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【RIZIN】朝倉未来は海を越えるか、RIZINが3月に3大会を開催! アリーナツアーと米国開催プランは現実的に動き出している

2022/02/03 22:02
 2022年2月23日(水・祝)静岡・エコパアリーナで開催される『SPASHAN HPS presents RIZIN TRIGGER 2nd』および、3月6日(日)会場非公開で配信される『+WEED presents RIZIN LANDMARK vol.2』の2大会の対戦カード発表会見が2日、都内にて行われた。  それぞれの大会の冒頭で、榊原信行CEOは、RIZINの3つのシリーズのコンセプトをあらためて説明した。  RIZINのメインシリーズである「ナンバーシリーズ」はGP、タイトルマッチに紐づく各階級ごとの順位決定戦的な試合。  配信メインの「LANDMARK」は、「その瞬間・瞬間で勢いやインパクトのある、GP等に紐づかない、瞬発力・爆発力のあるカードをラインンアップしていく」大会に(リングとケージを併用)。  そして、六角形のオリジナルケージを使用する「TRIGGER」は、「再生と原点回帰の場」「新しい選手の発掘と育成の場」「地域活性化の場」であるとした。  上記の3本のシリーズを走らせていく2022年について、榊原CEOは、「大晦日までの年間スケジュールは、このまま行くと15大会から17大会。外国勢が入ることを前提に大会数を増やしている」と語った。  2月23日(水・祝)の「RIZIN TRIGGER 2nd」静岡大会はコンセプトの通り、ご当地ファイターが並んでいる。  地元ボンサイ柔術からクレベル・コイケ、鈴木琢仁、内山拓真の3選手が出場。さらにクレベルと対戦する静岡出身の佐々木憂流迦、鈴木と対戦する長野県出身のアキラ、静岡三島の遠藤大翼と愛知出身の吉野光の62kg戦、沖縄の渡慶次幸平と対戦する静岡湖西市関谷柔術所属のハリー・スタローンなど、中部地方の古豪から新鋭まで、個性豊かな選手が並んでいる。本誌の取材に関係者は「アマチュアから育成している団体と連携して、今後もより有望な選手を抜擢していきたい」と語った。  一方、3月6日の「LANDMARK vol.2」は、リング使用になるかケージ使用になるかは検討中で、その理由はケージ搬入が可能かどうか。メイン候補の平本蓮と鈴木千裕の両者が希望するケージの場合、中継会場の天井の高さの問題から、クレーン撮影が可能かどうか微妙なところだという。  この3月以降の大会について、会見後、榊原CEOは興味深い発言を残している。  ひとつは「3月6日の『LANDMARK vol.2』とは別に、3月に関西方面で2大会を予定していて、萩原京平はそこに出場してくることになります」。  もうひとつは「日本で待っていてもしょうがないので、3月の次のLANDMARKはあえて海外でやろうと準備しています。日本人選手が米国へ行けばアメリカ人と戦える。日本だけ鎖国した感じではどんどん置いていかれる。選手たちともそういう話をしています」というLANDMARK海外開催案だ。  まずは前者について。当初、平本蓮が再戦を希望していた萩原は3月の関西大会出場へ。そして、RIZINは3月だけでも、上記の3つのシリーズで3大会を開催するという。このハイペースの興行はどこに起因するのか。  そこには、3月のみに留まらない2022年のRIZINのアリーナツアー構想がある。 [nextpage] 「RIZIN成長戦略2022」は3本柱で全国ツアー、連続開催も 【写真】琉球ゴールデンキングスのホームアリーナでもある沖縄アリーナで「RIZIN.32」のメインを戦ったRENAと山本美憂(C)RIZIN FF  官民戦略プロジェクトとして「スポーツの成長産業化」が位置づけられたのが2016年。  2019年には「成長戦略フォローアップ2019」が閣議決定され、「全国のスタジアム・アリーナについて、多様な世代が集う交流拠点として、2017年から2025年までに20拠点を実現する」ことが目標として掲げられている。 