キックボクシング
インタビュー

【ONE】秋元皓貴、“中国最強”ジェンリャンを降し4連勝で王座戦へ「挑戦者として、もう誰も文句を言えない」

2021/12/05 19:12
 2021年12月3日にシンガポール・インドアスタジアムで開催された「ONE: Winter Warriors」にて、キックボクシングのバンタム級戦に出場し、“中国最強”の呼び声高いチュー・ジェンリャンに判定3-0勝利。見事4連勝をマークし、ベルトに王手をかけた秋元皓貴の一夜明けインタビューが主催者より届いた。  ディラン・サルバドール、ケム・シッソーンピーノン、イリアス・ブライド、ジョムトーン・チュワタナ、モサブ・アムラーニ、サゲッダーオ・ペットパヤタイといった世界に名だたる強豪たちに勝利するなど、17連勝中だったジェンリャンと対峙した秋元。  序盤からフルコンタクト空手出身らしいフィジカルの強さを発揮し、先に圧力をかけていったが、2R目には蹴りにジェンリャンがカウンターの足払いを仕掛けられ、何度かこかされた。  秋元は「1Rが結構良かったので、2Rで倒しに行ってやりたいっていうのがありました。だから、攻撃が大雑把になったところで足払いをされちゃったかなと思います」と課題を語る。  一方で、ジェンリャンが「軸足払い」でこかしに来たことは、秋元にとって「ラッキーだった」ともいう。 「(こかされて)蹴りのタイミングは結構バレちゃったかな、と思いましたね。でも結局、その蹴りに合わせてパンチだったりとか蹴りじゃなくて、全部足払いを合わせに来たので、それが逆に僕としてはラッキーだったのかなって思います」  3Rは右ミドルで先制した秋元が、前手の左フックをヒット、さらに近距離から強烈な右ストレートを打ち抜いている。 「思っていたよりも、パンチでガンガンくる感じじゃなかったですね。結構蹴りを出してきたなって。でも、蹴り終わりが雑というか、甘いな、とすぐに感じて、蹴りが来た後の返しをコンビネーションでまとめるというのを意識してやっていました」と、秋元も相手の癖を読み抜いて、蹴り終わりを狙っていたことを明かした。  試合は判定3-0で勝利。いよいよ現王者のカピタン・ペッティンディーアカデミーが持つベルトに手がかかった。 「挑戦者としては、もう誰も文句言えないと思います。この試合は、世界でも評価されている選手が相手だったので、かなり大きく変わるんじゃないかなって思います」──世界的な強豪を降した秋元の次戦に注目だ。 [nextpage] 秋元「自分がやってきたことは裏切らない」──自分を信じて、家族やチームを信じて、突き詰めることが大事 ──前回の試合よりもさらにパワーのある打撃に見えました。そのパワーは、バンタム級に上げたからですか? それともこの試合に向けてパワー系の練習を積んできたのでしょうか。 「パワーがついてきている実感はありました。この試合に向けてというより、常にもっと強く、もっと重くという意識でトレーニングしていたので、それが出たのかなと思います」──下馬評では、チュー・ジェンリャンの評価が大きく彼への勝利予想すらありました。そういったことは、正直なところさらにこの試合へのモチベーションに繋がりましたか。 「見返してやらなきゃいけないっていうのはすごい思いましたし、実際やってみないとどんだけ強いのかは分からないので、不安に思う分、トレーニングを頑張れたのかなと思います」 ──ラウンド間の表情がとても落ち着いていていました。コーチとはどんな会話がありましたか? 「インターバルでは、コーチの言っていることを聞いて、どういう風に次は組み立てるかを考えていました。普段の練習だったり、練習のインターバルと変わらないような感じでいたと思います。コーチから『いいぞ、いいぞ、このままでいけるぞ』って声をかけてもらったのと、『トレーニングでずっと積み上げてきたコンビネーションを出していこう』という話をしていました」 ──チュー・ジェンリャンはこれまでの対戦相手と比べて何が違いましたか。 「僕のレベルもかなり上がっているので何とも言えないですが、正直なところ、強い選手ではありましたが、特別に強いっていう感覚はなかったですね。僕のレベルの上がり方が急激に伸びているのもあるのですが、ジャン・チェンロンとの1回目の試合が、ONEの中では一番ハードだったかなと思います」──チェンロンとの2度の試合が秋元選手を成長させたと。今回のジェンリャン戦は試合は思い描いていた展開でしたか 「(プラン通り)できた部分もありますけど、練習してきたこと、トレーニングでやってきたことの30%くらいしか出せなかったですね」 ──今後の課題については。 「課題は、攻撃が単発になってしまったりとか、コンビネーションの数が練習していたものよりもボリュームが少なくなってしまったというのがあるので、トレーニングでやっていることを、そのまま試合に活かせるようにしっかり調整しないといけないなと思いました」 ──チュー・ジェンリャンは何度も足払いでこかしてきました。