東京への出稽古も行い、再起戦へ向けて準備する山田(C)K-1
2021年7月17日(土)福岡国際センター『ECO信頼サービス株式会社PRESENTS K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~ライト級タイトルマッチ』にて、“JKエクスプレス”NOZOMI(T.A.D)と対戦する山田真子(KINGS)が公開練習を行った。
山田は姉の紗暉と共に幼き頃から格闘技に打ち込み、空手、テコンドー、キックボクシングなどのアマチュア大会で活躍。2010年5月にJ-GIRLSでプロデビューすると、同年12月にLittle Tigerを破りJ-GIRLSアトム級王座に就いた。2012年3月にはプロボクサーに転向し、2014年2月には韓国でWBO女子世界ミニフライ級王座を奪取。2014年5月、所属ジムとのトラブルから現役を引退。キックボクシング6勝無敗2分、ボクシング7勝(2KO)無敗とパーフェクトレコードを残す。
その後、2014年12月にキックボクシングの試合、2018年11月には元OPBF東洋太平洋女子スーパーバンタム級王者・高野人母美と事実上無差別級のボクシングルールで対戦し、6回判定勝ち。2019年11月にはKrushに初参戦してMOEから勝利を収め、2020年11月のK-1福岡大会でも優に判定勝ち。ボクシングとキックボクシングを通じて17戦無敗という記録を打ち立てていたが、今年3月のK-1でMIOにダウンを奪われプロ格闘家人生初の黒星を喫した。
公開練習ではシャドーボクシングと3分1Rのミット打ちで得意のパンチを披露した山田。普段は所属する福岡県糸島市のKINGSジムで練習を積んでいるが、今回は約1週間の予定で東京に滞在し、大沢文也のJOKERジムを中心にトレーニングを積んでいる。
以前から記者会見で東京に来た時は3~4日滞在し、女子選手のいるジムで出稽古を行っていたという山田だったが、先日もカード発表記者会見後にJOKERジムのプロ練習に参加。JOKERジムにちょうど背丈の合う男子選手がいたことで、一緒にスパーリングなどの練習をしてもらうことを思いついたという。
「試合前に練習のためだけに東京に来るというのは初めてですね。こっちに来て練習したほうがいいかなぁみたいな考えが自分のなかにあって。それでスパーリングパートナーになる選手にお願いして来ている感じです」と、練習環境の整った東京でトレーニングに励んでいる。
普段は練習相手も自分よりも大きい相手ばかりで、同じ階級の女子選手との練習もままならないという。だが、上京したことでその問題も解決。「おかげさまでいろんな人が協力してくれていて、充実した練習ができています。(Krush女子フライ級王者・壽美が所属する)NEXT LEVEL渋谷さんにも行く予定なんですけど」と、JOKERジムを拠点に様々なジムへの出稽古で試合までの調整に励むようだ。
キックボクシング・ボクシングでプロ無敗という戦績を誇り、両競技でチャンピオンにもなっていた山田だが、今年の3.28『K’FESTA.4 Day.2』日本武道館大会でMIOにプロ初黒星を喫した。「いろいろ感じたことはあります。悔しさももちろんあるし、普段は自分の映像ってあんまり見返したりしないんですけど、この前の試合は今でも結構見ますね」と山田。
「あの時は試合でテンパっちゃったっていうのはありますよね、初めてのダウンで。完全にペースを握られとるのはわかっとったし、冷静に戦えとけばもっと違うかったかなというのはありますけど、終わったことやけんしゃあないし、それを次に活かせるようにっていう練習をしてます」と気持ちを入れ替えて、現在は九州大会での試合に向けて練習に取り組んでいるようだ。
今回の対戦相手であるNOZOMIは昨年プロデビューしたばかりの16歳。無敗街道を突き進んでいたが、3.21『K’FESTA.4 Day.1』東京ガーデンシアター大会で初黒星を喫した。山田と同じくプロ初黒星からの出直しの一戦となるが、「世界王者の山田選手をパンチで倒したい」と強気な発言も放っている。
これを聞いた山田は「倒されないように頑張ります」と苦笑い。NOZOMIに関しては「パンチも蹴りもキレがあって、ステップワークがいいですよね。普通に巧いって思います」と評する山田だが、「自分でそうやって言うぐらいやけん自信があるんじゃないですか? でも、パンチでは負けられないんで、NOZOMI選手のいいところを潰してやると思っています」と若いNOZOMIに元ボクシング世界王者としての実力を見せつける構えだ。
とはいえ、自身では元ボクシング王者やキックボクシング王者という肩書きは意識していないという。「誇りは持っているけど、それはそれで今はK-1なんで。K-1でまだ2勝1敗で3戦しかしてないペーペーだと思っているんで」と謙虚な態度の山田。しかし、盛り上がりを見せるK-1の女子アトム級戦線において、「それぞれの売り方があるっちゃろうけど、自分は有名になりたいとか目立ちたいとかじゃなくて、単純にそこの一番が欲しいっていう感じですかね」と頂点を狙う気持ちに変わりはない。
また、山田は昨年に続き2年連続での地元開催のK-1福岡大会出場。「毎年恒例みたいな感じで開催してもらえるように頑張りたいと思います」と、地元での試合に気合いも入っている様子。「興味がない人がパッと見た時に『面白い』って興味を持ってもらえるような試合をしたいですよね」と、自分の試合で九州のK-1ファンを増やしたいという希望も持っている。
「今回の試合は勝つのは大前提で、面白い試合ができるように頑張るんで応援よろしくお願いします」と力強く誓った。