動き出しはフィゲイレードの方が速いけど、それに対する切り返しがモレノの方が0コンマ何秒速い
――そしてヘビー級王座統一戦の前には、UFC最軽量級であるフライ級のタイトルマッチ、ブランドン・モレノvsデイブソン・フィゲイレードも組まれています。
「最重量級と最軽量級というこのコントラストが素晴らしいですね。それだけでも今回のUFCは面白いですよ」
――同一カード3連戦での決着戦ですからね。1度目はドローでフィゲイレードが防衛、2度目はモレノが一本勝ちで新王者になって、今回はモレノの初防衛戦になります。
「第1戦当時は、フィゲイレードに内臓疾患があったんですよね」
――試合前夜に胃の感染症で緊急入院していました。
「そういった事情もあったので、第2戦の時は“フィゲイレードが万全ならモレノは相手にならないんじゃないの?”っていう予想が多かったと思うんです。けれど、モレノがあのネチっこさと、先の先まで読んで相手を巻き込んでいくフライ級らしい戦いぶりで、見事に完勝したという」
――1ラウンドにジャブでダウンを奪い、2ラウンド以降はグラウンドで終始ペースを握っての勝利でした。
「フィゲイレードってフライ級の選手ですけど、重いクラス寄りの試合のやり方をするんですよね。軽量級なのに一撃で倒せるような打撃の破壊力があって、なおかつ技術も高い選手」
――グラウンドでの極めも強いですよね。
「だからこの試合も対照的ですよね。モレノのほうは、常に仕掛けて常に動き回って、最終的にしつこさで相手に逃げ場をなくして勝つような試合をする。フィゲイレードはとにかく一発効かせて、立ち技でも寝技でも相手が崩れたところを一気にフィニッシュする。だからこそお互いスイングするというか、いい試合になるんでしょうね。じゃなかったら、3連戦なんか組まれないですよ」
──では、第1戦と第2戦を踏まえて、第3戦はどこがポイントになると思いますか?
「モレノの試合のやり方として、3戦目だからといって、何か特別変えようとはしないと思うんです。ただ、フィゲイレードはしょっぱなのプレッシャーが非常に強く、距離も遠い間合いから一気に詰めるステップインがものすごく速いから、そこを警戒するとは思います」
――第1戦では1、2ラウンドはフィゲイレードが圧倒しました。
「だけどモレノは組むタイミングが絶妙なんですよ。パンチを一瞬当ててすぐに組みついたりとか。相手が強打を振ってきたところでサッと懐に入って、テイクダウンに持ち込むとか。4つぐらいの動きが一体化しているんですよね。ひとつのことに固執せず、すぐ連続的にいろんなことができるから、たとえ途中でテイクダウンを奪われたとしても、すぐ自分の優位なポジションに戻せたりするんです」
――前回、フィゲイレードはテイクダウンしたり、いいポジションを取るたびに凌がれて、それでペースを乱された感がありました。
「動き出しはフィゲイレードの方が速いんですけど、それに対する切り返しがモレノの方が0コンマ何秒速いんですよ。だから、気がついたらフィゲイレードが後手に回っているという。モレノはそういう巻き込み方をするので」
――フィゲイレードは前回、ガンガン攻めたが故にモレノの切り返しに巻き込まれていきましたから、今回は試合運びを考えるフィゲイレードが見られるかもしれないですね。
「そこだと思うんですね。ただ、下手に考えすぎても良さが消えてしまうような気がするんですよ。フィゲイレードは感覚で動けるタイプだと思うので。だから慎重になりすぎず、自分の爆発力をどれだけ作戦に落とし込めるか。そこがポイントになると思いますね」(聞き手・文/堀江ガンツ)
◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール
『UFC‐究極格闘技‐ UFC270 in カリフォルニア 最重量級頂上決戦!ヘビー級王座統一戦 ガヌーVSガーヌ』
2022年1月22日(現地)米国カリフォルニア州アナハイム ホンダ・センター
1月23日(日)午後0:00[WOWOWプライム]※メインカードを生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
1月29日(土)午前4:55[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
【出演】
解説:高阪剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一
生中継前後に出演陣のYouTube配信!『スタジオ裏トークUFC270』
WOWOW番組オフシャルサイト
【メインカード】
▼UFC世界ヘビー級王座統一戦 5分5R
フランシス・ガヌー(カメルーン)16勝3敗(UFC11勝2敗・UFC5連勝5KO)
シリル・ガーヌ(フランス)※暫定王者 10勝0敗(UFC7勝0敗)
▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R
ブランドン・モレノ(メキシコ)19勝5敗(UFC7勝2敗)
デイブソン・フィゲイレード(ブラジル)20勝2敗(UFC9勝2敗)
▼バンタム級 5分3R
コーディ・スタマン(米国)19勝4敗(UFC5勝3敗)
サイード・ヌルマゴメドフ(ロシア)14勝2敗(UFC3勝1敗)
▼ウェルター級 5分3R
ミシェル・ペレイラ(ブラジル)25勝11敗(UFC3勝2敗)UFC3連勝中
アンドレ・フィリ(ポルトガル)14勝3敗(UFC0勝0敗)
【プレリミナリー】
▼ミドル級 5分3R
ホドウフォ・ヴィエラ(ブラジル)8勝1敗(UFC3勝1敗)
ウェリントン・トゥルマン(ブラジル)17勝5敗(UFC2勝3敗)
▼ミドル級 5分3R
マイケル・モラレス(エクアドル)12勝0敗(UFC0勝0敗)
トレヴィン・ジャイルズ(米国)14勝3敗(UFC5勝3敗)
▼ライト級 5分3R
マット・フレボラ(米国)8勝3敗(UFC2勝3敗)
ヘナロ・バルデス(メキシコ)10勝0敗(UFC0勝0敗)
▼バンタム級 5分3R
トニー・グレーブリー(米国)21勝7敗(UFC2勝2敗)
サイモン・オリベイラ(ブラジル)18勝3敗(UFC0勝0敗)
▼女子フライ級 5分3R
ジャスミン・ジャスタビシウス(カナダ)6勝1敗(UFC0勝0敗)
ケイ・ハンセン(米国)7勝4敗(UFC1勝1敗)
▼バンタム級 5分3R
ハオニ・バルセロス(ブラジル)16勝2敗(UFC5勝1敗)
ビクター・ヘンリー(米国)21勝5敗(UFC0勝0敗)
▼女子ストロー級 5分3R
バネッサ・デモポロス(米国)6勝4敗(UFC0勝1敗)
シルバーナ・ゴメス・フアレス(アルゼンチン)10勝3敗(UFC0勝1敗)
▼フェザー級 5分3R
イリア・トプリア(ジョージア)11勝0敗(UFC3勝0敗)
シャルル・ジョーデイン(カナダ)12勝4敗1分(UFC3勝3敗1分)
▼ウェルター級 5分3R
ジャック・デラ・マッダレーナ(豪州)10勝2敗(UFC0勝0敗)
ピート・ロドリゲス(米国)4勝0敗(UFC0勝0敗)