ONE: BATTLEGROUND 3
2021年8月27日(金)シンガポール・インドアスタジアムABEMA格闘チャンネルにて放送
▼ムエタイ・フェザー級 3分3R〇シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)[判定2-1]×タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
シッティチャイはプロ160戦以上と鉄人的な戦歴を持つ現役のムエタイレジェンド。キックボクシングとムエタイを合わせ、世界王者に9回輝く。過去10年間に渡り、キックボクシングとムエタイで、最も圧倒的な強さを誇る選手の1人として評価を築き上げてきた。
ジャバル・アスケロフ、アンディ・サワー、ソーグロー・ ペッティンディーアカデミー、エンリコ・ケールなど、数々の世界トップクラスのストライカーを倒したシッティチャイだが、2020年7月のONE初陣ではスーパーボン・バンチャメークに判定で敗れている。今回はその一戦以来、約1年ぶりの試合。ムエタイルールは7年ぶり。
タワンチャイは地方で試合経験を積んだ後、14歳でルンピニースタジアムに上がった。2018年にはクラップダムを3度破り、同年のルンピニースタジアム・オブ・ザ・イヤーとタイ国スポーツ局ファイター・オブ・ザ・イヤーなど4つの年間MVPを受賞。シントンノーイ、ヌンラーンレック、センマニー、モンコンチャイ、フェラーリらにも勝利を収め、2021年5月にONE初参戦。ショーン・クランシーをハイキックでKOに葬った。長身を利したフィームー(テクニシャン)で、近代ムエタイでも1、2を争う実力者&人気選手。
本来はバンタム級のタワンチャイがフェザー級に上げたことによって実現した夢の対決だが、計量ではシッティチャイが68.85kg、タワンチャイが70.25kgとタワンチャイが1kg以上重かった。この体重が試合にどのように影響するか。また、シッティチャイはオープンフィンガーグローブ戦は初となる。
1R、両者サウスポー。両者とも前足でリズムをとりながらロー、ミドルを蹴り合う。タワンチャイのスピードのある左ミドルにシッティチャイはワンツーから左ロー。シッティチャイが右のフェイントから左フックをヒットさせ、ワンツーの左も当てる。間合いを詰めてワンツー狙いのシッティチャイ。タワンチャイはミドルを蹴るが、シッティチャイは腕で受けてパンチを返す。
2R、圧をかけるのはシッティチャイ。ミドルを蹴るタワンチャイにシッティチャイは蹴り足を掴んでヒジを繰り出す。タワンチャイも同じくミドルをキャッチしてのパンチ。タワンチャイの右ミドルにすかさずワンツーを返すシッティチャイだが、タワンチャイも左ストレートを返す。タワンチャイは左ミドルを蹴り、シッティチャイの蹴り足をキャッチしてのパンチ、さらに軸足払いでコカす。
3R、タワンチャイは蹴りからワンツーにつなぎ、シッティチャイのローにもワンツーを合わせてくる。シッティチャイが入って来るとヒジで威嚇。シッティチャイは右から左フック、タワンチャイはこれに左ヒジ。シッティチャイは左のパンチを打ちに行き、タワンチャイの蹴り足をつかんでコカす。さらに胴に両手を回して大きくコカした。
勝敗は判定に持ち込まれ、判定は2-1でシッティチャイの勝利。タワンチャイは笑顔で接戦を制したシッティチャイを祝福した。
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▼57.7kg契約 5分3R〇デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)[2R 3分31秒 TKO]×バンマードォーチー(中国)
デェダムロンは、10歳からムエタイを始め、ルンピニー・スタジアムで3階級制覇を果たし、2014年に35歳で総合格闘技(MMA)デビュー。2015年に初代ONEストロー級世界王者に輝いた。近年は白星と黒星を繰り返しており、2019年に3試合を戦い2勝1敗。2020年は1試合のみ。10月にフーシーグウツウにスプリット判定で敗れている。42歳のベテランは今回が約10カ月ぶりの試合となる。身長160cm。
対する中国のバンマードォーチーは、22歳。その名はチベット語で美男子を意味するという。散打をベースに、MMA13勝1敗。身長175cm、リーチは182cmと長い。
UFCファイターのロン・チュウやスムダーチーらを育成したエンボーファイトクラブを経て、WLF、Kunlun Fight、そして今回、ONEに初参戦。2019年7月の前戦ではKunlunで判定負け。初黒星を喫している。ニックネームはプリンス。
1R、サウスポー構えから左ロー、左ストレート、左ミドルを振るバンマードォーチー。デェダムロンもオーソから右ストレートを返し、右ミドル。
バンマードォーチーの入りにヒザを突く。サイドキックのダブルで前に出るバンマードォーチー。さらに二段蹴りも、デェダムロンは右インロー! 足が流れたバンマードォーチー。続く右ミドルをキャッチしたバンマードォーチーは左ストレートを突く!
