MMA
インタビュー

【RIZIN】1日2試合の是非が問われるGPの死闘、朝倉海は右拳骨折で全治3カ月、瀧澤は左顎骨折、優勝・扇久保「もう2度とワンデーは──」

2022/01/07 12:01
 2021年12月31日、さいたまスーパーアリーナで行われたれた「RIZINバンタム級(61.0kg)JAPANグランプリ準決勝&決勝」に出場した4選手が、GPでの怪我の状況などを報告した。  2021年6月から開幕した16人参加の同GPでは、準決勝で扇久保博正(パラエストラ松戸)が井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)に判定勝利、朝倉海(トライフォース赤坂)が瀧澤謙太(フリー)に判定勝利し、決勝に進出。  同日の約8時間後に行われた決勝では、扇久保が朝倉を判定で降し、優勝を果たした。優勝賞金は1千万円、準優勝500万円、最速勝利賞100万円は、石渡伸太郎を1R 1分58秒、サッカーボールキックでTKOに降した井上直樹となった。  わずか半年で4試合、2020年年末の試合を含め、1年で5試合を戦った扇久保と朝倉、ベスト4の井上と瀧澤も6月から3試合を戦い、それぞれが代償を負っている。 11月に肋骨を骨折「組みで戦うのを諦めかけた」(扇久保)  大晦日、準優勝の朝倉海は右拳を骨折。準決勝で扇久保と戦った井上も試合中に薬指が外れ、朝倉と戦った瀧澤も顎を骨折した。  そして1日2試合、5分6Rを戦い抜いた扇久保は「大晦日の試合での大きな怪我は無さそうですが、1年を通しての怪我はかなりありました」と明かす。  6月の1回戦の春日井“寒天”たけし戦で右拳を骨折、9月の2回戦の大塚隆史戦では「試合直前までスパーリングができない」なか、カーフキック効かせて判定勝利。3カ月後のGPファイナルに向け、万全の状態で臨むつもりだったが、大晦日前の11月初旬の出稽古で肋骨を骨折したという。  陣営への取材では、様々な治療を行い、「4週間で治して、最後の3週間だけスパーリングをやって、大晦日に向けて作った」という扇久保だが、あばら骨を折ったばかりで、胸に力を込めるグラップリングを武器に戦うことに不安は無かったか。  扇久保は、「怪我をした当初は組みで戦うのを諦めかけましたが、4週間の休養でマインドをリセットできて、“自分の強みはやはり組みだ”と考えることが出来、最後の方は痛みも大分落ち着いたこともあって影響はなかったです」と語る。  まずは準決勝の井上戦に勝つことのみに集中すると、得意の蹴り技で自身の距離を掴み、序盤の井上の組みには我慢の展開。凌いで井上の息遣いが荒くなったところで、スクランブルを仕掛けてポジションを奪い返すと、「そこからは得意のハーフで削って」判定勝利した。  決勝までの8時間の控え室。1年4カ月前に、完膚なきまでに叩きのめされた相手と、1日2試合目で戦わなければならない。身体のダメージから“俺は朝倉海にリベンジしたいのに、なんで今日なんだ。もうこれでいいだろう”と、弱気になる心を周囲の支えもあり、再び気を持ち直すと、決勝に向かった。  試合後の会見、さらに自身のYouTubeで扇久保は、朝倉戦について「下がらず、前足を潰す」作戦だったと明かしている。 「1年前に試合をして感じたのはビビって下がるとダメ。一番は前足を潰すこと。堀口選手がやったようにカーフを蹴って、前戦の時から入っていたインローも当てる。チャンスが来たらテイクダウン。その流れのなかでシングルレッグ(片足タックル)に入る。それを遂行した。朝倉選手がニンジャチョークを仕掛けて来たので、そんなの極まらないよという感じでタイミングでテイクダウンした」  そのテイクダウンが、朝倉“幻想”を拭いさった。 [nextpage] 朝倉には「俺達、身を削ってやったよね」と 「僕のなかでハテナがあった。それは鶴屋(浩代表)さんもお客さんも、朝倉選手の寝技がどうなのか? ということ。それで片足(タックル)に入ったときに嬉しかった。“これが朝倉海の組み技なのか”と。向こうも拳を痛めていて本調子じゃないと言われるかもしれないけど、やっと攻防が出来た。