2026年8月15日(日本時間16日)、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのXfinityモバイルアリーナにて『UFC 330: Makhachev vs. Machado Garry』(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)が開催された。
メインイベントで「UFC世界ウェルター級選手権試合」(5分5R)が行われ、王者のイスラム・マハチェフ(ロシア)が、MMA17勝1敗の挑戦者イアン・マシャド・ガリー(アイルランド)と対戦。
試合は、5Rに渡る死闘に。マハチェフのテイクダウンを切るガリーを、マハチェフは2Rに右ハイキックを当ててダウンを奪うと、最終回には渾身のボディロックテイクダウンでバックを奪取。判定3-0(49-46×2, 48-47)でマハチェフが勝利。アンデウソン・シウバが持っていたUFC最多連勝記録(16連勝)を更新する「UFC17連勝」でライト級に続き、ウェルター級王座の初防衛に成功した。
試合後会見でマハチェフは、1者は1P差をつけたタフファイトを「5ラウンドの前までで3ラウンドは取っていると感じていました。しかし、ハビブとセコンド陣全員が『最後のラウンドを取りに行け』と言ってきました。最後のラウンドならテイクダウンを奪って何かできると感じていました。なぜなら、3、4ラウンドはそれほど厳しいものではなかったので、試合終盤に良いパフォーマンスを見せる力は残っていたから」と、勝負を決定づけた最終ラウンドのビッグテイクダウンとバック奪取を語った。
これでウェルター級に上げて2試合を戦った。ライト級に比べ、対戦相手の大きさが目立つようになり、そのスタイルを研究されることでマハチェフのテイクダウンを防がれる場面が今回は見られた。13cmの身長差を活かしたガリーは、マハチェフのシングルレッグにレスリングのパンケーキのように股下でクラッチ。スプロールすることでテイクダウンを切っている。
マハチェフは、ウェルター級での適正について、「正直、分かりません。今回の試合では彼の方が少し、数キロ大きかったように感じました。ウェルター級での初戦と比べて、今回は大きく感じました。ウェルター級で戦うための体重をどう増やすか、どう大きくあるべきか、これからも考え続けなければなりません」と、改善の余地があるとする。
しかし、ライト級に戻すことは考えていない。
「ライト級には戻りたくない。チームの仲間たちとキャンプを過ごす時間を楽しんでいるから。15ポンド(約7kg)の減量を経験したことがない人には、どれほど過酷か理解できないでしょう。ハードなトレーニングと食事制限を続けるのは大変です。だからこそ、今ウェルター級で戦い、キャンプやファイトウィークを楽しんでいます。まだ体重を増やして、もっと大きく、もっとパワーをつける必要があります。これからもウェルター級に留まり、何年も戦い続けます」と、今後もウェルター級で戦っていくと明言した。
試合後には、5月にマダレナを3R TKOに下したウェルター級1位のカルロス・プラテス、MMA19戦無敗・UFC7連勝中で3位のマイケル・モラレスらが、次期挑戦をアピールした。マハチェフは現在のウェルター級の層の厚さを認める。
「相手はよりタフでより身体が大きい。リスペクトを込めて言いますが、ここは現在最もパワフルな階級です。だからこそ、5ラウンドすべてを戦い抜くことになるんです。ジャック・デラ・マダレナ、イアン・ガリー、カルロス・プラテス、マイケル・モラレス、シャフカト・ラフモノフ……UFCの中で最も厳しい階級であることは秘密でも何でもありません」
それでもマハチェフは、生き急ぐように試合を望む。試合前インタビューで34歳の残された時間を語っていたGOATについて、ダナ・ホワイトUFC代表は、「この若者は常に戦いたがっているし、アクティブでいる。今夜の試合と彼が成し遂げたことを見れば、あと3、4試合は戦うと語っている。だから、彼のキャリアがどう展開するかを見守るべきだと思う」と、試合に意欲的であるとした。
マハチェフは、試合後会見で「27年は2月(8日から1カ月間)はラマダンですね。それまでに試合を組むのは避けたいでしょうが、ラマダン後に来年2回戦う予定はありますか?」と問われ、年内か年明け早々に試合をしたいと希望する。
