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2021年5月30日(日)、新木場スタジオコーストにて「PANCRASE 321」が開催。フェザー級で2連勝中の透暉鷹(ISHITSUNA MMA)とRyo(RINGS)が対戦する。
MMA界の“遅れて来た新人”36歳のRyoは、前田日明の弟子。2016年3月「THE OUTSIDER 第39戦」の「65-70タイトルマッチ」で王者・朝倉未来に挑戦し、ネックロックで「主催者ストップ・TKO勝ち」となるも、朝倉がタップしていなかったため、公式結果は「ノーコンテスト」に変更された、という激闘を繰り広げてきた。
2020年10月大会でPANCRASEに初参戦し、滝田J太郎に判定勝ちすると、12月大会では林優作に得意のギロチンチョークで一本勝ち。2連勝をマークしている。
PANCRASE3戦目に向け、Ryoは「80kgまで増量した」身体を減量。1回目は66.3kgで超過も、排尿後すぐに2回目の計量でフェザー級の1ポンドオーバー枠の66.25kgのジャストでパスした。
14kgの減量も「最後は微調整で予定通り、ピッタリいったかなと思います。前田日明さんからは『常にナチュラルで身体を作れ。卵を毎日1パック食べろ』と言われていて、全部食べ切れないときもありますが、なるべくナチュラルにタンパク質を摂るようにしています」という。
勝村周一朗代表率いる横浜グランドスラムでも練習し、「デカゴンのケージでの戦い方を前回で5割ほどは掴んだ感覚です。今回は7~8割は掴めそうな手応えを得ています」と自信の表情を見せた。
前田日明との個人レッスンも継続しており、「“新たな宿題”が増えまして……唯一言えることは『1000回を週2回』という数字です。とてつもない数字でした」と語る。
フィジカルに関わる数字とのことだが、スクワットの回数なのか、「500回でもありえないほどなのに、その1000回を『練習前にやるんだよ』と言われました。正直、人間の身体はそれをやれんのかなと思ったんですけど……自分も前田さんの弟子でしたからね、やれました」と、苦しい練習を振り返る。
その先に何が見えたのか、と問うと「『オートマティック』ですね。前田さんもよく言ってますけど、『極限を越えたときは自然と身体が動くんだよ』と。2、3年前には“何を言ってるんだろう”と理解できていなかったですが、まったく冗談じゃなかった。ほんとうにオートマティックになります。それが試合で出るように、ここまで臨んでやってきました。僕は、そういった前田伝説を引き継いでいきたいです」と目を輝かせた。
しかし、今回の対戦相手の透暉鷹は、2019年の修斗フェザー級新人王で、現在PANCRASEでも2連勝中の24歳、期待の若手だ。
「すごく伸び盛りで怖いもの無しというような勢いのある選手ですが、そういう選手に対してみんな“どこまでRyoはやるのかな”と楽しみにしていると思うので、そこでしっかり勝つことで“Ryo、チャンピオンも獲れるんじゃないか”と、より実感が沸くような試合を見せたいと思います」と、勝利に自信をみせた。
2週間後には、盟友の朝倉未来も、クレベル・コイケとの大一番を迎えるが、「下馬評で“クレベルが勝つ”なんて言われてるようじゃ、まだまだですね。朝倉がファンたちにそんな冗談を言わせていることがいけない。“俺はこんだけやってるんだ。本当にこれに賭けているんだ”と思わせていないから、そんなことを言われる」と、歯がゆさをのぞかせる。
続けて、「周りからよく『どっちが勝つ?』と問われるけど、僕は『朝倉未来が勝つ』と言っています。こんなところで線香花火みたいに散るようなヤツじゃない。僕は朝倉未来を信じています。お互いに勝ち上がって、また盛り上げよう」と、Ryo流のエールを送った。
透暉鷹「この勢いのままベルトまで行く」
対する透暉鷹は、次代のホープだ。
2019年の修斗フェザー級新人王で、修斗BORDERで後藤陽駆、藤野康弘に勝利し、2020年7月にPANCRASE初参戦。小森真誉に1Rで一本勝ちし、10月には同級8位の田中半蔵とのスクランブルゲームを制し判定勝ちでデカゴン2連勝をマークしている。
トントン拍子にランキングを駆け上り、現在フェザー級6位の透暉鷹は、66.05kgで計量を1回でパスし「減量はばっちりです。調子いいですね」と落ち着いた表情で語った。
計量後は、2019年に単身出稽古したアメリカントップチームのTシャツを着用。フロリダでは、現ONE世界フライ級王者のアドリアーノ・モラエスとも肌を合わせ「無茶苦茶強かったです」という。
格闘技のバックボーンは「小学生時代に日本空手協会で伝統派空手を学んだくらい」で、MMA育ちと言っていい。現在は愛知県瀬戸市で所属するISHITSUNA MMAと、名古屋のALIVE、stArt Japaを行き来して練習を重ねている。
PANCRASE初戦でのリアネイキドチョークでの一本勝ちも「セコンドについてくださった日沖(発)さん直々です」と笑顔を見せる。
修斗でも先輩の田中半蔵を完封した前戦など、連勝の要因は「普段の練習通り、スパーリング通り、冷静にやれた」ことだという。
今回、ベテランで一回り年齢が上のRyoとの対戦に向け、「自分、連勝していていい気持ちで臨むことができています。この勢いのまま行きたいと思います」と、3連勝を目指し、「もっと上位ランカーと対戦してベルトを巻きたいです」と、目標を語った。
前田日明の愛弟子Ryoが悲願のベルトに向けて3連勝なるか、それとも実力者・透暉鷹がその夢を打ち砕き、一気に上位進出なるか。注目のフェザー級戦だ。同大会は、TIGET LIVEにて生配信される。