試合前の青タンは打撃特訓の成果だというレスリング出身のはなこ(C)ゴング格闘技
2021年12月11日(土)東京竹芝・ニューピアホールにて開催される「skyticket Presents DEEP JEWELS 35」で、女子レスリング界からエリートレスラーの澤葉菜子こと「はなこ」が参戦する。
はなこは、レスリングの名門、愛知・至学館高出身で、2016年世界カデット選手権フリースタイル56kg級優勝、2018年世界ジュニア選手権57kg級優勝、2019年&2020年全日本選手権同級3位の澤葉菜子(22)が、パンクラス大阪稲垣組所属のはなことしてMMAデビューが決定。柔道ベースでデビューから2連勝中の加賀谷花野(柔術&MMAアカデミーG-face)と対戦する。
▼DEEP JEWELSフライ級 5分2R
加賀谷花野(柔術&MMAアカデミーG-face)
はなこ(パンクラス大阪稲垣組)
リオ五輪銀の樋口黎らを輩出したキッズ・レスリングの名門・大阪府吹田市民レスリング教室出身のはなこは、至学館に進み、インターハイ優勝、2020年ロシア・ヤリギン国際大会フリースタイル57kg級では銀メダルを獲得するなど粘り強いシングルレッグなどを武器にトップ戦線で活躍。今回のMMAデビューにあたり、パンクラス大阪稲垣組に所属し、DEEP JEWELSフライ級(-56.7kg)でトップを目指す。
対する加賀谷は、柔道でインターハイベスト16の実績を持つ。2019年12月のMMAデビュー戦では元大阪府警の上田真央との柔道家対決をスプリット判定で勝利すると、2021年7月にはSMOKER GYMの腰の強いストライカー栗山葵相手にギロチンチョークで一本勝ちするなど、極めの強さも見せている。
互いのベースはレスリング対柔道だが、ひと足早くMMAで2連勝している加賀谷が経験の差を見せるか。それともワールドクラスのレスラーはなこがMMAでもポテンシャルの高さを披露することができるか。2022年に開催予定のフライ級GP(トーナメント)に向けて、注目の一戦だ。
計量後のはなこにMMA(総合格闘技)を始めたきっかけを聞くと、RIZINでの女子選手の活躍を見て、興味を持ったという。
「テレビでRIZINとかで村田夏南子さんらの姿を見て、自分はレスリングで五輪は目指せなかったですが、でも格闘技はやりたくて、何でもできる総合格闘技をやりたいと思いました」
至学館の指導陣と稲垣組との繋がりから、「大学4年の夏休みから帰省したときに総合の練習を始めました」というはなこは、当初はレスリングと“何でもあり”のMMAとの違いに戸惑ったと語る。
「似ているところは似ているんですけど、違うところは全然違う、レスリングは打撃も極めもないので、いざ始めたらそういうところが難しくて、構えから何から変わってきます」
計量では、左目に青タンを抱えたままスケールに乗って、56.7kgでパスした(※1回目57.95kgの加賀谷は2回目で57.05kg)。初めて取り組む打撃は、「最初の頃はビビってたんですけど、いまはブツかっても前に出るようになりましたし、同じ体重の男子選手とも組んで練習してきました」と笑顔を見せる。
レスリングでは、片足タックルからのローリングが得意技だった。そのシングルレッグはMMAでも活きている。
「片足タックルの粘り強さ、そしてスタミナにも自信はあります。シングルレッグからのローリングへの繋ぎが得意でした。それをMMAにアジャストして、レスリングの寝技を活かしつつ極められるようにやってきました。相手はギロチンチョークも得意なので、やたらに突っ込んだら極められるので、そこもちゃんと考えながら組み立てていきたいです。柔道の投げもある程度切れると思います」と、加賀谷の得意技や、引手・釣り手の柔道の投げや足技も警戒して戦うとした。
「デビュー戦なので印象に残る、思い切りのいい戦い方をしたい」というはなこは、MMAデビュー戦でどんなインパクトを残せるか。
◆稲垣克臣代表「試合に向かう度胸がある」
「彼女はやはり組みが強いのでそれを活かせればいいと思います。いままで国際試合も経験しているので試合に向かう度胸もあります」