2021年6月5日(日本時間6日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて「UFC Fight Night: Rozenstruik vs. Sakai」が開催された。
UFC Fight Night: Rozenstruik vs. Sakai
現地時間2021年6月5日(土)、日本時間6日(日)米国ネバダ州ラスベガス/UFC APEX
【メインイベント】
▼ヘビー級 5分5R〇ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)254lbs/115.21kg 12勝2敗(UFC6勝2敗)[1R 4分59秒 TKO] ※パウンド×アウグスト・サカイ(ブラジル)255.5lbs/115.89kg 15勝3敗(UFC4勝2敗)
メインのヘビー級戦。前日計量では、6位のジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)が254ポンド(115.21kg)で計量、対する9位のアウグスト・サカイ(ブラジル)が255.5ポンド(115.89kg)で計量をパスしている。
両者ともに再起戦。11勝2敗(UFC5勝2敗)のホーゼンストライクは、2020年7月のUFNでシリル・ガーヌに判定負けして以来の試合。対する15勝2敗(UFC4勝1敗)のサカイは、2020年9月のUFNでアリスター・オーフレイムに5R TKO負けして以来の試合となる。
2018年5月のRIZIN.10でスプリット判定勝利後、2019年2月のUFCデビューから4試合連続KO勝利で、5戦目に現王者フランシス・ガヌーにKO負けしたホーゼンストライク。サカイもまたUFCデビューから4連勝しながらも、5戦目のオーフレイム戦で黒星を喫している。どちらが、かつての勢いを取り戻すことが出来るか。
1R、サウスポー構えから入るサカイは先に前蹴り。じりじりと詰めるホーゼンストライクにオーソドックス構えに戻す。右カーフキックはサカイ。足を上げてチェックするホーゼンストライク。
ボディストレートを狙うホーゼンストライク。右回りのサカイはさらに右ロー。その蹴り足を掴んで右を打つホーゼンストライクが前に。それを左前蹴りで止めるサカイ。ホーゼンストライクの打ち終わりに右を狙う。
金網まで詰めて左を振るホーゼンストライク。右にサークリングして避けるサカイ。左のダブルの2発目でアゴが上がったサカイにホーゼンストライクは右をテンプルに振りダウン奪取。すぐにパウンドを追打し、レフェリーが間に入った。
1R残り1秒。4分59秒でのTKO勝ちを決めたホーゼンストライクは復活の勝利。試合後の公式インタビューで、「前回の試合は最悪だった。最低のパフォーマンスだった。ボクシングや動きの面で多く取り組んできた。今日はそれが発揮できた。相手に当てたあのパンチも、3週間かけて磨いてきたもの。それがうまくいったから嬉しい。またすぐに戦えて満足だ。試合に負けると苦味が残るし、すぐに試合するチャンスがあれば嬉しいものだ。誇りに思っている。相手の試合をいくつか見て、下がりながら戦うのが好みじゃないことを知った。だから、新しいことを経験させてやろうと思って追いかけたんだ。気に入らなかったみたいだね。これで俺も前線復帰さ。みんなもこれを見たがっていたはず。2カ月か3カ月後に、誰か相手になってくれれば。俺はここにいる。自分より上の誰かとやりたい。あまり多くはいないけど、準備万端だ。タイトル戦線に返り咲きたい」と、再びヘビー級トップ5との対戦を望んだ。
◆ヘビー級ランキング王者 フランシス・ガヌー(カメルーン)1 スティペ・ミオシッチ(米国)2 デリック・ルイス(米国)3 シリル・ガーヌ(フランス)4 カーティス・ブレイズ(米国)5 アレクサンドル・ボルコフ(ロシア)6 ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)
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【コメインイベント】
▼ヘビー級 5分3R〇マルチン・ティブラ(ポーランド)251lbs/113.85kg 22勝6敗(UFC9勝5敗)[1R 4分06秒 TKO] ※パウンド×ウォルト・ハリス(米国)264lbs/119.75kg 13勝10敗(UFC6勝9敗)