片足に入ったときの腰の強さとか、『朝倉兄弟=腰が強い、とんでもない強さで起き上がってくる』という巨大なものが、テイクダウンしてハーフになって背中を着けたときに一切無くなって、“あっ、普通の人間だ”と思って、そこからパスしてハーフになってマウントを取った」  前足への蹴り、そしてテイクダウン。そのフェイントも効果を発揮し、扇久保のパンチが当たるように。朝倉は得意の打撃の踏み込みも思うようにいかなくなっていた。 「1Rも2Rも取って、インターバルでセコンドの鶴屋さんから『守ったら負けるぞ、テイクダウン取ったら勝てるからな』と言われて、3Rは愚直に絶対にテイクダウン取って上になろうと。疲れてはいたけど1回戦よりは温まっていて、動けてはいた」  朝倉の右拳の骨折は「分からなかった」という。 「最後の最後まで右がいつ来てもいいように警戒していた。右ストレート、アッパー、左ボディ、跳びヒザを警戒して。朝倉選手の打撃は戦った人しか分からない。マジに硬くてほんとうに強力なので。ただ、自分も右ばかりではなく左にも頭を傾けて避けているから右を打てないんだろう、と思っていた。相手の左でテンプルに効かされたくらい。とにかく攻めることだけ頭にあって、終わった瞬間に判定は勝ったと思った。終わって“今日、左フックを効かされたな”と。“あれ、右を警戒してたのに打って来なかったな”と。それで“右やってんな”と思って、試合後に(朝倉に)『右を怪我した?』と聞いたら『はい』と」  試合後に朝倉の異変を知ったという勝者は語る。 「1日に2試合は大変でした。ほんとうに過酷だなと。仲良しこよしではないけど、朝倉選手には“お疲れ様”と、“俺達、身を削ってやったよね”という気持ちはあります」 [nextpage] 1日2試合は絶対ダメ。限界を超えている(朝倉)  2019年のマネル・ケイプ戦以降、大晦日に3年連続の敗北を味わった朝倉は、今回の右手の骨折が「全治2カ月から3カ月」と診断されたことを5日に、自身のYouTubeで発表した。  6月の1回戦で渡部修斗を1R パウンドアウト。9月の2回戦でアラン“ヒロ”ヤマニハに判定勝利も右手を骨折。完治させて臨んだGP準決勝の瀧澤謙太戦で、再び右の拳を骨折した。 「左フックでダウンを取った。その直後、5秒から10秒後に(右の)クロスカウンターを思いっきりドンと打って、そこで折れた。“痛っ”と思って右手を何度も確認している。そのときの打ち方は悪くなかったと思うんだけど、当たりどころが良くなかったのかもしれない」  右人差し指の中手骨。それは9月のアラン・ヒロ・ヤマニハ戦で負傷した部分とは別の箇所だった。 「病院での検査の結果、人差し指の中手骨が(手の甲の中心あたりを指差し)真っ二つになってた。バキッて予想通り折れていて。2回戦のヤマニハ選手と戦った時の親指(付け根部分)の骨折はほぼくっついていて、そこは悪化していなくて。6年前にも中手骨を骨折していて、いまも金属プレートが入ったままだけど、そのプレートの下が骨折した」  すでにプレートが入っていることもあり、ドクターと相談し、手術は行わずギプスで固定しての治療を選択。全治2~3カ月かかるという。  強打ゆえの負傷。朝倉はパワーハンドの骨折について、「原因を追究したい」と語る。 「(全治2~3カ月は)長い。しっかり折れていたのでそれぐらいはかかるのでは、と(ドクターから)言われました。毎回、折っているから原因を追究したい。極端にパンチ力があると思うけど、当たり方、フォームとかも分析して折りにくい打ち方を研究したい」  ギプス固定は3週間ほど。右手は安静が求めらるが、身体は動かしていくという。 「殴らなければいい。走ったり、蹴りなどの練習はOKと言われたので、早速やっていこうかなと思っています」  ツイートでは、「もう前を向いているので、次の試合楽しみにしててください!」「バンタム級GPに参加したことに後悔はない。挑戦することをやめない。成功するまで挑戦する」と、前向きな姿勢を示していた朝倉だが、GPのファナルのワンデートーナメントには、再考を求めている。 「全身が痛い、ほんとうに。