フィニッシュは右ストレート、ユニファイドルールにはない金網サッカーキック
昇侍の左を避けて、右を打ち込み、ヒザ蹴りを混ぜる萩原。打ち合いを得意とする昇侍に対し、被弾せずに自身は当てることが出来る、SMOKERGYMでの打撃練習の成果、そしてセンスの高さが、この25歳のプロキャリア10戦目のファイターの持ち味だ。
昇侍の蹴り足を掴んでのシングルレッグ、右で差して、左の外ヒザを引き寄せての崩しも残した萩原は体を入れ替え、またも左ヒジを打ち込み、フィニッシュに向かう。
組みを剥がして思い切りよく打撃を打ち込めるようになった萩原はしなるような右アッパー、左フック! 昇侍の左ボディ、前蹴りの腹狙いにいったん下がりながらも左ジャブを当て、金網を背にしてノーモーションの打ち下ろしの右ストレート!
もらった昇侍は右手と右ヒザをマットに一瞬着きながら立ち上がると、さらに右で前進。最後は左ストレートでダウンを奪うと、すかさず右のサッカーキックを顔面に打ち込んだ。
「右のカウンターは常に狙いながらプレッシャーをかけていくスタイルでやっていて、始めの方はちょっとタイミングが読めていなかったんですけれど、後半にかけて昇侍選手の出入りの癖だったり、出入りのタイミングが読めてきたので、2Rここで右クロス・カウンターが合わせられると思って出したところが上手くハマった感じですね」と萩原はフィニッシュを振り返る。
得意の前手のフックを防がれて、右を浴びた昇侍は、「右のストレートのキレがやっぱりすごくて結構見づらかった。何発か見えない右をもらっていました。あとは自分の得意である左フックをしっかりと対策をされ、ディフェンスされていたので、その辺はやはり対策やセコンド陣含めて、すごくレベルの高い選手だなと思いました」と、萩原の打撃を賞賛した。
そして、ケージファイトでありながら、北米ユニファイドルールには無い、サッカーキック。
「正直、練習では出来ないので本能的にじゃないですけれど、身体が勝手に動きましたね」と、萩原はRIZINルールが身体に馴染んでいるという。
サッカーキック後、連打をすることなく昇侍のダメージを見下ろし、レフェリーが間に入るのを待った感さえある萩原。身体が勝手に動いたとはいえ、頭は冷静だった。打ち鳴らされるゴングの中で、勝利の一服のスモーカーポーズを見せている。
立ち上がり両手を挙げて出来ると訴えた昇侍だが、試合後には、TKOのフィニッシュ裁定に納得している。
「右のパンチが効いたというか、テンプルにもらってグラつかされました。ちょっと揺らされて、すぐにはリカバリーが追いつかない間に、最後の(ラッシュで)まとめられちゃったんで。試合中は“まだいけるよ”って言ってたと思うんですけど、まあ映像見たら、このタイミングで蹴りを当てられたら止められても仕方なかったかなと。テンプルにもらってグラついただけで意識は全然、今も元気です」と敗北を受け入れている。