メインのヘビー級戦に繋ぐコメインもヘビー級戦。8位のハリスは2020年5月にアリスターに2R TKO負けを喫すると、10月のUFC254でも上下の打撃を受けてアレクサンダー・ヴォルコフに2R TKO負け。2連敗中だ。
対する11位のティブラは『UFC Fight Night 183: Thompson vs. Neal』でグレッグ・ハーディーに2R TKO勝ちして以来の試合で現在UFC4連勝中。2020年2月のセルゲイ・スピヴァク戦以降、マキシム・グリフィン、ベン・ロスウェルにもいずれも判定勝利を収めている。
1R、サウスポー構えのハリスは左ハイ。ブロッキングするティブラに左右ラッシュするハリス。凌ぐティブラにハリスは左ストレート! 一瞬動きが止まったティブラだが、左で差して金網に押し込み回復を待つ。
右ミドルを当てるティブラに、左ミドルを打ち返したハリス。しかしその蹴り足を掴んだティブラが軸足を払いテイクダウン! 亀までヒザを立てたハリスのバックを奪い、両足をフックし右のパウンド連打! 身体を伸ばされてて鉄槌連打に動けないハリスを見て、レフェリーが間に入った。
1R TKO勝ちしたティブラはUFC5連勝をマーク。試合後、「(勝利の)秘けつがあるのかと聞かれるけどない。ジムでいくらかアジャストした。メンタルにも取り組んだし、呼吸のエクササイズもやった。それらすべてがまとまったんだ。他の人たちよりも必死にやっている。それが報われた。だからこそ俺はここにいる。乱闘だったな。みんなが気に入ってくれていると思うし、この後にはいい試合をやれそうだ」と勝利を振り返った。
今後については、「トップ5のファイターとメインイベントをやりたい。すべてを見せられたわけじゃない。相手がすべてをぶつけてきたのだとすれば、もうこれ以上はなかっただろう。フィニッシュできると思っていた。いろいろと変化を加え始めたとき、世界のトップファイターと戦うための自信を築き始めた。今は調子がいいと感じている。俺は忍耐強いし、もっとスキルを磨かないといけないとも思っているけど、いずれ到達する」と、トップ5ファイターとの対戦を希望した。
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▼ミドル級 5分3R〇ロマン・ドリーゼ(ジョージア)186lbs/84.37kg 9勝1敗(UFC3勝1敗)[判定3-0] ※30-27×3×ラウレアノ・スタロポリ(アルゼンチン)185lbs/83.91kg 9勝4敗(UFC2勝3敗)
ライトヘビー級からミドル級に転向したドリーゼ。元プロサッカー選手(ゴールキーパー)で、WWFCなどで2つのヒールフックでの一本勝ちを含むMMA6戦全フィニッシュ勝利でUFCと契約。
2020年7月のUFCデビュー戦はハディス・イブラギモフに1R KO勝ち、2戦目はスプリット判定勝ちも、ミドル級に落とした2021年3月のトレヴィン・ジャイルス戦で判定負けとなっている。
対するスタロポリはウェルター級で体重超過し、今回からミドル級に転向。2018年11月のUFCデビュー戦でヘクター・アルダナに判定勝ち、続くチアゴ・アウベス戦でも判定勝ちしたが、そこからムスリム・サリコフ、ティム・ミーンズに判定負けで2連敗中だ。シュートボクセ所属。
1R、ともにオーソドックス構え。スタロポリの打撃に付き合わずにダブルレッグからバックテイクするドリーゼ。立ち上がり正対を試みるスタロポリをバックコントロールからボディロックテイクダウン。スタロポリもすぐに立ち上がるが、ドリーゼはボディロックしたまま離れ際に右ヒジを振る。
2R、スイッチしたスタロポリにすぐにダブルレッグから押し込み崩しを狙う。正対して離れるスタロポリはワンツーから左ハイも尻餅。立ち上がると打撃勝負を望むが、ドリーゼはダブルレッグテイクダウン! 立ち上がるスタロポリは金網沿いに歩き正対するが、ドリーゼは両脇を差し上げる。しかし、ここで崩したスタロポリが上になるも、ドリーゼは足関節へ。すぐに足を抜くスタロポリがハイキックで攻めたところでブザー。
3R、組みのあるドリーゼになかなか踏み込めないスタロポリ。ワンツーもその打ち終わりにボディロックで組むドリーゼ。クラッチを外した瞬間にがぶるスタロポリだが、なおもドリーゼはボディロック。しかし、そこから崩したのはスタロポリ! 足関節狙いのドリーゼに付き合わない。なおも詰めてボディロックからバックテイク。背後からヒザ、離れ際に右を振るドリーゼ。