ダル過ぎて。(故郷の)豊橋に帰る気も起きなかった。一言、言わせてもらいたい。1日2試合は絶対ダメ。ほんとうに。人間の限界を超えてますから。大怪我をする可能性があるんで。そういう怪我人が出る前に、1日2試合のトーナメント、止めた方がいいと思います。やった本人しか分からない。危ない。夜寝ていて、痛すぎて目が覚めるから。二の腕の筋肉がはちきれそうに痛いしアザだらけだし。被害者が出ないように。見る人は面白いかもしれないけど、止めた方がいいと思います。(「お互いに万全で見たい」の声に)そういう意見もあるよね。トーナメントで最後、頂上で戦う、それも実力だけどね、(ワンデーは)危ないから止めてほしいなって思います」  元王者として、進化を見せながらの準優勝。しかし手負いのまま決勝に臨みダメージが追加された。一夜にして勝者と敗者を味わった朝倉は、「終わりが悪いとすべてダメな気がするから、今年はシンプルに結果を残したい。成長もしてしっかり結果も残せる年にします。より一層の努力が必要なんで、これからも応援、よろしくお願いします」と再起を誓った。 [nextpage] 瀧澤は左顎を骨折、そのとき朝倉も右拳を骨折していた  6月の1回戦で今成正和に判定勝ち。2回戦で元谷友貴を1R TKOに下してベスト4に進出した瀧澤謙太は、朝倉海との準決勝で顎を骨折しながら、フルラウンドを戦い抜いた。  顎が折れたのは、ダウンを奪われた朝倉の左フックではなく、その後の右ストレートだという。 「折れたのは、僕の左下の顎。だから右のパンチだと思います。左フックをもらいフラッシュダウンして、すぐに体勢を戻して“これはKOしなくてはならない”と思って、焦って前に出てパンチをぶん回したところに、右ストレートを被弾しました」  もしかしたら、それは朝倉海が骨折した右の強振かもしれない。右の拳と左顎、両者は文字通り、骨を断つ打ち合いで勝利をもぎ取ろうとしていた。  その後も前に出続けて、右のバックフィストを狙った瀧澤だが、左ジャブ、左ハイとアウトボクシングに切り替えた朝倉が距離を取ったところで、ゴングが鳴った。  判定は3-0で朝倉が勝利。瀧澤のバンタム級GPは幕を閉じた。  陣営によれば、1月半ばに骨折した左下顎を手術予定で、全治は2カ月だという。 「飛び出ていた八重歯にピンポイントでパンチをもらい、歯が折れずに耐えて顎に“亀裂”が入った形。骨と骨との間は開いてなくて、そこまで重症な折れ方ではないので、2週間ほどでトレーニングを再開でき、激しいスパーリングなどができるようになるまでは、2カ月かかるそうです」  試合直後に「俺はまだまだ強くなれる、必ず這い上がる。対戦してくださった朝倉海選手、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。また試行錯誤して、より強い自分になります。押忍」とツイートしていた瀧澤。その後も、「こいつはバカなのか? と思われるくらいがちょうどいい。信じられないことは自分を信じるところから始まる。俺は諦めない」「怪我しましたけど、全治2カ月ということなのですぐに復活して強くなって帰ってきます。伸び代しかないぜ」と、折れない心を見せていた瀧澤。  本誌への新年の挨拶に、あらためて、「大晦日負けてしまいましたが、自分の足りないところや練習したいことも増え、良い経験になりました! 次戦、強くなって帰ってきます」と記している。“GPでもっとも成長した男”は、トップどころとの戦いを経て、さらなる飛躍を約束した。 [nextpage] 「次の時代を作らないと」圧勝を掲げた井上 「悔しいです」──試合後インタビューで最初に口にした言葉に、GPに賭けていた思いが滲み出た井上直樹。  6月の1回戦で「最速フィニッシュ」となる118秒TKOで石渡伸太郎に勝利した井上だが、右の拳を負傷。9月の2回戦の金太郎戦では右を温存した上での判定勝利も、その勝ち方に納得していなかった。  大晦日の準決勝と決勝で圧勝することを自らに課していた井上。試合前日の公開計量では、「次の時代を作っていかないといけないので、絶対に優勝する」と、珍しく強い気持ちを表に表していた。  