MMA
インタビュー

【ONE】若松佑弥、人生初の米国武者修行(後篇)「王者モラエスが悪魔に取り憑かれてスーパーパワーとか持たない限りは、同じ人間なので倒せる」

2021/06/24 16:06
【ONE】若松佑弥、人生初の米国武者修行(後篇)「王者モラエスが悪魔に取り憑かれてスーパーパワーとか持たない限りは、同じ人間なので倒せる」

【写真】ダリオン・コールドウェルと若松佑弥。米国フロリダのサンフォードMMAにて(C)Yuya Wakamatsu

 2021年4月の「ONE on TNT 3」で、難敵リース・マクラーレンを相手に判定3-0で勝利を掴み、4連勝をマークした若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)。試合後、ONEフライ級ランキングは3位にランクアップした。

 その上には2位のダニー・キンガッド(フィリピン)、1位のデメトリアス・ジョンソン(米国)、そして王者アドリアーノ・モラエス(ブラジル)を残すのみ。

 4月にはトライフォース赤坂に出稽古を敢行し、朝倉海とも練習していた若松だが、5月末から、米国フロリダ州にあるメガジム、サンフォードMMAにて、1カ月の期限付き“武者修行”を行った。前篇に続くインタビュー後篇は、若松に「今後」を聞いた。(C)ONE Championship

世界を広げたくてアメリカに来た。考え方も更新していかないと


【写真】フロリダでの若松。後方にUFCウェルター級の佐藤天の姿も。

──ONEに参戦して3年目。トップランカーに名を連ねていますが、現状をどのように感じていますか。

「まあ、PANCRSEの時もいつの間にかタイトルマッチみたいな感覚だったので。長いようで早いなあという感覚があります。でも人生って、こんな早く終わるんだなって思って。もしチャンピオンになったとしても、この気持ちは変わらないんだろうなと感じます。『あっ、もうチャンピオンだ、次の目標はこれだ』みたいな感じで。でも今の自分はそこ(チャンピオンになること)が終着点じゃなくて、もっと広がっているというか、やっていればチャンピオンになっているだろうというイメージです。

 今のことも、あっという間に過去のことになっていると思うんですよ。だからこの3年目っていうことに、そんなに深い思いはないですね。あっという間すぎて。自分がここで進化してなかったら『ランキング3位まで来ました』って喜んでいると思うんですけど、自分はまだまだだと思っているし、全然強くなり続けるので、3位? だからなんなの? という感じです」

──デメトリアス・ジョンソンとのリマッチについて考えたことはありますか。

「あります。もちろんあるんですけど、今はDJより(チャンピオンの)モラエスだと思っています。時代って変わっていくじゃないですか。だからDJだって、もちろん人間なのでいつか負けて落ちていく。ずっと強いなんて、誰でもあり得ないじゃないですか。DJは最高潮の時からは段々と落ちていくと思うんですけど、僕は若い。そして上がっていく選手はまだいっぱいいるので、もちろんリマッチも考えたんですけど、もう(彼がモラエスに)負けてしまった以上、ちょっと嫌な言い方になっちゃうんですけど、やっぱり負けたんだったら僕はもっと強い選手に目がいっちゃいます。周りはDJが有名だから『あいつにリマッチしてよ』って言われるんですけど、いや、ふざけんなよって思っちゃいます」

──ご自身の考えていたONEでの道のりは想定通りの印象ですか?

「僕の描いていたストーリーで進んでいるなって思います。僕、DJに負けたじゃないですか、キンガッドに負けたじゃないですか。(モラエスは)あの2人にKOで勝っているんですよ。今、モラエスは一番脂が乗っている時期じゃないですか。でも僕はまだ発展途上なわけで。そこで、彼を潰してさらに上を行くっていう自分のストーリーがいい感じに進んでいます。なので、自分もさらに進化してモラエスよりどんどん上に行かないと、と思っています」

──そういうことも含めて、今回、フロリダ「サンフォードMMA」でのトレーニングに挑戦したのでしょうか?

「そうですね。前から触れてみたかったんです。自分はどっちかって言うと、強くなるのは環境じゃなくて、自分次第だと思っていました。でも、アメリカって何でもデカいし最先端じゃないですか。それで、行ったこともないヤツが『(米国も日本も)一緒だ』って言うのも違うなって。“百聞は一見にしかず”ということですかね。なので、まずはトライアルで一度試しに行ってみようと思いました。とはいえ、実際に触れてみて、自分が通用しなくてボコボコにやられて、“なんだ、アメリカやばい”みたいに思うとは行く前から思っていないかったです。同じ人間だし、ウェルター級とかは化け物が多いと思うんですけど、フライ級って体格が小さくて、アジアも強くて世界レベルだと思っているので。


【写真】(左から)UFCライト級3連勝中のラファエル・フィジエフ、 It's Showtimeブラジル王者のエマーソン・ファルカオ、UFCバンタム級2連勝中のランディ・コスタと若松。

 ただ一度はアメリカに触れてみないと、と思っていました。やっぱり行く前と後での考え方は変わったので。というのは、一回行ってみたら、アメリカって行けるんだって分かる。僕が鹿児島から東京に来た時もそうだった。井の中の蛙じゃないですけど。東京ってすごい夢のようなところ、っていうイメージがあったけど、いざ自分が来てみたらそうでもなくて。アメリカもそうで、16時間かけて来たけど、こうして今会話もできているじゃないですか。だから考え方も(経験を積むことで)更新していかないとな、と感じました。という意味で世界を広げたくてアメリカに来ました」

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