Krush-EX 2021 vol.72021年11月27日(土)東京・GENスポーツパレス
▼メインイベント(第9試合)Krushクルーザー級 3分3R○中平卓見(北眞舘)KO 2R 2分10秒 ※3ノックダウン×佐野勇海(拳之会)
中平は総極真全世界空手道選手権大会重量級4位の実績を持つ空手家で、7勝(7KO)6敗の戦績を持ち、7KOは全て初回KO勝ち。K-1 JAPAN GROUPには2020年1月から参戦し、RUI、植村真弥、工藤勇樹に3連続KO負け。初勝利を収めたいところ。
佐野は2020年11月の『RIZIN.25』でプロデビューし、テコンドー全日本選手権9連覇の江畑秀範からパンチでダウンを奪い判定勝利。前戦は7月にRISEで南原健太にKO負け。プロ戦績は2勝1敗1分。また、アマチュア時代には2020年3月、ピーター・アーツの息子マルシアーノ・アーツと対戦し、3RにパンチでKO勝ちしている。
1R開始と同時に佐野は左右の連打からヒザ、右ロー、左ミドルとラッシュを仕掛ける。これにロープ際へ追い込まれる中平だったが、右カーフを蹴っていくとこれに佐野がダメージを見せ、右カーフでついにダウン。
立ち上がると佐野はまたもラッシュを仕掛けるが、ガードを固めた中平が右カーフを蹴るとダメージは明らか。ゴングが鳴ると、足を大きく引きずりながらコーナーへ戻った。
2R、サウスポーに構えた佐野はやはり左右ストレートとヒザ蹴りで手数を出していくが、中平が右カーフを蹴ると足を上げて顏が苦痛に歪む。右カーフでダウンした佐野は激痛に顔を歪めながらも立ち上がり、中平は容赦なく右カーフを蹴って2度のダウンを追加。3ノックダウンでKO勝ちを収めた。
中平はマイクを持つと「3戦して思うような動きをできず苦しんだんですが、こんなもんじゃないと思って頑張ってきました。もう42ですが、佐野選手の倍いってるんですけれど、まだまだ今が全盛期なので応援お願いします」と高らかに叫んだ。
[nextpage]
▼セミファイナル(第8試合)Krushスーパー・ライト級 3分3R○原田優介(K-1ジム大宮チームレオン)判定3-0 ※30-28×2、30-29×川越亮彦(K-1ジム総本部チームペガサス)
原田は6歳から始めた日本拳法出身で、その実績が素晴らしい。元明治大学体育会拳法部の主将で四段。2013~2016年全日本学生拳法選手権大会で4連覇、2016年最優秀選手賞を受賞。さらに2016年全国大学選抜選手権大会優勝、最優秀選手賞受賞、文部科学大臣杯を受賞。ジャパンオープンでは2016年優勝、防衛大臣杯を受賞、2017・2018年ジャパンオープン社会人の部2連覇と、数々の優勝歴を誇る。
大学2年生時には、現在K-1スーパー・ウェルター級で活躍する和島大海(月心会チーム侍)とも対戦して勝利を収めた。大学卒業後は就職し、3年のブランクを経て格闘技を始め、この1年間でK-1アマチュアのBクラス予選トーナメント、Bクラス全日本トーナメント、Aクラス予選トーナメント、Aクラス全日本トーナメントと全て優勝。8月のKrush-EXでプロデビューし、水上陽生からダウンを奪って1勝をあげた。
川越は第26回K-1アマチュア チャレンジAクラス -70kg優勝、ABEMAの『格闘代理戦争』に出演して注目され、2020年4月にプロデビューするも現在まで3敗1分と白星なし。初勝利を収めたいところだ。
1R、ローの蹴り合いから始まり、しつこく左ローを蹴る川越にサウスポーの原田は左三日月蹴り。時折、原田が強打でアタックを仕掛けて顔面からボディへのコンビネーションを決めるが、川越も左ボディ、右ストレートを打ち返す。
2R、ガードを固めて前に出る川越に原田は左ボディ、左三日月を狙い撃ち。しかし、顔面への右ストレートと左フックは川越のガードに阻まれる。川越も右ストレートを打ち返し、左ローを蹴る。
3R、何度も左ボディをめり込ませる原田だが、川越は耐えて左右フックを打ち返してくる。原田の顔面へのパンチは川越の固いブロックでなかなかヒットを奪えず、接近戦で両者が押し合い、パンチを交わす。
