2021年7月18日(日)に大阪・コレガスタジオにて『DEEP OSAKA IMPACT 2021』が開催された。
メインイベントでは、注目のバンタム級で大阪出身の第3代HEATバンタム級王者・赤尾セイジ(パラエストラ天満)と、新潟出身の笹晋久(パラエストラ柏)が対戦。
赤尾は、2019年4月のDEEP大阪大会で瀧口脩生に判定勝利後、7月のHEATバンタム級王座決定戦で春日井たけしに2R リアネイキドチョークで一本負け。しかし、11月の「DEEP&PANCRASE 大阪大会」でグラップラー城田和秀を相手に判定勝利。続く2021年4月の清水俊一戦でも判定勝ちで2連勝中だ。
2017年の修斗バンタム級新人王の笹は、修斗で一條 貴洋を2R TKOに下すなど4連勝後、2018年に加藤ケンジに判定負け。2020年3月から主戦場をDEEPに移し、ハシャーン・フヒトに判定勝ち、8月に強豪・高野優樹も1R ギロチンチョーク得意のギロチンチョークで極めて2連勝を飾っている
赤尾が地元でベテランの強さを見せるか。勢いに乗る笹がリングで赤尾をも超えるか。3連勝を飾るのは!?
▼メインイベント 第9試合 DEEPバンタム級 5分3R〇笹 晋久(パラエストラ柏)[1R 3分44秒 TKO] ※左ストレートからラッシュ×赤尾セイジ(パラエストラ天満)
1R、サウスポー構えの笹に、オーソドックス構えの赤尾。左ローを当てる赤尾。右を刺して組んで首相撲にとらえるが、逆に首相撲にとらえ直した笹。首をつかまれた赤尾は右アッパーを突くが、笹は引きつけながら左ヒザ!
尻餅をついた赤尾はヒザ着きのダブルレッグでコーナーに押し込むと、笹は後方に両足を飛ばしてスプロール。赤尾をがぶり、離し際に左右を振って右で差してコーナーに押し込む。コーナーマットの下部が外れるアクシデントのなか、コーナー部分の上部を背に左ヒザを突く赤尾。笹も左ヒザを返し、互いにヒザを突き合い離れる。
右ストレートを伸ばして頭を下げてテイクダウンのフェイントを見せる赤尾。かわす笹に赤尾は再び前足に左ローをヒット。笹もワンツーの右・左を振って前進し、前手の右フックをヒット! 頭を下げて左右を振る赤尾は右で差して押し込むが、コーナー際で体を入れ替えた笹が右で差して押し込み、左ヒザをコツコツと突く。
ロープを背に左小外がけで崩してボディロックし、後方に回してテイクダウンは赤尾! コーナー際でいったんはハーフガードにした笹は、足を戻してコーナー背にすぐに立ち上がり。なおも左で差して押し込む赤尾は右ヒザも突くが、右で小手に巻いていた笹は、右手を放し、首相撲へ。そこにショートの右を当てる赤尾だが、両手で突き放したと同時に左フックを打ち下ろした笹がダウン奪取!
後方に倒れた赤尾に笹はサッカーキックも、赤尾もガードの中に入れて抱きつき、腰を引いて立ち上がりへ。その際で右を当てる笹がサッカーキックを右、さらに左をヒット! ガードを固めて立ち上がった赤尾に左右を振ると赤尾も下がりながら応戦。
右ストレートで飛び込むが、そこに左ヒザは笹! もらった赤尾が後退。さらに笹は左ハイをかすめる。続けて左ストレート! スタンディングで下を向いた赤尾に右アッパー、左ストレート、右の連打で倒れかかったところに最後にダメ押しの左ミドルを受けた赤尾がヒザをマットに着いたところでレフェリーが間に入り、ゴングが打ち鳴らされた。
TKO勝利にも笑顔は見せない笹は、コーナーでフェイスマスクをした鶴屋浩代表、扇久保博正とハグ。赤尾と握手をかわした後に、観客に咆哮! とめどなく流れる涙を拭きながら、ガッツポーズを見せると、最後にマットに深く一礼をしてリングを下りた。
3連勝を決めた笹は、花道でも神田コウヤらパラエストラ千葉ネットワークの練習仲間と抱き合い、涙。試合後、インタビューに応じた(※メイン以外は後程掲載)。
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選手としては勝つことしか恩返しできない
──1R、見事なTKO勝ちでした。
「練習でいつも先輩方に指導をいただいて、やることは決めていたので、これが来たらこれと考えてやってきて、組み立てができていて、それをやれたかなと思います」
──序盤の赤尾選手のローなどの打撃については?
「僕的には効いたというのはなかったですね」
──赤尾選手が得意とするレスリングをしっかり断ち切りました。
「アマチュアのときにテイクダウンされまくって負けたので、その対応は何回も反復して身体に染み込ませていたので、別にテイク(ダウン)されてもいいという考えで試合をしていて、タックルにこられようが倒されようが、思うところはなかったです。(タックルが)強いのは分かっていたので」
──そして左の攻撃を効かせました。手応えを感じたのは?
