(C)2015 RIZIN FF
RIZIN.14▼スペシャルエキシビション 3分3R
フロイド・メイウェザー・Jr(66.7kg/米国)
[1R 2分19秒 TKO]
那須川天心(62.1kg/TARGET/Cygames)
試合直前にメイウェザー陣営立ち合いのもとバンテージを巻き直した那須川。
白のガウンの那須川に、黒のガウンに白マスクで入場したメイウェザー。173cm、66.7kgのメイウェザーは10オンス、165cm、62.1kgの那須川は8オンスのグローブを着用。コールに振り向いて左手を天に突き上げた那須川。メイウェザーは笑顔でコールを受ける。
1R、グローブタッチした両者。サウスポーの那須川は右ジャブから。笑顔で両手を前に回して見せるメイウェザーはパーリング。フェイントをかける那須川に反応するメイウェザー。圧力にコーナーに詰まる那須川はメイウェザーの右に左ストレート! 右にコーナーを抜ける。
頭を傾け衝撃を逃がしたメイウェザーだが表情が一変。ガードが上がる。そこに左でけん制する那須川。メイウェザーは一気に圧力を強めると左ジャブから右ボディ! 那須川は身体をくの字にさせながらも後退して右回りで体勢を戻すと、メイウェザーは体格差を活かし、大きなステップで左足を那須川の右足の外に置き、那須川の動きを制御。左フック! でテンプルかすめさらに右ボディで那須川を後方に大きくダウンさせる。大の字からはいつくばって立つ那須川。
一気に詰めるメイウェザーは左フック! 右フックを合わせながら右に抜ける那須川。メイウェザーが勢い余ってコーナーに詰まると那須川はボディ固めるメイウェザーに左ボディ! さらに顔面にワンツー。
しっかり顔面を固めるメイウェザーはまたも外足を塞ぐと、左フック、右ストレートで詰めて右ボディも。今度は左回りになる那須川はワンツーも距離が足りない。右ジャブを突いてメイウェザーにガードさせて右にステップすると、頭を突き合わせて、メイウェザーの左ジャブをかわす。
じりじりと詰めるメイウェザーに那須川は右ジャブ・左ボディで押し返すと、すぐに間合いをまっすぐに詰めたメイウェザーは右ボディを突いてから対角の左フック! さらに右アッパーのコンビネーションに那須川は大きく後方のコーナーにダウン! 危険な倒れ方ですぐに那須川は立ち上がるが足もとがおぼつかない。
立ち上る那須川にメイウェザーはつかつかと駆け寄り、前手のジャブで制してから左ストレート。そこに那須川は大振りの左を狙う。さらに互いの左が交錯! 両腕でブロックをしながら前に詰めるメイウェザーは那須川の左を外にはじくと、左フック、さらに那須川の打ち返しに左フックでダウンを奪う。
ロープまでふっ飛び、前方に手を着きなお立とうとする那須川だが、今度は後方にバランスを崩し、ロープに手をかけ立つ那須川。コーナーからタオルが投入され、メイウェザーのTKO勝ちとなった。
リング上でダンスするメイウェザー。那須川はコーナーで泣き崩れ、セコンドに支えられる。メイウェザーは受け取ったトロフィーを那須川に渡し、「エンターテインメント性を大事にした。このイベントを実現してくれた人たちに感謝したい。テンシンにもありがとうと言いたい。私もテンシンも公式には無敗のままだ。テンシンは偉大な格闘家だ。頭を高くしてしてほしい」とマイクで語った。
◆メイウェザー
「何度も言いましたがこれはエンターテインメントです。テンシンはまだ若いライオンです。一諸にリングに上がってくれたテンシンにありがとうと言いたい。コンタクトスポーツでは良いときも悪いときもある。一生懸命やることが大切ですから、これからもテンシンには頑張ってもらいたい。
私はまだ引退しています。STILL RETIREDです。私は、カムバックするつもりはありません。アメリカに残っているチームのみんながリング外でも賢い選択をサポートして、導いてくれました。現役時と同様の生活を送ることができています。この場に若い選手を連れて来ていて、彼らもチャンピオンの資質がありますので、自分の姿を見せることで学んで欲しいと思っています。世界を経験してもらって、いろんな文化を学んで欲しいと思っている。日本は本当に美しく綺麗な国で、敬意を持って接してくれています。これまでなんども来ていますが、また来たくなる国です」
