプロデビュー、2戦目はドローだったがデビュー以来6戦負けなしの快進撃を続けていたが、2021年6月の龍翔戦で初黒星。12月には主戦場である『RISE WEST』のメインイベントで、祐輝にKO勝ちして再起を飾った。戦績は6勝(3KO)1敗1分。  1R、右ローの蹴り合い、翔は左フックを狙い、山田はジャブから攻撃をつなげていく。翔が胴に組み付いてくると山田はバックに回ってスタンディングチョークを狙うがこれは翔が防御してブレイク。ジャブを多用し始めた翔に山田がコンビネーションで左ボディを打つと、負けじと翔も左右フックから左ボディ。山田は右ストレートのクリーンヒットも。  2R、ジャブの差し合いから蹴りにつなげる両者。山田がダッキングでパンチをかわすと翔はそこへヒザを突き上げる。山田は右カーフに狙いを絞ったか、ボディと顔面を打ちつつカーフを蹴る。ジャブ、右ボディストレート、左フックのコンビから右カーフを蹴る山田。翔は前に出るが手数が減った。  3R、山田は右クロス、ジャブを打ち込んで右カーフ。翔はガードを固めて左ボディを打つが、両腕ガードを相手の両腕ガードにぶつけるようにして距離を潰してから近距離で連打を放つ山田に押されていく。翔は思い切り左右フックを振り回していくが山田は右ストレートで反撃、翔のパンチをかわしながら打っていきヒットを奪った。  判定3-0で山田がリベンジを果たした。 [nextpage] ▼オープニングファイト(第1試合)SBセミプロルール 52.5kg契約 2分3R○笠原直希(シーザージム)延長R 判定3-0 ※10-9×3×小林大樹(龍生塾)※本戦の判定は29-29、30-30、30-30。  笠原弘希・友希を兄に持つ直希のプロデビューカウントダウンマッチ。現在15歳の直希はアマチュアSBで数々のトーナメントを制してきた。対する小林も16歳で龍生塾期待の新鋭。ルールはグローブのオンスと試合時間が短いだけで、プロルールとほぼ同じ。 1R、サウスポーの小林は左ミドル、笠原はワンツーと右ミドルで積極的に攻め行く。打ち合いになると小林の右フックをもらった笠原だが、下がらずに右ストレートと左フックを打ち返す。序盤から激しい蹴り合い、打ち合いとなった。  2R、両者とも打撃戦に組みを混ぜて投げも狙う。小林の荒々しいフックに対し、笠原はスピードのあるコンビネーションを回転させていく。  3R、組んでの投げを狙ってきた小林に笠原はスタンディング・フロントチョークで対抗。負けじと小林は組み付くとスタンディングでの肩固めを狙う。前に出る小林が左フックを見舞うと、笠原も負けじとフックを打ち返し、激しい打ち合いで本戦終了。アツい試合に場内は拍手に包まれた。  本戦はドロー。延長Rになっても両者は組みを混ぜての打撃戦。隙あらば投げを狙う。左右フックで前へ出る小林。笠原は終盤、打ち合いに行って右ストレートをヒットさせるが、小林も右フックを強打。延長戦も甲乙つけがたい熱戦だったが、笠原が判定3-0で勝利した。  大会終了後、シーザー武志SB協会会長は「こういう子たちが出てきてくれたのを嬉しく思っています。若い子をどんどん育てて、シュートボクサーというものをもう一度作っていきたい。最近は他団体との交流ばっかりだったから、肝心のシュートボクサーが育っていない。一からやり直して子供たちから育てていきたい」と、シュートボクシングの戦い方が出来るシュートボクサーを育てていきたいと語った。
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