上着の下にKNOCK OUTのベルトを巻いて現れた鈴木。前夜のインパクト抜群のKO勝利を振り返った
2022年1月22日(土)東京・後楽園ホールで開催された『KNOCK OUT 2022 vol.1』の一夜明け会見が、23日(日)都内で行われた。
メインイベント(第11試合)のスーパーファイトKNOCK OUT-BLACK -65.5kg契約3分3R延長1Rで、タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム)を1R2分17秒、右フックでKOした鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が会見に出席。前夜の試合を振り返った。
「今の気持ちは…素直に一睡も出来なかったです。寝れるわけないですね。そんな感じです」と、試合後は眠れなかったという。
「僕も人間なので恐怖とか血迷ったりとかあるけれど、前回の試合で勝ちに徹する試合はしないと決めたので、腹をくくってました。だから行けました」と、予告通りのKOが出来た理由を語った。
「最初の18秒で効いちゃった。ヤベェと思って」と最初にタップロンの左フックで効かされたと打ち明けるが、「その時に自分が勝てるのは気合いと根性とパワーしかなかったので、ここだろうと思って踏ん張って戦ったら勝てましたね」と踏ん張ることが出来たとする。
効かされた時は「“やりやがったな、おい!”みたいな感じでした。マジかよって感じで。その後はド突き合いみたいな感じで。技術云々ではなくて喧嘩に近い感覚だったんじゃないですかね。自分的には顏に当てるのは技術だと思うんですが、昨日は当たれと思って振っていただけなのでガムシャラでした。テクニックとか全部抜いて、気合いと、ここで勝ち残りたいって気持ちが合わさった感じでしたかね」と、気合いで乗り越えた。
しかし、タップロンも打ち合いに応じてハイキックも繰り出してきた。「思い切りフルスイングで当たったのに倒れなくて。全然倒れないと思っていました。倒れろと思っていいのが当たって倒れたからよかったけれど、びっくりしましたね。自分がタップロン選手と同じ年齢で同じことが出来るのかって言ったら…。タップロン選手が背負っているものや、やってきたことを肌で感じられました。今回の試合で学んだことがたくさんあります」と、なかなか倒れなかったことには舌を巻いたとする。
もしそこで倒し切れなかったら、ということは考えなかったのかとの質問には「いや、倒すんですよ。倒すんで大丈夫です(笑)。倒すと言ったら倒す。倒せなかったら、その時に考えます。そのために保険をかけたような試合をするとつまらなくなるので、僕にはそれは向いてないです」と、その時はその時と後先は考えなかった。
暴風雨のようなフックの連打の合間には、しっかりボディブローと三日月蹴りも交えていた。「そこはセコンドが支持をだしてくれて、それをそのまま聞いて指示通り動いたから入った。チームとして戦えたのが良かったですね」と、セコンドの指示が聞こえてその通りに動いた。
攻めている途中にタックルのように抱えて押し込む場面があったことを指摘されると、「タップロン選手の強みってヒザ蹴りなんですよ。それこそRISEとかのルールだと組みから1回しか攻撃できませんが、KNOCK OUTは止まるまで続くので、ヒザの打ち合いは分が悪いところで。それでクリンチして押し込むという総合のテクニックを応用しました。二刀流はいいところも悪いところもありますが、いいところが出ましたね。キックボクシングの選手にはない知識のテクニックですね」と、MMAのテクニックを使ってタップロンのヒザ蹴りを防いだと明かした。
同大会は本戦11試合中6試合がKO決着だったが、セミファイナルが偶発的なローブローによって1Rで無効試合となってしまい、会場は微妙な空気に。そこでメインを迎えるプレッシャーはなかったかと聞かれると「自分、試合前は全く緊張しないんですよ。そういう試合だったのかって感じだったので動揺もなかったですね」と全く気にならなかったという。
いい形で2022年初戦を終えた鈴木は「僕が言いたかったのは、KNOCK OUTが世界に通用したということ。僕が世界に通用したのは事実なので、今後のKNOCK OUTにとっても大きな一歩なのかなって。タップロンは国内在住選手ですが、世界の選手に勝つのはこんな感じなんだって思いました。今年の目標はKNOCK OUTが世界に通用する団体だって世間に知らせることです」と、国内トップ選手たちと戦ってきたタップロンに初回KO勝ちできたことは、KNOCK OUTの力を見せられることになったと胸を張る。
MMAの次の予定は、「聞いてないですが二刀流の使命なので頑張らないといけない。ジムの会長とKNOCK OUTに任せてやっていきます。この前(RIZINで)判定勝ちをしたばかりなので、過去の自分は死んだところを見せたいといけない試合でした。倒す鈴木千裕を見せるといって判定だと“おい”ってなるじゃないですか。これは選手あるあるで、大事な試合に限って負けてしまったり、ターニングポイントになる試合で落としている。プレッシャーとかがあって。そういう流れを断ち切れたのが大きな財産でした。アピールもできたので、いい方向にいくんじゃないでしょうか」と、予定は決まっていないがやる気は満々。
試合後には、リングサイドで観戦していた五味隆典の祝福を受け、手をあげられた。五味にはMMAの指導を受けている。
「よかったよって言ってもらえました。僕は五味さんみたいなガッツのある“漢”の人が好きなので。五味さんのような試合をしたいと思っていますが、尊敬はしてないのですよ。尊敬すると越えられないので。越えられるように僕は前へ進みます」と、五味を越えるような存在になりたいと話した。
また、「僕はナメられるのが凄く嫌い。言葉にはしないけれど(他団体の選手が)KNOCK OUTを間接的に見下しているような雰囲気を感じます。タップロン選手はいろいろな団体で試合をして、そういうトップどころで戦っている選手に勝つのはタップロン選手に負けた選手より上になるわけじゃないですか。僕がここでどの選手よりも早く1Rでぶっ飛ばせば評価が変わると思っていました。それがしたかった。KNOCK OUTの世間的評価を上げること。KNOCK OUTを下に見る人はこれで少なくなったと思う。それが一番にやりたかったことです」と、KNOCK OUTを背負っての戦いだったと告白した。
そして「今年は倒して倒しててっぺんまで上り詰めるので、僕の夢についてきてください。ついていきたいって試合をするのでそこを見て欲しい。で、僕と一緒に戦って下さい。僕の進化を見届けてください」とファンへメッセージを送った。