MMAに転向するため女子プロ野球を辞め、ようやく初陣に漕ぎつけた松田
2021年9月4日(土)東京・新宿FACE『skyticket Presents DEEP JEWELS 34』の当日昼に開催される『DEEP JEWELS AMATEUR』の全対戦カードが発表された。
全7試合が行われるが、注目されるのは第2試合(54kg契約、3分2R)に登場する松田亜莉紗(BLOWS)だ。
松田(旧姓:金山 1994年12月生まれ=26歳)は小学4年生でリトルリーグに入団、中学はリトルシニア、高校で硬式野球を始め、2013年に女子プロ野球の京都フローラに入団。2013~2014年に女子プロ野球リーグのベストナインに選出され、2014年には外野手としてジャパンカップ個人賞を受賞。そして2015年に京都フローラがリーグの年間女王に輝き、松田は大会MVPに輝いた。
“ありぴー”のニックネームでアイドル的な人気もあったが、2017年に格闘技転向のため引退。2019年には『新婚さんいらっしゃい!』に出演して話題を呼んだ。
松田が野球を捨ててまで格闘技に転向したのは「2017年頃、小学校から10年以上続けた野球に対して、燃え尽きたように感じるようになり、来季に向けて気持ちが乗らず悩んでいた時期がありました。その時、たまたまテレビでBellatorの試合を見ました。戦っていた選手がイリマ・レイ・マクファーレン選手で、見ていて凄く楽しく引き込まれ『自分もやりたい!』と強く思うようになりました」と、野球をある程度やり切った感じた時期にMMAの試合を見たのがきっかけだった。
「ちょうど、野球の契約更新の時期でしたので、引退を決意し格闘技にチャレンジすることに決めました」と行動は早かった。
松田はその後、ハワイに格闘技留学。「HMCのハル・シマニシさんの所でMMAを教わりました。柔術、ムエタイ、キックボクシング、MMAやウエイトトレーニングなど、3カ月間みっちりと教わりました。これが私の格闘技の始まりです」と集中して練習を行ったが「MMAの試合は次の9月4日の試合が初めてです。柔術の試合には2回くらい出ています」と、2017年に転向を決意してなぜこれほど時間が経ってしまったのか。
「2018年に試合に出たくて約1年間練習を積んでいたのですが、2019年に結婚・出産を経験し1年間産休を挟みました。2020年から練習を再開し現在に至ります」というのがその理由。
また、「まだ格闘技を始めたての頃は勢いもあり、すぐに試合で戦えるだろうと簡単に考えていたのですが、日々練習する中で自分がいかに無知で力が無いかということを思い知らされました。
(写真)MMAの師匠は元修斗世界王者の中蔵
私はバックボーンに柔道や空手などの格闘技経験がありません。MMAはやる事がたくさんあり、関節技やパウンドなど、知識が無ければ怪我のリスクも上がります。しっかりと基本を身につけ、少しでもリスクを下げて挑みたいと思い日々練習し、今回エントリーさせて頂きました」と、野球で培ったフィジカルや運動能力だけで勝負するのではなく、きっちりと基本や技術を身に付けてから試合がしたかったと本気度を見せる松田。
MMAでの目標は「プロを目指しています」と言い、「その中でトップをとる事です」ときっぱり。「そのためにも、まずは目の前にある一戦を大切にしたいと思います」とアマチュアデビュー戦でしっかり勝つことを目の前の目標としてあげた。
(写真)アスリートとして鍛えられたボディ
どんなファイターになりたいかと聞くと「全てを兼ね備えている、強くていやらしいファイターです」と答えた。
「目標とする選手は今のところ特にいないのですが、BLOWSの中蔵隆志代表(第9代修斗世界ウェルター級王者)をはじめ、BLOWSのプロ選手と早く対等に組み合えるようになることが現時点での目標です。ちなみに最近では中蔵代表の現役時代の動画をYouTubeで見漁っています。イメージしやすく、勉強になります」
元女子プロ野球のトップアスリートがMMAでどこまで上り詰めるか注目される。まずは9月4日、時間をかけて準備をしてきた成果を発揮することができるか。