MMA
インタビュー

【GRACHAN】レスリング全日本王者・原口伸がプロMMAデビュー、宮田和幸BRAVE代表「場数を踏んでいく方が近道」=9月5日(日)幕張

2021/08/19 16:08
 2021年9月5日(日)幕張ベイパークアリーナで開催される「GRACHAN.50」に、レスリング界から全日本王者が参戦する。  第6試合のライト級(-70.3kg)で、2019年全日本選手権フリースタイルレスリング70kg級王者の原口伸(BRAVE・22歳)がプロデビュー戦に臨む。対するは柔道歴17年、天理大柔道部出身の大搗汰晟(総合格闘技宇留野道場)。原口よりひと足早く7月の「Wardog Cage Fight 32」でプロデビューし、判定勝ちを収めている。  父が作ったレスリング道場=串良クラブで小3からレスリングを始めた原口は、強豪・国士舘大学に進学。2019年の全日本選手権を制し、2020年の世界選手権出場資格も得ていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会が中止に。MMA(総合格闘技)ファイターになるために、シドニー五輪代表でBRAVEジム主宰の宮田和幸代表のもとで内弟子となり、いち早く修行を積むことを選択した。  原口について、宮田和幸代表は、「もちろんレスリング能力が高い。フィジカルがあって、何より練習をしっかりやれる才能がある」と語る。  原口は鹿児島・樟南高校時代はインターハイも国体も出場していないが、そこから這い上がり全日本王者となった遅咲き選手。すぐ下の階級に同じ年齢の乙黒拓斗がおり、後の金メダリストの活躍に刺激を受けてきた。  オリンピックイヤーにプロデビューしたレスリングの強豪は、原口以外にもいる。  2017年U-23世界選手権フリースタイル61kg級金メダルの中村倫也(LDH martial arts)と、同年のグレコローマンU-23世界選手権59kg級金メダルの河名マスト(真寿斗/ロータス世田谷)だ。  ABEMA『格闘DREAMERS』でも頭角を現していた中村は、7月のプロ修斗で衝撃の左ハイキックKO勝利。グレコ出身の河名はポジションを制するも、延長Rに左ハイを浴びてのカットによるTKO負けとなっている。  また、リオデジャネイロ五輪グレコローマン59kg級銀メダリストの太田忍(パラエストラ柏)も、2020年の大晦日「RIZIN.26」の所英男戦でMMAデビュー。2Rに腕十字固めで一本負けし、怪我の治療を経て、2021年9月19日(日)「RIZIN.30」さいたまスーパーアリーナ大会で、初代K-1 WORLD GPウェルター級(-67.5kg)王者の久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE)との対戦が決定している。  レスリング界のトップクラスが続々とMMAに参戦を果たしているが、宮田代表は、「レスリングの実績を持って“何となく”入ってきてMMAをやってもこれからは勝てない」という。  さらに、「中学までみんなフリースタイルレスリングに取り組んで、そこからの適正などでグレコローマンと分かれますが、まずフリースタイルのレスリングが出来ないとMMAでは厳しい」とその競技特性の違いを語る。  打撃があることでレスリングとは構えも距離も異なるMMA。さらに腰から下を攻防に用いることが禁止されているグレコローマンと、全身を使うフリースタイルではその技術体系も異なる。相撲的な四つ組みのみならず、シングルレッグ(片足タックル)、ダブルレッグ(両足タックル)などの足を掴むテイクダウンが混ざることで、MMAのほかの動きが活きてくる。 「グレコの実績はあまり考えないようにしていますが、かといって、“ゴリゴリのフリースタイル”でも通用しない。たとえば、低いタックルから足首を掴むタックルだけを得意としている選手にとってMMAは厳しい。シューズが無いから足首をひっかけられないんです」と宮田代表は語る。  さらに、レスリングにはない「壁」が存在するのもMMAの特徴だ。ケージやリングのロープ・コーナーのなかでの試合は、「壁レスリング」という新たな技術を習得する必要もある。そういった状況下で、いかに自身の強みをMMAのなかで活かすか。 「原口にもそういう動きはあったので、MMAにアジャストさせるために練習をしてきました。その点、BRAVEジムには、グレコもフリースタイルもどちらの出身選手もいて、各選手が使えるもの・使えないものを取捨選択してきたノウハウがあります」  フリースタイル出身の原口は、先駆者として取り組んできた宮田代表とチームのもと、「GRACHAN」からプロMAMデビュー戦に挑む。  宮田代表は言う。「オリンピック選手がその知名度を活かしていきなりメジャー団体に出るのは分かります。ただ、それ以外の選手は、レスリングで実績があっても、ビギナーからMMAの場数を踏んでいく方が、強くなる近道だと思っています。対戦相手もいきなり強豪を当てるのではなく、キャリアを詰めるように同じくらいの選手と戦っていく。実は原口もアマチュアで1戦してから、今回のプロデビュー戦に臨んでいます」。  同大会には、ほかにもアマチュアのトップアスリートとして、2020年「第48回全日本空手道選手権大会」(全日本空手道連盟)男子組手個人戦5位の野村駿太(BRAVE)、2017年愛媛国体ボクシング少年男子バンタム級3位の松井斗輝(パラエストラ柏)らがプロMMAデビューを果たす。  異なる「格闘技」からMMA(Mixed Martial Arts/総合格闘技)に挑戦するファイターたちは、いかにアジャストするか。見る側もその相違点を知ることで、MMAとは何かが見えてくる。トップアスリートたちのデビュー戦、その後の取り組みにも注目だ。
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