判定は組みでドミネートしたドリーゼが30-27×3で勝利。3月のキャリア初黒星から慎重な試合運びで復活を遂げたドリーゼは、「相手が優れたストライカーなのは分かっていた。顔には当てられたくなかったんだ。家族がベガスに来てくれていて、顔に怪我を負いたくなかったからね。スマートに戦おうとした。相手に何ができるかも何を持っているかも分かっていた。俺にしてみれば、すべてはゲームプラン。勝てて嬉しいけど、もっと打撃でショーを見せられたらよかった。次こそ」と、抱負を語った。
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▼ウェルター級 5分3R〇サンチアゴ・ポンジニッビオ(アルゼンチン)170.5lbs/77.34kg 28勝4敗(UFC10勝3敗)[判定3-0] ※29-28×3×ミゲル・バエザ(米国)171lbs/77.56kg 10勝1敗(UFC3勝1敗)
ウェルター級戦。バエザはMMA10戦全勝でUFCでも3連勝中、オクタゴンの全試合をフィニッシュしている。2020年11月の前戦では佐藤天に2R、肩固めで一本勝ちをマークした。
対するアルゼンチンのポンジニッビオはUFC9勝3敗のATTのベテラン。7連勝から2年以上のブランクがあったが、2021年1月に復帰。リー・ジンリャンに1R KO負けで5年半ぶりの黒星を喫した。
1R、ともにオーソドックス構え。先に中央を獲るポンジニッビオが左ジャブ、右ストレートで圧力をかける。しかし金網から押し戻したバエザが右カーフキック、インローも。詰めるポンジニッビオニサークリングするバエザはワンツーの右をボディに突く。さらに右カーフキックも。
左前足が赤くなるポンジニッビオ。左ジャブ、右ストレートで前に出るが、ブロッキングのバエザは右クロス! 左インローも前足に突く。しかし残り10秒で前に出るポンジニッビオはガード上から連打し左を当てる。
2Rも先に詰めるポンジニッビオ。しかし右のカーフキックはバエザ。ポンジニッビオも右のカーフを返す。右のカーフキックを効かせて右ストレートを当てるバエザ! ポンジニッビオはダブルレッグに入るが、切るバエザ。
しかし、前足を効かされながらも粘り強いポンジニッビオは左ジャブのダブルから右カーフキックを返す。そこに右オーバーハンドを返すバエザ! ポンジニッビオも下がらず右ストレート、左ジャブが当たり始める。気迫を見せるポンジニッビオの左に下がるバエザ。
3R、先にジャブから入るポンジニッビオ。右カーフで動きを止めようとするバエザ。しかし左ジャブを刺すポンジニッビオはジャブのトリプル。さらに右カーフキック! バエザがバランスを崩す。しかしバエザも右カーフを返す。左ジャブを突くポンジニッビオ。バエザもガードを固めてワンツースリー。しかし下がらないポンジニッビオもワンツー、左ジャブ! 右カーフキック。
バエザのワンツーに右をカウンターで当て左ジャブを当てるポンジニッビオ! 新星相手に真価を試すような死闘をしかけるポンジニッビオは、残り1分でカーフキック2連打! しかしバエザもガードしながら右アッパー。打ち合いのなか前に出るポンジニッビオは左フック! バエザも右を返すが、最後に左右を振って押し込んだのはポンジニッビオ! ファイトオブザナイト級の名勝負の判定は……。
29-28×3のコールの勝者はポンジニッビオ! 無敗の新鋭に黒星をつけたベテランは咆哮。ケージの中で「1Rはウォームアップだった。カーフキックは効いていたけど俺は止まらない」と語った。
◆ポンジニッビオ「今回の相手が、誰も戦いたがらないヤツだと。だから、俺にやらせてくれと言った」(※公式インタビュー)
「すごくいい気分だ。26カ月ぶりに戻ってきて、キャリア最大の敗北を喫したところからの復帰だ。打ち勝てると思っていた。15分でやられるわけがない。ラッキーパンチだったけどね。すごくタフだった。今日はいろんな感情を持って戦わないといけなかった。1Rは俺らしさを見つけるため。ちょっとスローだった。2Rと3Rは力強くいけた。あれが本当のサンチアゴ・ポンジニッビオだ。ミゲルはとてもタフ。もしかしたらビッグネームではないかもしれないけれど、UFCが俺に与えてくれたチャレンジだ。世界で一番のファイターたちだって倒せると思っている。俺はファイターであり、試合がしたいと言ってきた。今回の相手が、誰も戦いたがらないヤツだと。だから、俺にやらせてくれと言った。俺なら打ち負かす。