バンマードォーチーの左ストレートに腰が落ちるデェダムロン。回転速く連打するバンマードォーチー。ブロッキングで凌ぐデェダムロンは右インローをこつこつと突いていく。
ワンツーにガードを肩蹴るデェダムロン。右ミドルを返して前に。さらに右ミドルも。それを掴んだバンマードォーチーは左ストレートを返す。半身でかわすバンマードォーチーに右ストレートを当てるバンマードォーチー。
2R、先に右ローを打つデェダムロン。2発目がローブローとなり中断。再開、右の長いサイドキックを放つバンマードォーチー。さらに回転速くワンツースリーまでまとめるが、ブロッキングするデェダムロンは右ストレート!
バンマードォーチーはテイクダウンも、すぐに立つデェダムロン。圧力をかけ右ストレート。その打ち終わりに組みに行くバンマードォーチーだが、ヒジを当てて突き放すデェダムロン。さらに右ストレート!
下がるバンマードォーチーに右ヒジを当てるデェダムロン! さらにテイクダウン狙いにヒザ! バンマードォーチーはなおもシングルレッグに入るが、それを潰したデェダムロンが亀になるバンマードォーチーにヒジ。なんとか足を手繰り倒すバンマードォーチーだが、立ち上がるデェダムロンは追って右ヒザ!
ついに腰を落としたバンマードォーチーにデェダムロンはヒザ! 右! レフェリーが間に入り、デェダムロンは勝利の雄叫びを挙げた。
32年間で培った多様な武器を駆使して22歳のホープを倒した42歳のレジェンドは、勝利コールにタイ国旗を背に両手を挙げてガッツポーズ。見事、再起を果たした。
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▼ONEフライ級(※61.2kg)5分3R×キム・デフォン(韓国)[3R 1分46秒 TKO] ※左ボディ〇シェ・ウェイ(中国)
デフォンは、サーデュラエフ、若松佑弥を相手に判定で2連敗から、2020年12月の前戦で当初、和田竜光と対戦予定だったが、ダニー・キンガド戦を失ったアクメトフと対戦し、判定0-3で敗れている。3連敗から脱出できるか。
ウェイは、中国「ONE Hero Series」出身。「ONE Warrior Series」を経て、2020年1月にONE本戦出場。ダニー・キンガッドに判定負け後、チャン・ロサナに3R TKO勝ち、2021年5月にインドのカンタラジ・シャンカル・アガサのテイクダウンを切り続け、跳びヒザも当て、アガサが3Rに進めず。2R終了時TKO勝ちで、2連勝をマークしている。
1R、ともにオーソドックス構え。スピンキックを見せるシェ。デファンはその入りに左から右! さらに右ミドルを当てる。その蹴り足を掴んで詰めるシェだが、足を抜くデファン。しかし左ミドルには右ストレートを被弾する。前に出るシェに下がりながら右フックはデファン!
