MMA
インタビュー

【UFC】フィゲイレードが王座奪還、4度目対戦を示唆しながらも次戦にカイ・カラフランスを指名。TUF盟友の陥落に扇久保は「フィゲイレードはうまく戦った」

2022/01/24 13:01
 2022年1月22日(日本時間23日)、米国カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターにて『UFC270』が開催された。  コ・メインイベントでは、フライ級王者ブランドン・モレノ(メキシコ)vs.前王者デイブソン・フィゲイレード(ブラジル)による3度目の決着戦となるフライ級選手権試合が行われ、挑戦者フィゲイレードが、ダウンを奪う判定勝ちで王座奪還。試合後に1勝1敗1分となったモレノとの4度目対戦の可能性を示唆。さらに新たな挑戦者も指名した。  この日のフライ級王座戦を動画で確認したRIZINバンタム級GP優勝の扇久保博正は、同日の石渡伸太郎引退興行での試合後、フィゲイレードの戴冠を「うまく戦った」と評している。 「The Ultimate Fighter」第24シーズン「Tournament of Champions」では、同じチーム・ベナビデスの仲間としてブランドン・モレノがいた。  扇久保は、ライバルの試合について、「先にカーフを効かされたかなという感じでしたね。フィゲイレードがジャブで組み立てて、しっかり距離を取ってうまく戦っていました。(フィゲイレードがヘンリー・)セフードから習ってうまい距離感で戦っていと思います」と前王者の進化を語り、「もし自分が戦ったらと想像しながら見ていたか?」と問われ、「もちろん。自分だったら、もっと組みに行くでしょうね」と、距離を取られて仕掛けの少なかったモレノとは別の戦い方をすると答えた。  モレノとフィゲイレードの両者は20年12月の『UFC 256』で当時の王者・フィゲイレードと挑戦者・モレノの立場で王座戦を行い、フィゲイレードがドロー防衛。  2021年6月の『UFC 263』で再度タイトルマッチが行われ、モレノが勝利し王座を獲得。メキシコ人史上初のUFC世界王者となった。  今回の3度目の対戦は、王者・モレノと挑戦者・フィゲイレードとしての対戦だった。 ▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R×ブランドン・モレノ(メキシコ)124lbs/56.25kg/19勝6敗(UFC7勝3敗)[判定0-3] ※47-48×3〇デイブソン・フィゲイレード(ブラジル)124lbs/56.25kg/21勝2敗(UFC10勝2敗)※フィゲイレードが王座奪還  1R、ともにオーソドックス構え。金網に押し込んだモレノ。四つで体を入れ替えるフィゲイレードがヒザ蹴り。モレノは金網背に突き放す。  右カーフキックはフィゲイレード。バランスを崩すモレノのパンチにフィゲイレードはなおも右ロー。モレノは前足を外にチェック。 右で詰めるモレノにカウンターのダブルレッグに入るフィゲイレードはバックに。モレノは前転して離れる。  サウスポー構えになるフィゲイレード。モレノは右前足にカーフキックを打つ。オーソドックス構えに戻し、前蹴りはフィゲイレード。  2R、モレノのジャブをかわしてシングルレッグも固執しないフィゲイレード。モレノは跳びヒザもブロックするフィゲイレード。モレノのワンツーは遠い。見切るフィゲイレードは、後ろ廻し蹴りも掴んだモレノがテイクダウン。そのスクランブルには付き合わず立って離れるフィゲイレード。  右を振るフィゲイレード。さらに前蹴りも。ともに遠間からジャブ。そのダブルをかわして前足にシングルレッグに入るフィゲイレード。ここも深追いかせず。モレノは1Rと同様に後ろ蹴りでカーフもローを打つ。モレノの左右に打ち返しに行くフィゲイレード。中間距離からすっとシングルレッグに入り足を放す。  3R、ダブルレッグで金網際までドライブ、尻を着かせたフィゲイレード。モレノは壁際で立ち上がる。スクランブルに強いモレノとの消耗戦は避けている。 右を当てるフィゲイレード! 後方に回転して崩れるモレノだが、フィゲイレードは深追いせず待つ。そこで左ジャブを当てるモレノ! ダブルで当てるとフィゲイレードの動きが一瞬止まる。しかし、フィゲイレードも右カーフキックで反撃。モレノはそこにカウンターの左を狙う。  近い距離での殴り合いはフィゲイレードが右を当て、モレノも左ハイ。フィゲイレードはブロックすると右ストレート! ダウンしたモレノをがぶりブザー。  4R、足を触りにいきつつ左ジャブも突くフィゲイレード。モレノも右ミドル。さらに左右を強振も空振り。中央を取るフィゲイレード。互いにカーフの打ち合い。圧力をかけるフィゲイレードに殴り返しに行くモレノ。