2021年12月3日(日本時間4日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナで開催される「Bellator 272: Pettis vs. Horiguchi」にて、RIZINバンタム級王者の堀口恭司(日本)の挑戦を受ける、Bellator世界バンタム級王者セルジオ・ペティス(米国)が2日、メディアインタビューに応じた。
初防衛戦に向けセルジオは、今回コーナーマンとして帯同した平本蓮との練習について、「本当に細かいところまでよく見てくれていて、このファイトキャンプで学んだことを見せるのが楽しみ」と語り、RIZIN王者にして挑戦者の堀口を「いままで戦った相手のトップ3に入る。ロブ・フォント、ヘンリー・セフードと、間違いなくホリグチ」と世界トップクラスの強豪としてとらえていることを語った。
なお、前日計量では、セルジオ・ペティスは134ポンド(60.78kg)、堀口恭司は134.5ポンド(61.0kg)でパス。フェイスオフ後のインタビューで堀口は自信を問われ、英語で「常にハードトレーニングをしているから」と答え、試合のポイントを「ベルトを取り戻すこと」と語っている。
同大会は、日本でもU-NEXTにて、12月4日(土)の朝9時からライブで配信される。【関連記事】堀口恭司「しっかりとベルトを取り返します」×マイク・ブラウン「真にキョージが世界的にリスペクトされる試合になる」
いま僕はノリに乗っている(セルジオ)
【写真】フェイスオフ後にセルジオは「タフな戦いのためだけにここに来た。今までで一番タフな戦いになるだろう。ホリグチのような男に勝つためには金曜の試合に出て、自分ができることをコントロールしなければならない。自分の感情をコントロールすること。その上で、僕たちは準備ができている。戦争になるだろうね」とコメント。
──セルジオ選手にはリーチアドバンテージ(身長168cm・リーチ175cm/堀口身長165cm・リーチ168cm)がありますが、スタンドでも勝てるところを見せるか、柔術を活かすために寝技に持ち込みますか。
「私の長所はスタンドです。どの局面でも準備はできているつもりです。リーチと打撃力の恩恵を受けることになるでしょう。この試合で私はそれを利用して実際にアウトサイドで戦い、ペースを支配することができます。無駄な動きや感情を出さないように戦います」
──新型コロナウイルスの影響で、合宿は普段とは異なりましたか。
「最初の頃に新型コロナウイルスの影響は受けましたが、今回のキャンプでチームはより強化されました。私はいくつかのことを経験しました。今回のキャンプでは、本当に良い助けがありました。平本蓮──彼は日本のK-1のキックボクサーで、本当に細かいところまでよく見てくれていて、このファイトキャンプで学んだことを見せるのが楽しみです」
──その一緒に練習した平本選手からの一番のアドバイスは何でしょうか。英会話能力が十分でない彼になぜコーナーに入るようリクエストしたのでしょうか。
「彼は偉大な戦略家です。毎日、私と一緒に練習をしてきました。この3カ月間彼は、私が今まで知っていたことの枠を超えたことを教えてくれました。そのスキルを発揮するのが楽しみです。そして、彼は私にたくさんの打撃面での良いアドバイスをしてくれましたし、素晴らしいパーソナリティを持っています。とても助けになっています」
──堀口選手を倒せば、日本でRIZINバンタム級王座も狙いたいですか。
「今の私にとって、Bellatorがホームであり、ここでベルトを手に入れたので、まずはそれを防衛することが目標です。今はまだ、その試合のことは考えていません。今週の金曜日に行われる堀口との試合に焦点を当てています。それを過ぎれば、何が起こるか分かるでしょう」
──あなたはこれまでUFCでブレンダ・モレノ、ヘンリー・セフード、ジェセフ・ベナビデスのようなスポーツ界のレジェンドと戦っています。この3人も含め、堀口選手をどのように位置づけますか?
