朝倉海とは「前回とは違う戦いになる」
決勝の相手は「朝倉選手が上がって来る」と予想している扇久保。
2020年8月の「RIZINバンタム級王座決定戦」では、右アッパーを効かされ、左ヒザでダウン。続くサッカーキックで1R 4分31秒、TKO負けを喫した。
1年4カ月前の敗戦を「ベルトが取れなかった試合。朝倉海選手とはお互い決勝で当たれればいいなと思います。そうなれば、前回とは違う戦いになると思います」と、会場のメインの空気のなか、直前にゲームプランを変えたことで悔いを残した前戦を払拭したいと語る。
今回も準決勝を勝ち上がれば、メインイベントクラスでの戦いとなり、大晦日、地上波での生中継の可能性もある。
扇久保は「それはもうめちゃめちゃやる気になりますね」とモチベーションが高まるとしながらも、試合では「生放送とかにとらわれることなく、15年間やってきた総合格闘技を見せたいと思います」と「打・投・極・根性」を掲げる自分らしい戦いを見せたいとした。
ペティスはうまく5R用の戦い方をした。堀口は──
その先には、5年前に果たせなかった海外再挑戦の目標もある。
「ここ2年くらいずっと日本人と戦ってきたので、来年こそは強い外国人選手と戦って結果を残したいです。Bellatorなら、フライが無いのでバンタムで」と、怪物ぞろいのBellatorバンタム級戦線への挑戦も視野に入れる。
その頂きの試合では、かつて扇久保がRIZIN初参戦で戦った堀口恭司が12月3日の『Bellator 272』に出場。Bellator王者のセルジオ・ペティスに4R KO負けを喫した。
扇久保は、「堀口選手、すこし動きが落ちていたなと思います。やっぱり瞬発力、ステップとかが前みたいには踏めていないなと見ていて思いました」と、挑戦者の右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷からの復帰第2戦を語り、初防衛に成功したペティスについては、「うまく5R用の戦い方をしているなと思いました。戦ってみたいです」と、チャンピオンシップラウンドに勝機を掴んだ王者と拳を交えてみたいとした。
いろいろ掴み損ねたけど、諦めずに挑戦し続ければ必ず報われる
今大会前に、自身が作詞した『いくつもの河をこえて』をYouTubeで公開した。“多くの選択のなかで、それでも次のページに何があるかを見たい、本当の幸せはこれから作るんだと”決意を表す言葉が並ぶ。
「34年生きて来た。自分はこういう人間だということが凝縮された歌だと思います。いろいろと掴み損ねたことがたくさんあったんですけど、諦めずに挑戦し続ければ、必ず報われるんだ、ということを──応援してくれる人たちのなかにもそういう人たちいっぱいいると思うので──そういう人たちを勇気づけたいですね。再生回数がどうとかいやらしい話ではなくて、聞いて大晦日の試合を見ていただけると感情移入できるんじゃないかと」と、歌に込めた思いも語る。
16名参加のGPを勝ち残ったベスト4のなかで、唯一の30代で30戦超えの扇久保は、最後に「やっぱり、いろいろ経験してきたけど、ここでしっかり栄光を掴み取りたい。ほんとうに、大晦日でどうなってもいいと思っています。大晦日、最高の試合をするので応援、よろしくお願い致します」と、不撓不屈の覚悟を語った。