「ラマダンの前に戦わなければなりません。100%です。1月か、あるいは今年中に戦わなければ。私はもう20代ではなく34歳です。減量もキツくなく、大きな怪我もないので、できるだけ早く戦わなければならない。鼻を念のためチェックするくらいです」
ウェルター級最強挑戦者と目されるガリーを退けたマハチェフだが、相手に絶望を味わわせるような圧勝ではなかった。
元UFCヘビー級ファイターで、かつてミルコ・クロコップにKO勝ちしたブレンダン・シャウブは、「イスラムが今夜間違いなく勝ったけど、長い間初めて、オクタゴンの中で彼が“人間らしく”見えた。マイケル・モラレス(3位)は大きな問題になるだろう」と、王者にとってウェルター級はイバラの道となると予想する。
それでも初防衛戦を完勝したマハチェフは、「厳しい戦いは自分を成長させてくれますし、成長を感じています。1ラウンドで勝つときと、5ラウンド戦い抜くときでは成長が違います。皆さんには分からないでしょうが、すぐにフィッシュするのではなく、ケージの中で厳しい時間を過ごすことが、何よりも一番の経験になるんです」と、5Rのフルファイトを競り勝ったことで、さらに成長できるとした。
試合後のマハチェフの一問一答全文は以下の通りだ。
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イスラム・マハチェフ「アブドゥルマナプの遺志は今も続いている」
──17連勝ですね。ここまで来るのは厳しい戦いでしたが、この競技の歴史上、誰も成し遂げたことのないことを達成した今の気分はいかがですか?
「ああ、幸せです。本当にありがとうございます。幸せな気分です。厳しい戦いでした。良い戦い、良い対戦相手でした。そして、これでアンデウソン・シウバの記録を破りました。これは気に入っています」
──試合の中で最も驚かされたことは何ですか? テイクダウンに対する抵抗だったのか、それとも打撃でしたか?
「イアンは良い対戦相手でした。立って待つタイプの相手と戦うのは非常に難しいんです。彼はただ待っているだけで、そういう相手に良いパフォーマンスを見せるのはとても難しい。私が足を触ってテイクダウンしようとしても、彼は良いディフェンスを見せました。本当に、あのような相手に良いパフォーマンスを見せるのは難しいんです」
──最初の2ラウンドは明らかに勝利しましたが、2人のジャッジが3ラウンドと4ラウンドを相手につけました。5ラウンド目はかなり接戦になっていたようですが、残り数分でテイクダウンを奪って、力強く試合を締めくくる必要があると感じましたか?
「もちろん。何人かのジャッジはラウンドを分けたりしていましたが、最後のラウンドの前までで3ラウンドは取っていると感じていました。しかし、ハビブとセコンド陣全員が『最後のラウンドを取りに行け』と言ってきました。最後のラウンドならテイクダウンを奪って何か小さなことができると感じていました。なぜなら、3、4ラウンドはそれほど厳しいものではなかったので、試合終盤に良いパフォーマンスを見せる力は残っていたからです」
──2ラウンド目にヘッドキックでダウンを奪いましたよね。あの瞬間に仕留められると思いましたか?
「ああ、足がそれほど太くないんです。指先が引っかかったような感じで、良いショットでした。その後、パンチをまとめて、クレイジーになって、感情をコントロールできずに一気に仕留めようとしました。ほとんどフィニッシュできていたんですけどね」
──試合後の身体の状態はどうですか? 明らかに痣が見えますが、前回より早く復帰したいと望んでいたようですね。
「ええ、彼にたくさん引っかかれましたよ。4ラウンドの終盤、私がスラムを仕掛けたときに、彼が非常に激しいバッティングをしてきて、かなり痛かったです。試合中に鼻から血が出ることはあまりないんですが、すぐに血が出てきて、鼻を折ったか何かが起きたのかと思いました。かなり激しいバッティングでしたね。でも、大丈夫です。厳しい戦いは自分を成長させてくれますし、成長を感じています。まだ体重を増やして、もっと大きく、もっとパワーをつける必要があります。時間はあります。この試合は私とみんなに示してくれました。“楽な試合だろうが厳しい試合だろうが、最初から最後まで、最後の一秒まで、私は戦争に行く、戦いに行くんだ”ということです」
──試合後にハビブ・ヌルマゴメドフは何と言っていましたか? また、あなたとウマル、ハビブ、ウスマンの4人でMMA通算100勝を達成したことは何を意味しますか?