次はトップ10の誰かとやりたい。世界に、彼がとてもタフなヤツだってことを示せたと思う。ランキングは気にしていない。彼はとてもタフなヤツ。俺の存在を世界に示せたし、俺が戻ってきたことも見せられた。ベルトを取る覚悟はできている。あと数回の勝利があれば、ランキングに戻れるはずだ。ランカーを倒してきたし、沈めてもきた。いろいろあったことはみんなも知っているはず。これで復活だ。誰であろうと打ち勝てるパワーを持っている。またすぐに戦いたい。できれば今年中に2回やれればいいね。ビセンテ・ルーケとなら最高の試合になりそうだ。それか、スティーブン・トンプソンとギルバート・バーンズの負けた方かな」
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▼ミドル級 5分3R〇グレゴリー・ホドリゲス(ブラジル)186lbs/84.37kg 10勝3敗(UFC1勝0敗)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ドゥスコ・トドロビッチ(セルビア)186lbs/84.37kg 10勝2敗(UFC1勝2敗)
ミドル級戦。2018年7月の「THE OUTSIDER 51」で高橋義生にKO勝ちしているトドロヴィッチ。「Serbian Battle Championship 19」「Contender Series 2019」など9戦無敗で、2020年にUFC入りしデクワン・タウンセンドにTKO勝ち。しかし、2戦目でプナヘレ・ソリアーノに1R KO負けで初黒星を喫した。
ホドリゲスは、負傷欠場したマキ・ピトロの代役で今回オクタゴンデビュー。「Contender Series 2020」でジョーダン・ウイリアムズに1RKO負けも、LFAで2連勝。2021年5月にLFAミドル級王座に就いてのUFC参戦となる。
1R、ともにオーソドックス構え。ワンツーの右を連続ヒットさせるホドリゲス。払い腰でテイクダウンもすぐに立つトドロビッチ。逆にダブルレッグも、小手に巻くホドリゲスが残す。
2R、トドロビッチが打撃で前がかりになったところにカウンターのダブルレッグテイクダウン。立ち際にバックテイクするが、リフトしたところを着地したトドロビッチが正対。左右で飛び込んでいく。作り直してホドリゲスは右カーフキック。
3R、後がないトドロビッチは詰めてヒザ蹴り、ボディ打ちも突き放すホドリゲス。ダブルレッグから足を持ち上げテイクダウン狙い。ここは足を抜くトドロビッチ。ジャブの差し合いも制し、右の蹴りまで繋ぐホドリゲス。トドロビッチは中に入りクリンチボクシングの右! しかし、手数を増やすホドリゲス。残り10秒で組みに行くトドロビッチだがホドリゲスも崩れずブザー。
判定はショートノーティスで参戦したLFA王者のホドリゲスが3-0で勝利。オクタゴンの中で「大きな勝利だった。相手がタフなことは知っていた。3R戦い抜けることを証明できたのは良かった」と語った。
◆ホドリゲス「サンフォードMMAのみんな、ありがとう。時間をかけて、成長していきたい」
「夢がかなったよ。長い旅路だったし、ここに来られたことはとても大きい。というのも、両親がこの夢をかなえるためにすべてを与えてくれたから。自分のために必死に頑張ってくれる人がたくさんいて、妻は特にそう。サンフォードMMAのみんなにありがとうと伝えたい。彼らのおかげでオクタゴンでもいい感じでいられたし、この素晴らしい勝利も手に入れられた。
ドゥスコはタフなファイターだ。彼と戦えてうれしい。いい試合だったな。UFCで3ラウンドを戦えて本当に満足しているし、デビューを果たせて最高の気分だ。ドゥスコはいいアゴを持ったタフなファイター。ハードヒッターだし、俺のカウンターも受けていた。最高の試合だったと思う。ボクシングな試合がしたかったけど、こういう試合も覚悟していた。勝ったんだからね。それが一番大事だ。100%、今回の試合に集中してきた。UFCが何をオファーしてくれるのかとか、そういうのは気にしていなかった。この経験を得るためにここにいるんだし、成長するために基盤を築きたい。UFCのミドル級はタフなファイターがたくさんいる。時間をかけて、成長していきたい」
