MMA
インタビュー

【ONE】箕輪ひろば「MMAをやりたい人が最初からMMAが出来るように」「勝者は王者との対戦に相応しい」「日本で格闘技をやっている人が注目されるけど、海外で戦う日本人もいるんだぞ」=1.18 強豪ブルックスと対戦

2022/01/25 22:01
 2022年1月28日(金)にシンガポール・インドアスタジアムにて開催される『ONE:ONLY THE BRAVE』に、ONEストロー級4位で、修斗世界同級王者の箕輪ひろば(総合格闘技道場STF)が参戦。同級3位のジャレッド・ブルックス(米国)と対戦する。  23歳の箕輪は、MMA13勝2敗。2020年11月にONEに初参戦し、リト・アディワン(フィリピン)に判定勝利。2021年3月の2戦目で元王者で現ランキング5位の強豪アレッウス・シウバ(ブラジル)にスプリット判定勝ちし、ONE2連勝。シウバ戦での手の骨折の治療を経て、2022年初戦に向かう。  対するブルックスは、MMA17勝2敗。日本のPANCRASE、RIZINで活躍し、UFCでもフライ級(56.7kg)で2勝2敗の戦績をマーク。2021年10月29日の「ONE: NEXTGEN 3」でONEデビューし、リト・アディワン(フィリピン)に2R 肩固めで一本勝ちで一気にONEストロー級3位に浮上した。  ともに組み技の強豪で、アディワンに勝利している両者だが、ピュアレスリングの実績はブルックスが上。修斗で王座についた箕輪はいかに総合力で勝機を掴むか。勝者は、ジョシュア・パシオが持つストロー級王座挑戦に近づくため、互いに大一番のランキング戦となる。  試合の模様は、2022年1月28日の午後7時30分(日本時間)より、ABEMA 格闘チャンネルおよびONE公式アプリにてライブ配信される。主催者より届いた箕輪との一問一答は以下の通りだ。 ジムをオープン「ジュニアの子達に、次の代に残したい」 ──いよいよ強豪ジャレッド・ブルックスとの試合に向かう箕輪選手です。モチベーションを上げる、あるいはどのようにキープしてきましたか。 「モチベーションに左右されないようにしています。僕自身が、格闘技を好きじゃない状態でスタートした。小さい頃はやるのが嫌だった。そのマインドの中で格闘技をやってきた。“辛いな、練習面倒くさいな”って思いながらもやってきましたし、やる気とかに左右されないで練習はできるようになった。朝起きて、歯磨いて、着替えて──それに近い感覚で練習している。本当に生活の一部としてやっています」 ──前回の試合から10カ月と、割と長い時間が空きました。この間、何か新しいことはありましたか。 「地元の埼玉・川越に、2021年11月にジムをオープンしました。これからどんどん“MMA”を最初に始める子が増えてくると思うんです。サッカーをやりたい子が陸上から始めるのではなく、サッカーから始める。野球やりたい子は小さい頃から野球をやる。それがMMAにはなかった。僕が小さい頃に経験した。せっかくプロになったし、次世代のために何かを残したい。盛り上げたいっていうのではく、次の代に何か残したい。僕ができることって、ジュニアの子達に何か残してあげること。それをこのジムの創設と合わせて色々やりたい」 ──10代でプロとして戦いベルトも獲得しました。常に年上のファイターと戦うのはどんな気持ちでしたか。何かプレッシャーなどは感じましたか。 「17歳でプロデビューしましたが、特に威圧感とかは感じないですね。リスペクトがあります。彼らが築き上げてきたものを僕らが辿っている。だからリスペクトしている。でも、それについて僕が劣っているとかはない。むしろ世代交代というのをやっていかないといけない。格闘技を一般のスポーツで捉えたときに、選手年齢が高いと思うんです。MMAってレスリングだったりボクシングだったりをやった上で転向してくる、そういう流れだったのが、今は最初からMMAをやるって選手が増えてきている。僕が引っ張っていって、というのは荷が重いですけど、若いファイターの第一人者として、というようなことは感じています」 ──23歳、若くしてある種成功の道を歩んでいます。 この年齢で、日本のMMAファイターとして高く評価され、成功していることについてはどう感じていますか。 「そこに関していうと、なんのスポーツでも良いのですが、オリンピックとかメダルを獲得しているのは10代とか。僕がこの若さでチャンピオンになっていると言っても、僕はもう10年近くMMAをやっている。僕が早いというより、MMAがむしろ他の競技と比べて遅れていると思う。10代でチャンピオンとか、今後も出てくると思います。格闘技って特殊な競技であるけど、僕が現時点でここにいるのはすごいことではなく、時代の流れ。修斗だけ見ても僕よりも若い選手がいる。そういう時代になってきています」 [nextpage] ブルックスは「相手の強みを消す戦い」をする ──ONEでの過去2試合は、全てスプリット判定での勝利でした。違う結果になってもおかしくなかったという声をどう感じていましたか。 「アディワン戦だけ見たら、ギリギリ僕が勝ったように見える。見る人にとっては僕が負けたと思うかも知れない。それがスプリットだと思うので。それを2、3回も繰り返している選手を、“お前、勝ってないよ”っていうのはおかしい。“箕輪はスプリットで勝てる選手”ということですよね。そういうことを言っている人は勝手に言っていれば良い。勝ちは勝ちなので」 ──そういう声を抑え込んで、タイトルマッチを獲得するには、この試合で大差をつけて勝利する必要があると思いますか。 「まずはきちんと勝つこと。