2021年6月13日(日)に東京ドームで開催される『RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント1回戦』で、石渡伸太郎(CAVE)と対戦する井上直樹(Serra Longo Fight Team)と、6月27日(日)丸善インテックアリーナ大阪での同1回戦でアラン“ヒロ”ヤマニハ(ボンサイ柔術)と対戦する倉本一真(修斗GYM東京)が3日、合同公開練習&囲み取材に応じた。
GP優勝候補の一人と目される元UFCの井上は、水垣偉弥の指導、志朗との練習などにより、明らかにフィジカルが増した強い体軸から、サウスポー構えでシャープなジャブ・ストレート、さらに力強い左ミドル、バックキックと破壊力を増した蹴りを披露。
また、RIZIN2戦目となる元グレコローマン60kg級全日本選手権3連覇レスラーの倉本は、柔道・レスリングの豪快な投げ技を連発。スラムからのパウンドなど現場を凍り付かせる必殺技を見せた。
ともに同じOnTheRoad Managementの選手として、交流のある両者は、練習仲間でもあり、互いの強さについて、倉本は井上を「距離が抜群で攻撃が届かない」、井上は「倉本さんの投げはヤバい」と評した。
井上は、2017年の同級トーナメント準優勝者の石渡について「一番強い選手とやりたい、と指名した。根性のあるタフな選手。一発があるので、そこだけ気を付けて自分のペースで戦いたい」と語り、死闘の展開になっても「しっかり向き合って行けたらいい」。そして、これまで一本負けが一度しかない石渡との寝技も「形に入れば、極める自信はある」と語った。
一方、ボンサイ柔術のヤマニハと対戦する倉本は、「打撃も投げもジャーマンも決めて、オンパレードで圧倒したい」「レスラーらしい動きと組み技、投げも含めた打撃も出来る、自分らしい動きで勝ち上がるところを見て欲しい」と、意気込みを語った。
両者の一問一答の全文は以下の通りだ。
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恐ろしい投げもあるので楽しみに(倉本)
──2人ともヤバい公開練習でした。井上選手、倉本選手、お互いの動きを見て、どのように感じましたでしょうか。
井上 倉本さんは……前と同じ(笑)。ダミー人形が人に変わった。投げ、ヤバいです。首から落ちたら……。
倉本 試合では首から落とします。
井上 ヤバいっス。怖いですね。当たりたくないです。
倉本 直樹君はほんとうに正確な打撃が高速で来るんで、怖いなと思います。
──今日はSONIC SQUADでの公開練習ですが、修斗ジム東京や新宿Me,Weで練習する倉本選手とは、互いに肌を合わせることもあるのですか。
井上・倉本 あります、たまに。
──肌を合わせた上で互いの怖さとは?
倉本 直樹君は総合的に強いんですけど、距離が上手いのでこっちの攻撃がそう簡単に届かないところが、僕から見て一番、強いところです。
井上 やっぱり倉本選手はレスリングがすごく上手いんで、ほんとうに組みやられます。もう掴まれたら終っちゃいます。
──井上選手は志朗選手と打撃練習をしていることもあって、一段と迫力を増したように感じました。今回の公開練習では蹴りも披露しましたが、その進化の手応えはいかがでしょうか。
井上 蹴りは成長しているんじゃないかなと思います。まあ普段通りです。頑張ってます。
──倉本選手は柔道時代の一本背負い、グレコの正面からの反り投げから、リフトしてのサイドスープレックス、ヘッドチャンスリーも見せました。あれは練習でもよくやるのですか。
倉本 いや、そんな練習では気を遣ってやらないです。そんなに試合ではまだやってないですけど、まだまだ恐ろしい危ない投げもいっぱい持っているので楽しみにしていてください。
井上 試合が怖いですね。楽しみです。
──あらためて井上選手、今回、抽選で石渡伸太郎選手を指名して隣りに座ったのは、互いに万全な状態で戦っておきたいということだったんでしょうか。
井上 はい。まあ、もちろん一番強い選手とやりたい、と指名させていただきました。選べたのでよかったです。
──潰せるなら万全な状態で早く潰せた方がいいですか。
井上 まあ……そうですね。
──現在のコンディションはいかがですか。
井上 もうバッチリです。普通に動けて、体重も全然問題ない感じです。
──改めて対戦相手の石渡伸太郎選手の印象と、自分が相手に勝っている点、また相手の警戒している点はなんでしょうか。
井上 根性があるタフな選手です。全部で勝つというのはもちろんなんですけど、まあ、(石渡は)一発があるので、そこだけ気を付けて、しっかり自分のペースで行けたらいいなと思います。
──石渡選手は今回の試合で「ここでどうなってもいいから勝つ」という悲壮な決意を語っていました。石渡選手はこれまでも壮絶な試合が多いですが、そういう展開を仕掛けた場合、受ける覚悟はありますか。
井上 全然ありますし、盛り上げるためにしっかり向き合って行けたらいいかなと思います。
──お姉さんの魅津希選手とは連絡を取り合っていると思いますが、メンタル面などのアドバイスはありますか?