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【中止】
▼ミドル級 5分3R-トム・ブリーズ(英国)186lbs/84.37kg 12勝3敗(UFC5勝3敗)-アントニオ・アロヨ(ブラジル)186lbs/84.37kg 9勝4敗(UFC0勝2敗)※ブリーズに医学的な問題で直前で中止に。
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▼女子フライ級 5分3R〇モンタナ・デ・ラ・ロサ(米国)126lbs/57.15kg 12勝6敗(UFC5勝2敗)[2R 4分27秒 TKO] ※パウンド×アリアネ・リプスキ(ブラジル)124.5lbs/56.47kg 13勝7敗(UFC2勝4敗)
1R、ともにオーソドックス構え。テイクダウンを警戒し遠間からワンツーのリプスキ。その打ち終わりに組んで両脇を差して小外がけテイクダウン。
ケージ中央で背中をつかせたデラロサだが、リプスキはハーフから腰を切りフルガードに。下からヒジを打つ。デラロサの右のヒジで左目尻から出血するリプスキ。腫れ上がりすぐに出血が多くなる。リプスキが下のままブザー。表情を変えずに立ち上がる。
2R、先に左右を打つリプスキ。しかし前ががりになったところにダブルレッグテイクダウンはデラロサ! 早々に下になったリプスキは金網際で外掛けで足をからめるも後ろを向いて回って外したデラロサがサイドに。
傷口に右エルボーを叩き落とすデラロサ。右で枕に巻き、リプスキに背中を着かせる。下からアームバーも体勢が悪いリプスキは腕を外されマウントに。デラロサは一気にパウンドのラッシュ! レフェリーが間に入った。
2020年9月にヴィヴィアニに判定で敗れ、2月もマイラ・ブエノ・シウバにドローだったデラロサだが、1年4カ月ぶりの勝利に「ここしかないと思ってテイクダウンに行った。チームや夫のサポートにも感謝したい。家に戻って娘に会うのが楽しみ」と笑顔で語った。KSW4連勝からUFC入りしたシュートボクセのリプスキは、オクタゴンで2勝4敗となった。
◆デラロサ「アントニーナと戦った彼女の試合を見たから、グラウンドでは圧倒できると思っていた」「最初のエルボーを打っていったときに彼女の目が見えた。その目を見たら、もうダメみたいだった。同じところに戻らないといけなかったけど、テイクダウンを強いていたわけじゃない。アントニーナと戦った彼女の試合を見たから、グラウンドでは彼女を圧倒できると思っていたけど、テイクダウンに固執していたわけじゃない。何発かパンチを打っていったら、プレッシャーをかけるタイプのファイターだからだろうけど、前に出てこようとしていたし、テイクダウンが狙える感じだったの。
今はもっと完全になってきている気がするし、自信もついてきている。試合に臨むときはいつも怖い。誰でもそうだと思うけどね。でも、プッシュし続けないといけない。またフィニッシュできて嬉しい。UFCの最初の3試合はフィニッシュしたけど、その後はずっと3ラウンドを戦ってきたから、それはいい気持ちじゃなかったわ」
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【プレリム】
▼ヘビー級 5分3R〇イリル・ラティフィ(スウェーデン)240lbs/108.86kg 15勝8敗(UFC3勝3敗)[判定2-1] ※29-28×2, 27-29×タナー・ボーザー(カナダ)242lbs/109.77kg 19勝8敗(UFC3勝3敗)
1Rにボーザーの右ミドルをキャッチしテイクダウンを奪うラティフィ。2Rにボーザーが右フックでラティフィを後退させる。3Rにシングルレッグテイクダウンのラティフィがパウンド。判定はスプリットでラティフィが勝利。UFC戦績を3勝3敗の五分とした。
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▼ウェルター級 5分3R〇ムスリム・サリコフ(ロシア)171lbs/77.56kg 18勝2敗(UFC5勝1敗)[判定3-0] ※30-27×3×フランシスコ・トリナウド(ブラジル)169.5lbs/76.88kg 26勝8敗(UFC16勝7敗)
