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【柔術】ゆでたまご嶋田隆司氏、60歳にして初めて柔術の試合にエントリー「会社を定年になったら、その歳からゴルフとかやるのも嫌だし、囲碁を嗜むのも嫌だし、っていう人は柔術がいいと思うんですよね」

2021/09/22 10:09
【柔術】ゆでたまご嶋田隆司氏、60歳にして初めて柔術の試合にエントリー「会社を定年になったら、その歳からゴルフとかやるのも嫌だし、囲碁を嗜むのも嫌だし、っていう人は柔術がいいと思うんですよね」

【写真】キン肉マンの作者ゆでたまご嶋田隆司氏。漫画『キン肉マン』は、ゆでたまご中井義則氏と共作。(C)JIU-JITSU NAVI

 1996年に東京都新宿区高田馬場に日本で初めてブラジリアン柔術が習える教室が誕生した。当時、K-1で有名だった正道会館東京本部内に発足した柔術クラスがそれだ。グラップラー刃牙のモデルとなった平直行氏が、米国サンフランシスコのカーリー・グレイシーに師事し技術を習得、帰国して初めた柔術クラスである。当時は、入会者が殺到して、入会が1カ月待ちという大盛況ぶりだった。

 嶋田氏は、その柔術クラスの1期生としてトライフォース早川光由総代表、リバーサルジム新宿Me,We代表の山﨑剛氏やJIU-JITSU NAVIの新明佑介編集長ら共に汗を流している。そんな嶋田氏は、2021年1月にトライフォース高円寺(TEAMゆでたまごSHIMADA presents 格闘技ジムMYD)でブラジリアン柔術の練習を再開。実に25年ぶりに競技者として柔術衣に袖を通した。

 そして60歳にして「JBJJF第15回全日本マスター柔術選手権」にエントリー。初めての柔術の試合に挑む。試合前の嶋田氏にインタビューを敢行した。(取材・文=JIU-JITSU NAVI

逃げようとしても最後にキン肉マンは逃げずに戦いますから。僕も逃げずやりますよ!(嶋田)


【写真】トライフォース高円寺で開催された「早川光由セミナー」にて。テクニックの説明を熱心に聞く嶋田氏。

──25年ぶりに柔術復帰されて、練習をやってみた感想を教えていただけますか。

「25年ぶりですかですかね。正道会館から。最初に練習に行ったときにスパーリングで肋軟骨を怪我しちゃいまいした。ニーオンベリーでした。実は25年前も指の骨を折ったんですよ」

──今回は怪我してもすぐ復帰されていましたね。

「そうなんですよ。そしてもうあんまり怪我しなくなりました。それが当時とは違うなぁと思っています。以前は痛くてもそのままスパーリングしてまたやってしまったりしてたんです。連続で……」

──今は週に何回ほど練習されているんですか?

「2回ですね。火曜日と土曜日。空いたときは木曜にもやっています」

──聞いたところによると、トライフォース高円寺ヘッドインストラクターの井賀孝さんのプライベートレッスンを受けてからクラスで出られているんですよね?

「はい。2部練がすっごく辛いですね」

──ということはクラスでは、消耗してる嶋田先生にみんな襲いかかってくるわけですね(笑)。先に1時間練習しているわけですからね。

「そうなんですよー!」

──それはすごく大変ですね。柔術を再開して何か体調面とかで変化はありますか?

「そうですねー。スタミナがだいぶつきました」

──嶋田先生、最近は以前より顔色が凄くいいですよ。

「そうそう! そうなんですよ。今は試合に向けてスパーリングを5分でやっているんですけど、そんなに疲れなくなりました。ただやっぱり立ち技の攻防のときにやっぱり疲れますね。なんとか得意なポジションを取ろうとするんですけど、タックルでこかされたりしますし、足が効く人はなかなかパスガードできませんし。みんな上手いなーと思ってやっています」

