MMA
インタビュー

【RIZIN】斎藤裕、朝倉未来は「優しくなったように感じた」「傷口? 当然、狙ってくる」「66kgで勝負論のある試合をやり続けることが大事」

2021/12/22 18:12
 2021年12月31日にさいたまスーパーアリーナで開催される『Yogibo presents RIZIN.33』で、朝倉未来(トライフォース赤坂)との約1年1カ月ぶりの再戦(66kg契約)に臨む斎藤裕(パラエストラ小岩)が22日、CAVEで公開練習を行った。  前日の公開練習で朝倉が30秒のシャードーを行ったのは「見ていない」という斎藤だが、CAVEの石渡伸太郎塾長が持つミットに、普段とは異なるサウスポー構えで左右のパンチを打ち込んだ。 「最近はサウスポーでも練習しています。作戦はあまり言えないですけど、(サウスポー構えも)あるかもしれないですね」と含み笑顔の斎藤は、試合まで9日のコンディションを「良好です。減量も特に変わらず。現在72kgで問題なくきています」と語る。  10月24日のRIZINでフェザー級王座をかけて牛久絢太郎と対戦。2R、跳びヒザ蹴りを受けて、右まぶたをカットし、ドクターストップでベルトを手放した。  気になる傷口の回復具合は、「会見以降、悪化はしていないです」という。本格的なコンタクト練習は、試合から1カ月後くらいに再開し、「あまり骨と骨がぶつかるようなことがあると切れるかもしれないので、練習相手の方にも気を付けていただきました」と練習状況を語る。 傷口? 当然、狙ってくると思っています  対戦相手の朝倉未来は、11月20日に配信されたABEMA『朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円』後に、「左ヒザの半月板がズレた」ことを明かしており、現在は「もう治っているので大丈夫です」と完治をアピールした。  21日の公開練習で朝倉は、斎藤の右まぶたの怪我について「顔を狙うスポーツなので当たっちゃったら、当たっちゃったで切れたら切れたでしょうがない。それはあっちも覚悟で出ていると思うので、(傷口を)狙えるものなら狙いたい」と発言しているが、斎藤は、「試合では当然、狙うものだと思っています」と織り込み済みだという。  公開練習では簡単なシャドーのみとし、完治したという朝倉の左ヒザについて、斎藤は「足は回復したんですか?(「治った」と)そうですか、良かったですね。試合をやってみないとどういう状況か分からないですけど。走れるならいいんじゃないですかね」といい、朝倉同様に負傷箇所を狙うかと問われ、「怪我している箇所を狙うか、ということですか? 普通に(朝倉は足を)使えるものだと思っているので、あまり気にしないですね」と、朝倉の怪我自体を鵜呑みにせず、万全の状態を想定しているとした。  朝倉がフィジカルを強化していることについても「フィジカルトレーニングやって、どこまで格闘技にフォーカスできているかは、実際に組んでみないと分からないですけど、身体を見て、パワー自体はついているような気がします」と印象を語る。  それは、10月の「RIZIN LANDMARK vol.1」での朝倉未来vs.萩原京平戦を解説として間近で見たことが大きいという。 「あの試合に関して言うと、朝倉選手が自分からテイクダウンのアプローチをして、グラウンドコントロールをした。終始そういう内容だったと思うんですけど、こういう動き方をするんだなと。組み技・寝技も多かったので、あまり言えませんが、近くで見ていて気付きはありました。収穫でした。映像と実際見るのとでは全然、違いますからね。息遣いとかも聞こえていたので、身体のハリとかも自分の目で見れたことは大きいと思います」 [nextpage] どれだけ自分のやりたい展開にもっていけるか  1年1カ月ぶりの再戦。進化した部分、変わらない部分がそれぞれにある。  前戦では、朝倉が得意とする前手でのフックに、斎藤はその内側を突く左を当て、サウスポー相手にオーソから右の蹴りもヒット。朝倉の左の蹴りには、蹴り足を掴んでのニータップのテイクダウンを決めている。  最終ラウンドは、朝倉からのシングルレッグからの打撃、朝倉がカウンターの左でフラッシュダウンを奪い、すぐに立ち上がった斎藤も右を返した死闘となった。  試合展開について、「早く終わってほしいですけどね、傷のこともあるので」と、長期戦で傷口が開くことを危惧する斎藤だが、「展開は何とも言えないですけど、僕の攻め方はいろいろ用意していますので、楽しみに見てもらえたらと思います」と、新たな引き出しも示唆する。  試合の肝は「どれだけ自分のやりたい展開にもっていけるか」だという。 「互いに作戦を用意して、お互いにやりたいことをどうやって出来るか、主導権争いも含めて、早くに主導権を握った方が有利になっていくと思います。互いに自分のやりたいことがあった上で、攻防になる、そこの戦いになると思います。(相当な神経戦に?)はい、覚悟しています」と、先に主導権争いを制したものが、ペースを握るとした。  朝倉のテイクダウンも想定済みで、萩原戦で見せたニータップも「大丈夫です」。