有効打を多く奪った原田が判定勝ちした。
[nextpage]
▼第7試合 -53.5kg契約 3分3R×渚(K-1ジム五反田チームキングス)判定0-3 ※29-30×2、28-30○板橋武留(健成會)
1R、ローを蹴り合う中、互いにローブローで試合は中断。両者慎重な初回となった。
2Rは両者動き出し、渚は右カーフ&右ミドルとジャブ、板橋はローと右ストレートを狙い撃ち。蹴りをフェイントした板橋の右ストレートが軽くヒットする。
3R、板橋は右カーフを蹴りつつ、渚がパンチを出してくるのを待って右ストレート。ジャブと右ミドルで前へ出る渚だが、板橋の右ヒット数が上回り、判定3-0で板橋の勝利となった。
[nextpage]
▼第6試合 Krushバンタム級 3分3R○松本 陸(TAD)判定3-0 ※30-25、30-25、30-24×蓮武(WSRフェアテックス西川口)
松本は1勝(1KO)1分の18歳、蓮武は19歳でデビュー線を迎える。
1R、両者かなり慎重な出足。松本が右ローをコツコツと蹴る中、いきなり飛び込んで打ち合いに行くと右フックで蓮武からダウンを奪う。その後もパンチで襲い掛かって連打でダウンを追加した。
2Rも両者は再び慎重。ローを蹴るくらいで見合いが続く。しかし終盤、またも突然打ち合いに行った松本が右フックでダウンを奪う。
3R、左右ローを蹴る蓮武に最後まで倒しに行ったのは松本。すでに3度のダウンを奪ったにも関わらず4度アタックを仕掛けて行き、クリーンヒットはなかったもののハンドスピードと爆発力を見せつけた松本が大差の判定勝ちを収めた。
[nextpage]
▼第5試合 Krushフェザー級 3分3R○啓斗(team ALL-WIN)KO 1R 2分11秒 ※左フック×田中秀汰(PITBULL)
啓斗は第31回K-1アマチュア チャレンジAクラス -60kg優勝で、プロ戦績は1戦1敗の23歳。田中も1戦1敗の26歳だ。
1R、両者慎重な出足。その中でも啓斗が右ローを当てていく。啓斗は左フックをヒットさせると、そこから一気に回転を上げて左ボディから左フック、右ストレートと叩き込んでいき、田中に体勢を立て直す暇を与えず連打で追い込む。
バランスを崩して田中に容赦なくパンチを連打していき、最後はロープを背負った田中へ飛び込んでの左フック。これでダウンを奪い、レフェリーがストップした。
啓斗はマイクを持つと「僕、1年2カ月前に靭帯やってしまってそこから苦しくて…勝ててよかったです。Krushを盛り上げていくのでもっと試合組んでくれたら嬉しいです。みんな覚えて帰ってください」と、涙で声を詰まらせながらアピールした。
[nextpage]
▼第4試合 Krushライト 3分3R○貞松宏隆(Mataharigym/初代九州プロキックボクシングライト級王者)判定3-0 ※30-28×3×新太(K-1ジム心斎橋チームレパード)
貞松は初代九州プロキックボクシングライト級王者で、3勝(1KO)1敗の22歳。新太は第35回K-1アマチュア チャレンジAクラス -65kg優勝で1戦1分の26歳。
1R、ローの蹴り合いから両選手ともにフック、アッパーと右のパンチを当てていく。ステップを駆使して被弾もあるがパンチをかわしていく貞松に新太は前へ出て右を打っていく。
2R、両者ともアグレッシブにパンチを繰り出して行く中、1R終盤に続いて新太のインローがローブローになり、2度目の中断。再開後、両者とも右を思い切り打ち抜いて行き、ロープを背負った新太に貞松が右フックをヒットさせてダウンを奪う。その後も右の強打を何度も交錯させる両者。特に貞松はフルスイングの一発を繰り出す。
3R、ジャブとステップを多用する貞松に新太はワンツー、左右フックで前へ出ていく。両者蹴りからパンチへつなぎ、貞松も右ストレートを当てていく。両者フルに攻めた一戦はダウンを奪った貞松の勝利となった。
[nextpage]
