(C)Manel Kape
2021年8月7日(日本時間8日)、米国テキサス州ヒューストンのトヨタセンターにて「UFC265」が有観客で開催される。
そのアーリープレリムのフライ級戦(5分3R)で、元RIZINバンタム級王者のマネル・ケイプ(アンゴラ/ポルトガル)が、オデー・オズボーン(米国)と対戦する。
ケイプは、ボクサーだった父の影響で、4歳からボクシングを始め、18歳でプロMMAデビュー。2017年10月にRIZINに初参戦し、2019年12月には朝倉海を2R TKOに下し、バンタム級王者となっている。
その後、UFCで階級を落としてフライ級に参戦。2021年2月に当時5位(現3位)のアレッシャンドリ・パントージャと対戦し、判定負け。3月13日には、欠場選手の代役として大会1週間前のオファーを受けてマテウス・ニコラウと対戦し、スプリット判定負けを喫したが、北米メディアの大半がケイプ勝利を支持するなど、物議を醸す判定となった。
その後もケイプは、ラスベガスのUFCパフォーマンスインスティテュートを拠点に、チーム・ハビブのダゲスタンファイターとも練習。2021年3試合目に臨む。
対するオデー・オズボーンは、“ジャマイカン・センセーション”と呼ばれるジャマイカ系アメリカ人。フェザー級とバンタム級で戦い、UFCでは1勝1敗。初戦はバンタム級でブライアン・ケルハーにギロチンチョークで1R 一本負けも、2021年2月にはフェザー級でジェローム・リベラにわずか26秒、左ストレートでKO勝ちを収めている。
身長170cmでリーチが183cm。サウスポー構えから繰り出される長い左ストレート、さらに長い手足を活かした跳びつきの三角絞めには注意が必要だ。
結果としては連敗の背水の陣のなか、ケイプはインタビューで、これまでの敗戦の原因のひとつである、ステップワークについて、特殊な靴下を履く許可を求めていることなどを明かした。
特殊な靴下を履いて戦えるか、許可を待っているところさ
──今回はラスベガスの無観客の「UFC APEX」ではなく、ヒューストンのトヨタセンターで多くのファンの前で戦うことについて、どう感じていますか。
「いい気分だよ。ファンの前で戦うのはとてもワイルドなことで、より興奮するからね。すべてが良くなる。過去2回の試合はファンの前で戦えなかったので、自分にとっては少し違ったものだった。僕の試合を見に来てくれる人がいると思うと、より興奮するね」
──今回の練習環境を教えてください。
「前回からラスベガスで、ハビブ・ヌルマゴメドフとロシア人選手たちと練習している。それにコンディショニングコーチと一緒にトレーニングしているよ。ハビブは細かいところまでよく教えてくれるし、グラウンドゲームの経験も豊富だ。以前にも彼とトレーニングしたけど、今回、彼はグラウンドのテクニックについてより多くのアドバイスをしてくれたよ。今回の試合では、サブミッションを取れるようにしたいと思っている」
──前回の試合後、KO決着させるためにフィジカルをアップさせることも課題として挙げていました。成果をどのように感じていますか。
「とても良いよ。今はコンディショニング・トレーニングで少しずつ強くなっている。必要な体重とパワーをつけたから、これで少しは変わると思う。今すぐにでもモデルになれるような身体さ(笑)」
──3月の試合後、UFCでの2連敗の敗因を「マットが滑ること」と言っていました。その問題は解決できましたか。
「滑らない、足にくっつく特殊な靴下があるんだ。UFCパフォーマンスインスティテュートでは、すでにこれを使ってトレーニングしているよ。これを履いて戦えるかどうか、許可を待っているところなんだ。もちろん練習では靴下を履かない場合の練習もやっているけどね」
──なるほど、足元にも注目ですね。対戦相手のオズボーンはジャマイカ系アメリカ人で、フェザー級とバンタム級で戦っていた選手です。「Contender Series 2019」で腕十字で勝利し、UFCでは1勝1敗。身長170cmでリーチが「183cm」もあります。サウスポー構えで左ストレートで相手を下がらせるリーチ差10cmの相手は、戦いにくさはありませんか。
「彼と同じくらいのリーチの選手と戦ったことがあるから問題ない。カイ・アサクラは身長172cmでリーチも長かったよ。でも、オズボーンの試合にはいくつかの問題があるように感じた。時折出していたハイキックが上手いとは思えないし、柔軟性もあまりない。たしかに唯一、左手に力があることは分かったよ。でも、僕は彼よりもパワーのあるファイターと戦ってきた。
彼は『誰も自分をノックアウトしたことがない、不可能なことだ。自分のアゴはアイアンマンのようだ』と言っていたね。僕は彼のリーチを奪うことができるし、彼よりも速くて、常に攻めて距離を作ることも出来る」
【写真】2月にジェローム・リベラにわずか26秒、左ストレートでKO勝ちしたオズボーン
──オズボーン選手は3敗のうち、2つはギロチンとヒザ十字による一本負けですが、「Pura Vida BJJ/MMA」所属らしく、長い手足を活かした三角絞めで2度の勝利もマークしています。
「正直、僕のグラップリングと柔術は彼よりはるかに優れている。結局のところ、僕と彼は同じではなく、レベルが違うんだ」
──オクタゴンで2連敗中のあなたにとって、この試合にどんな意味を持って戦いますか。
「今回の試合は、他の意味もあるんだ。前回の試合(マテウス・ニコラウ戦)では、100パーセント、僕が勝ったと思っている。米国のジャーナリストたちも皆、僕が勝ったと信じていたよ(※主要サイトの22人全員が29-28でケイプを支持)。対戦相手も負けたと思っていたようで、試合後に会ったときに『自分のせいじゃない』と言っていたんだ」
──大会1週間前のオファーを受けての連戦でしたが、1Rをニコラウ選手が取り、2Rはケイプ選手が取り返した。3Rは接戦だったと思います。ニコラウ選手がカーフキックやワンツーを当て、ケイプ選手はヒザ蹴りを突き、右ジャブを返し、相手が引き込む形になりました。結果的に、もう少し積極性が必要だったのではないかとも感じました。
「僕は理解したよ。あれが僕の試合なんだって。でも、今回の試合では、勝たなければならないからといって、自分に大きなプレッシャーをかけるつもりはない。自分が勝者であることを知っているからね。運も悪かった。土曜の夜がすべてを変えてくれるだろう」