NO KICK NO LIFE 新章~唯我独尊~2021年7月22日(木)東京・USEN STUDIOCOAST
▼メインイベント 前口太尊引退試合 61.5kg契約 3分5R×前口太尊(TEAM TEPPEN/第7代&第9代J-NETWORKライト級王者)KO 2R 3分02秒 ※右バックスピンエルボー○森井洋介(野良犬道場/KING OF KNOCK OUT初代ライト級王者)
前口太尊が引退試合を行うことが決定。その相手に森井洋介を指名した。
2010年4月にプロデビューした前口は、同年のJ-NETWORK新人王に輝くと、2013年8月にはJ-NETWORKライト級王座を獲得。パンチを武器にトップクラスで活躍し、『KNOCK OUT』『RISE』『REBELS』『シュートボクシング』など様々なリングに参戦。2017年8月の勝次戦以来、5連敗と厳しい状況だったが2019年11月に初代WBCムエタイ日本統一フェザー級王者・氏原文男から勝利を収め、連敗をストップした。2020年9月のRISEでは階級を下げて森本“狂犬”義久と対戦し、激闘の末に判定勝ちするも12月に一馬に敗れた。戦績は22勝(15KO)19敗。34歳。
森井は国内ライト級屈指のハードパンチャーで、近年はKNOCK OUTのエースとして活躍。2016年9月の旗揚げ会見スペシャルマッチから2019年2月までに11勝(9KO)2敗1分という戦績を残した。2017年に開催された「KING OF KNOCK OUT初代ライト級王座決定トーナメント」では3試合全てKOで制し、初代王座に就いている。チャンヒョン・リー、原口健飛に連敗してどん底を味わったが、2020年10月のNO KICK NO LIFE復活大会で翔貴にダウンを奪われながらも逆転KO勝ち。再起を果たし、2021年2月の同大会では永澤サムエル聖光に判定勝ちで連勝。戦績は46勝(30KO)9敗4分。
両者はこれまで同じ階級、同じ大会、同じトーナメントに参戦しながらもこれまで対戦することがなく、これが最初で最後の対戦に。試合前には「KING OF KNOCK OUT初代ライト級王座決定トーナメント」の準決勝で前口と、決勝で森井と戦った勝次が両者に花束を贈呈。
1R、前口の右ローに森井が左フック。ジャブとローで慎重に攻める前口に、森井も冷静に見ながら左フックを合わせる。森井が右ストレートから前へ出ると前口も連打からのヒジを見せる。
2R、森井は左ボディ、右ロー。前口は連打でガードを固めさせてのバックハンドブロー。ジャブを繰り出し、ヒジを放つ前口。残り30秒で打ち合いに行く前口が右フック、森井も前へ出て左フックを返す前口がバックハンドブローを空振り、続いて出したジャブをかわした森井がバックスピンエルボーを放つとこれが見事命中。前口はその場に崩れ落ち、10カウントを聞いた。
介錯人を務めた森井は「美女に囲まれて鼻血が止まらないんだけど(笑)。気迫がめちゃ伝わって危なかったんですが、前口選手ありがとうございました。同世代でしのぎを削ってきた選手が引退するのは悲しいのですが、第二の人生頑張ってください。もうライバルではないので良き先輩として飲みにつれていってください」と前口の労をねぎらった。
続いて前口はマイクを持つと、KO負け直後で頭がボーっとしながらも次のように挨拶。
「声援に応えられなかったんですが悔いのない13~14年くらい…11年くらい? キックボクサーとしてやっていくことができました。ありがとうございました。何も話すことを決めていなかったんですが、KO負け直後でボーとして何を話そうかと思って。2年前くらいに所属していたジムで加藤会長が都合で辞めて、キックを引退しようと考えたんですが、那須川会長にまだ全然出し切れてないと聞いて移籍して2年、悔いなくやることができたので那須川会長ありがとうございました。TEPPENには若い子が多いんですが、自分は永遠の反抗期ってキャッチコピーなので親しみやすく楽しい生活ができました。これで引退なので寂しく思いますが、ありがとうございました。森井選手は本当に強かったです。自分の指名で戦ってくれてありがとうございました。 これからやりたいことも定かではないですが、いろいろあるのでこれからの応援もよろしくお願いします。妻のマリコ、いつも迷惑かけていて。私生活だらしなくて迷惑いっぱいかけたので、この場で感謝の気持ちを伝えたいです。いつもありがとうざいます。これからもよろしくお願いします。ここまで何回も打ち合ったり、頭がおかしくなるような試合をしてきましたが、丈夫な身体に産んでくれた両親、ありがとうございました。長生きしてください。とにかくありがとうございました」
