ハム・ソヒが攻勢に立ったスタンドは約8分
打撃で振り返ると、1R、早々にハム・ソヒが左ストレートはヒット。2Rの序盤はザンボアンガの右、ハム・ソヒの左はともに遠くヒットせず、しかし、続くハム・ソヒの右ジャブがヒットし、左は首もとに打突音を響かせている。
ザンボアンガの右ハイを距離でかわし、ハム・ソヒの左とザンボアンガの右が交錯、続くザンボアンガのワンツー、ハム・ソヒの左ストレートもヒットせず。距離をコントロールするのはハム・ソヒ。詰めて頭を下げて左を伸ばすが、その打ち終わりにザンボアンガは右をかすめる。
左一本で圧力をかけるハム・ソヒ。ザンボアンガは下がりながら左ジャブを突くが、それを外にかわして左ストレートを入れるハム・ソヒ。タイミングを掴めているが胸元か。
2分20秒過ぎ、左で詰めるハム・ソヒは、左に回ったザンボアンガに右ジャブ、左ストレートをヒット。ザンボアンガはもらいながらも大きく崩れることなく、しかし、圧力をかけられる展開を嫌ったか。遠間からダブルレッグに入り、ハム・ソヒに切られている。このワンツーに関しては、反対側のカメラからのスロー映像がリプレイで流されており、左右ともに有効打であることが確認できる。
3Rは、序盤にハム・ソヒが左ストレートをアゴ下にかすめるとザンボアンガの右のダブルをバックステップでかわす。詰め直したハム・ソヒの左ストレートがヒット。さらにワンツーの右ジャブも当て、左でも押し込んでいる。
離れてザンボアンガは右ハイをヒット。しかし、当てられたゆえかすぐにハム・ソヒは詰めて右から左を当て返している。左に回るザンボアンガを追うハム・ソヒ。ザンボアンガの右とハム・ソヒの左が交錯もともにヒットせず。ザンボアンガは右ミドルをハム・ソヒがはたく左腕に当てている。
ザンボアンガの右をかわして左ストレートを入れるハム・ソヒ。顔には当たらず首もとが窪む。続くハムの左の飛び込みは顔の横をすり抜ける。アグレッシブな打撃で詰めるハム・ソヒ。
2分40秒、ここでハム・ソヒの左ストレートに、右を振りながら頭から突っ込んで足を触りに行ったザンボアンガの額とハム・ソヒの左目尻がバッティング。ここまではハム・ソヒが軸足を返して頭を下げて打つ左が多かったが、このときは、ザンボアンガが右を振りながらテイクダウンも狙っていたため、頭から突っ込む形となっている。
この後は、前述の通り、約4分30秒間のインターバルで止血したザンボアンガがダブルレッグでクリーンテイクダウン。ハム・ソヒに背中をつかせてパウンドしている。
スタンドでの打撃で、ハム・ソヒのヒットと見て取れるのは、1Rの左ストレート、2Rのワンツー、3Rにも右ジャブ、左ストレートを当てている。そして、ザンボアンガは右ハイ、ガード上ながら右ミドルをヒットさせた。
試合は生モノだが──
ガードの攻防はお互いに攻め合ってると解釈される場合があることを考慮すると、テイクダウン自体の採点、そしてインサイドからの打撃はどんな評価になるか。「打撃が優位」とされるなか、打撃においてもニアフィニッシュは無く、次いでの「ダメージ」も主観によるところが大きい。
いずれにしてもスタンド・グラウンドともに1カメラでの検証では不十分で、そもそも試合は生モノだ。アクシデント時の映像検証はなされるが、試合時の「有効的な攻撃」をそれとみなすのは、ジャッジの目。
ケージサイドの最も間近で目視しているジャッジは、MMAとしてどちらがコントロールしているのか、打撃の的確性、サブミッションの極まり具合などを、現場で3者が様々な角度からジャッジしている。スローモーションではなく、リアルタイムで目視のみならず、打突音や呼吸音からもその効果を測ることが出来るだろう。何より、MMAの経験値がそれがいかに有効かを判断する。
今回、このハム・ソヒとデニス・ザンボアンガの試合は、「コンペティション・コミッティーによる正式な審査を受けている」ことが、ONE Championshipからアナウンスされた。
この審査は、どのような手続きで可能となり、どのようなメンバーがどのような基準であらためて裁定を下したかが、発表されれば、今後ファイターが戦う指針になるだろう。観戦者もそれを知ることで、各団体の哲学や、競技特性を感じ、格闘技の楽しみ方のひとつとなるはずだ。
前回のハム・ソヒの項では、「なぜこの試合結果に疑問を持たれるのか理解できません。ONE Championshipのルールを理解していれば。ダメージを与えるという点では私が上回っていたことが明らか」というハムのコメントを紹介した。
一方で、敗者のデニス・ザンボアンガは、「ONEが対戦を見直してくれるなら、誰が勝者だったか明らかに分かるはず。彼女は試合で何もしていない。私は何もダメージを追っていないし、試合をコントロールしたのは私」と語っている。ザンボアンガとの一問一答全文は以下の通りだ。