その言葉通り、ハイペースで前へ、前へと先に詰めたのはリーチで優位なはずの井上だった。右のカーフキックを効かせて圧力をかけていく。  しかし、扇久保は前回の記事に記した通り、「一歩引いた距離、俺の『蹴りの距離』で戦うように設定していたので、井上選手のパンチは見えていて、当てられても良い打点では当たってなかった」と、空手出身の得意技であるオーソからの前足のジャブ代わりの左ミドルハイを含めた、蹴りの間合いで立ち会うことを決めていたため、井上は序盤から追い足を使うことになる。  扇久保のシングルレッグを押し倒す形で上を取った井上。足関節狙いからディープハーフガードで腹に頭をつける扇久保に対し、井上はヒジを連打。しかし凌いだ扇久保の蹴り上げに立たれている。1R後半のシングルレッグも切ってバックテイク。しかし、井上が得意とするリアネイキドチョークは、扇久保にとっても得意技。その防御方法は熟知しており、残り時間を計算しながら無理に動かず防御に徹した。  2Rも、序盤は井上のポジションだった。しかし、ここで扇久保は井上に消耗を感じていたという。  ワンツーからの右ヒザを突いて近い距離になった井上は四つに組んでクラッチを取ると、サバ折り気味にテイクダウン。今度は脇差しから腰を切ってパスガードし、サイド、マウントまで奪っている。  ここでパウンドを受けた扇久保だが、ハイマウント気味になったところで井上が扇久保の首下に固定した左腕を、扇久保は「右脇下にオープンフィンガーグローブごと挟んで」巻き込み亀に。井上が両足はフックしながらも下になった際で、扇久保は背中を見せる回り方で正対。そこでもバックについて行こうとする井上だが、扇久保は井上の左足の踵をアンクルピックで持ち上げ、井上のバックを阻止している。 「1R目より息遣いが荒く、(差し込んできた)足の力が弱くなっているなと感じ、ここでスクランブルだと思った」扇久保が上を取ることに成功。左で脇を差しながら、大きく右足を踏み出して片足をパス。ハーフから右で枕に巻き、右脇に頭を突っ込んで背中ごしにクラッチ。この扇久保の盤石の形が、井上のスタミナ削った。  背中を着かされながら懸命に腰を切ってフルガードに戻してから這うようにして身体を伸ばしてスペースを作り、立ち上がろうとした井上。ここでがぶりから引き落とし、一気にバックを奪った扇久保は、中腰で前に落とそうとする井上に落とされることなく潰して、リアネイキドチョーク。ニアフィニッシュの場面を作っている。 [nextpage] 勝って力を証明して、世界レベルでありたかった  このがぶりからのバックコントロールは、4点ヒザもあるRIZINルールでの扇久保の真骨頂だった。  相手の立ち際をがぶり、引き落とし、バックテイクから背中に乗っても落とされないように脇下でクラッチ、ネルソンで引き込み、シングルバックから手前の足を内側からからめて、相手が腰をずらしてきても上かバックを取り続ける。決して手足が長くない扇久保流のMMAチェーンレスリングに井上はハマってていた。  陣営によれば、2Rに左の薬指が外れた井上は、ゴング後に自ら「入れ直して」3Rに向かっている。  最終回。井上の間合いに入っていったのは扇久保。ジャブ、カーフを受けながらも、テイクダウンプレッシャーが生きており、片ヒザを着いたシングルレッグから、長い長いMMAレスリングを仕掛けている。シングルレッグから四つ組み、少し離れてもすぐにダブルレッグ、尻下でのクラッチを剥がされてもワンツーで前に出て、しつこくダブルレッグ。さらに脇下を潜ってボディロックから、ついに後方にテイクダウンを決めた。  この地味ながら熱の入る攻防に、場内から大きな大きな拍手が送られている。  ここでもバックを奪った扇久保。バックコントロールで終わらずチョークを狙ったところで、ゴング。判定は2R以降を制した扇久保の判定勝利となった。 「まあ、そうくるだろうなぁと思ってたのが来た……」と想定していた組みで削られた井上。今回のGPに向け、扇久保同様に肋骨を傷め、スパーリングが出来ない時期もあったが、後半に失速したことについては、「いや、まあ、全然練習不足だなという風に思います」と、言い訳をすることなく言葉少なに語った。  