勝つというプランニングのもと、フィニッシュを仕掛けるときは仕掛ける、いつもと同じ気持ちです」 ──ブルックスの強み、弱みをどのように考えていますか。そして自身の方が優れていると思うのは。 「彼の強みは、レスリングと絶対的な極め力ですね。アディワンに一本勝ちしたフィニッシュ力っていうのはすごいなと。あとはテイクダウン能力も素晴らしいですね。それが第一印象でした。  弱みというか、僕の強みですが、判定まで行ったら勝てる試合は作れる。ブルックスに対して言うのであれば、早期決着を狙ってきた方が良い。僕のスタイルだったら彼を倒す可能性はある。アディワンとブルックスの相性でいうと、アディワンが勝つ可能性は低かったと思う。それに対して、僕のスタイルってブルックスのような相手でもハマればうまくいく。もしブルックスに勝つスタイルがあるなら、箕輪スタイルですね。  僕の方が優れているのは、総合格闘技の能力です。レスリング、グラップリング、打撃、フィジカル、個別で見たら彼の方が高いでしょう。でもそれを“組み合わせる力、うまく循環させる力”は僕の方が強い。過去2戦を見てもらえればわかると思う。寝技の技術プラス打撃とか、エスケープしながらパウンドとか、そういうパ──ツじゃないところで見たら、僕の方が強いと思います。総合格闘技っていう競技のレベルは僕の方が優れていると思います」 ──ブルックスの最も危険な武器はやはり強いフィジカルから繰り出されるテイクダウンでしょうか。 「テイクダウン能力、フィニッシュ力を含めたフィジカルが強いところですね。相手の強みが出ないように戦う、相手の強みを消していく戦い方をしていきます」 ──どちらも、グラップリング、寝技巧者として知られます。どっちの方が優れていると考えていますか。 「寝技のフィニッシュの部分は向こうが強い。寝技に入った後の極める力は僕の方が強い。形に入ったらブルックスが強いでしょう。でも、僕の強みは極める体勢に持って行かせない強さ。それは自分の方が強い」 ──道場で作戦は練られてきたと。 「何パターンかありますけど、3Rに一本勝ちかなと思います。苦しい展開、キツい展開を入れても、スプリット判定勝ちかなと。運とかを入れれば、KO勝ちもあるかとは思います。1R、一本勝ちもあり得ると思います」 [nextpage] ブルックスは、僕の試合で研究できたからアディワンに勝てた ──ブルックスは、感情表現が豊かで言葉でも自分の考えを外に発信するタイプです。彼がリト・アディワンを倒した後のインタビューでもかなりアグレッシブな発言をしていました。こういう感情的な面は、ファイトにおいてどう作用するでしょうか。 「それは弱みにも強みにもなりますよね。感情のコントロールが出来るか出来ないか。僕は感情的にならないようにしていますし、そうなったらコントロールできるようにしています。感情を消して試合をすることはないですけど、比較的冷静に試合が出来るタイプだと思います」 ──ブルックスは、箕輪選手について「とてもタフでこの階級でも最高の選手の一人だ」と評価しつつ、「自分のパワーの方が上回るだろう」とコメントしています。 「素晴らしい分析だと思います。全く間違えていないと思います。今聞いた話だと、僕のこと舐めてないですよね。今までの2人の選手は僕のこと舐めていたと思うんで、足元をすくいやすかった。今回は、僕の2試合を見られていると思うし、その上で評価されていると思うけど、ぶっちゃけ舐めるなら舐めてくれた方が良い」 ──箕輪選手が試合が出来なかった期間、ブルックスは「逃げてんなよ」と挑発をしていました。 「言ってろよって感じですよね。全然言ってもらって、僕のこと舐めてもらって、当日試合で笑っているのはどっちでしょうね、って感じです」 ──箕輪選手もブルックスも、アディワンを倒しています。ブルックスはアディワンをフィニッシュ、箕輪選手は判定で勝利した。その違いについて煩わしく感じますか。 「ファンの方が言っているなら正当かなと思います。格闘技関係者が言っているならもう少し考えてもらった方が良いかなって。アディワンの試合前に、僕の試合で研究していますよね。あの試合でブルックスが上手かったのは、距離感。僕は試合で探りながらやっていた。アディワンには悪いけど、アディワンってイケイケに見えるけど、自分からパンチを振ってこない。こっちが出たときにカウンターを振ってくる──っていうのを、ブルックスがうまく研究してタックルに合わせてテイクダウンした。ぶっちゃけ“僕の試合があって研究できたから勝てたんでしょ”って感じです。アディワンと戦った選手全員に言いたいです、僕に感謝しろって」 [nextpage] 勝者は王者パシオとの対戦に相応しい ──この試合の勝者は、ONEストロー級世界タイトルマッチ挑戦、パシオとの対戦に相応しいと思いますか。 「パシオとの対戦に相応しいと思います。今、ONEのストロー級トップ戦線を走っているのは、パシオ、ブルックス、ボカン、そして僕だと思うんです。タイトルっていうもので言えば、僕らが挑戦者ですけど、ストロー級最強決定戦で言えば、この4人が戦っていって、残ったやつが一番だと思います」 ──ブルックスは日本での試合経験もあり、この試合は日本のファンからも注目度が高い試合になると思います。この試合で証明したいことはありますか。 「箕輪ひろばってファイターがいるっていうことと、日本の格闘技というか、日本で格闘技をやっている人が注目されていると思うんですけど、プロ野球じゃなくてメジャーリーグに行っている日本人もいるんだぞ、海外で活動している選手もいるんだっていうことを日本の方々にも知ってもらいたいですね」
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