井上 メンタル面……特には無いですかね(微笑)。普通にアドバイスはくれるんですけど、仲良くやっています。
──倉本選手のコンディションはいかがですか。
倉本 前回の大晦日は63kg契約で減量が余計無かったのですが、今回は61kgで、僕はそんなに重くないので、順調に絞ってこれている所です。大阪大会まで日にちがあるので、ゆっくり落としていく感じです。調子は良いです。
──倉本選手の対戦相手のヒロ・ヤマニハ選手の警戒する点はどこでしょうか。
倉本 今までの試合を見ても打撃も寝技も出来るので、柔術家だから寝技だけというわけではなく、全部ちゃんと警戒して考えています。
──ヤマニハ選手は、実は抽選会でシステムをよく分かっておらず、倉本選手を指名したわけではなかったようです。それはご存知でしたか。
倉本 それ僕、隣りで抽選会の時に直接、聞いたんですけど、面白かったです(笑)。あー何も分かってなかったんやなーって。日本語が分かってなかったので仕方ないなと。でも座ってくれたんで、『いい試合しよう!』って言いました。
──ヤマニハ選手は柔術家ですが、下のみならずトップからの攻めを好みますし、これまでは下になってもスクランブルで立ち上がることが多かったです。それは倉本選手にとって投げるチャンスが増えると考えますか。
倉本 そうですね。でも自分は(相手が)どれだけ下からやろうが持ち上げられるので、そんなに考えてなかったです。圧倒しようと思います。
──「圧倒」するのは全局面になりますか。
倉本 そうですね。まずは打撃から始まるので、そこでも圧倒して。
井上 ジャーマンも。
倉本 打撃も投げもジャーマンも決めて、もうオンパレードで行きますので、見ていてください。
──井上選手にも同じ質問をして良いですか? 全てにおいて勝負できると。
井上 僕もオンパレードで行こうと思います。打撃でも寝技でも、オンパレードしたいです。極めれたら極めますし。
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この2試合チョークで勝っているので、今回もインパクトのある試合を魅せられたらいい(井上)
──井上選手、トーナメント直前に試合に勝っている(元谷友貴に一本勝ち)ことは、このトーナメント参加をするにあたって自信になっていますか?
井上 自信になっているというか、対戦した選手とまた当たるかもしれないなとだけ思っています。
──倉本選手は以前「もっと上を目指す」と語っていましたが、トーナメントに勝ってからの先の目標は定まっていますか?
