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インタビュー

【RIZIN】初防衛戦に臨む王者・斎藤裕の本音「負けたら次は無い」「“ゾンビのように頑張る”相手を気絶するまで殴る」。朝倉未来との再戦は「個人的に“どうなのかな”」

2021/10/14 17:10
 2021年10月24日(日)『Yogibo presents RIZIN.31』横浜・ぴあアリーナMM大会のメインイベントで、DEEPフェザー級王者の牛久絢太郎(K-Clann)を相手に、RIZINフェザー級王座の初防衛戦に臨む王者・斎藤裕(パラエストラ小岩)が10月14日、CAVEにて公開練習&囲み取材を行った。  公開練習では、石渡伸太郎塾長が見守るなか、同じ横浜大会で阿部大治と対戦するアキラと打撃のマススパーリング。牛久と同じくサウスポー構えのアキラに対し、斎藤は終始、試合時とは異なるサウスポー構えでステップを踏み、パンチ・キックの動作を見せた。  オーソドックス構えを温存したのかと問われた斎藤は、「いや、今回サウスポーで行くかもしれないですね。両方出来るようになりたいという気持ちから、いい形で試合で出せるといいかなと。サウスポー構えでの練習は長年やっているんですけど、試合で出せるかというと……使えるときに使っていきたいなというのはありますね」と、スイッチする可能性はあるとした。  試合が決定してからは、「基本的に練習でやってることは変わらないんですけど、より対戦相手に寄せた動きとかをやっています。皆さんご存知の通り、牛久選手は組みが得意な選手だと思うので、それを想定して練習しています」という。 ひと階級上の選手とやっても、思い通りの戦いが出来るように  試合まであと10日。「夜は眠りが浅くて、悪夢ばかり見ているので何とかしたいですね。たぶん熟睡は出来ていないです」と言いながらも、「コンディションはいつもと変わらず、体重もこの時点でここまで落ちていなければいけないというところまで落ちていますし、精神的にも試合に近づいているというか、いい緊張感を持って過ごしています」と、気負いのない表情で語った。  ライト級のアキラとの練習は、「ひと階級上の選手とやっても、自分の思い通りの戦いが出来るようにというのは、ずっと自分の課題ではあって、パワーのある選手に自分の動きが出来るか。ずっとアキラさんと練習しているので、そういった意味では、免疫というかパワーのある選手と──海外勢とか特にそうですね。ひと階級上のパワーを持っている選手が多いので──すごくいい練習をさせてもらっています」と、フィジカル・パワー面での自信ものぞかせた。  今回の試合のセコンドは、「石渡(伸太郎)塾長がついてくれます」といい、対牛久戦の作戦もさまざな場面を想定して練られている。  現DEEP王者の牛久について、「試合で頑張る選手。得意な形を持っていて、そこに持ち込むために頑張る印象があります。(その牛久の戦いに)乗るつもりは全く無いんですけど、対戦相手として気をつけなきゃいけない、どういった特徴があるのかは頭に入れて練習しています。基本、みんな自分のやりたいことをやる。でも試合はどう転ぶのか分からないので、自分の得意じゃないところ、やりたくない展開になることも想定しています」と、牛久の得意な組み手や形になることも想定は出来ているとした。 [nextpage] 頭から突っ込んでくる選手とやったことがないけど──  打撃では、頭を下げて打つオーバーハンドフックを得意とする牛久だが、相手にとってはバッティングの注意も必要となる。一方で、その下げた頭にカウンターのヒザ蹴りを狙うことも可能だ。  斎藤は、「頭から突っ込んでくる選手とやったことがないので、どうなんでしょう……実際に対峙してみてどう感じるかだと思います。あんまり正面に構えたくないなとは思いますね。(アキラとの練習でその動きの想定練習も)しています」とシミュレーションは出来ているとした。  2020年9月のDEEPフェザー級タイトルマッチで、弥益ドミネーター聡志を判定で降し、王座獲得に成功した牛久。先にダウンを奪いながら、逆襲のヒザ蹴りをもらいダウンを奪い返され、パウンドを受けたが、そのピンチを凌ぎ3Rに挽回。試合は牛久が判定4-1で競り勝ち、ベルトを巻いた。  斎藤は、「あの試合は……あそこでダウンしてやられなかった。試合のなかで自信というか、気持ちがついてきているのかなと思います。今までだったら、1発もらって怯んでいたところを怯まない。自分のやるべきことが明確になっているのかなと。あそこを凌いだことは勝因の大きなひとつだと思いますし、気持ちがすごく強いなと思いました」と、DEEP王者の心と身体のスタミナを評価する。  牛久自身も「“ゾンビかよ!”と思うくらいのスタミナの凄さに注目してほしい」と語るように、弥益からベルトを奪ったテイクダウン&ドミネートを、斎藤戦でも15分やり続ける自信を見せている。  しかし、RIZINルールでは、テイクダウンされてもダメージを受けずに立ち上がり、そのテイクダウンを相殺するダメージを相手に与えることで、相手を上回ることが可能だ。 「テイクダウンから逃げる自信? 練習しています。