影響はどれだけありましたか。 「2Rは特に足払いをされたんですけど、1Rは完全に(自分が)取ったなという感じがして、2Rは自分の印象としては取られたなって思っていましたね。かなり印象が悪かったかなって思っていましたが、(試合後に)映像を見返してみると、2Rも自分が取っていたんじゃないかなって思いました。実際よりも(試合中は)やられている気持ちはありました。  1Rが結構良かったので、2Rで倒しに行ってやりたいっていうのがありました。だから、攻撃が大雑把になったところで足払いをされちゃったかなと思います。2R目は反省することが多かったかなと思います」 ──1Rを終えて、チュー・ジェンリャンは秋元選手の動きのタイミングや癖を掴みかけたように見えました。 「蹴りのタイミングは結構バレちゃったかな、と思いましたね。結局、その蹴りに合わせてパンチだったりとか蹴りじゃなくて、全部足払いを合わせて来たので、逆に僕としてはラッキーだったのかなって思います」 ──ONEのジャッジの傾向を考えると、カウンターの足払いよりもパンチや蹴りを合わせに来られたら厳しかったかもしれないと。逆に、チュー・ジェンリャン選手の癖やパターンはどう見ていましたか。 「自分が思っていたよりも、パンチでガンガンくる感じじゃなかったですね。結構蹴りを出してきたなっていう印象がありました。蹴り終わりが雑というか、甘いな、とすぐに感じて、蹴りが来た後の返しをコンビネーションでまとめるというのは結構意識してやっていました」 ──最初の2Rを戦って、最後の3Rに入る前に何か調整したことはありますか。 「蹴りへの繋ぎ方を工夫しないといけないなって思って、ちょっと早めに位置をずらしたりとかは意識していました」 ──リングアナウンサーのドミニク・ラウが勝利コールをする前から、この試合の勝利を確信していましたか。 「はい、そうですね。自分の中では2Rはちょっと微妙かなと思っていましたが、1、3Rは自分が確実に取ったなという印象がありました。スプリットだったら分からないなと思っていましたが、3人とも(ユナニマス)って聞こえた瞬間に、勝ったなと思いましたね」 ──実力者、ジェンリャンに競り勝った。この試合の勝利の鍵は何だったと思いますか。 「ローキックだったんじゃないかなと思いますね。特に奥足へのローキックは大きいのかなと思います。1Rはローキックで行きたいと思っていたので、それが結果として(いい方向に)出たのかなと思います」 ──試合に向けての戦略はどのようなものでしたか。そして試合中に何か変更したことはありましたか。 「ローキックを効かせて、もうちょっと嫌がってくれるかなって思ったんですけど、意外と打たれ強かった。ローキックが決め手にはなったとは思いますが、崩し切れなかったですね。ローキックで足に意識を持っていって、上とかボディとか中に散らす感じでやっていましたね」 ──秋元選手は、現在3位コンテンダー。そしてこのデビュー戦に大きな期待のあったチュー・ジェンリャンを倒しました。ここで証明できたこと、そしてご自身が次のタイトル挑戦者に相応しいと思いますか。 「そうですね。挑戦者としては、もう誰も文句言えないと思います」 ──この試合に勝利して、ファンからの注目、リスペクト、期待がより高まったと思いますか。 「この試合は、世界でも評価されている選手が相手だったので、かなり大きく変わるんじゃないかなって思います」 ──試合後、ご家族やご両親とはどんなお話をしましたか。 「奥さんはいつも祝福の言葉をかけてくれます。両親には毎回ダメ出しされるっていうのがあるのですが、自分でも思いますけど、どんどん成長していて、試合ごとにどんどん成長していると。そういう言葉を両親だけでなく、七州会の空手の先生だったり、色々な人からかけていただき評価していただいたなって思います」 ──「ONEが世界で一番の舞台だと思っている」と何度も口にしている秋元選手ですが、今回の試合を、日本の若い選手たちも注目していたと思います。世界を目指す年下の選手たちに送る言葉はありますか。 「“自分がやってきたことは裏切らないな”っていうのは感じるので、自分を信じて、そして家族やチームを信じて、突き詰めることが大切だと思います」 ──最後に、日本から応援してくださったファンの方々にメッセージをお願いします。 「本当にたくさんの応援をありがとうございました。これからもまた毎日、毎日、同じことの繰り返しですが、しっかり頑張って積み上げていって、さらに成長した姿を見せられればと思うので、期待して見てもらえたらと思います」
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