新たなスタジアム・アリーナの建設、既存体育館のアリーナへの転換が図られるなか、B1リーグ等のスポーツクラブもライセンスの取得要件として「客席5千席以上のホームアリーナの施設」を設けた。  旧来の「体育施設」の考え方で、ビッグイベント等に合わせてハコものを作ることで“負の遺産”となってしまわないように、官も民も含め、それぞれの施設は持続可能な運営方法を模索している。東京オリンピック・パラリンピックのために都が新しく整備した競技会場も今後、「後利用」として多目的スポーツ施設として開業していくことになる。  近年、オープンした主なアリーナと開催された格闘技大会、さらに今後オープン予定の会場を下記に挙げてみよう。 ◆2017年高崎アリーナ(群馬県高崎市)武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都武蔵野市)※極真会館・新極真が大会開催 ◆2020年ぴあアリーナMM(神奈川横浜市西区みなとみらい)※RIZIN・RISEが大会開催 横浜武道館(神奈川県横浜市中区)※K-1が大会開催 ◆2021年東京ガーデンシアター(東京都江東区有明)※K-1が大会開催沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市諸見里コザ運動公園)※RIZINが大会開催 フラット八戸(青森県八戸市)※アイスリンクorウッドフロア&観客席 ◆2022年(~2023年)有明アリーナ(東京都江東区有明)※東京五輪後の「後利用」のための工事中 ◆2023年Kアリーナ横浜(神奈川横浜市西区みなとみらい)※基本は音楽専用アリーナ太田アリーナ(群馬県太田市)※群馬クレインサンダーズのホーム ◆2024年神戸アリーナ(兵庫県神戸市中央区新港町)※神戸ウォーターフロントの民設民営アリーナ 横浜ユナイテッドアリーナ(神奈川県横浜市中区)※旧“文体”。20年に横浜武道館が先に隣接 ららアリーナ東京ベイ(千葉県船橋市)※収容客数1万人規模、千葉ジェッツふなばしのホーム SAGAアリーナ※24年秋に国民スポーツ大会(国体)新香川県立体育館(香川県高松市サンポート)※メインアリーナは中四国最大級1万人規模 ◆2025年愛知県新体育館(愛知県名古屋市北区名城)※ドルフィンズアリーナの代替施設。名古屋城二之丸から名城公園北園に移転。隈研吾設計 ◆2026年熊本新アリーナ(※建設地選定中)※熊本ヴォルターズのホーム ◆2027年~2028年鹿児島県新総合体育館(鹿児島市本港区ドルフィンポート跡地)  2010年代、政府の後押しもあり「スポーツの成長産業化」の旗印のもと、公共施設として建築・運営されてきたアリーナ事業に民間企業が参入し始めた。そこには、ライブ・コンサート市場の拡大もあった。  しかし、2019年に新型コロナウイルス感染症が発生。世界でパンデミックが起こり、人が集まり声を上げることが出来ないなど、様々な制約も設けられるなか、スポーツの存在価値や、ハコモノ施設の持続可能性も問われている。  RIZINも開催を目指す、東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場は、「後利用」を巡り、当初の陸上トラック撤去、球技専用化が見送り。約100億円をかけて整備される計画だった愛知県豊橋市新アリーナは、その建設の是非の議論が続いている。また、宮崎県では多目的アリーナ整備構想について新宮崎市長が中止する考えを示すなど、維持費もかさむなか、いかに人を集め黒字化するかは課題となっている。 [nextpage] 4月以降、外国人選手の入国を  3本の柱を掲げ、各地域の新型アリーナに進出する構想を持つRIZINも、このコロナ禍で、国内選手の起用ばかりではなく、海外からも選手を招聘し、より大会の価値を高めていく予定だ。  しかし、現状では3月の3大会も国内選手による大会となりそうだ。 「Bellator日本大会を、昨年末から2022年3月にスライドして開催し、『Bellatorバンタム級ワールドGP1回戦』を行いたい、と考えていたけど(感染拡大で出来なかった)。