引退セレモニーを終えた前口は、10カウントゴングを聞いて現役に別れを告げた。
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▼第5試合 -70kg契約 3分3R△緑川 創(RIKIX/元WKBA世界スーパーウェルター級王者&第8代日本ウェルター級王者)ドロー 判定0-1 ※29-30、29-29、29-29△憂也(魁塾/第2代DEEP☆KICK-65kg王者)
緑川は2005年デビューのベテランで、新日本キックボクシング協会でミドル級王座とWKBA世界スーパーウェルター級王座を獲得。K-1 MAX世界王者アンディ・サワーにも勝利した実績を持ち、国内ミドル級最強の一角として長く君臨している。昨年7月よりRISEに参戦し、ウェルター級王者の“ブラックパンサー”ベイノアから2度ダウンを奪い強さを見せつけるも、その後は海人、憂也に連敗。今年2月には『NO KICK NO LIFE』で高木覚清に判定勝ちを収めて連敗をストップさせると、6月の『RISE』でも宮城寛克に勝利。
憂也は2010年にK-1甲子園で準優勝、同年にDEEP☆KICKでプロデビューを果たすと、様々なリングで活躍。2013年12月には第2代DEEP☆KICK-65kg王者となった。RIZINには2度出場して、全て1RでKO勝利。右ストレートに破壊力を持ち、3試合連続で初回KO勝ちを収めて臨んだ2020年12月の『RISE』では緑川からダウンを奪って延長戦で勝利を奪う番狂わせを起こした。しかし、今年2月のRISEでは“ブラックパンサー”ベイノアに延長戦の末に判定で惜敗。
1R、緑川の右ローに憂也はジャブで対抗。憂也が3連打の右ストレートを当てれば、緑川も左フックを当て返す。右ローを蹴っていく緑川は憂也がパンチを打ってくると必ず左フックを打ち返す。
2R、憂也が入ってくると左フック、ヒジを繰り出す緑川。緑川はボディストレート、右ローも放ち、憂也をなかなか近付けさせない。しかし、打ち合いになると憂也が右フックをヒット。緑川も負けじとパンチを返していく。
3Rも緑川は右ローを蹴り、憂也が右ストレートを繰り出すと右フックを合わせに行く。前に出る緑川が右ストレートからの左フックをヒットさせ、ボディも打ち、右ローを蹴る。憂也はヒジで応戦するが、緑川が手数を出して前へ出る。憂也が顔面ヒザでグラつかせれば、緑川はすぐに前蹴りで憂也を突き放す。
一進一退の攻防はドロー。緑川のリベンジはならなかった。
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▼第4試合 -53.5kg契約 3分3R○HIROYUKI(RIKIX/元新日本キックボクシング協会バンタム級&フライ級王者)KO 2R 2分58秒 ※右ハイキック×鳩(=あつむ/TSKjapan/MuayThaiOpenスーパーバンタム級王者&WMC日本バンタム級王者)
HIROYUKIは目の良さと身体能力の高さを活かし、打たせずに打つ試合が持ち味。時折、派手な蹴り技も見せる。新日本キックボクシング協会の第6代日本フライ級王者&第12代日本バンタム級王者。今年2月に『RISE』に参戦したが、風音に判定3-0負け。
鳩はムエタイで合計5本ものベルトを獲得するなど試合経験を積んでいるが、4月のRISE参戦では金子梓に判定2-0で敗れている。両者とも本来のヒジありルールで再起の勝利を狙う。
1R、HIROYUKIは右ローを狙い撃ち。鳩はパンチを出しながら前へ出るとヒジを打つ。鳩が入ってくるところにHIROYUKIは右を合わせに行き、組むと投げを打ち、またはヒジ打ちを繰り出す。