散打王者のサリコフ。2017年11月のUFCデビュー戦こそアレックス・ガルシアに一本負けも、以降、リッキー・レイニー、ノルディン・タレブにTKO勝ち。ローレアーノ・スタロポリ、エリゼウ・ゼレスキに判定勝ちで4連勝中。トリナルドは3連勝も前戦で体重超過したため、今回からウェルター級に階級を上げた。
1R、サウスポー構えのトリナルド、オーソドックス構えのサリコフは右ハイも、立ち技ベースのトリナルドも右の蹴りに果敢に左を合わせに行く。詰めての首相撲ヒザもトリナルド。しかし、距離が空くとサリコフも鋭い右の蹴りを放つ。トリナルドが詰めたところに右のショートフックを当ててダウンを奪うサリコフ! トリナルドはガードから足をからめてブザー。
2R、ジャブから詰めるサリコフに左のカウンターを狙うトリナルド。しかし右ストレートを当てたサリコフは、トリナルドの大きな左をスウェイでかわし、右ミドルハイをガード上から打ち込むと、右一本を差してトリナルドを投げる。
3R、詰めるトリナルドの指がアイポークとなり中断。再開。右目にダメージがあるサリコフに左の攻撃はトリナルド。その蹴り足をとってこかすサリコフ。ブレーク。再開。ボディストレートから左を振るトリナルドに、左回りでかわすサリコフ、左をかすめるもカウンターのダブルレッグテイクダウン! 判定3-0でサリコフが勝利し、UFC5連勝をマークした。
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▼フェザー級 5分3R〇カムエラ・カーク(米国)146lbs/66.22kg 12勝4敗(UFC1勝0敗)[判定3-0] ※30-27, 29-28×2×マクワン・アミルカーニ(フィンランド)146lbs/66.22kg 16勝6敗(UFC6勝4敗)
アミルカーニは2020年10月の前戦では、緊急出場でランカーのエジソン・バルボーザに判定負けもUFC6勝3敗の戦績を残している。首系を得意とするグラップラー。 対するカークは負傷欠場のネイト・ランドワーの代役として緊急出場。LFAで4勝2敗。2021年5月の前戦ではダニエル・スウェインにTKO勝ちしている。
1R、サウスポー構えのアミルカーニ。オーソドックス構えのカーク。右ミドルハイで前蹴りで牽制するカーク。アミルカーニは低いシングルレッグを2度トライも切るカーク。なおもシングルレッグを肩口まで上げてテイクダウンを狙うカーク。ボディロックから反り投げでテイクダウンを奪うアミルカーニ。立ち上がるカークだが、なおも崩してテイクダウンするアミルカーニ。カークは足を戻して金網背に立ち上がる。
2R、左右の上下に散らした蹴りでリズムよく攻めるカーク。ワンツーの右もボディストレートで上下に散らす。足を触りに行くアミルカーニを切るカークは右の跳びヒザも狙うと右ストレート! しかしアミルカーニはダブルレッグテイクダウン! ここで落ち着いてギロチン、外ヒールフックも狙う。外したアミルカーニをガードの中に入れるカークは下から細かいパウンド。三角絞めから十字を極めにいくが、アミルカーニが首を抜いたところでブザー。
3R、ダブルレッグテイクダウンはアミルカーニ。しかし足を効かせるカークは三角絞め狙いから下からシングルレッグ、さらに金網背に立とうとするが、その際でアミルカーニはバックを狙う。しかし落として上になるカーク。背中を着かされたアミルカーニが下のままトラックポジションも狙うがブザー。判定は3-0(30-27, 29-28×2)でカークが勝利。UFCデビュー戦でUFC6勝3敗のアミルカーニにしっかり判定勝ちをマークした。
◆カーク「直前のオファーだったんだからこれがフルキャンプとなれば、もっと期待してもらえるはず」(※試合後公式コメント)
「フィニッシュできればと思っていたんだけどね。自分は11勝して11回のフィニッシュを記録していた。そのうち9回は1Rで決めて、2回は2Rだ。常にフィニッシュを目指している。だから、今回の試合をフィニッシュできずにがっかりしているけど、いつも自分に打ち勝てるわけじゃない。アミルカーニはタフな相手。世界の強豪を相手にやってきた選手だ。常にフィニッシュを目指しているとはいえ、いつもそうなるとは限らない。この結果に満足している。今回は直前のオファーだったんだから、これがフルキャンプとなれば、もっと期待してもらえるはずだ。アミルカーニとの試合の連絡を受けたとき、彼のことを知っていたから、この瞬間がもっと最高になると思ったんだ。次の試合ではさらにステップアップして有名なフェザー級ファイターと戦い、ここからさらに上を目指したい」