「そのことについては話していませんが、私たちが世界最高のチームであることは間違いありません。来週、私たちのチームの3人がマイアミで戦い、ウマルが上海で戦います。ジムには私たちの戦いやキャリアを見守り、毎日トレーニングを積んでいる“キラー”が沢山います。アブドゥルマナプの遺志は今も続いており、成長し続けています。私たちのジムからは、これからさらに多くのファイターが出てくるでしょう」
──舞台裏でカルロス・プラテスとマイケル・モラレスが、次にあなたへのタイトル挑戦権を得るべきなのは自分だと議論している映像がありました。2人ともそれを望んでいて、自分に権利があると思っています。どう感じますか?
「どちらを選びたいとかはありません。彼らが戦えばいいんじゃないですか? なぜ今回のカードで直接対決をして、誰がナンバーワンコンテンダーか決めなかったのか? でも大丈夫です。この階級に本物のコンテンダーがいることは嬉しいことです。モラレス、プラティス、シャフカト(ラフモノフ)といった選手たちは、私を毎日もっとハードにトレーニングさせてくれます。彼らこそが、私に良い試合を提供できる本物のファイターだと分かっているからです」
──試合中、各ラウンドの間にイアンがあなたに何か話しかけたり、ハグをしようとしたり、頭を触ったりしていましたね。5ラウンド目の開始時にもハイタッチをしていました。ダナ・ホワイト代表はそれが嫌いだと言っていました。あなたたちがただ……。
「正直、理解できません。これは戦いです。ラウンドごとにハグをする必要なんてないでしょう。私たちは顔を壊し、目を壊すために戦争をしに来ているんです。だからこそ、対戦相手は全員リスペクトしていますが、イアンに関しては……リスペクトしすぎです」
──試合後、彼は何と言っていたのですか? 近づいてきたように見えましたが。
「『今日は偉大なファイターと戦った。リスペクトしている』と言っていました。彼は親切でとても優しい男です。でも、これは戦争なんです。私の顔を見てください。私は全員をぶちのめすために来たんです。これは遊びじゃない。これは戦いです。ゲームじゃないんです」
──試合中、何度もイアンがあなたのヒザを蹴り、言葉を交わしていましたね。彼に蹴られたとき、何と言ったのですか?
「正直、彼がやろうとしたキック(関節蹴り)は全く気になりませんでした。キャンプではその対策をたくさんしてきましたから。彼が怪我をさせようと狙っていたのかもしれませんが、この試合では彼のキックは全く感じませんでした。ボディへのキックも2、3発ありましたが、痛くはありませんでした。ただ、彼が良い攻撃を当てた中で、指が目に入ったのが、2ラウンドにありました。でも言った通り、前に出ずに立っているだけの相手と戦うのは非常に難しいんです」
──試合前はずっと「彼が最強の対戦相手か」という話がありましたが、5ラウンド戦った今、彼は最強でしたか? そうでなければ、どのくらいの位置にランクしますか?
「ああ、トップ3には入るかな。でも、オーストラリアでの戦いはクレイジーでした。(アレクサンダー)ヴォルカノフスキーとの最初の戦いは、本当に厳しい戦いでした。あの男は狂犬です。毎秒前に出てくる。止まらないんです。あの時はアリーナ中が彼を応援していて、彼がパンチを外しても観客が熱狂していました。でも今回の5ラウンドも厳しいものでした。1ラウンドで勝つときと、5ラウンド戦い抜くときでは成長が違います。皆さんには分からないでしょうが、すぐにフィッシュするのではなく、ケージの中で厳しい時間を過ごすことが、何よりも一番の経験になるんです」
──ウェイトについてですが、170ポンド(ウェルター級)のサイズ感は、相手との差を埋めるのに役立っていますか?
