海が修斗に仕掛けられたギロチン「ヤバいんじゃないかと思った」
試合後の会見で「強い選手とやりたい、手応えのある選手と戦いたいです」と語っていた井上。
大沢ケンジ和術慧舟會HEARTS代表から、具体的に2回戦に戦いたい選手を問われた井上は、「またくじ引きになるのなら、朝倉海選手の横に(座ります)。人気もあって実力もあるし、万全にというか……やれるならやれるうちに。誰かに獲られる前に」と、前バンタム級王者を指名する。
「誰かに獲られる前に」に続くのは「自分が食いたい」という思いだ。「腹すかしちゃってるんだ。ずっと腹が減っている」と返す大沢。
育ち盛りのハングリーさを見せる井上は、渡部修斗をパウンドアウトした朝倉海の1R TKO勝利について、「打撃も強いし、パウンド強かったですね。音も凄かった。あれは凄いなと思いました。ちゃんと自分の戦い方が出来ていたなと。タックルにきたところに被弾させる嫌がらせも」と、徹底して組みを切って、打撃で仕留めた戦い方を評価する。
その一方で、バックテイクを防いだ朝倉海が、渡部のフロントから跳びついてのギロチンチョークを仕掛けられたことについて「(ギロチンは)あれ、ヤバいんじゃないかと思ったけど」と、危険な場面を見せたことも指摘する。
腕を内側に入れた朝倉に、渡部はノーアームのギロチンチョークへ。さらにそれをハイエルボーのギロチンに変えている。本誌の取材に、渡部はその瞬間を「極めが浅いのは最初から分かっていたんで、途中から絞めのギロチンじゃなくて、角度をつけて首を折りにいくほうにシフトチェンジした。そっちの方が首が抜けやすいけど、このチャンスを逃すわけにはいかないぞと思って、イチかバチかシフトチェンジしたけど、結果抜けてしまった」と証言している。
姉の魅津希は「渡部選手にもうちょっとパワーがあったら、あれ抜けられなかったんじゃないかなって」という言葉に、井上直樹は「控え室が一緒で、渡部選手を応援していたから“おーおっ”みたいな感じになったけど。ずっと(両足を)ロックしていたからね。自分なら違う形にしていたかもしれない」と、下で首を抜かれた際に、クローズドガードから足を解いて別の仕掛けをするとした。
東京ドームでのGP勝ち上がりは、井上直樹、朝倉海、扇久保博正(パラエストラ松戸)、元谷友貴(フリー)の4選手。そのうち「元谷選手とは1回やっているのでもうちょっと先でいいかなと。向こうはすごくやりたいんじゃないかとは思うけど準決勝、決勝でやれれば」と、常に決勝まで視野に入れている井上にとって、朝倉海のほかに対戦を希望するのは、扇久保博正だ。
「TUF24」準優勝者にして、修斗史上2人目の2階級制覇王者の扇久保について、井上は「前回の抽選でやりたいと言ってくれたから、状況が許せば行ってあげたい? 上から目線になりましたが」と苦笑しながらも、「扇久保選手、1R目に拳を骨折してたらしいですね。それでよく3R出来てたなと。そこまでやるのはすごい精神力。やれるなら扇久保さんとも」と、朝倉海に続いて対戦したい相手の一人とした。
「この2人の席が空いていたら行っちゃうかもしれない」という井上は、6月27日(日)の「RIZIN.29」大阪大会では、練習仲間の倉本一真(修斗GYM東京)に注目しているという。
【写真】公開練習での井上と倉本
丸善インテックアリーナ大阪で開催されるバンタム級トーナメント1回戦の残り4試合は、金太郎vs.伊藤空也、大塚隆史vs.獅庵、瀧澤謙太vs.今成正和、倉本一真vs.アラン“ヒロ”ヤマニハの4カード。
井上は「大阪大会では、倉本選手がすごく楽しみ。ボンサイ柔術の勢いがすごいので、アラン・ヒロ・ヤマニハ選手がどれくらい出来るのかも分かる」という。