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2021年10月2日(土)18時30分から、RIZINの新シリーズ『RIZIN LANDMARK vol.1』がU-NEXTにてPPV配信される。
68kg契約の前日計量では、朝倉未来(トライフォース赤坂)が67.80kg、萩原京平(SMOKER GYM)は67.85kgで計量をパス。計量後のフェイスオフでは両者が顔を近付け、バチバチのにらみ合いを展開。スタッフが2人を分けても視線を外さず、さらににらみ合いを続けた。
マイクを渡された萩原は「今日、顏を合わせて確信しました。明日は100%俺が勝ちます。歴史が変わる瞬間を見てください。お楽しみに」と、薄笑いを浮かべてコメント。朝倉も笑顔で「とりあえず(萩原の)声が震えちゃっているのが分かると思います。レベルの違いを教えてやろうと思います。皆さん、楽しんで」と意気込みを語った。
この計量で見せた通り、今回の朝倉は小麦色に焼けた肌を披露。“黒未来”の姿は、プロとしての魅せる部分と、積極的な出稽古の成果でもある。
前々日のインタビューで未来は、6月に一本負けしたクレベル・コイケ戦後、己の才能だけで戦うことに限界を感じ、28歳にして初めて本格的なフィジカルトレーニングに取り組み始めたことを明かしている。月50万円以上をかけて5人のトレーナーを雇い、自身への投資を開始した。
栄養士をつけて食事から変え、トレーニングではレスリングの猛者が集うBRAVE勢との組み技の練習に加え、キックボクシングのトレーナーとのミット打ち。瞬発力を強化するためのフィジカルトレーニングを和田良覚トレーナーが担当、スタミナトレーニングでは、魔裟斗や内山高志らを指導してきた土居進氏に師事した。
魔裟斗も経験した土居トレーナーの走り込みトレーニングについては、「本当に憂鬱な感じでした。今でも嫌ですが、途中から慣れてきましたね。正直、土居さんの顔を見るだけで嫌でしたけれど、前回の敗戦で悔しい想いをした。そこを忘れてない。絶対にリベンジしてやるって気持ちがあって乗り越えてきたことがある」と、クレベル・コイケ戦での敗北を原動力に、新たなトレーニングに励んできたことを語った。
朝倉未来は、いかに進化しているのか。
土居トレーナーに取材すると「未来くんには伸びしろしかありません」という。初めて会ったのは、7月下旬だった。
「YouTubeで魔裟斗さんと未来くんの対談で、私とのトレーニングの話が出たとのことで、その後で魔裟斗さんから『未来くんの体力測定をしていただけませんか』と電話がありました」
その体力測定には、魔裟斗も同席し、朝倉未来の未開発の部分とポテンシャルを確認し、「あとはどうするかは未来くん次第、話し合ってください」と、未来に土居トレーナーとのトレーニングをスタートさせるかの判断を委ねたという。
朝倉未来の答えは「お願いします」。
クレベル戦の前から筋トレは行っていたこともあり、土居氏とは主にスタミナ強化、下半身強化のためのボート漕ぎやパワーマックス、ランニングなどのトレーニングを行ってきた。
土居氏は未来のファーストインプレッションを「ほんとうにこれまでスタミナトレーニングをほとんどやっていなかったんだなと。最初のアップを練習と勘違いしたくらいで、『ここからが本番だよ。まだ会って10分だよ』と話したことが印象に残っています」という。
土居トレーナーとはまだ1カ月半ほどのトレーニングセッションでしかないが、「フィジカル面は伸びしろしかない。本能というべきか、もともと持っているものが凄い。フィジカル的にはまだ“真っ白”な状態なので、どう鍛えていくか、その『伸びしろ』自体がどれだけあるのかが計算できないくらいです」と、スタミナも含め、まだトレーニングの入口に入ったばかりだという。
では、今回の萩原京平との試合に向け、どんなところが強化されたのか。
「今までスタミナ的に“辛いこと”を経験してなかったので、そこに刺激を与えて、どれくらいが辛いのかを身体に覚えさせた段階です。本人のなかでもどこまで行けるのかの感覚は身についてきているので、ここまで持っている最大の能力をちゃんと出せるようにした感じです」と、負荷をかけた練習で、底上げされたスタミナのほんとうの底を現在の未来は知ってるという。
インタビューで朝倉は、「打撃の威力も上がったし、スタミナがとにかくつきました。ようやく今、明確に変化が現れて来たと感じています。今後ももちろん続けて行くし、今まで逆にランニングもウェイトトレーニングも一切せずにここまで来た自分が凄いなって今は思います」と朝倉は苦笑し、「キツい展開の試合をしたい。根性勝負になっても負けない」と、進化を試合で試すのが楽しみだと語っている。
そして、「いろんなトレーナーが世界を狙えるポテンシャル、身体能力があると言ってくれる。練習をせずにここまできたのに数値が日本人離れしていると。この階級で世界と戦えるのはオレしかいない。そこを狙っていきたい」と、日本でフェザー級の頂点に立ち、海外挑戦も視野に入れていることを語った。
あらためて、土居トレーナーに、その可能性を聞くと、「未来くんは、今まで指導した選手のタイプと全然違う。魔裟斗さんでも内山(高志)さんでも八重樫(東)さんのタイプでもない。あえて言うなら……『ドラゴンボール』のまだ1巻、亀仙人と出会う前の孫悟空のような感じです。超サイヤ人化するのはこれからです」と、未来の覚醒はこれから、とした。
果たして、萩原戦で“シン未来”の姿が見られるか。
一方の萩原京平も、朝倉未来戦に向け、刃を磨いてきた。