2R、HIROYUKIの右ストレートに鳩は左の縦ヒジで対抗。左右フックの強打とヒジを思い切り叩きつけてくる鳩だが、HIROYUKIは距離を保ち、入ってくるところに左からの右フックを合わせてダウンを奪う。残り10秒、左三日月蹴りを蹴ると見せかけての右ハイキックが見事に決まり、HIROYUKIのKO勝ちとなった。
HIROYUKIは「いいKO勝ちだと思います。もう帰りたいですね。あと先輩の試合と引退試合があるのでしっかり見てから帰ります。9月にも大きい大会が決まっているので、また頑張りたいと思います」と淡々と勝利者インタビューに答えた。
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▼第3試合 -59.5kg契約 3分5R○花岡竜(橋本道場)判定3-0 ※30-28×3×ウィサンレック・MEIBUKAI(タイ/MEIBUKAI/元ルンピニースタジアム認定フライ級&バンタム級王者)
花岡はアマチュアで28冠王を達成し、122勝20敗15分という驚異的な戦績を引っ提げて2019年春に中学卒業後すぐにプロデビュー。2020年8月のINNOVATION主催興行で王座認定戦を行い、勝利して無敗のまま王座に就いた17歳(高校2年生)。関係者からの評価も高く“平成最後の怪物”と呼ばれている。今年2月のNKNLで吉成士門に惜敗してプロ初黒星を喫したが、5月のKNOCK OUTでは四冠王の松崎公則を2RにTKOで仕留めて復活。戦績は7勝(3KO)1敗1分。
ウィサンレックはルンピニースタジアムでフライ級とバンタム級の2階級制覇を成し遂げ、ムエタイ時代のゲーオ・ウィラサクレックにも2度勝利した実績を持つ。ムエタイで300戦近いキャリアを持ち、トレーナーとして来日後も勝利を収めていたが、2017年8月の『KNOCK OUT』で那須川に3RでTKO負け(ヒジありルール)。2020年6月には『RISE』で鈴木真彦に3RでKO負け、9月の『KNOCK OUT』では安本晴翔に2RでTKO負けと国内トップクラスには連敗を喫している。
花岡が宮元啓介の代打としてこの試合を受けたのは2週間前、しかもベストウェイトよりも2階級上での試合となった。
1R、花岡は右ロー&カーフを蹴り、ウィサンレックは左右のミドル。接近すると早くもヒジを繰り出すウィサンレック。花岡は左ミドルを蹴り、右ロー・左フック・右ミドルのコンビネーションでウィサンレックを翻弄。最後は左ボディを叩いた花岡は両手を広げてニッコリとアピール。
2R、花岡は遠い距離でジャブ、顔面前蹴り、右ストレート左ボディをヒットさせる。花岡はワンツーを内側から打って、外側の死角から左ハイキック。見事に決まったがウィサンレックはニヤリと笑って前へ出る。花岡は後ろ廻し蹴りでのカーフ部分を狙う。
3R、ウィサンレックは花岡の蹴り足をキャッチして流すと、縦ヒジで飛び込む。花岡は左フックから右ロー、ウィサンレックのカードの隙間を縫うような右ストレート。前に出るウィサンレックを翻弄した花岡が判定3-0で完封勝利した。
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▼第2試合-56kg契約 3分3R○岩城悠介(PCK連闘会/WPMF世界スーパーフェザー級王者)判定3-0 ※30-28×2、29-28×児嶋真人(DANGER GYM Feet KOK/イノベーション・スーパーフェザー級6位)
岩城は宮城県出身で、東北のキックボクシングイベント『聖域』の王者。2013年7月には“キックのカリスマ”立嶋篤史に高校生ながら戦いを挑み、引き分けている。タイのテレビマッチでKO勝ちを収めると、わずか一週間後には急遽『KNOCK OUT』参戦で“世界最高峰王者”ヨードレックペットと対戦した経験を持つ。2019年8月にはWPMF世界スーパーフェザー級王座決定戦で、グリアングライ(タイ)を初回KOして王座を獲得。