まずテイクダウンに入るまでの想定もあるので、そこの最初の立ち合いである程度、分かるような気もしますけど、(テイクダウンを切ること・倒されても立つこと)どっちでもいいかなと思っています」と、牛久のテイクダウンのアプローチの段階から勝負の際はあると語った。 [nextpage] しっかり5分3Rやるなかで、攻め時を冷静に見極めたい  横浜大会のメインイベンターとして、大会ポスターに1人大きくフィーチャーされ、初防衛に臨む王者だが、気負いは無い。 「早くに終わることにこしたことはないと思っていますけど……どうなんでしょう。あまり焦ってはいないというか、しっかり5分3Rやるなかで、攻め時とかを冷静に見極めたいなと思います。とにかく変に力を入れて最初から倒しに行くということはあまり考えていないです」と、不動心の構えだが、周囲の期待は受け止めている。 「基本的に試合は勝ちと負けしかないので、お互いに挑むという意味では、今までの試合と変わらずに“負けたら次は無い”という気持ちを持ってやっています。今回、RIZINのメインイベントで防衛戦ということで、周囲の期待、たくさんの人を巻き込んでいることは自分でも感じていて、それに相応しい試合を、というのは自分の中で思っていますけど、今までの試合と大きく違うかと言われるとそうではないです」と、“いつも通り”絶対に負けられない不退転の決意で、今回も臨むという。  その上で「相手は“ゾンビのように頑張る”とは言ってますけど、気絶するまで殴ろうとは思っているので、そういったシーンを見せたいですね」と、ハートの強い挑戦者の心を折る、とした。  王者として、海外強豪との試合も見据えている。  これまでの試合で苦戦を強いられたマイク・グランディは、斎藤戦を含む8試合で連勝し、UFC入りを決め、オクタゴンで1勝2敗。同じくアギー・サルダリも8連勝で英国ケージ・ウォリアーズに参戦も、この6月に4年ぶりの黒星を喫している。斎藤は、それらライバルたちの動向も負っているという。 「試合は見ています。グランディ選手はUFCで試合をしていますが、UFCのレベルの高さをまざまざと感じますよね。組み合わせや相性もありますけど簡単には勝てない。非常にレベルが高いです。コロナのこういった状況もどうなるか分かりませんが、だんだん外国人選手が日本に入って来れるような状況になれば、海外選手との試合も考えられます。お客さんもそういった海外勢を迎え撃つ戦いとか、対日本人とはまた違うストーリーもあるので、そういった期待もあると思います。巡り合わせがよければ、年末に向けても海外勢とどんどんやっていきたいと思います」と、同階級の世界から目を逸らすことなく戦いたいと望む。 [nextpage] 朝倉未来との再戦?「そこは騒がしたくないので(笑)」  そんな中、10月2日には会場で解説を務めた『RIZIN LANDMARK vol.1』後に、朝倉未来から直接、リング上から再戦を要求された。  横浜大会で初防衛に成功後は、大晦日に朝倉未来戦が既定路線であるかの風潮に、斎藤は「それについてはよく分からないところはあるので。“個人的にどうなのかな”と思っているだけです」と、多くを語らない。クレベル・コイケに一本負けした朝倉が、68kgで萩原京平に判定勝ちしてすぐに王座に挑戦できるとなるのなら、そこに疑問があるのでは、と問われると、「いろんな言い方はあると思うんですけど、またそこは騒がしたくないのでちょっと」と苦笑した。  今大会で、現地観戦するファンが、斎藤のイメージカラーであるブルーを身につけ「アリーナを青くさせよう」という動きがあることについて聞かれると、「すごく嬉しいです。ツイッターのタイムラインでもよく目にするので、試合に向けていい雰囲気が出来てきているなと思います。現地でもPPVのリアルタイムでも同じ時間、一緒に戦ってほしいですね。見届けてください!」と、力強く語った。  最後のファンへのメッセージでは「ワンパンチKOしたい」とも語った斎藤。どんな相手でも舐めてかかることはなく、攻め急ぐこともないが、フィニッシュしたい。それも王者の本音だった。 【写真】斎藤と同じ横浜大会で、UFC、ONEで活躍した阿部大治と対戦するアキラは「斎藤選手がチャンピオンとして頑張っている姿を間近で見て、いつも刺激をもらっています。全部、僕の上を行っているので“やりやすい”ところはないです。RIZINで全員、失神KOさせます」。好きなバナナのブランドを聞かれ「バナナなら何でも大好きです」とゴリラキャラを徹底させた。  PANCRASEで田村一聖、松本光史を連続KOに降しているアキラについて、斎藤は「前回、5月にKO勝ちして、以降もずっと追い込み練習をしていました。そういった選手に、こういう試合の機会が回ってくることはすごくいいことだと思っていて、練習を一緒していても、すごく強くなっているんですよ。僕のことを『全部、上』と言ってましたけど、全然、そんなことなくて、いい勝ち方が出来そうな雰囲気が出ていますね。何か衝撃を起こしそうな気がします。石渡塾長に付きっ切りで見てもらっているので、秘策というか、対策が当たればすごく面白いことになると思います」と太鼓判を押した。
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