テイシェイラ「ファイターの人生はある種、囚人のようなもの」
──今の気持ちを言葉にすることができますか?
「分からないよ……すごく……すごく感じるんだ。素晴らしくて……とても幸せで。うん、これが僕の夢だったんだよ。20年前から……アップダウンのあった道のりで、このベルトを手に入れたい、チャンピオンになりたいと思っていたけど、その道のりのなかではチャンピオンになんてなれっこないやと思った時もあった。でもね、僕はこれが好きなんだ。つまり、だから、自分がやるべきことのために。自分を律して、信じ続けた。僕はそれが好きだし、信じ続けている。今はもうこの子(ベルト)を守り続けたい」
──試合内容についてはいかがでしたか?
「とても良かったと思ってる。トレーニングが素晴らしいものだったんだけど、長いトレーニングキャンプでね。彼(ブラホビッチ)がアデサニヤと戦ったときにリザーバーだったから、若い相手と戦うことも考えたうえでプランニングをしてきていた。頭の使い方やジャブの打ち方なんかをかなり練習したよ。コーチは、『彼はジャブを多用してくるから、左フックで入るように』と。そう、それがうまくいったよね。そこに積極的に取り組んでいて、それからトレーニングパートナーが最高だった。彼らに感謝しないといけない。みんなに感謝しなきゃ。信じられないほどスピードの速い18歳のアリ・フェリーズという選手(帯同したプロボクサー)がいて、彼はすごい。だから、全てが見えていた」
──チョークを極める前にあなたは大きな左フックを当てました。パンチでダウンを奪ったときに、効いていると?
「もちろん分かっていたよ。でも、焦ってラッシュするようなことをしないようにしようと思った。自分の時間を使いたかったんだ。効いていたから、パンチ連打ではなくテイクダウンした」
──ダニエル・コーミエーにコメントで褒められたり、コナー・マクレガーがツイッターで称賛したり、あなたの成功を望んでいたほかのファイターたちの応援についてどう思いますか。
「すごいよ、みんな、努力して打ち込んでやってきた、鍛え上げられた男たちで、たとえばハビブのように……ファイターの人生っていうのは、ある種、囚人のような人生だと思うんだよ。自分をそんな立場に置かなければならないので、そんな自己規律のために、多くのことを避けなければいけない。誕生日パーティーだってそうだし、気が散ることのないよう、友達とも孤立した生活を送ることになってしまう。本当に自分が上達したいって思っていて、その先にチャンピオンになりたいという理想があったら、いくつかの誕生日パーティーを逃してしまうよね」
──試合前に誕生日祝いでブラホビッチからもらったビールは召し上がりましたか?
「まだ! まだなんだ! 早く、いますぐ飲みたいんだ!あれは、どんなものであったとしても、すごい美味しく味わえるよ!」
──オクタゴンで、ダナ・ホワイト代表とずいぶん長く話し込みましたね、ベルトをかけてもらう前に。
「ダナには、2003年だったか04年だったか正確な年は覚えていないんだけど、その時の話でね、2回目の『The Ultimate Fighter』の、あれは最初の(フォレスト)グリフィンとステファン・ボナー戦のときだったんだけど。マサチューセッツで開催されたTUFのトライアウトに参加していて、全部こなして、グラップリングマッチでは相手を極めたんだよ。で、面接でもダナに気に入ってもらえて、『へえ、チャック(リデル)と練習してるんだ』とか話してね。
それで『The Ultimate Fighter』に出られる予定になったんだけれど、たぶん2004年だったと思う。ただ、それでグリーンカードの問題が起きてしまって、8年後の2012年までUFCでデビューできなかった。そして、10年後にこのベルトを手に入れたんだ。なんとも長い旅路だと思わないか」
──チャックとかコネチカットのダンベリーのチームメイトとは話しましたか。
「いや、まだ。いっぱいインタビュー受けてて。いやあ、チャンピオンとしての人生ってのはすごくいいね」
Love you brother! So proud of you and your hard work https://t.co/2hhFajAEIQ
— Chuck Liddell (@ChuckLiddell) October 30, 2021
──実況のジョン・アニックが、ダンベリーではあなたのためのパレードをするべきだと。
「うん、そうだね、いいかもしれない(笑)。楽しみだよ」
──次の相手はイリー・プロハースカが有力かと思いますが、シチュエーションとしては、ブラホビッチvs.アデサニヤのバックアップファイターだったあなたと似ていますよね。実際今後の対戦相手として、彼をどう思いますか。
「すごいタフで、めちゃくちゃ厄介なんじゃないかと思う。それにすごくいい人だよね。僕は知らないけれど彼には彼のストーリーというのもある。確かに手強い相手だろうし、彼が戦ってきたのも強豪たち。でも自分は素直に彼と戦うことを楽しみにしてる。でもね、今はブラホビッチがくれたビールを気持ちよく味わって、休みを満喫することのほうが楽しみだな」
──あなたはオクタゴンのなかで、常識を打ち破り続けたいと言ってましたよね。どれだけそうし続けられるでしょうか。
「それは分からないけれど……そうだな、いつの日かジムで、“これ以上続けたくないな”と思ったときに、ただそれは難しい決断だね。ああ、僕の妻は、僕たちがどれほどのハードワークかを理解しているし、時として身体を休めるために14時間とか眠って……人はそうだな、こう思うかもしれない。うまくいかない時はなんとなく大人しくしているのがいいんだって。でもそんなの全然良くない。ベッドにずっと横たわっているのなんて好きじゃないし。
でも時として、しっかりと休めるために無理にでも寝ようとしたりしてなんとか休まないと。この年齢になるとそれってすごく難しいんだよ。サプリメントダイエットだったり、とにかく何もかもが、でも好きでやってて、結果として、こうやって戦うこともトレーニングも気に入っているから、これからも続けていく。自分が、格闘技に愛と感動を得られなくなるまでは続けるよ。もし情熱を感じられなくなったら、そのときはもう止めるしかないよね。ベルトを眺めてインスピレーションを得よう、うん、僕はこれが好きだから守り続けなければ」
──ブラジルのチャンプたちの中に名を連ねた気分はいかがですか。
「素晴らしいよ。チャックと一緒にトレーニングしたし、親友であるリョート・マチダ、そしてももちろん、ミノタウロ……彼は今週、時々一緒にトレーニングをしたよ。素晴らしいチャンプだ。そしてそんな彼らは、既に僕を、チャンピオンのようにリスペクトしてくれてたんだよ、それはベルトを持っているかどうかなんて関係なく、その中の一人としてね」