MMA
インタビュー

【ONE】緊急参戦の山口芽生「喧嘩に準備期間はいりません」、猫耳ラズワンの「粗さを突く」=2月11日(金)

2022/02/08 18:02
 2022年2月11日(金)シンガポール・インドアスタジアムにて「ONE: BAD BLOOD」が開催され、ONE女子アトム級(※水抜き禁止の52.2kg)で、V.V Meiこと山口芽生(日本)が緊急参戦。ジヒン・ラズワン(マレーシア)と対戦する。  当初、ラズワンはジェネリン・オルシム(フィリピン)と対戦予定だったが、オルシムが負傷欠場。試合から12日前という緊急オファーを受けた山口が出場に踏み切った。  山口は、2019年10月の日本大会でジェニー・ファン(台湾)に判定勝利し4連勝。王者アンジェラ・リーとの3度目の対戦での王座奪取を目指していたが、2020年2月にフィリピンのデニス・ザンボアンガに判定負け。当初は中国の強豪メン・ボーと対戦予定だった試合だが、欠場により6連勝中のザンボアンガと対戦していた。失意のGP落選後、自身のバックボーンである伝統派空手とボクシングの融合を試み、2021年9月の女子アトム級ワールドGPリザーブマッチでジュリー・メザバルバ(ブラジル)と対戦も、判定負けして以来の試合となる。  今回、自身のSNSにて「喧嘩に準備期間はいりません」と気合いのメッセージと共にシンガポール入りしたが、果たして、マレーシアの新鋭を相手に勝利を掴むことができるか。かつて、シュートボクシングでロレーナ・クラインの挑発に臆することなく吠えたV.V Meiは、強い気持ちの“喧嘩”のなかで、これまで培った汗かきMMAも見せるつもりだ。  対するラズワンは動物病院で働きながらMMAファイターに。勝利コールに猫耳イヤーカバーを着けることでも知られている。試合では、2019年2月にジナ・イニオンにスプリット判定負け。7月にジョマリー・トーレスに三角絞めで一本勝ち。しかし、12月にデニス・ザンボアンガに判定負けと上位戦線では白星と黒星を繰り返している。2020年12月の前戦では、ストライカーのビー・ニューイェン(米国)を相手に打ち負けず判定勝ちでザンボアンガ戦の敗北を払拭している。  試合の模様は、2022年2月11日(金)の午後7時30分(日本時間)よりABEMA格闘チャンネルおよびONE公式アプリにて配信される。 前回はボクシングに偏り自分の良さが出せなかった ──過去2試合、厳しい戦いが続きました。前戦のメザバルバ戦を振り返ってみての気持ちを教えてください。「自分の良さが出せなかったので、打撃から寝技につなげる動きをもっと出していくことが課題かなと感じた試合でした。打撃は結構練習してきたので、その部分は色々と自分で出せたかなと思っています。(メザバルバに対して)そんなに打撃で圧倒されるような強さとかは感じなかったですけど、ただ、自分の形にもっていけなかった。組んだ時の身体の強さはあったけれども、倒し方を工夫すれば、別にもう少しいろんな攻め方があったかなと思います。脅威とは思いませんでした」──前回の試合ではご自身のバックボーンである伝統派空手とボクシングの融合を試みていました。 「前回は、ボクシングに偏りすぎていた部分があったので、あの試合の後は、バランスよく自分の良さを出せるように意識していました。それと、普段から体重を戻しすぎないようにしていたことや、年が明けたらなるべく早く試合をしたいと思っていたので、練習の強度も落としすぎずに過ごしていたので、今回のオファーがあったときにすぐに受けることができました。練習もバランス良くできるように環境を整えたりとか、前回よりもすごく良い状態で普段の練習もできています」 ラズワンの武器は身体の強さと下からの攻撃、打撃は自分の踏み込みの方が速い ──今回はジェネリン・オルシム(フィリピン)の欠場を受け、緊急参戦で、上り調子の若手ジヒン・ラズワンと対戦します。タフな戦いが予想されますが、SNSでは「喧嘩に準備期間はいりません」と記していました。 「私も練習していたとはいえ、試合前のキャンプみたいな形ではなかったので、全力でいきますけど、結構キツい場面は出てくると思います。それも分かった上で試合を受けたので、そういう試合も見ている側としては面白いと思うので、良いんじゃないかなって思います」 ──ラズワンはどんなファイターですか。強み、弱みをどうみていますか。 「身体は強そうな感じで、どんな相手でも下からでもガンガン攻める印象があります。MMAで下からでも怖がらずいけるっていうのは、すごいなと思います。ジヒン選手のプラスの部分ですよね。一方で色んな場面で荒い、粗さがあるので、自分が攻めていくならそういう部分かなと思います。全体的にバランスの整っている選手だなって思います。荒々しさは時にはプラスになりますし、マイナスにもなる。それはどこで活かすか。自分はそのマイナスになった瞬間に攻め込まないとなって思っています」 ──ラズワンはウーシューのチャンピオンです。