約半年ぶりの試合に臨む壱。再び小笠原瑛作の元へたどり着けるか(C)KNOCK OUT
2021年8月22日(日)東京・新宿FACE『SACRED FORCE presents KNOCK OUT-EX vol.3 ~RED FIGHT~』(昼興行)にて、スーパーバンタム級3分3R延長1Rで森岡悠樹(北流会君津ジム)と対戦する壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
壱は2019年12月のムエタイオープンで岩浪悠弥にまさかの初回KO負けを喫し、14連勝が途切れた。2020年2月のルンピニースタジアムでの再起戦でも敗れ、9月のKNOCK OUTで小笠原瑛作にも初回KO負けと絶不調だったが、12月のREBELSで鈴木貫太から久々の勝利を収めた。岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメントでは準決勝(1回戦)で強敵・岩浪悠弥に勝利も、決勝で加藤有吾に3度のダウンを奪われての判定負け。今年3月に古村光を判定で破り、再起を果たしている。
今回は左ミドルだけじゃない僕を見てほしい
「はい。5月に他団体の地方での試合に出場して、7月に『KNOCK OUT』に出る予定だったんですが、5月の大会がコロナの影響で中止になって、7月の試合も延期になったので、半年空いたという感じです」
──こんなに試合間隔が空くのは珍しいですよね?
「そうですね。一昨年は1年で9試合したんですけど、コロナ期間に入ってからは1年に2試合のペースになってしまってます。僕は試合が空いちゃうと練習をサボっちゃう癖があるので、僕自身は試合ペースが詰まってた方が強いんですけど(笑)」
──今回も空いてますけど、大丈夫なんですか?
「僕、昨年12月から寮暮らしに変わって、練習をサボることができなくなったんです。だから今回の試合では、寮暮らしでサボれなくなった僕を見てほしいです」
──なるほど(笑)。
「朝から、コーチが食事の管理など全部やってくれるんですよ。最初は『今日はサボりたいな』という時もあったんですけど、今はもう、毎日練習するのが当たり前になったので、僕自身いい方向に行ってるなと思ってます」
──それはいい感じですね。
「前回の古村戦が、寮暮らしになってからの初戦だったんですけど、今回はそこからさらに半年ミッチリとやったし、その間は試合があると思ってずっと練習してきたので、けっこうハードにやってきました。毎月、試合前みたいな練習をしていたので、仕上がってます」
──その中で、今特にテーマにしているポイントはありますか?
「僕はもともと左ミドルが得意で、左ミドルで完封する試合が多かったんですけど、『KNOCK OUT』ということなのでパンチの方にも磨きをかけていて、今回は左ミドルだけじゃない僕を見てほしいと思います。森岡選手は僕仕様に練習内容も変えてくると言っているので、僕の左ミドルをすごく警戒してくると思うんですよ。でも、左ミドルを警戒したら全部が当たるので、どんな対策をしても僕の技を全て食らうことになると思います」
──しかも、今までの戦いからは対策できない新しい攻撃も加わっていると。
「そうですね。やっぱり僕の対策をすると『左ミドルをどうするか』ということになると思うんですけど、そこを気にしてる時点で、もう勝負ありです」
──その森岡選手について、同じ階級として意識はされていたということでしたね。
「はい。それこそ、僕が階級を上げる前、バンタム級でやっていた頃から、スーパーバンタム級で戦いたいという意志はずっとあったんですよ。その時に、ウチのジムがやっていた『ムエタイ・オープン』という興行に森岡選手が出場されていて、『階級を上げたらこのくらいの選手とは当たるんだろうなあ』と思って見ていた選手でした」
──では、対戦するイメージも若干なりとも作っていた?