▼第3試合 Krush女子ミニマム級 2分3R×KAI(ファイティスジムMSC)判定0-3 ※29-30×2、28-30○Yuka☆(SHINE沖縄)
KAIは空手をベースとするMMAファイターで2014年からDEEP JEWELSに参戦。桐生祐子(鈴木祐子)、北野きゅう、ジェット・イズミに勝利も、両ヒザの手術で戦線を離脱。1年半ぶりの復帰戦となった2019年9月、キック出身のジェット・イズミ(元J-GIRLSミニフライ級王者)を相手にキックルールで判定勝ち。10月大会では古瀬美月に判定2-1(いずれもマスト判定)、2020年7月大会でも永尾音波に判定2-1という僅差で連敗を喫し、10月にはさくらにリアネイキドチョークで一本負けしている。MM戦績は5勝6敗。8月にKrushに初参戦して判定で敗れたが、C-ZUKAを相手に延長R判定2-1の接戦を演じた。
Yuka☆は沖縄からやってきた37歳で戦績は3戦3勝無敗。今回が初参戦となる。
1R、序盤は互いに相手が右ストレートを打てば右ストレート、右ローを蹴れば右ロー、ボディを打てばボディと相手の攻撃と同じ攻撃を返す展開が続いたが、中盤からYuka☆が重い右ストレートをヒットさせた。
2R、コンビネーションで顔面、ボディにパンチ、右ローと左ミドルをしっかり当てていくKAIに対し、Yuka☆は右ストレート一本やり。KAIの蹴りをものともせず右ストレートで前へ出て顔面とボディを打っていく。
3R、ひたすら右ストレートを繰り出して前へ出るYuka☆にKAIは右ロー、左ミドル、ヒザ蹴りで応戦。Yuka☆は右ストレートを連打してKAIの蹴りにカウンターをとる。
判定は3-0で、ほぼ右ストレートと馬力で勝負したYuka☆の勝利となった。
[nextpage]
▼第2試合 Krush女子アトム級 2分3R△谷田美穂(K-1ジム大宮チームレオン)ドロー 判定1-0 ※30-29、29-29、30-30△Kiho(TeamK.O.Garage)
35歳の谷田はプロ戦績5敗だったが6月のKrush-EXでAIKOから嬉しい初勝利を飾った。Kihoはアマチュアで20戦以上を経験し、プロでは3勝(1KO)3敗1分。2020年12月の『KROSS×OVER』でプロ初のKO勝ちを飾ると、2021年2月のKrushに初参戦したが、森川侑凜とドロー、6月に加藤りこに判定負け、8月は豊嶋里美に判定負けとなっている。
1R開始と同時に突進する谷田にKihoはミドル、ロー、ハイ、前蹴りと多彩な蹴りで対抗。谷田はその蹴りに右ストレートを合わせに行く。Kihoも左フックを打ちながら回り込む。
2Rもガムシャラに前へ出てパンチを繰り出す谷田にKihoは前蹴りを多用して引き離す。Kihoはこのラウンドはパンチも多用し、ジャブと左フックを当てていく。谷田も前蹴りから入ってのワンツー。
3Rもガムシャラに攻める谷田は接近戦で蹴りの距離を潰し、Kihoはヒザ蹴りで応戦。両者もみ合いでクリンチとなる場面が増え、判定はジャッジ1名がKihoを支持したがドローとなった。
[nextpage]
▼第1試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R×髙口賢史郎(K-1ジム五反田チームキングス)判定0-3 ※30-27×2、30-26○翁長正吾(WSRフェアテックス西川口)
高口は4戦4敗の27歳、翁長は1戦1敗の29歳。
1R、序盤から前へ出てパンチを繰り出す髙口に翁長は下がりながらも右ロー、右ミドル、右ストレートで迎え撃つ。手数を出す髙口だが翁長のヒットが目立った。
2R、前には出るが手が出ない髙口に翁長は前蹴りを連発。右ストレート、左フックでも先手を取る。終盤、髙口は首相撲のような状態に持ち込んで右フックを当てに行った。
3R、翁長は右カーフを連発するもパワーが感じられず、前に出る髙口が右を当てていく。そのまま髙口有利でこのラウンドは終わるかと思われたが、試合終了間際に翁長が右フックをコツンと当てて、前に倒れた髙口にダウンが宣告された。
判定3-0で翁長が勝利した。