井上にとっては、またも過去の敗戦と同じく「寝技巧者」であることでグラウンドの展開が多くなるも序盤のチャンスを極め切れず。寝技につきあったというよりもそこに引きずり込んだ扇久保につきあわされる形となった。  試合後、「ずっと勝ってきて、ここで負けてしまったんで、もう、全然、ほんとうにいちから練習を見直して頑張らないといけないなと思います」と、淡々と語った井上は、バンタム級トーナメントについて、「やっぱり自分の力を証明して勝って、ほんとうに世界に行けるぐらいのレベルでありたかったんですけど……負けちゃったんで、また頑張るだけです」と前を向いた。  RIZINバンタム級ジャパンGPベスト4が、井上直樹の現在地だ。  大晦日の試合後、「セコンドの方々、応援してくれてるスポンサー様やファンの方々に情けない姿を見せてしまってすみません。悔しいですが自分の方が弱くて扇久保選手が強かったそれだけです、またいちから頑張るので成長する姿を見届けて貰えたらと思います」とツイートし、年明けに「過去は何も変わらないのでこれからを生きていきたいと思います。今年もよろしくお願い致します」と綴った。  24歳、GP最年少で大晦日に進んだ井上は、2022年、「未来を変えるために」北米での練習も視野に入れる。 [nextpage] 仕事をしている皆さんと一緒です(扇久保)  朝倉海が自ら振った左でバランスを崩して倒れ、最後のゴングが鳴らされたとき、扇久保は勝利を確信したという。  6カ月という短いスパンだったバンタム級GP。トーナメント戦は、試合の予定が立てられるものの、怪我があったとしても延期は困難だ。短い期間での連戦は、減量による内臓へのダメージも危惧される。また、ファイナルの1日2試合は、「イコールコンディション」という競技の前提を満たさない。大きなダメージの残る負傷は、結果的にトップ選手の次戦のスケジュールにも影響を及ぼす。  海外にもMMAのワンデートーナメント自体はあるが、アスレチックコミッション管轄下では、1日の総ラウンド数が限定されていたり、各ラウンドの試合時間が限定されることが多いのが現状だ。また1Rの試合時間が短縮されたり、1Rで試合の勝敗をつけることは、MMAの醍醐味が失われる可能性がある。  ファイターはGPの過酷さと、得るものを天秤にかけて、覚悟を決めて試合に向かっていた。  もっとも長い一日を勝ち抜いた優勝者は、「もう2度とワンデーの2試合はやらない。精神的にも肉体的にも疲弊した。鼻もおかしいし頭も痛いし、ちょっと休みたい」と苦笑しながらも、特別な一日を「みんなと一緒」だと評した。 「みんなと一緒ですよと。皆さんにとっての仕事が、僕の練習や試合ですけど、今日も行きたくないなと思うし、会社務めの人のプレゼンで緊張するな、嫌だなと思うように、僕も頑張ってやってる、一緒ですよ、同じなんです」  日々を一生懸命、生きること。ほんとうに望むことを諦めないこと。 「あの日は世界で一番、運が良かった。去年の8月(朝倉海に1R TKO負け)はマジで消えてなくなりたかったけど、あそこで格闘技を辞めようと思ったけど、諦めなくて良かった。こういう風になるとは1ミリも想像できなかったけど、目の前のことを一生懸命やっていれば、結果は出るんだと。絶望だったけど、最後は喜びに変えられて良かったと思います。人生って面白い。諦めずに続けて行けばいいことあるんだなって。煉獄さんも『悲しんでいても時間は止まってくれない。心を燃やせ』と言っていますし」と、最後は大きな笑顔を見せている。  勝利者インタビューでYouTubeの「おぎちゃんねる」をアピールしなかったことを後悔している扇久保だが、「大晦日、生放送で勝ってますから、普通に7万人くらいは……」と期待。しかし、7日現在、チャンネル登録者数は、2万9千人。34歳にしてまだまだ伸びしろを持つGP王者は、2022年、世界へのリベンジも見据えている。
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