「手応えがあったのは左ストレートとサッカーボールキックですね。1R(序盤)から僕のパンチも当たっていたんですよ。その時点で効いていたのは分かっていました。それで相手の赤コーナーでタックルに来られて凌いで。
当たると分かっていたのでミドルを蹴って、ミドル・ハイは絶対蹴ろうと思っていました。そうしたらタックルに来れなくなるし、オーソvs.サウスポーなら(左の蹴りで相手が)前に出にくくなるというのは、何も持ってなかった自分が、一番最初に教わったことだったので、それが試合前にも練習していて勝手に出たのと、左ミドルが当たれば、左ストレートが当たってくるのも分かっていました」
──ほぼ、プラン通りだったということですね。
「そうですね。やることは──試合ってプランを決めて機械的に出来る人、実行出来る人が強いと思うので、それを実行するためには、反復と練習しかない。それが出せたということですね」
──メインの試合後、涙を流していました。どんな思いでしたか。
「それはほんとう……マイクでものすごくいいたかったことなんですけど、まず、大阪まで、僕の試合のためにみんなチケットを買って、新幹線代もかけてほんとうに遠くから来てくれたことに感謝しかなくて。それを皆さんにマイクで言いたかったんです……これは以前の話しなんですけど、僕、チケットが全然、売れなくて。前の修斗の時代から今まですごく苦労して、“どうすればいいんだ”と思っていて、僕の試合が面白くないとか、努力不足だということは分かっていたんですけど、いつも一緒に練習して、自分にいい思いばかりじゃないのに、みんな自腹でわざわざ大阪まで来てくれたことが、すごい自分の力になって、嬉しくて、感謝の言葉を伝えきれなくて……。
来れなかった人も試合前にLINEをくれたり、それが嬉しかったことを伝えたくて、(涙は)その気持ちが溢れて。ほんとうにいつもお世話になっているので、選手としては勝つことしか恩返しできないと思っていますので、僕の実力的にはいい勝ち方ができたのかなって思って、少しは恩返しが出来たのかなって……それで、涙が出てしまいました」
──勝利にチームの絆があったのですね。
「皆さんにほんとうにいつもお世話になって、大阪まで足を運んでくれた方、出稽古先の方々もいつもアドバイスをくれたり、僕なんかの練習相手になってくれてほんとうに感謝しています。ありがとうございます」
──実績のある赤尾選手に勝利したことで、またひとつ階段を上ったかと思いますが、今後の目標を教えてください。
「ほんとうに赤尾選手は名前もあって、僕のなかではかなり強い選手で。僕が格闘技を始める前からも名前がある選手で、刺激をいつも与えてくれた一流の選手だと思っていて、その方にああいう勝ち方が出来たので、次こそはタイトルマッチ(※現王者はビクター・ヘンリー、前王者は元谷友貴)とか……もう僕もジムに、パラエストラにベルトを持って行きたいので、ぜひともタイトルをやらせていただきたいです。よろしくお願いします」
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セミはMG眞介が谷岡を1R TKO、女子は加賀谷、須田、古賀、爆美が勝利
▼セミファイナル(第8試合) DEEPバンタム級 5分2R〇MG眞介(パラエストラ東大阪)[1R 3分51秒 TKO]×谷岡祐樹(パラエストラ加古川)
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▼第7試合 DEEP JEWELSフライ級 5分2R×栗山 葵(SMOKER GYM)[1R 3分43秒 ギロチンチョーク]〇加賀谷花野(柔術&MMAアカデミーG-face)
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▼第6試合 DEEP JEWELS49㎏級 5分2R〇須田萌里(SCORPION GYM)[2R 3分40秒 腕十字]×樋田智子(カルペディエム福岡)
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▼第5試合 DEEP JEWELSアトム級 5分2R×パンナコッタみのり(UBF)[1R 0分18秒 TKO]〇古賀愛蘭(総合格闘技STYLE)
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▼第4試合 DEEP JEWELS 49kg以下 5分2R〇浪速亭☆爆美(総合格闘技道場コブラ会)[2R 2分56秒 TKO]×升本美成(総合格闘技道場BURST)
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▼第3試合 DEEPウェルター級 5分2R〇網藤雄太(スパーク)[1R 4分29秒 TKO]×ホドリゴナカヤ(ダニエルダシルバーBJJ)
▼第2試合 DEEPバンタム級 5分2R〇山﨑鼓大(BLOWS)[判定3-0]×秋田良隆(KING GYM KOBE)
▼第1試合 DEEP 80kg以下 5分2R×スダコンガ(SCORPION GYM)[1R 4分28秒 TKO]〇小牧ゆうた(Y&K ACADEMY)