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2022年1月16日(日)東京・後楽園ホールにて、プロ修斗開幕戦が開催される。メインイベントは小野島恒太(同級1位/CWD)vs.藤井伸樹(同級3位/ALLIANCE)による「環太平洋バンタム級チャンピオン決定戦(5分3R)」。
前王者・安藤達也が初防衛を果たし、今後の目標を世界タイトルに絞ることを理由に王座返上。第10代環太平洋バンタム級チャンピオン決定戦として、両者がベルトを争う。
“ゾンビ”の異名を持つ藤井は、毎回泥試合となり、バンタム級で“最も戦いたくない相手”と言わしめる。この2年では田丸匠に判定負けも後藤丈治、加藤ケンジに判定勝ちで2連勝中だ。超攻撃型+無尽蔵なスタミナを誇り、試合開始から終了まで常に動き止めない“アンストッパブル”が、顎骨折の大怪我から約1年ぶりの復帰戦でベルトに王手をかける。
対する小野島は、この2年、よしずみと一條貴洋に判定勝ち、石井逸人と野尻定由にドローと負けなしで抜群の安定感を誇り、インフィニティリーグでも2勝2分。ポイント差で優勝とはならなかったが、長らくバンタム級のトップに君臨する実力者。デビュー13年目を迎え初のタイトルショットに挑む。
修斗最激戦区のバンタムで一つ抜きん出るのは小野島か? 藤井か?
最終ラウンドまで終わることのないエンドレスファイトが予想されるメインイベントに向け、藤井は「自分を貫き通した方が勝つと思っています。我を通しきった者が勝つ」と語った。
僕は藤井伸樹としての試合をするだけ
──2019年の初参戦から修斗を主戦場にしてから約4年経ちました。
「修斗のバンタム級が色々なタイプの選手がいるので気が抜けなくて厳しいです、油断できなくて大変です」
──修斗初参戦からいきなり岡田遼選手、魚井フルスイング選手、石橋佳大選手とトップファイター達と対戦しました。
「そうなる事は覚悟の上でした。ここで戦ってる選手たちは皆さん厳しい状況下にいますので、誰と当たっても厳しいと思っていました」
──修斗の雰囲気、環境にもだいぶ慣れましたか?
「自分から積極的に動いていかないと勝てないなという感じです。今までよりももっと前に攻め続ける事を心掛けています」
──その姿勢がお客様にも伝わってるのだと思います。藤井選手の全ての試合がベスバウトと言っていいくらい会場もドッカンドッカン盛り上がっているじゃないですか。
「ああ……そうなんですか……」
──ご本人には、あの歓声聞こえてないんですか?(笑)
「いやぁ……試合中は相手しか見えてないというか。集中してるというか……よく分かってないんです」
──毎回もの凄い盛り上がりですよ! 周りのお友達とかから言われませんか?
「はぁ……良かったよとは言われたりはします」
──あの盛り上がりを作っておいて、実感がないという(笑)。
「いや……なんか盛り上がってるのか……? と思ったことはあります……」
──もっともっと自信を持たれてもいかと。
「有難うございます。なんか試合中は精一杯で……」
──どの試合も全力ファイトでハズレなし。選手間では「ゾンビ」や「最も戦いたくない男」と言われています。
「評価していただけるのはありがたい事ですが、ダメージを追うような試合はやっちゃいけないなと思いながら戦っています。今後の選手生活にも影響しますし」
──言ってる事と、やってることが違ってるような気がします(笑)。
「試合中はどうしても、集中してるのでよく分かってないのですが、毎回試合を見返しながら、もっと冷静に考えながら戦おうと反省しています。体壊れちゃうなって」
──見てる方、全員毎回思ってますよ! 体大丈夫かって!
「ああ、そうなんですね……」
──試合後のダメージ大変ではないですか。
「そうですね……」
──前戦となる昨年1月の試合では顎を折る大怪我もしました。今回が約1年ぶりの復帰戦でもあります。
「はい。2Rにパンチをもらってから顎の感覚がおかしいなと感じて。止められない為にも騙し騙しなんとか試合を終えられて。結果的には下顎を二箇所骨折して、全治6カ月月でした」
──6カ月って結構な怪我ですよ。
「はい、せっかく連勝してたのに試合ができなくなってしまって」
──そっちですか(苦笑)、てっきり日常生活とか、痛みの事かと思ったら。
「試合ができない事の方が辛いです」
──高阪剛代表がまだ手術後すぐで退院したばかりなのに、すぐジムに来たと仰ってました。ジム大好きなんですね。
「そうですね。じっとしてても、いい事ないですから。夏ごろからようやく動けるようになった感じです」
──そして復帰戦がいきなりの環太平洋チャンピオン決定戦です。相手は小野島恒太選手です。
「組みの強さのイメージが強いです。自分のプランを最後までやり切る強い選手だと思います」
──小野島選手は似た者同士ではないかと分析されていました。
「どうなんでしょうか……小野島選手ほどのフィジカルはないです。小野島選手は自分の戦い易い展開に持ち込みたいんだと思います。僕も得意の展開に持ち込みたいところがある。そういった点では似ているかもしれません。自分を貫き通した方が勝つと思っています。我を通しきった者が勝つという感じです」
──そしていよいよタイトルが目前です。
「これはタイトルを軽視しているという意味では決してありません。ただ自分はベルト云々よりは、目の前の選手に勝つことだけに集中しています。この試合に勝ちたいという思いが強いです。何がなんでも勝つ、その思いが形になったものがベルトなのかなと。だから僕はベルトを巻きたいという気持ちより、勝ちたいという気持ちが強いんです」
──小野島選手とは真逆の考え方なんですね。小野島選手はベルトを巻く事をだけを目標にしているという強い思いを持たれていました。同じベルトでも捉え方がそれぞれ違う。
「ベルトを巻く姿を想像するような、そんな余裕は自分にはなくて、ただこの試合に勝つことだけ、練習でやってきたことを冷静に試合で出すことだけに集中します」
──1年ぶりの試合です。楽しみにしています。それではこの試合ご覧いただく全ての皆様にメッセージをお願いいたします。
「僕は藤井伸樹としての試合をするだけです。いい試合と言っていただけるような試合をして、そして勝つことができたらいいなと思います」
◆藤井伸樹/NOBUKIFUJII
環太平洋バンタム級3位
[所属]ALLIANCE[出身]東京都[身長]172cm
[生年月日]1989年11月21日(32歳)
[戦績]7戦4勝(1KO)3敗