当初、岩城は山浦俊一(新興ムエタイジム)との対戦が決まっていたが、山浦が体調不良のため欠場。代わって岩城と対戦する児嶋はイノベーションのランカーとして活躍し、10勝(2KO)12敗1分の戦績。両者は過去2度対戦し、2度とも岩城が勝利を収めている。
1R、サウスポーの児島に岩城は右ミドルを蹴り、ワンツーから接近すると右ヒザ。児島はガチャガチャとした独特な動きで前へ出るが、次第に岩城の左ヒジ、ワンツー、右ミドルに後退。岩城が右ストレート、右ボディストレートを当てていく。
2Rは息を吹き返した児島がパンチを出しながらどんどん前へ出ていくが、岩城が左ボディを打つと後退。岩城はワンツー、左右フックを放つと左右ボディで徹底的に攻める。後退する児島はロープを背負わされての右ストレートをもらう。
3Rも左右ストレートで前へ出る児島だが、ボディを打たれる。岩城の右ストレート、左ミドルを受けても児島は前に出てワンツーを打ち続けるが岩城の右アッパー、左フックをもらってしまう。それでも前に出て攻める児島のパンチはもらわず、岩城がパンチを当て続ける。
判定3-0で勝利した岩城は「久々の試合だったんですが児島選手の気持ちが強く、押されてしまって倒し切れずつまらない試合になってしまってすいません。ライト級戦線が層が薄くなっているので、ここから名乗りを上げて盛り上げていきます」とアピールした。
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▼第1試合 -55kg契約 3分3R○加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)判定3-0 ※29-27×3×翼(ビクトリージム/ジャパンキック認定バンタム級王者)
加藤はジュニア時代から石井の指導を受け、プロデビューすると持ち前の強打で頭角を現し、2019年12月にWMC日本スーパーバンタム級王座を奪取。2021年1月のINNOVATION岡山ジム主催興行で行われた「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント」で、元山祐希と壱・センチャイジムを破って優勝している。9連勝で一躍注目を集める存在となったが、セミファイナルに抜擢された今年2月のNKNLでは宮元啓介に判定2-0で惜敗。戦績は16勝(7KO)4敗。「自分が絶対に一番面白い試合をする。そして倒す」とコメント。
翼は2019年11月大会で流血戦を制してジャパンキックバンタム級王者となり、デビュー以来9戦無敗を誇っていたが、2020年11月の『ジャパンキック』でWBCムエタイ日本統一&NJKFバンタム級王者の一航に判定で敗れ初黒星。戦績は8勝(4KO)1敗1分。「勝つことはもちろん、会場を沸かす熱い試合をしてみせます」とコメントしている。
1R、サウスポーの翼が左右ローで先制。加藤は左ボディから右フック。ロープに詰めて右の強打を浴びせる。前足のカーフも蹴る加藤は翼の左ミドルを受けても下がることなく、右カーフを返してパンチの3連打。加藤の見るからに重いパンチが翼の顔面を捉えた。
2R、右カーフ&左ミドルを蹴る翼に加藤は左右フック。1Rは見ていた翼もこのラウンドは前に出る。左フックをヒットされて下がる翼に加藤がラッシュを仕掛け、連打から右ヒジを叩きつけてダウンを奪う。翼は鼻から出血。加藤は右ヒジから右ストレートでダウンを追加。翼はヒジで反撃し、足を止めての打ち合いに挑む。加藤もこれに応じるが、翼の気迫のラッシュに加藤が下がる。加藤の右もヒットするが、翼の左ストレートに加藤が仰け反る。逆転の予感に場内がどよめいた。
3R、顔面が血に染まった翼は左ミドル、左ストレート、組むとヒジ。前に出てくる翼に加藤は下がりながらの左フック。翼が左ヒジで加藤を下がらせ、加藤は下がりながらの左フック、ワンツー。逆転を狙って倒しに行く翼が最後まで攻め込んだが、判定3-0で加藤が振り切った。
加藤はマイクを持つと「けっこうすぐに倒せるかなと思ったんですけれど強くてあまりいい試合できませんでした。本当はしっかり倒してアピールしたかったんですけれど、今日の試合だとアレなので練習して強くなって戻ってきます」と、内容に納得いかないとコメントした。