「組み・打撃」でどちらかと言えば、「打撃戦になりそうな気がしますね」と語る。 牛久戦に続いての対サウスポーになるが、「結構、最近、サウスポー相手が多いんですけど、同じサウスポーでも牛久選手と朝倉選手とではタイプや、距離感とか微妙に違うのであまり気にしていないです。いろんなタイプの選手と練習してきました」という。 [nextpage] 「勝負論ある試合」をやり続けた1年、「大晦日」に浮かれ気分はない  朝倉とは、会見後の撮影で対峙したとき「雰囲気が変わった」と感じたという。朝倉はフェイスオフ後、「お願いします」と小さく会釈をした。 「優しくなったように感じました。本心がどうかは分かりませんが、試合ができる喜びのようなものを感じました」と、再戦を実現させた朝倉の表情の変化を語る。そのとき、斎藤は「僕の感情? 僕は相手どうこうで変わりません」と、一つの試合として、いつも通り、勝負に臨むとした。  RIZINのフェザー戦線を盛り上げてきた自負もある。摩嶋一整、朝倉未来、ヴガール・ケラモフ、牛久絢太郎を相手に「1人フェザー級GP」とも呼ばれる戦いを続けてきた。そのどれもが「66kg」契約試合だった。 「自負はあります。前提としてまずは朝倉未来選手が勝ち続けたということがあると思うんですけど、66kgという階級がどんどん試合をしていかないとすぐに入れ替わる──ほかの階級でもい試合があれば、すぐに話題を持っていかれるので、戦い続けなければいけないし、やっぱり勝負論のある試合をやり続けることが大事かなと思います。それをやり続けた1年だったと思います」と、フェザー級で「勝負論のある戦い」を選択してきた思いを語り、「この試合もそのひとつになるか」と問われ、「間違いなく」と、RIZINフェザー級を確立させる厳しい戦いになるとした。  大晦日は初出場となる。  地上波での生中継の可能性もある注目の再戦にも、「去年は11月の試合で怪我をしてしまったので、ご縁がなかったなと思いますけど、今回はいろんなことが巡り合って参戦することになって、あんまり浮かれ気分はないですね。試合は変わらず試合なので。ひとつの勝負として負けられない気持ちが強いです」と、“お祭り”ムードとは一線を画している。 「前戦から試合も積んで、練習も続けているので、技術的にも精神的にも一回り成長したと思っています。精神的には、こういうRIZINのような人前に出る機会がさらに増えたので、6月のドーム大会や、10月の防衛戦とか大舞台とか、注目される試合でも、そこまで神経質にならなくなりました。その都度、いろんな状況やいろんな場面で試合をすることがあって、様々な意味で成長したと思います」と、大一番ばかりを戦ってきた落ち着きを成長ととらえている。  自身の変化のほかに、周囲の状況も変化しているという。 「周囲の人たちの見る目が変わった気がします。いろんなことを言われることが多くなりました。試合や生活について。試合毎に注目度を感じます」  その注目の再戦に向け、朝倉は、「無事に帰るつもりはない」と不退転の決意を語った。  2022年、新年の予定を聞かれた斎藤は、「怪我なく帰って来れたらいいなと思っていますけど、病院通いになる気もするので、寝正月みたいな形になると思います。まあ、クリスマスと正月を、試合が終わったら取り返したい」と“大晦日”の覚悟を語っている。  2021年を「嵐」と表現した斎藤。大晦日、嵐の夜に、最後にリングに立っているのは、斎藤か朝倉か。 [nextpage] 悪夢はずっと見ている 公開練習後の「17LIVE」視聴者との一問一答は以下の通り。 ──好きな言葉は? 「うーん、出てこないですね」 ──昨日、朝倉未来選手は「金」と言っていました。 「じゃあ僕も“金“”にします(笑)」 ──試合後のルタオ(チーズケーキ)のストックは? 「特にストックはしていないですけど、7個は食べたいですね。1日で。ドゥーブルフロマージュ? 押上の地下で売ってますね。クリスマスシーズンだからじゃないですか。いまは買わず我慢しています」 ──今年を漢字1文字で言うと? 「なんだろうな……嵐!」 ──悪夢を見るそうですが? 「悪夢はずっと見ていますよ。なぜか。今日は、高い山から土砂災害の夢を見ました。小さいときからで、秋田のときもこっちに来てからも。なんか睡眠の原因があるのかもしれないですね。診てもらいたいなと思うくらいです。試合とは関係なく、普段からずっと見続けているので、それで枕を変えたりしているんですけど、あまりいいことはないですね」 ──勝利後に食べたいものは? 「いっぱいあり過ぎて……やっぱりすっぽんですね。それとラーメンを食べます」 ──気持ちの切り替えにどのくらいかかりますか。 「どのくらいだろう……一晩では足りないくらいですね」──勝利後、何をしたい? 「勝利後、旅をしたいですね。まったく計画を立てずに1週間くらい旅をしたいです」 ──秋田に帰省は? 「秋田は、YouTubeチャンネルで何か企画をやりに行くかもしれないです。秋田で爆買いするかもしれません」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント