2021年12月3日(金)シンガポール・インドアスタジアムにて「ONE: WINTER WARRIORS」が開催される。
日本時間の午後9時30分から、ONE SUPPER APPおよびABEMA格闘チャンネルで中継される同大会では、第4試合に日本から秋元皓貴(Evolve)が参戦。
秋元は、小学2年時に空手を始め、2007年10月に15歳でプロデビュー。2008年8月の「K-1 甲子園 KING OF UNDER 18~FINAL16~」で江幡睦に判定勝ち。2011年7月に、19歳にして元ルンピニースタジアム認定二階級王者で現役ランカーのピンサヤーム・ソー.アムヌアイシリチョークに2RにKO勝ちを収めた。2012年10月の森井洋介戦では、5R判定勝ちでデビュー以来無敗のままWBCムエタイ日本フェザー級タイトルを獲得。
2014年からフルコンタクト空手に復帰し、2017年のJFKO第4回全日本フルコンタクト空手選手権軽量級で優勝。2018年8月にシンガポールのメガジム「Evolve MMA」のトライアウトを受けて合格。10月には日本から拠点を移し、2019年1月に約6年ぶりのキックボクシングの試合をONEで行って勝利するも3月のヨゼフ・ラシリ戦でプロ21戦目にして初黒星。しかし、その後はONEで3連勝している。
今大会ではONE初参戦のチュー・ジェンリャン(中国)と対戦。ジェンリャンは中国の国家ムエタイチームの一員として活躍。2013年中国ムエタイ選手権-75kg級で金メダルを獲得し、同年にプロデビュー。2014年WLF-65kg級インターコンチネンタル王者、2014年S-1“皇后杯”王者、2015年S-1“泰皇杯”王者、2016年WLF -67kg級世界カンフー王者、2017年GOH世界フェザー級王者、2019年ISKAスーパーフェザー級世界王者などに就いている中国のトップキックボクサーだ。日本にも2017年7月に『Krush』に来日し、小宮由紀博から判定勝ちを収めているほか、2018年1月には長島☆自演乙☆雄一郎にもTKO勝ちしている。
ディラン・サルバドール、ケム・シッソーンピーノン、イリアス・ブライド、ジョムトーン・チュワタナ、モサブ・アムラーニ、サゲッダーオ・ペットパヤタイといった世界に名を知られる強豪たちからも勝利を収めており、2016年8月にモロッコにてフランス人選手に敗れて以降は18連勝中。中国国内だけで試合をしているわけではなく、ポルトガルやブラジル、スイス、タイ、アメリカ、ニュージーランドなどにも遠征して勝利している。戦績は53勝(23KO)7敗。31歳のチューは英国ラフバラ大学でスポーツマーケティングの修士号を取得するため、試合から遠ざかっていたが、今回、ONEで復帰となる。
強豪を迎え撃つ秋元のインタビューが主催者を通じて届いた。
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この試合は1ラウンド目がかなり大事になるのかな
――チュー・ジェンリャンとの対戦に向けて、トレーニングキャンプはどう過ごしてきましたか。
「今はヘッドコーチとプライベートで練習しています。普段は、Evolveファイトチームとずっとやっていました。今回はMMAチームと一緒に練習していました。注力してきたことは、相手がパンチが強いので、その対策ですね。ボクシングメインでスパーリングやったりとか、パンチに対してどう攻撃していくかというのをメインにやってきました」
――Evolveにはムエタイ世界王者が何人もいますよね。彼らとの練習は自分の糧になっていると感じますか。
「以前は練習していましたが、最近はあまり練習していないです。スパーリングとかは勉強になることは多いと思います」
――チュー・ジェンリャンは現在18連勝中で、世界でもトップのキックボクサーの一人として評価されています。このようなことは、過去に戦ってきた試合よりも何か恐怖や不安を煽るものですか。「特にないですね。何連勝とか評価されているのは気にならないですね」
――ご自身のキャリアでも20連勝していた時がありましたね。長く連勝を重ねているときに臨む試合は「連勝を止められない」などの気持ちでよりプレッシャーのかかるものでしょうか。チュー・ジェンリャンはこの試合で秋元選手よりプレッシャーを感じていると思いますか。
「僕が日本で19連勝していた頃は、正直なところ負け方が分からないというか。試合をやれば勝てる感覚でいたので、毎回試合が決まると不安には陥るんですけど、トレーニングして克服して、試合になったら負ける気がしないという感じだったので、相手もそういうプレッシャーは無いんじゃないかなと思います。それよりも、彼にとってこの試合がONEの一戦目とか、そういう部分でのプレッシャーが大きいんじゃないかなと思います。やっぱり、一個目でこけたらタイトルも中々取れない、挑戦できないとかもあると思うので、そういう部分でプレッシャーを感じているんじゃないかなって思います」
――対戦相手はトップキックボクサーと言われていますが、学業のため2年間実戦から離れていました。このブランクというのは、彼にとっては不利で秋元選手にとってはアドバンテージに感じますか。
「そこは、相手の方が不利になるんじゃないかなと思います」
――彼が勝ち続けていることや、トップキックボクサーとして評価されているのは何でだと思いますか。そして、この試合で何に注意すべきだと思いますか。
「やっぱり真面目なんだろうなって思います。勝ち続ける選手って普段の練習から意識が高かったりするので、彼は真面目な選手なんだと思います。ちょっと試合間隔が相手は空いているというのもあるし、ONEの1戦目っていうのはあるので、この試合は1ラウンド目がかなり大事になるのかなと思っています」
――チュー・ジェンリャンはONEのインタビューで、秋元選手について敬意を表しつつも、上半身へのディフェンスには課題があり、他にもまだまだ穴がたくさんあるとコメントしていました。何と返しますか。
「そうですね。言ってしまえば僕なんて穴だらけだと思うので。相手からしても色んなことを考えて攻略しようとしてくるだろうなと思います。自分ももっともっと成長していかないといけないし、逆に言えば、自分も成長する伸び代が十分にあるということだし、彼のコメントに対して特にいうことはないです」
――チュー・ジェンリャンのスキルセットで一番危ないなと思うのは何ですか。何か気をつけないといけないこと、注意することはありますか。
「左右のフックですね。左右のパンチは、特に右フック、右ストレートは精度が良いんじゃないかなと思います」
――チュー・ジェンリャンは、秋元選手のことをこれまで戦ってきた相手が高いレベルではないとし、まだ僕と同じレベルにいないと話したそうです。ジャン・チェンロンと戦ったと思うが、彼は中国のトップファイターではないと言いました。これについてどう思いますか。
「それについては分からないです。(彼が)どんだけ強いかも映像を見ているだけでは分からなかったので、リングで証明できればなと。向こうもそう思うんだったら、リングで証明してくれればと思います」
――この試合で証明したいことはありますか。
「(相手が)世界で評価が高いっていうのがあるので、(彼が2年ほど実戦から離れているので)今はどのくらい強いかは分からないですけど、自分の強さを世界に証明できると思いますし、次の試合に繋げられるんじゃないかなと思います」
――この試合の理想的な勝ち方はどのようにイメージしていますか。
「やっぱり、倒して勝つっていうのはいつでも狙っているんですけど。正直、力の差がなくてもKOはできたりしますし。KOするっていうよりも、完封する。攻撃をもらわずに当てていくとか。そういう中で倒して行けたら良いなって思います」
――この試合の勝者は、カピタン・ペッティンディーアカデミーの持つチャンピオンベルトに挑戦できるのではないかという声も多くあります。もし勝利した場合、自分が次のチャレンジャーに相応しいと思いますか。
「正直、自分の中で(タイトルマッチを)早くしたいとかはなくて、タイトル、タイトルとは思っていないんです。でも、僕が挑戦しなかったら、次は誰がいるのかなって思いますね」
――シンガポールに移住して、およそ3年ですね。振り返ってみて、自分の進化、成長をどのように感じますか。
「格闘技の面では、特にこの1年半くらい。コロナでトレーニングが思うようにできない、制限されたりとか。そういう時期にかなり自分を追い込んで、ジムに行けない時でもしっかり高い意識を持っていられたのは成長につながった。ジムに行けない時間が長かったので、ジムに行った時は、今まで以上に集中してトレーニングしたりとか、そういうのはかなり成長したと思います」
――年齢的にも選手として一番強い、パフォーマンスが出る時期とも言われるかと思います。ご自身は、今がベストだと感じますか。また、今掲げている自分の中のゴールはなんでしょうか。
「今までの中では、パフォーマンスが一番良い状態だって思いますね。ゴールは、まずはONEでチャンピオンになるっていうのはもちろんです。そこから防衛もしていかないといけないですし、そういうところで圧倒的になる。試合をコントロールするのもそうですし、相手を倒すという面でもそうですし、絶対的なチャンピオンになれるように、というのが自分の中のゴールです」
――最後に、ファンの方々へ一言お願いします。
「毎試合、毎試合ですけど、しっかりトレーニングを積んで、しっかり自分が成長しているなっていうのが感じられるくらいレベルアップしているので、今回の試合も期待してもらえたらなと思います」