「彼はトップ3に入ると思います。ロブ・フォント、ヘンリー・セフードと間違いなくホリグチ。戦えば本当の意味でのランク付けができるようになります」
──モヒガンサン・アリーナという馴染みのある場所で戦うことはあなたにとってアドバンテージになりますか。
「私はそのようなことは考えていません。結局のところ場所は重要ではないと思います。ただ、今、私はノリに乗っている感じです。28歳で4連勝で自分の可能性が見えてきました。最初の頃はそれが不足していました。自分を信じることができませんでした。自分のスキルセットを信じていませんでしたが、今では私のスキルセット 私のマインドセットはシャープで、すべてが一丸となっています。
いま私は、すべてのことを総合的に考えています。MMAだけでなく、私の人生でも、通常の生活でも。私は毎日ジムに通っていて、用事がない限り練習を休みません。ジムを留守にしていても、練習を続けています。何らかの有酸素運動を続け、より良いものを採り入れています。プロとして戦うようになって10年。もう11年目に入りますので、時間が私の味方をしてくれています」
──以前はハードなスパーリングをするジムが多かったですが、今はよりテクニカルな練習をするジムが増えています。身体のことも考えて、その傾向をどう感じますか。
「スパーリングでは、正直なところ、今でも私はタフな相手と戦います。私のジムでは、いつも厳しい人たちと対戦しています。ジムで戦争をしたいと思っています。人それぞれで、個人的には、私はまだ一生懸命やっています。もちろん技術的な面でも問題はありません」
──同じ週末にジョゼ・アルドとロブ・フォントが(UFCで)戦います。どう予想をしますか。
「興味深い試合です。ロブ・フォントは本当に良いボクシングを持っていて、とても長い距離で戦えます。対するアルドも伝説的な選手です。どっちに転んでもおかしくないけど、私はロブを応援しています」
──兄アンソニー・ペティスとはどのような練習をしてきましたか。
「正直に言うと、私とアンソニーはここ2、3年はあまり一緒に練習していません。彼は今ほとんどラスベガスを拠点にしているので。それにここでトレーニングをしているときは、彼は身体が大きいので一緒に練習ができないんです。私は本当に自分自身の努力を続けてきました。一緒に練習してきた仲間たち、クリスチャン・ロドリゲス、エマニュエル・サンチェス、レン・ヒラモト......このグループの方が理にかなっているんです」
──いまは若きアンジェロ・ペティスがルーファスポーツにいますね。
「アンジェロ・ペティスは獣ですね。彼はまだ18歳です。彼は初めてのアマチュアMMAの試合は、歩くように難なくこなしていました。絶対に注目すべき人物で、努力家で謙虚で、彼の将来に期待しています」
──フライ級からバンタム級に戻してからのご自身をどう感じていますか。
「125(ポンド=フライ級)で戦ったときは、確かに気持ちが脆くなっていました。135ポンドではメンタリティが大きく異なります。フライ級は私にとって厳しいものでした。125に減らすのは毎回、40ポンドの減量をして……それに当時の私は、それほど熱心ではありませんでした。
私はいま自分自身に真剣に取り組んでいます。以前はよく酒を飲み、よくタバコを吸っていました。まあ、今でもタバコを吸うことはありますが、お酒はそれほど飲みません。今はもっと真剣に自分と向き合っています。毎日、ジムに通っています。自分の時間だと思っています。
マーシャルアーツの側面から、私は努力を理解し、ベストになるために必要なものを理解しました。このスポーツの芸術性に惚れ込んで今年で10年を迎えましたが、プロの格闘家になって、本当にこのスポーツへの愛が大きくなりました。このスポーツは、私に美しいものを教えてくれました。MMAという素晴らしい旅をしています。 私は準備ができています。この瞬間のための準備ができています。私の人生の中で、キャリアの中で、私はマーシャルアーツへの愛を持って戦います」
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ホリグチはまさにキラーだし、レジェンドさ
直前会見で、初防衛戦を語ったセルジオ・ペティス。本誌『ゴング格闘技』NO.314号では、日本マット、堀口恭司についてもインタビューを行っている。今回は、王座戦決定前にセルジオが何を語っていたのか、特別に紹介したい。
──大晦日、堀口選手が朝倉海選手を倒し王座奪還した試合はご覧になりましたか。
「見たよ。ホリグチが同じ相手に以前に負けたことも知っていた。いや、ホリグチはまさにキラーだし、レジェンドさ。彼が以前に持っていたベルトを僕が獲った。だからベルトを獲ったときに対戦表明のいい機会だと思ったんだ」
──あなたと堀口選手は、同時期にUFCのフライ級で戦っていたこともありました。
「そう、彼はトップコンテンダー達と戦っていた。だからこの試合はどこかで実現するんじゃないかって」
──堀口選手を倒すための鍵は何でしょう?
「それはまず最高のコンディションで臨むこと。そして僕の動き、基本に磨きをかけ続けることだろうね……でもこうやって話すのは簡単だけど、いざ試合が始まったら、もうその場その場で対応してゆくと思う。そして僕のスキルや反応をもってすれば、ホリグチを倒すことができるはずだ」
──堀口選手は以前、当時のベラトールバンタム級王者のダリオン・コールドウェルと日米で二度に渡って戦いました。
「それも面白いよね。向こうが僕のBellatorのタイトルに挑戦して、僕が日本でRIZINのタイトルを獲りに行くとかね」
──あなたのお兄さんは以前日本で戦っていますが(12年2月、ジョー・ローゾンにハイキックからのパウンドで1R KO勝ち)、その時あなたは一緒でしたか。
「いや、一緒じゃなかったよ。だから日本には行ったことがないんだ。実は僕は北米以外では戦ったことがないんだ。アメリカやメキシコシティやカナダで戦ったことはあるけど、その他の場所で戦ったことはない。僕のキャリアの中で、今こそ世界で戦える時だと思っているよ。ずっと夢だったんだ。日本とか新しい場所の空気を経験し、人々の前でパフォーマンスするのがね!」
──日本のファンにメッセージを。
「僕の試合をまだ直接見たことのない日本のファン達へ。どうか楽しみにしていて欲しい。僕は今度もどんどん強くなってゆく。人間としてもマーシャルアーティストとしても。だからいつの日か皆さんの前で戦うときには、最高のショーをお見せするよ」