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▼ライト級 5分3R-アラン・パトリック(ブラジル)154.5lbs/70.08kg 15勝3敗1NC(UFC5勝3敗1NC)[2R ノーコンテスト]-メイソン・ジョーンズ(英国)156lbs/70.76kg 10勝1敗1NC(UFC0勝1敗1NC)
2020年9月のボビー・グリーン戦でUFCデビューも判定負けしたパトリック。対するジョーンズは元Cage Warriorsのライト&ウェルター級王者。2021年1月のオクタゴンデビューではマイク・デイヴィス戦で接戦の末、判定負けしている。
1R、サウスポー構えのパトリック。オーソドックス構えのジョーンズはワンツーで圧力をかけてパトリックにケージを背負わせる。バックフィストから押し返すパトリックだが、左を浴びる。組んでもテイクダウンはジョーンズ。インサイドからのパウンドにジョーンズは出血。立ち上がるもパトリックのダブルレッグに下に。ヒジ打ち、中腰からのパウンド、左右のラッシュにケージに釘付けに。
2Rも先に攻めるパトリックがテイクダウン。パウンドを浴びるジョーンズは金網背に立ち上がるが、バックフィストも軸がブレる。押し返すジョーンズの連打がアイポークに。右目を押さえて座り込んでしまう。試合続行不可能で、アクシデントのアイポークにより試合はノーコンテストとなった。
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▼女子フライ級 5分3R〇マノン・フィオロ(フランス)125.5lbs/56.93kg 7勝1敗(UFC2勝0敗)[2R 3分00秒 TKO]×タバタ・ヒッチ(ブラジル)124.5lbs/56.47kg 5勝1敗(UFC0勝1敗)
女子フライ級で、元SEI☆ZAのタバタ・ヒッチ(ブラジル/5勝0敗)が緊急参戦でオクタゴンデビュー。マリーナ・モロズ(ウクライナ)の代役として、マノン・フィオロ(フランス/6勝1敗・UFC1勝0敗)と対戦する。
2021年4月のLFAでは女子ストロー級に参戦し、賭け率-2800というアンダードッグながらショワナ・オルンズビー(米国)を2R TKOに下すアップセットでLFA3連勝をマークし、今回のUFCデビューを決めたヒッチ。SEI☆ZA後は、パラゴン柔術に所属しマッケンジー・ダーンのトレーニングパートナーも務めるなど実力をつけ、MMAでは5勝無敗。
対するフィオロも6連勝中で、うち5試合をTKO・KOでフィニッシュしている。前戦ではUFCデビュー戦のヴィクトリア・レオナルドをサウスポー構えから右ハイキックを効かせてのラッシュで2R TKO勝ちを収めており、リーチのある打撃のフィオロvs.組み技のヒッチの凌ぎ合いになりそうだ。
SEI☆ZA出身のUFCファイターはユリア・ストリアレンコに続いて2人目。ストリアレンコはInvictaで勝利後、2020年8月のUFCデビュー戦で強豪ヤナ・クニツカヤに判定負けを喫しており、ヒッチは階級上ながらSEI☆ZA出身初のオクタゴンでの勝ち名乗りを受けることができるか。
1R、緊急参戦の女子ストロー級のヒッチは今回はフライ級で参戦。身長差15cm。サウスポー構えから右前足の鋭いサイドキック、左ローも打ち込むフィオロ。さらに右の関節蹴りも狙う。右のダブル、インローも。体格で劣るヒッチは左回りからシングルレッグもすぐに離れる。
左ハイ、さらにワンツーを打ち込むフィオロ。サイドステップで致命傷をもらわないヒッチだが、フィオロは左ストレート。ヒッチは右のダブルで飛び込むが遠い。圧力をかけるフィオロは3連打まで繋ぎ前に。近づいて逆に右の前蹴りを返すヒッチだが、フィオロはワンツー。シングルレッグをことごとく切られたヒッチは厳しい展開。
2R、圧力をかけて右サイドキック、さらに右で差して自ら組みに行くフィオロ。ここは片ヒザを着きながら凌ぐヒッチ。ヒッチの右インローにジャブを返すフィオロ。蹴り足を取るヒッチだが倒せず。フィオロは右ストレートを当てて前に! ダウンしながらも立ち上がり後ろを向きながらも腕を掴むヒッチだが、剥がしたフィオロが右を当てると、レフェリーが間に入った。
UFC2連勝を決めたフィオロは「タバタが試合を受けてくれて感謝している。最高の気分よ。彼女がテイクダウンを狙っていたのは分かっていたから、距離を取ってKOを狙うつもりだった。本当に嬉しい。試合に臨むときはKOを狙っている。チャンピオンになりたい。2試合で2回のKO勝利だから、トップ10かトップ15の相手とやれるはず。年内にまた戦いたいし、トップ15に入れるようにしたい」とコメント。階級上で緊急参戦したヒッチはほろ苦いオクタゴンデビュー。自身の階級での次戦を見据えることになる。
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▼フェザー級 5分3R〇ショーン・ウッドソン(米国)145lbs/65.77kg 8勝1敗(UFC2勝0敗)[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ユーセフ・ザラル(モロッコ)146lbs/66.22kg 10勝5敗(UFC3勝3敗)
1R、長身のウッドソンの打撃を被弾しながらもザラルが左で差して押し込み、ラウンド終了間際にボディロックテイクダウンでブザー。
2R、逆にウッドソンが右で差して押し込み、終了間際にギロチンチョークをボディトライアングルで絞る。
3R、粘り強くシングルレッグをハイクラッチから持ち上げるザラルだが、倒されないウッドソンが組んで三角絞め狙い。外し際で上を取ったのはウッドソン。
判定はスプリットに割れ、29-28×2, 28-29でウッドソンが勝利。ウッドソンはUFC2勝目。ザラルは3勝3敗の五分となった。
◆ウッドソン「仕事を守るために戦っていた」「今回の試合で勝つことは自分にとってものすごく大事だった。言葉にできないよ。ここに相応しい実力を示すことが本当に重要だったんだ。逆境に立たされているような感じだった。よく分からないけど、仕事を守るために戦っていたというか。とにかく、ここで勝つことがとても大事だったってこと。接戦だったのは分かっていた。自分が100%勝っていたと言うつもりはない。最初のラウンドは相手が取ったと思う。2Rは五分五分、でも、3Rは俺が取ったという自信があった。スプリット判定になったことに驚きはまったくない。
自分が勝てたことに感謝している。序盤はダメダメだった。1年も休んだし、当然、腕がさび付いていたのは間違いない。タイミングが合わなかった。それでも、まずまずのテイクダウンディフェンスは見せられたと思うし、ほとんど防御できた。相手はケージに対してかなりプレッシャーをかけてきたし、たぶん、自分が勝ったと思っていたんだろうけど、ダメージを与えたのはこっちが多い。2回もあと少しでギロチンが極まりそうだったし、フィニッシュしかけていたのはこっちだ。そのおかげで勝てたんだと思う。フィニッシュを狙っていったし、向こうは逃げ出そうとしていただけ。9月か10月には戻ってきたい。もう1年とか長い休みはごめんだ。3カ月か4カ月ごとに試合がしたい」
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▼ライト級 5分3R〇クラウディオ・プエレス(ペルー)155lbs/70.31kg 10勝2敗(UFC3勝1敗)[判定3-0] ※29-28×3×ジョーダン・レビット(米国)156lbs/70.76kg 8勝1敗(UFC1勝1敗)
※1Rはシングルレッグでテイクダウンを奪ったレビットが取るも、2、3Rはプエレスがテイクダウンから抑え込みパウンド。レビットは得意の下からの仕掛けも、プエレスが潰し判定勝ち。プエレスはUFC3連勝。レビットはMMA初黒星に。
◆プエレス「相手の無敗記録を止めた。世界でトップの人たちと練習しているからね」「これで3連勝だ。毎日、必死にトレーニングに励んでいる。オクタゴンから離れて2年経っていたけど、それでも毎週ジムで練習している。改善したところを見せられたとは思うけど、まだまだこんなもんじゃない。これからもっと俺の力を見てもらえると思う。相手の無敗記録を止めた。ジムでのハードな練習が報われたよ。世界でトップの人たちと練習しているからね。あと数試合できれば、俺が脅威な存在だってことを分かってもらえるだろう。もっとトレーニングして上手くなるための時間が必要。試合のたびに改善したところを見てもらえるはずだ。もちろん、今年は忙しくしていたい。1年に1試合だけじゃ難しい。年内にあと2試合できることを願っている」