RIZIN公式YouTubeチャンネルが、大晦日にさいたまスーパーアリーナで開催された『RIZIN.33』の特別映像「Special Ring Side ~Winner & Loser~」を公開。公式映像とは異なるロープ越しの映像から、勝者と敗者の明暗が分かれる激闘のあらたな瞬間を観ることが出来る。
開場前のリングチェックの模様では、コーナー毎に分かれた選手たちが、リングの感触を確認。
ホベルト・サトシ・ソウザのコーナー際での壁レスリング、扇久保博正がロープを背に座って立ち上がる際のロープの張りをチェックする姿、朝倉未来のダブルレッグテイクダウン、そして、那須川天心と萩原京平は勝利後のコーナーに登る動きをシミュレーションするなど、普段は見られない姿も映し出されている。
主な試合のハイライトでは、ライト級タイトルマッチで、矢地祐介を2R 3分30秒、腕ひしぎ三角固めで極めたサトシの足のクラッチがどこで組まれているのかも、近距離からのアングルでとらえられ、その後にサトシがコナー・マクレガーの“ノートリアス・ウォーク”を披露している瞬間も収録されている。
また、フェザー級の再戦、斎藤裕vs.朝倉未来では、両者の位置取りの微妙な綾を見ることが出来る。
サウスポー構えの朝倉は、オーソドックス構えの斎藤の外足を取る立ち位置。斎藤はその内側から攻めることを選択。朝倉は得意の左の蹴りと前手の右フックを狙い、斎藤の右の攻撃と朝倉の左ヒザの打ち合いの場面が見てとれる。
ハイライトは、斎藤の右ストレートに朝倉が右を合わせた場面。一瞬、動きが止まった斎藤に朝倉はさらに左を当てるとラッシュ。ダブルレッグに入る斎藤だが、右で小手に巻いた朝倉が投げて上になると、出血しながらクローズドガードに入れた斎藤に、セコンドの石渡伸太郎が「帰って来い、斎藤!」と檄を飛ばす場面などが映し出されている。
さらに、メインイベントのバンタム級ジャパンGP決勝では、この日2試合目の両者のコントラストがリングサイドさながらの臨場感で伝わる。
朝倉海の「前足を潰す」作戦だった扇久保は、左インロー、朝倉の入りには左ミドルをジャブ替わりに巧みに打ち、前足へシングルレッグテイクダウン。ロープまで這う朝倉にセコンドの鶴屋浩代表は「場外に逃がすな」と声をかけ、扇久保は腰を引き寄せマウントを奪っている。
股の間で朝倉を動かしてバックを奪い、立たれても着地し、すぐにダブルレッグを尻下でクラッチして持ち上げテイクダウンを奪う扇久保。離れても右カーフを蹴り、右から左フックを当てて詰めて、スタンドバックからの崩し、座る朝倉にはがぶりからヒザ蹴りと、この日の扇久保のチェーンレスリングは、16年積み上げたキャリアで培った数珠繋ぎの盤石さだった。
ラウンド間のインターバルで目を閉じてセコンドの声を聞く扇久保の表情。
後半でパンチの打ち合いになっても、セコンドの「行き過ぎない、やるべきことをやれ、扇久保!」の声に、パンチをヒットさせながらも組みを織り交ぜるMMAの戦い方で、左を振って崩れた朝倉が自ら崩れたところでゴング。
カメラはその瞬間、両手で顔を押さえて嗚咽する朝倉と、そこに寄り添い肩を抱く扇久保の姿をとらえている。この後、扇久保は「右をやった?」と朝倉の怪我を悟り、話しかけたことを証言している。
リングサイドのニュートラルコーナーの下から撮影された今回の映像からは、ファイターたちの息遣い、セコンドの声、打突音なども至近距離から収録されており、必見だ。
2022年は、平本蓮が参戦を表明している2月の「LANDMARK」を皮切りに、クレベル・コイケが出場する2月23日の「TRIGGER」(静岡エコパアリーナ)へと続くことが発表されているRIZIN。
今回の「Special Ring Side ~ Winner & Loser ~」には、問題の久保優太vs.シバターの「非公式試合」の動画も収録されているが、1日2試合の死闘を勝ち抜いた扇久保は、「あの試合は、はっきり言って僕らとは全く“別枠”だと思っているので、僕らの試合とは同じものだとは考えないでほしい」と訴えている。
2022年に年間15~17大会の開催を目標とするRIZINは、この問題にどう公式の見解を出すのか、その上で新たな大会の発表をするのか、待たれる。