2022年1月9日(日)東京・ニューピアホールにて開催された『NO KICK NO LIFE』(第1部)で、引退試合を行った宮元啓介(橋本道場)が試合後コメントした。
(写真)試合前、2017年12月にKNOCK OUT両国国技館大会で対戦した江幡塁から花束の贈呈 宮元は小学4年生から空手を始め、数多くのタイトルを獲得。2010年1月、MA日本キックボクシング連盟でプロデビューし、WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者を始め、これまで6本のベルトを獲得している。志朗、内藤大樹、那須川天心、工藤政英、江幡塁など国内55kg級のトップ選手とはほとんど対戦経験があり、空手仕込みの蹴り技を駆使して国内55kg級のトップ戦線に長く君臨。2020年12月のREBELSでは小笠原瑛作に惜敗したが、2021年2月の『NO KICK NO LIFE』では加藤有吾の連勝をストップしてみせた。生涯戦績は35勝(11KO)16敗7分。
加藤有吾(RIKIX)との再戦となった今回の引退試合は、判定2-0(50-48、48-48、49-48)で惜敗となってしまったが、「負けて悔しいよりかは最後出し切ったスッキリ感が一番デカい。今の実力を全部出し切った感じなので、それで負けるならスッキリです」と、清々しい表情で語った。
「勝ちには行ったんですけれど、そこまで勝ち負けにこだわらず楽しんでやれればいいなって気持ちで行ったら、緊張感なくやれたかなと思います」と最後の試合は楽しみたいとの気持ちで臨めたといい、最後には珍しく打ち合いも仕掛けたが「最後だから出ちゃえ、それで倒されるなら仕方がないって感覚で出ました。楽しかったのもありましたね」と、出し切ることが出来たという。
しかし、「家を出る時はいつもと一緒だったんですが、試合が近付くにつれて感情が湧いてきました。これで最後なんだって。涙を堪えるのに必死でした」と寂しい気持ちはあったと言い、「入場前も来ていて、花道を歩いている瞬間もこれで最後なんだと思ったら泣いちゃいましたね(笑)。始まる前もリングで泣いちゃって。(橋本)師範に『今は泣くところじゃない』って言われて“ハッ!”としました」とのエピソードも。
「もう選手としてはやり切ったのがデカいです」と完全燃焼することが出来たという宮元が、現役生活で最も印象に残っているのは「初めて獲ったベルトですね。19歳の時に獲ったんですが、トーナメントの決勝で同門対決になって先輩と戦って獲ったんです。その試合でその先輩が引退したんです。今までのキャリアの中で一番嬉しかったです」と、道場内のバトンタッチとなった初戴冠劇をあげた。
約1年ぶりの再戦となった加藤は「三日月蹴り、カーフキックを蹴ってきて、蹴り技が前回よりも多くなっていました。カーフをこんなに初めて蹴られたので、こんなに痛いんだと(笑)。僕の方は前回より蹴れなかった。三日月対策してきていましね。距離が遠くやりづらかったです」と成長を感じたとし、「僕とやって勝った以上は勝ち続けて欲しいなっていうのはありますね」とエールを送る。
今後に関しては「選手育成か、フィットネスか分かりませんが、キックボクシングはここまでやってきたのだから今後も関わって行きたいと思います」と、今後は教える側に回りたいとした。
また、宮元の引退に華を添える意味で、妻の南梓(宮元梓)が今大会限定でラウンドガールとして復帰。南はモデル、レースクイーン、アイドルユニットのメンバーとして活躍し、2016年末にはRIZINガールオーディションで1位となり、2016年RIZINガールに。引き続き2017年もRIZINガールを務めたが、宮元との結婚を機に2018年1月に芸能界を引退していた。
その妻のラウンドガール姿を見た感想はと聞かれた宮元は、「全く見ていなかったです」と笑い、家に帰ってから映像で確認するかと聞かれても「見るかどうか分からないですね」と照れ臭そうに話した。