「勝負論ある試合」をやり続けた1年、「大晦日」に浮かれ気分はない
朝倉とは、会見後の撮影で対峙したとき「雰囲気が変わった」と感じたという。朝倉はフェイスオフ後、「お願いします」と小さく会釈をした。
「優しくなったように感じました。本心がどうかは分かりませんが、試合ができる喜びのようなものを感じました」と、再戦を実現させた朝倉の表情の変化を語る。そのとき、斎藤は「僕の感情? 僕は相手どうこうで変わりません」と、一つの試合として、いつも通り、勝負に臨むとした。
RIZINのフェザー戦線を盛り上げてきた自負もある。摩嶋一整、朝倉未来、ヴガール・ケラモフ、牛久絢太郎を相手に「1人フェザー級GP」とも呼ばれる戦いを続けてきた。そのどれもが「66kg」契約試合だった。
「自負はあります。前提としてまずは朝倉未来選手が勝ち続けたということがあると思うんですけど、66kgという階級がどんどん試合をしていかないとすぐに入れ替わる──ほかの階級でもい試合があれば、すぐに話題を持っていかれるので、戦い続けなければいけないし、やっぱり勝負論のある試合をやり続けることが大事かなと思います。それをやり続けた1年だったと思います」と、フェザー級で「勝負論のある戦い」を選択してきた思いを語り、「この試合もそのひとつになるか」と問われ、「間違いなく」と、RIZINフェザー級を確立させる厳しい戦いになるとした。
大晦日は初出場となる。
地上波での生中継の可能性もある注目の再戦にも、「去年は11月の試合で怪我をしてしまったので、ご縁がなかったなと思いますけど、今回はいろんなことが巡り合って参戦することになって、あんまり浮かれ気分はないですね。試合は変わらず試合なので。ひとつの勝負として負けられない気持ちが強いです」と、“お祭り”ムードとは一線を画している。
「前戦から試合も積んで、練習も続けているので、技術的にも精神的にも一回り成長したと思っています。精神的には、こういうRIZINのような人前に出る機会がさらに増えたので、6月のドーム大会や、10月の防衛戦とか大舞台とか、注目される試合でも、そこまで神経質にならなくなりました。その都度、いろんな状況やいろんな場面で試合をすることがあって、様々な意味で成長したと思います」と、大一番ばかりを戦ってきた落ち着きを成長ととらえている。
自身の変化のほかに、周囲の状況も変化しているという。
「周囲の人たちの見る目が変わった気がします。いろんなことを言われることが多くなりました。試合や生活について。試合毎に注目度を感じます」
その注目の再戦に向け、朝倉は、「無事に帰るつもりはない」と不退転の決意を語った。
2022年、新年の予定を聞かれた斎藤は、「怪我なく帰って来れたらいいなと思っていますけど、病院通いになる気もするので、寝正月みたいな形になると思います。まあ、クリスマスと正月を、試合が終わったら取り返したい」と“大晦日”の覚悟を語っている。
2021年を「嵐」と表現した斎藤。大晦日、嵐の夜に、最後にリングに立っているのは、斎藤か朝倉か。