ダウンするシェは足を手繰ると、デファンはギロチンチョークへ。しかし、対角にパスするシェ。すぐに立ち上がりダブルレッグテイクダウンはデファン。サイドを奪うとマウントへ。腰を切りハーフに戻して脇を差して立ち上がるウェイが上に。自ら離れて下のデファンの足に蹴りを放つ。さらに足をさばいて中腰からパウンドを入れたところでゴング。
2R、右から左、左右のワンツーも見せるウェイだがカウンターを警戒して深追いしないウェイ。右のカーフキックを当てるウェイ! 足が流れたデファン。サウスポー構えになるウェイ。オーソドックス構えに戻すと、右ミドルを打つデファン。右前蹴りを入れるウェイは、デファンの右ローを外にカットする。
右ローを打つウェイ。さらに近づいてヒジ、右アッパー。右のフェイントから左ジャブで入ってさらにステップインして左フックはウェイ! ダウンしたデファンだがガードで耐える。
3R、ギアを上げたウェイ。詰めて右跳びヒザを当てるとデファンがダウン! 立ち上がるデファンにウェイは右ヒジ、さらにボディ! さらに右後ろ蹴りもボディに入れるが、倒れないデファンは右で差して組みに。
しかしウェイの崩しに腰を落としてしまう。グラウンドに追わず、スタンドで待つウェイ。立ち上がってきたデファンに、左ボディ=レバー打ちを決めると、デファンは腹を押さえてダウン。レフェリーが試合を止めた。 ウェイが3R 1分46秒 TKO勝ちで3連勝をマークした。
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▼ONE女子アトム級(※52.2kg)5分3R×ビー・ニューイェン(米国)[判定0-3]〇ジェネリン・オルシム(フィリピン)※オルシムがアトム級GPリザーブマッチ進出 勝者が9月3日の「ONE: EMPOWER」女子アトム級ワールドGPの「交替試合」として、グレース・クリーブランド(米国)と対戦するテストマッチ。
ONEではムエタイ戦も戦うニューイェンは、2019年11月にスタンプとMMAで激闘の末、判定負け。その後、ジヒン・ラズワンに判定勝ち、2021年5月の前戦ではリトゥ・フォガットにスプリツト判定勝ちしている。
対するオルシムはMMA4勝2敗。WSOF Globalを経て、2018年10月にONEデビュー。クラウディア・ディアズに判定勝ちすると、カイティン・マクエウェンに腕十字で一本負け。2021年3月の前戦でマイラ・マザーを3R ギロチンチョークで極めている。
1R、左を振りながら前に出るニューイェン。金網を背にオルシムはニンジャチョークへ! そのままがぶり倒して絞めるが、頭を抜いたニューイェン。がテイクダウンへ。そこにオモプラッタを狙うオルシム。前転して外すニューイェン。
すぐに組みにいくオルシムにダブルアンダーフックのニューイェンが体を入れ替えヒザを突き、横に回してテイクダウン! サイドを奪うニューイェンはマウントへ! オルシムは亀になって前に落とすと、ニューイェンの腕十字を察知してゴング。
2R、サウスポー構えから右ジャブ左ストレートで前に出るニューイェン。それを捕まえて首相撲ヒザを突くオルシム。離れるニューイェン。右からいきなりの左はニューイェン。しかしオルシムのワンツーの右にニューイェンがダウン! パウンドで飛び込むとニューイェンはクローズドガードの中に入れる。中腰になるオルシムはガードの中から細かい鉄槌。
3R、オルシムのワンツーにカウンターで組んで小外がけテイクダウンはニューイェン! ハーフから足を抜きパスの瞬間に、脇を差されていないオルシムは身体をずらし立ち上がる。
左を振って組みに行くニューイェン。左ストレートをガード上に当てる。先に打ってオルシムが打ち返してきたところにカウンターのダブルレッグに入るニューイェン。しかしオルシムも首相撲ヒザ。離れるニューイェンに右を突くオルシム。そこにニューイェンがダブルレッグでドライブするが倒れないオルシム。