「正直、分かりません。今回の試合では、彼の方が少し、数キロ大きかったように感じました。ウェルター級での初戦と比べて、今回は大きく感じました。ウェルター級で戦うための体重をどう増やすか、どう大きくあるべきか、これからも考え続けなければなりません。でも、ライト級には戻りたくない。チームの仲間たちとキャンプを過ごす時間を楽しんでいるからです。15ポンド(約7kg)の減量を経験したことがない人には、どれほど過酷か理解できないでしょう。ハードなトレーニングと食事制限を続けるのは大変です。だからこそ、今ウェルター級で戦い、キャンプや試合週を楽しんでいます。これからもウェルター級に留まり、何年も戦い続けます」
──ウェルター級で(ジャック・デラ・マダレナ戦とガリー戦)2試合=10ラウンドを戦い終えましたが、試合当日の動きはどう感じていますか?
「相手はよりタフで、より体が大きい。リスペクトを込めて言いますが、ここは現在最もパワフルな階級です。だからこそ、5ラウンドすべてを戦い抜くことになるんです。マダレナ、イアン・ガリー、(カルロス)プラテス、(マイケル)モラレス、シャフカト(ラフモノフ)……UFCの中で最も厳しい階級であることは秘密でも何でもありません」
──来年2月はラマダンですね。それまでに試合を組むのは避けたいでしょうが、ラマダン後に来年2回戦う予定はありますか?
「ラマダンの前に戦わなければなりません。100%です。1月か、あるいは今年中に戦わなければ。私はもう20代ではなく34歳です。減量もキツくなく、大きな怪我もないので、できるだけ早く戦わなければならない。鼻を念のためチェックするくらいです」
──イリア・トプリアとのホワイトハウスで試合という話もありましたが?
「試合前、ホワイトハウスでの試合に承諾を与えていました。なぜ実現しなかったのかは長い話になりますが、夏の初めから『戦いたい』とアリ(アブデルアジズ ※マネージャー)にもみんなにも伝えていました。アリが私に『イリア・トプリアとホワイトハウスで戦わないか』と電話をかけてきて、私は『イエス』と答えました。金額も提示されましたが、翌日には『実現しない』と言われました。マネージャーが言ったことを聞きましたが、彼らは試合後にマネージャーが金銭を要求して破談になったと言っています。私は一度も『ノー』とは言っていないし、メディアでも騒ぎ立てませんでした。イリアが私が『怪我をしている』と言い始めましたが、それは事実ではありません。私はホワイトハウスでの試合を承諾していました」
──ハビブはコーナーでいつも緊張しているように見えますが、チームメイトの中で誰がハビブを一番緊張させると思いますか?
「何人かいますね。私も多くのファイターのコーナーにつきますが、指示を全く聞かない選手がいるんです。コーナーについても指示を無視する。あまりに聞かないので、いっそ立ち上がって控え室に行きたくなることもあります。兄弟同然の仲だからこそ、誰かのコーナーにつくのは非常に神経を使うし、難しいんです」
──チームのみんながあなたの前でフィリー・チーズステーキを食べていましたね。減量を終えてタイトルを防衛した今、ようやく食べられますね?
「まだ美味しいフィリー・チーズステーキを食べていないんです。だからアリに部屋に注文するように頼みました」
──7度目のタイトル戦で、アンデウソン・シウバの記録を破り、パウンド・フォー・パウンド1位になりました。これほどすべてを達成した今、なぜまだこの瞬間が特別なのですか? 何があなたを突き動かしているのですか?
「歴史を作っているから特別なんです。これはアブドゥルマナプ(ヌルマゴメドフ)の遺志であり、すべては私たちの規律とアブドゥルマナプ・スクールの教えによるものです。今日や明日で終わるものではありません。私たちがこの競技を続けている限り、MMAが存在する限り続いていくものです」
──ダゲスタンという全く異なる文化から来て、アメリカの文化を席巻し、アイコン的存在になりました。今の気分は?
「良い気分です。最高ですよ。アメリカで戦うのは好きです。ここ数戦、観客がみんな私を応援してくれるのを感じます。私の戦いを見るために多くのファンが足を運んでくれる。だから、『ありがとう』と言いたいし、戦うことが大好きなんです」