そこにカウンターで組んで両差しからスタンドバックテイクするフィゲイレード。モレノも金網背に近距離で左右を振り、振りほどく。  右カーフキックを打ち続けるフィゲイレード! 足を潰されたかモレノは動きが落ちるが、両差しで組んでブザー。  5R、先に右ローを打つフィゲイレード。詰めて両脇差してテイクダウンはモレノ! しかし、足を戻しすぐに立ち上がるフィゲイレードは左ボディを打つ。ダブルレッグに入るも切るモレノ。  互いに手が止まるなか、中央にステイし続けるのはモレノ。足を使うフィゲイレードは右回りで出入り。さらに右ストレート! こも尻餅を着いたモレノ! 立ち上がると左を振る空振り。最後はフィゲイレードも打ち合いに応じ、フィゲイレードが前に出てゴング。  判定は3-0(48-47×3)でフィゲイレードが王座奪還を果たした。  フィゲイレードは、ケージの中で、まずは英語で「今日こそは僕の日だった。神に感謝したい。モレノ、試合を受けてくれてありがとう。この機会を与えてもらったこと、信じて応援してくれた皆に感謝している」とマイク。  続けてポルトガル語で「君との闘いこそファイト・オブ・ザ・ナイトだ。4カ月間、頑張ってきた。モレノとの4戦目の準備はいつだって出来ている。メキシコでもね。マットにヒザを着いても何度でも這い上がるさ。みんなに感謝した。アイラブ・セフード、アイラブ・エリックアルバラシン」と、ファイトキャンプに帯同したヘンリー・セフードとマネージャーに感謝の言葉を述べた。  王座陥落したモレノは、「正直いいコンビネーションも出せてて、スピードもパワーも上回ってて、自分は勝っていたと思った。でもこれが結果。(フィゲイレードは)僕の対策をすごくしてきた印象だけど、自分はちょっと待ちすぎていたような感じだ。試合を見直してみる」と、接戦だったと語り、自ら仕掛ける場面をもっと作るべきだったと語った。 [nextpage] フィゲイレード「ブランドンは、僕に再戦のチャンスを与えたわけじゃない」  試合前の紹介動画では、前回、王座から陥落したフィゲイレードが「これまで重ねてきた功績が、ベルトを失った瞬間なかったことにされる」と泣きながら語る場面が映し出されていたが、今回のアウェイの会場も“挑戦者”には厳しい環境だった。  今回のホンダセンターは米国カリフォルニア州・アナハイムで、ヒスパニック系の住民も多く、観客はフィゲイレードに大きなブーイングを浴びせた。しかし、前王者は最後に笑うことに特別な喜びを感じていたようだ。  試合後、フィゲイレードは「この会場には温かさを感じるよ(笑)。みんなが僕に怒鳴ったり、悪態をついたりするのが好きなんだ。僕はメキシコをとても愛しているし、大切にしているから、ブリトーを食べてメキシコをどれだけ愛しているかというビデオを作ろうと思っているんだ」と笑顔を見せた。 「彼をノックアウトしたかったし、観客もそれを感じているように感じた。あと30秒あれば、彼を倒せたと思う。彼は少し感覚を失っていたように感じていた。ブザーに救われたような感じだった。彼の魂が身体から抜けてしまったようで、あと30秒あれば仕留められたと思う」  今回の3度目の対戦に向け、アリゾナ州スコッツデールで元2階級制覇王者のヘンリー・セフードとキャンプを行ってきたフィゲイレードは「チャンピオンシップラウンド(4R~)に進出できるようにしてくれたことに、深く感謝している」と語った。  試合後のオクタゴンでのスピーチでは、モレノとの4戦目を歓迎したが、今後のスケジュールを再考したときに、心境に変化もあるようだ。 「ブランドンは、僕に再戦のチャンスを与えなかった。アレッシャンドリ・パントージャが怪我をした以外は、彼はその気がなかったはずだ。だから、UFCは彼に試合をさせたんだ。これから2カ月間、彼がうまく振る舞えば、この件は解決するだろうね」  次戦について、フィゲイレードはフライ級6位のカイ・カラフランスを指名している。 「彼はコディ・ガーブラントをノックアウトしているから、僕がノックアウトしたい相手だ。これ以上、コーディと戦うのは僕の利益にはならないから、次の相手はカイ・カラフランスだ」  とはいえ、モレノとは1勝1敗1分け。4度目の対戦の可能性はゼロではないようだ。 「良い試合なら、彼が良い振る舞いをするなら、そして米国でガツンと来るペイパービューとして行えるなら、ここが僕の戦う場所、ここが僕の稼ぎたい場所になるだろう。ブランドンは、私が彼の最大のスポンサーであることを話していた。私は、彼からそれを奪うつもりだと言ったんだ。だから、ブランドンと戦うことは、僕にもっとお金をくれることになるね」と、フィゲイレードは最後に付け加えている。
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