しかし、ここで払い腰テイクダウンを決めたニューイェンが上からパウンド。ゴングにニューイェンが手を挙げる。
判定はダウンを奪ったオルシムが3-0で勝利。9月3日の女子アトム級GPでグレース・クリーブランドとリザーブマッチを戦うこととなった。
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▼ONEバンタム級(※65.8kg)5分3R×ティオル・タン(米国)[判定0-3]〇ソン・ミンジョン(韓国)
ONE3勝無敗のタンはミャンマー系米国人。リン・サロス、キム・ウンギョンに判定勝ち。ポール・ルミヒに2R TKO勝ちしている。
韓国のソン・ミンジョンはROAD FCを経てONE Warrior Seriesでジェイク・ムラタらを降し、ONE本戦出場。2020年11月にゲヘ・エスタキーオに判定負けした。
1R、先に圧力をかけるタン。サウスポー構えのミンジョンが左で差して組むが、タンが払い腰テイクダウン! 頭から落ちるミンジョン。ガードに入れるが右目尻から出血。立ち際に左を被弾しながらもミドルを返す。
跳びヒザを見せてシングルレッグに入るミンジョン。左で差して組むが離れる。疲労が見えるタン。左ミドルはミンジョン。タンは右ストレートを当てて前に出るが押し返すミンジョンは、タンの入りにカウンターのダブルレッグテイクダウン! ハーフから肩固め狙い。外して亀になるタンにバックマウントから鉄槌! 4の字バックからリアネイキドチョークを狙う。
2R、左フックから右で入るミンジョン。タンも右ハイをガード上に当ててワンツー、右アッパー。しかし受けるミンジョンが左ミドルで反撃。詰めてヒザ蹴りも。しかし右で差したタンは小外テイクダウン! 抑え込めず自ら立ち上がる。
左右を振って前に出るミンジョン。タンが打ち返してくるとダブルレッグテイクダウン。そこにギロチンチョークを合わせるタンだが、頭を抜いたミンジョンは腰を引き出そうとする。金網から剥がされないタンは上半身を金網に立て座ると、立ち上がり。ミンジョンの崩しに投げられず、左右で前に出るのはタン! 今度は逆にミンジョンがスタミナ苦しいか。自らガードポジションを取る。
3R、ジャブの突き合いから左ミドルはミンジョン。左で差して押し込むが離れる。右ジャブを突くミンジョンにシングルレッグはタン。しかしそこを切るミンジョンが逆にダブルレッグへ。タンが立ち上がると右ジャブの連打から左前蹴りを腹に突く。
左で差して組んで崩そうとするミンジョン。ノーガードから右ジャブを連打で突く。互いに手が上がらないなか、ダブルレッグテイクダウンはタン! 飛び込んでのパウンドを放つが、そこに下のミンジョンは草刈からスイープ! 背中を見せたタンのバックを奪い、リアネイキドチョーク狙い。パームトゥパームの手を剥がしに行くタン。ゴング。
判定は3-0でミンジョンが勝利。エスタキーオ戦からの再起を果たした。
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▼ONEバンタム級(※65.8kg)5分3R〇プレウ・オトゴンジャルガル(モンゴル)[1R 0分49秒 TKO] ※右ストレート×ベン・ロイル(英国)
MMA6勝1敗のオトゴンジャルガル(モンゴル)は、ONE初参戦。2019年12月の「ONE Warrior Series 9」で韓国のパク・テホをダースチョークに極めている。
対するロイル(英国)は、MMA5勝1敗。2020年8月にONEに初参戦し、クインティン・トーマスを3R TKOに降している。
1R、サウスポー構えのロイルに、オーソドックス構えのオトゴンジャルガル。右インローを当てるオトゴンジャルガル。下を突いてさらに近い距離で打ち合いに。
ロイルの左に右ストレートを合わせたオトゴンジャルガルがダウンを奪い、強いパウンド! レフェリーが間に入った。
ゲル住まいの遊牧民オトゴンジャルガルは、モンゴルハットのマルガイをかぶり、「これがモンゴリアンだ」と雄叫びを挙げた。