「スタイル的には、対策を練ったりするほどではないなあとは思ってましたけど、多少は考えましたね。まあでも、今まで通りの僕で普通に戦います」
──ただ形としては、森岡選手が着実に勝ち星を重ねて、壱選手と組まれるところまで来たという流れではありますよね。
「それはそうだと思います。ただ僕も階級を上げてからはまだそんなにいい成績は残せていないので、鈴木貫太選手に勝って古村光選手に勝って、ここで森岡選手に勝てれば、スーパーバンタム級ではトップクラスに絡める実力は証明できるんじゃないかと思います」
──カード発表会見でも「瑛ちゃんしか見えてない」という発言がありました。
「僕の最終目標はそこなので、しつこく狙っていきたいと思っています。まあ僕も、そんなにすぐ組んでもらえるとは思っていません。瑛ちゃんもチャンピオンで、あんなに連続でKO勝利を続けていて、今はどんどん差が開いていっているので、そんなにすぐ噛みつける相手だとは思ってないんです。そのためにも、周りから『もう一回見たい』と思われるまで僕が勝ち続けるしかないですね。
──実際、小笠原選手は『KNOCK OUT』の王者として、他団体の王者たちとの対戦に目が向いている状況ですよね。そこを振り向かせないといけないわけで。
「そうですね。『KNOCK OUT』のファンの人も、今僕と瑛ちゃんが戦っても、瑛ちゃんが勝つとしか思わないと思うんですよ。彼も最近、すごく調子いいので。だからこそ、まず僕が勝ち続けるしかないと思っていて、鈴木選手、古村選手、森岡選手を倒せば、一歩近づけるんじゃないかと思ってます」
──しかも、インパクトのある勝ち方も求められますね。
「KOで周りをワッと盛り上げるのが一番理想なんですけど、無理してKOを狙いに行ってパンチをもらっちゃったパターンも過去にあったりしたので、今回は周りがドン引きするぐらい差を見せつけて、痛めつけようかなと思ってます。でもやっぱり『KNOCK OUT』という舞台なので、最終的にKOすることにはこだわってます」
──相手に何もさせず、攻撃し続けて最後は倒すと。
「はい、それぐらい差はあると思います」
──自分のことでも相手のことでも、あえてここに気をつけなければという点はありますか?
「僕は今までKO負けが2回あって、ダウンを食らってることも5回ぐらいあるんですけど、そのほとんどが1Rなんですよ。僕って、試合前もこのキャラのままというか、マイペースで緊張しないんですよね。それが仇になって、試合の最初からリラックスしててパーン!ともらっちゃうケースがメチャメチャ多くて。逆に2・3Rまで行っちゃうと勝率はすごく高いんです。今回、僕と森岡選手の実力差はすごくあると思うので、そこで油断せずにいかないとなと。1Rがカギだと思ってます」
──なるほど。森岡選手も最初から出てくる可能性は十分ありますからね。
「攻撃力のある選手ですから。テクニックで僕に勝てるとは思ってないだろうし、一発を狙ってくるだろうから勢いで来ると思うので、そういう意味でも1Rがカギを握るかなと思いますね」
──そういう自己分析も珍しいですね。
「数字にするとパッと出ちゃうんですよね。もともとスロースターターで、2年前にHIROYUKI選手と対戦した時は1、2Rを取られて、3、4、5Rで取り返して判定勝ちしましたからね。だから僕的には5Rの方が得意です。でも今回は3Rなので、1Rから用意スタート、ドン!」でアゲ目にいこうかなと思ってます」
──それと会見では、「REDルールの面白さを見せたい」という発言もありました。
「『KNOCK OUT』がREDルールとBLACKルールに分かれてるのって、それぞれの面白さがあるからだと思うんですよ。やっぱりREDルールの、首相撲やヒジを見たいファンもいると思うので、REDルールらしい勝ち方を見せられたらいいなと思ってます。所属もムエタイジムですから」
──そこも意識して練習している?
「もちろんです。僕はKOではパンチとキックが多くて、ヒジで決めたことは1~2回ぐらいしかないので、そろそろやりたいなと。森岡選手もムエタイベースなので、首相撲も逃げずに勝負に来てくれれば、ヒジも当たるんじゃないかなと思ってます」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントは?
「今、フィジカルのトレーニングを増やしてるんです。まだ体がバンタム級だったので、この半年間はスーパーバンタム級に適応できる体作りをやってきました。だから体がちょっと分厚くなってると思うので、そこを見てほしいですね。森岡選手はずっとスーパーバンタム級でやってきた選手ですけど、力負けすることは全然ないと思います。練習ではいつもボコられてるので、自分のパワーが上がったことを実感できる場がまだないんですよね。だから森岡選手で試したいと思っているので、自分でも楽しみです」