彼女の打撃をどう評価しますか。 「そんなに怖がらずに前に出てくるタイプだけど、一発があるようには見えないですね。怖がらずに攻めてくるなって印象ですね」 ──ラズワンと比べて、打撃の面で言うとどちらが優位だと思いますか。 「身長差(4cm)はありますけど、自分の踏み込みの方が速いと思います。ジヒン選手は、途中で蹴りやヒザを合わせてくるので、そこを気をつけながら攻めたい。お互いに良さはあると思うんですよね。空手ベースの打撃は、ムエタイとかウーシューっぽいスタイルにはない、スピードとか入り方だと思うので、そこを出せたら見ている側も面白いのではと思います」 ──組んでも積極的に仕掛けてくるラズワンにどう対応しますか。 「下からの攻撃ですね。フィジカルの強さもあると思うので、思い切った動きに流されないように、しっかりポイントを突いて抑えていきたいと思います」 ──ご自身のアドバンテージはどこにあると考えていますか。 「全ての局面での経験値、細かい動きは劣っていないと思う。そういったところ活かして動きたいです」 ──勝利の鍵はどこにあるでしょうか。 「勢いのある動きをする相手ですけど、自分もそれに劣らぬ勢いで一本(サブミッション)を取りに行くっていうのが決め手だと思います」 ──ズバリ、どんな展開になると思いますか。 「寝技の攻防になるのではと思います。向こうも寝技が得意で動いてくると思うので、この試合は良いマッチアップだと思います」 ──山口選手にとって、今回の試合での勝利はどんな意味がありますか。選手生活の最終章を考えることもありますか。 「もう一度良い形で勝って、ランカーや、まだ対戦していない選手と試合をしたい。とにかく面白い試合をして、観客のみんなを楽しませたりとか、“格闘技面白いな”って印象に残る試合をしたい。、コロナの時期で色々大変なこともあると思うんですけど、格闘技を見ながら元気になってもらえたらいいなって思います。そういうことが自分にはできるんじゃないかなって思います。なので、そのことを意識して試合をしたいです」 [nextpage] アンジェラvs.スタンプ予想、現役生活の終わりについて ──以前、ラズワンは山口選手を尊敬する憧れのファイターだと言い、いつか戦いたい、と話をしていました。 「それは、すごい嬉しいですね。まあ、そうやって言ってくれることは嬉しいですし、自分もそうやって色々と目標にされたりするのは嬉しいです。ただ、自分はそれよりもさらに進化できるようにしないといけないと思います。 ──そういう相手と戦うことにやりにくさは? 「全然ないです。試合は試合なので。私も常に相手選手のことは尊敬していますし、だからと言って何があるってことはない。試合は試合で殴り合います」 ──ところで3月26日の「ONE X」では、山口選手が過去2度戦ったアンジェラ・リーがスタンプ・フェアテックスを相手に防衛戦を行います。アンジェラの打撃についてはどう思いますか。スタンプの打撃をサバイブできると思いますか。 「アンジェラが先に組んじゃって、打撃の時間を短くして、それをスタンプもフィジカルが強いので頑張って切って、蹴りまくっていくんじゃないかなと。組み・寝技はアンジェラが強く、すごく上手なので、そんなにスタンプの打撃で綺麗にKOしている印象はないですね」 ──アンジェラの弱点はなんだと思いますか。 「弱点は、家族のサポートが無くなった時にパワーがゼロになること。お嬢様の心の弱さがどこかで出るのだと思います」 ──勝敗予想は? 「アンジェラじゃないですか。手足長いし、レスリングの技術はアンジェラの方が上ですね」 ──山口選手の今後の目標について教えてください。 「3月大会(「ONE X」)にタイトルマッチとかがありますけど、絶対そういうところに絡んでいきたい、とか言った方が周りは嬉しいのかもしれないですけど。自分の可能性とか、これはいけるんじゃないのってのが見えてきたら、そういうのに絡んでいきたいです。あとは、ONEと言ったらMei Yamaguchiというくらい、面白い試合をしたいですね。つまらない試合をしないように、どの試合も面白いねっていうのを最後やりたい。初心忘れるべからずじゃないですけど、そういうのを表現して悔いなく残りの試合をやっていきたいです。  ONEとの契約が終わるまでにできるだけ試合をして、見てくれている方に恩返しというか、面白い試合をして皆んなに元気になってほしい。それがONEでの目標。できればONEの日本大会があったらいいなと思います。あと2年くらいですかね、やったとしても。みんな生で見たいって言ってくれるので、そういう気持ちにも応えたいですし、日本でしっかり面白い試合をして印象を残して、引退後も人の役に立つ仕事ができればと思っているので、良い意味で知名度をしっかり残して、次の活動につなげられたらと思います」
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