年内のどこかで行います。  まだ海外選手の招聘は厳しい。4月はワンチャン外国人選手を入れたいと思っていますが、コロナと共生していくなかで、外国人選手の入国制限、レギュレーションによって、年間の大会数を少し減らしていくかもしれない」と、年間15大会から17大会開催について、榊原CEOは、状況を見据えている。  2021年はバンタム級ジャパンGPを16選手で行った。2022年の軸になるのは、朝倉未来擁するフェザー級か、神龍誠らが凌ぎを削るフライ級か。 「GPはどの階級で行くのか、昨年のバンタム級のようにジャパンGPなのか、ワールドGPでやりたいという思いもあるので、そのへんもギリギリ待てるところまで待って、最終調整の必要があると思っています」と榊原CEOはいう。  サッカーのワールドカップ・アジア最終予選では、日本代表と対戦する中国とサウジアラビア選手団らの入国を政府は特例的に認めている。それは「高い公益性」があると判断されたため、と報道されている。  榊原CEOは、「(海外選手を)入れるところは入れているので、ウチも入れてほしい。2021年の6月にもバブル方式で(トフィック・ムサエフとヴガール・ケラモフの試合を)やっている。みんなの署名など力を合わせていても、まだまだ弱いから、僕らがロビー活動をして、ほかのスポーツ競技を見習ってスポーツ庁とか入国管理局、政治家の先生にも働きかけていきたい。レスリング協会とも足並みそろえながら、なんとか4月以降、外国人選手の入国に向けた運動はしていきたいと思う」と、体勢を整えて外国人選手を迎え入れたいとした。 [nextpage] 次々回のLANDMARKは海外で開催目指す  もう一つ注視すべき「海外開催」とは何か。  前述したように、「3月の次のLANDMARKはあえて海外でやろうと準備しています」という通り、榊原CEOは、本誌のインタビューに、「スモールチームで機動力を高めて世界のランドマークから配信したい」と語っている。  外国人選手が来日出来ないのであれば、日本人選手を海外に引き連れて試合を行う。その候補地として、アゼルバイジャン、そして本土以外も含む米国での開催をプランに挙げている。 「米国ではMMA興行を開くのに、有観客・無観客にかかわらずプロモーターライセンスが必要なので、誰かと組んでやる。Bellatorとも、メイウェザープロモーションとも話しています。どこかのタイミングでコンパクトな形で日本のトップアスリート5人の選手・関係者を連れて行く。ファンの人も日本人対決に飽きる部分もあると思うので、自ら動くことを実行したいなと思っています」  一方、朝倉未来が提案したRIZIN vs.Bellatorの「3対3」対抗戦については、「どうなんですかね。“1人アングル”が得意なので、『Bellatorとの3対3』なんて聞いてもいなくて『何だろう、それ』と話していたところでしたけど(笑)。未来も割と“コンスタントに試合をしたい人”なので、3月は無いでしょうけど、春先、4月、5月あたりに今年のシーズン1発目になるんじゃないかなと思います」と、笑顔で語った榊原CEOだが、Bellator×RIZINは日本大会ばかりではない。米国でのクロスプロモーションは、現実的に動き出していると言っていい。果たして、飛行機嫌いの朝倉未来が海を越えることはあるか。  朝倉は年始のYouTubeで「格闘技とYouTubeを引退したときに、ほんとうに自分がやりたいことって何かなと考えたら、海外に行きたいなと思ったんですね。世界で自分の興味のある場所にいろいろ行って、自分のこの狭い日本で生きている価値観を変えてみたいなと思いました」と語っているが、引退前にファイターとしてその機会は訪れるかもしれない。  2月23日の「RIZIN TRIGGER 2nd」静岡大会から開幕する2022年のRIZIN。引き金はすでにひかれた。その銃口はどこに向けられているか。
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