──嶋田先生が感じるブラジリアン柔術の魅力ってどんなところだと思われますか。

「これは井賀さんも言ってたんですけど、ボクシングとかキックボクシングとかMMAとかは、若い人と年寄りがガチで戦ったら絶対若い人が強い。ただ柔術は、60歳と20歳が年の差があってもガチンコで戦えるから生涯スポーツとしてはいいんじゃないか、ってそう思うんですよね」

──実際そういうシチュエーションも道場内で当然あると思うんですがどうですか。

「はい、あります。僕みたいな歳の人はジムに今のところいませんので、20歳とか30歳の人達とやっています。例えば、これから僕と同じ60歳還暦で会社を定年になったら、その歳からゴルフとかやるのも嫌だし、囲碁を嗜むのも嫌だし、っていう人は柔術がいいと思うんですよね」

──確かに嶋田先生と同世代の社会人として定年で現役を引退した人達がやり始めるにはいいスポーツかも知れませんね。

「やっぱりみんなと肌を合わせてるから仲の良い友達ができますよね。普通ではありえない若い子と話したりすることができますからね」

──確かにそうかもしれないですね。柔術で戦うことはボディコミュニケーションですからね。凄く仲良くなりますよね。

「はい、本当にそう思います」

──そして今回、初めて試合に出場しようと思ったきっかけを教えてください。

「もう60歳でグズグズしてたらあっという間に歳をとってしまうんで、還暦祝いでどこまでできるのかなと思って」

──Numberwebのインタビュー(『キン肉マン』作者が還暦で柔術習得中! 「もういらんと言われるまで続けたい」【全キン肉マニアが泣いたエピソード秘話も】)で言われていましたけど、「勝っても負けてもいいから、とにかく出ることに意味があると思ってますね。“こんなおっちゃんでも頑張ってるんだ”ということを見せられれば」と言われていましたけど、嶋田先生の試合出場は同世代の方達は勇気をもらえるんじゃないと思います。ちなみに格闘技に限らず、試合はどれくらいぶりになりますか。

「アライアンスでグラップリングをやっていたんですけど、そこで他の道場の方とやりました。道場マッチです。20年ぐらい前ですかね。それが最初で最後です。出ませんか? って誘われて嫌だったんですけどね(笑)。今回は60歳という記念もあるんですけど、井賀さんに『やっぱり出たらかっこいいよなー、還暦のおっちゃんが。』って煽るんですよね(笑)」

──井賀さんの煽りが効いているんですね(笑)

「そういうことです!」

──好きな柔術家とか目指しているスタイルの柔術家とかいらっしゃいますか。

「やっぱりマルセロ・ガウッシアですねー」

──もしかしてマルセリーニョが優勝したときにADCC行かれていますか?

「はい。ADCCブラジル大会のときに出場して優勝したときに行っています。そして、日本人で初めて僕が彼に『週刊プレイボーイ』としてインタビューしたんですよ。その後、ちょっと髪の毛伸ばして日本に来たときも会っているんです。あっという間にでかいやつのバックに回って凄かったですねー」

──やっぱりあのスタイルを目指されていますか?

「いや、憧れですけど僕は違うかな(笑)」

──他にも好きな柔術家はいらっしゃいますか。

「やっぱりヒクソン・グレイシーが好きでしたね」

──ヒクソンとは会ったことはあるんですか?

「無いんですよー。グレイシー一族には、PRIDEに出場したホドリゴ・グレイシーと、2年前にトライフォース池袋でホイス・グレイシーに会いましたね」

──ちょうどSNSで見ましたけど、早川代表・芝本幸司選手の戦術の本を読まれていましたね。

「そうなんです。試合前ということで仲間の会員さんに頂いて読んでいます。読みやすいですね」

──最後に試合への意気込みをお願いできますでしょうか

「日が迫る度に緊張の度合いが……。本当に緊張しますね。キン肉マンが緊張して試合までに逃げようとするじゃないですか。あの気持ちが分かりました。それでも最後にキン肉マンは逃げずに戦いますから。僕も逃げずやりますよ!」

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