倉本 まずはこのトーナメント1回戦から、しっかり確実に勝ち上がってこその今後なので、まずは次のヤマニハ選手の試合をしっかり勝つことだけに集中しているところです。
──今回のトーナメントで注目が集まると思いますが、あらためて世間のファンに対して、自分をどういう選手だと見て欲しいですか。
倉本 やっぱり自分はレスラーなので、レスラーらしい動きと組み技、投げも含めた打撃も出来る、今までみんなやってないスタイルで自分は攻めることができるんで、そういうレスラーらしい動きで勝ち上がるところを見て欲しいなと思います。
──井上選手は東京ドームという大舞台をどう感じていますか。
井上 今までさいたまスーパーアリーナとかで試合をしていたので、“あの東京ドームでやるんだ”っていう……(笑)。お呼ばれされて、光栄なことです。ありがたいです。しっかり頑張っていきたいです。
──あまりプレッシャーは無さそうですね。
井上 いやいや、プレッシャーはあります。でもしっかりいいところを魅せられたらなと思います。勝つのはもちろんですが、この2試合チョークで勝っているので、一本でも印象ある、インパクトのある試合を魅せられたらいいと思います。
──倉本選手はジャーマンスープレックスを使いますが、理想のジャーマンの使い手はいますか?
倉本 別に理想は無いです。レスリングだけのジャーマンではなくMMAでの(効かせる)ジャーマンなので。そういうところを見てもらえたらなと思います。
──アントニオ猪木ばりのフロントネックチャンスリーでしたが、ご存知ないでしょうか。
倉本 僕、プロレスが全然分からないので……。ジャーマンも独学です。ジャーマンは教えてもらったことはないですね。誰にも。レスリングでは5ポイントを取るための投げでしたし。
──倉本選手はレスリングで左足前のオーソドックス構え、MMAでもオーソドックスですが、それは空手時代からですか。
倉本 そうですね。(伝統派)空手を小学3年からやってその時に左足が前だったので、柔道も左足が前、レスリングも左足が前、MMAも左足が前です。投げはどっちも出来ます。
──ヤマニハ選手はカーフキックも蹴ってくると思いますが、カーフキック対策は出来ていますか。
倉本 それはちょっと、この後やります(笑)。直樹くんが凄く教えてくれるので。
──井上選手に質問ですが、先程は死闘も想定していると仰っていましたが、今回の試合で勝負になるポイントは何だと思いますか?
井上 どうなんですかね……自分でも分からないですけど。自分がやることをやるだけなんで。合わせれたら合わせるという感じですかね。
──ちなみに石渡選手は1回しか一本負けしていませんが、組みの展開で極める自信もありますか。
井上 形に入れば、もちろん極めに行きますし、極める自信があります。
──今回のグランプリの目標を教えて下さい。
井上 優勝するのが目標ですが、まずは石渡選手に向けて、勝てるようにしっかり次々と試合に向かって行きます。
倉本 自分も優勝はもちろん、まずは次の試合に絶対に勝って、勝つのは当たり前で、いい勝ち方で仕留めたいと思っています。一個一個しっかり勝って、決勝を直樹君とやれたら良いなと思っています。
井上 そうですね。
──勝ち上がったら次は誰と戦いたいでしょうか。
井上 強い選手とやりたいですが、(組み合わせが)どうなるか分からないので、誰でも良いかなという感じです。
倉本 次の試合はどんな決め方で組み合わせが決まるのか僕らは分かっていないので、誰が来てもしっかり倒す練習をしているので、まあ強い選手とみんな強いんですけど……特に考えてなかったです(苦笑)。
──17LIVEの若いファンへメッセージをお願いします。
井上 自分の試合を見てくれて、格闘技をやってみたいとか強くなりたいと思ったら是非やってもらって、挑戦して自分の好きなこと、スポーツでも勉強でも何でも良いんですが、出来ることを頑張ってやって欲しいなと思います。
倉本 僕は空手、柔道、レスリング、MMAとほんとうにやりたいことやってきましたが、それを適当ではなく一生懸命やればこういう舞台に立って活躍できるんだなと、僕も頑張ろうと思ってもらえたら嬉しいです。
──最後にファンへ一言お願いします。
井上 試合、頑張ります!
倉本 頑張ります! 直樹君は東京ドームでカマしてもらって、僕も大阪でしっかり勝って盛り上げるので、応援よろしくお願いします!
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