◆那須川天心「結果はいい方向には向かなかったけど、みんなに勇気や挑戦することを少しは見せられたと思います。もっと強くなります」
──試合を終えた率直な感想を。
「いろいろいい経験になりました。悔しかったです。本気でいけると思ったので。こんな悔しいことはないですね。最初笑ってて、ナメられてるなと思って、ストレート1発入ったら、凄くプレッシャーが強くなって、正面のストレートはブロックしたんですけど、左フックを打たれて、スリップ気味でしたが、立とうとして立てなかったです。(頭が)ぐわんぐわんしてしまって。
エキシビションで戦績はつかなくて負けにならなくても、心には一生残るので……その気持ちを忘れずに。最初、メイウェザー選手は避けて避けてくるかと思っていたのですが、倒しにきてくれたので、ピンチになっても下がらないよう、勇気をもって前に出ようと思っていました。悔しいですけどまた次に向けて頑張れるし、もう怖いものはないと思います。
いまはこういういい経験を、自分しかメイウェザー選手のことを知らないし、この経験を活かして次のステージに向かって頑張りたいと思います。皆さんの応援が力になりました。試合前にはメイウェザー選手にムカついてましたが、戦ってみたらいい人というか」
──ボクシングとの違いは?
「ボクシングだからというわけではないですが、プレッシャーがすごかったです。打とうとするだけで全部フェイントをしてきました。余裕っぽく見せていて全然そんなことなかったです。一流だと思いました」
──体格差は?
「メチャメチャ感じました、向かい合って初めてわかりました。これ以上、こんな強いパンチないと思います」
──手応えがあった攻撃は?
「左ストレートですね。罠というか渾身のパンチだったんですが、そこから向こうの顔色が変わって、相手の圧力が倍以上に変わりました。そこから怖さがものすごく変わって。『当たったー!』って思ったんですけど、そこから怖さが増して。ちょっと顔色を変えることは、できたのかなと。手応えというか、倒れるほどじゃないけど『届いた』という手応えはありました」
──いつものステップではなかったのは?
「どうですかね、動いてたつもりだけど動けなかったんじゃないですかね。(会場に)来るとか来ないとか、バンテージの巻き直しとか、あっちが遅れてるのにふざけんなって感じじゃないですか。ギリギリにちょっと(バンテージを巻き直して)やって。だからといって展開が変わることはなかったですけど」
──研究されていると感じた?
「感じましたね。自分は動くタイプの選手なので動くタイプの選手に潰してくる。動こうとするところを潰そうとしたり、プレッシャーのかけ方が、普段はこう下がるのに、前に前に来たので、体格差を生かしてきたのかと思います」
──今後の体格差のある相手との試合も?
「今回、メイウェザー選手だからやったので、今後そういう試合はないと思います」
──ダメージは抜けそうでしょうか。
「今まで(無敗で)ダメージを受けたことがないので(苦笑)、分からないです。すぐ抜けるのかもわからないですし。どうなんですかね、すぐ抜けるんじゃないですかね。ダウン取られることはこんなんなんだって。今まで自分は相手にこれやってたんだって。セコンドを見たら傾いていて。気持ちは立とうとするんですけど、立てませんでした」
──今後は?
「いまのところは3月10日のRISE世界トーナメントに向けて調整していきたいです。この経験は何よりも大きいので。今日のことは絶対に忘れない」
──この試合までを振り返って。
「すごい長かったようで短かったと思います。初めてアメリカにも行って、たくさんの人に応援してもらって、結果はいい方向には向かなかったけど、みんなに勇気や挑戦することを少しは見せられたと思います。もっと強くなります」
──今回の収穫と今後の練習環境は?
「トレーニングはこれまで通り。収穫はメイウェザー選手の技を盗めたことかな。やられたことは忘れないんで。それをほかの選手にやってやろうと思います。相手のフェイントの仕方、ジャブ、パンチの打ち方、ポジションニングとか。ただ……見習うのはボクシングの技術だけで、普段の態度は真似したくないです(笑)」