2021年6月13日(日)に東京ドームで開催される『RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント1回戦』で、井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)と対戦する石渡伸太郎(CAVE)が5月27日、所属ジムにてリモートの公開練習&囲み取材に応じた。
元ムエタイ三冠王からMMAに転向した同門の雅駿介が持つミットに、オーソドックス構えからワンツーなどを披露した石渡は、試合でのサウスポー構えを封印。「公開しない公開練習を心がけました」と笑顔を見せた。
現在、CAVEには所属の雅や前DEEPストロー級王者の越智晴雄らに加え、RIZINフェザー級王者の斎藤裕(※6.13 東京ドーム大会出場予定)やAKIRA(5.30 PANCRASEで松本光史と対戦)らが出稽古に訪れており、石渡は「みんなそれぞれ強いところがあるのでいい練習になります」という。「たとえば斎藤選手の打撃のスタイルは、次の相手にすごく近くはないかもしれないけど、そう遠くなかったりするので」と、対井上直樹をイメージしつつ、さまざまな局面を出稽古相手にも試してきたことを明かす。
GP最大の潰し合い──優勝候補同士の対戦に、朝倉海や扇久保博正は、井上直樹について「過大評価されている」とも発言しているが、石渡は「僕がいま、たぶん一番井上直樹選手を研究しているので、改めて“強いな”という印象しかないです」と、強敵であることを認めつつも、「ただ、僕なら“ここなら勝てるな”ということは見つけている」と自信ものぞかせた。
「人生の中で格闘技だけを頑張って生きてきたので、ここだけは譲れないという気持ちで戦ってきた」という。2006年3月のプロデビュー戦は北沢タウンホールだった。
「15年やっていて東京ドームでやれるのは素直に嬉しいけど、それに浸る事なく、試合内容がすべてだと思うので、東京ドームという場所で井上直樹をぶっ飛ばしたいと思います」と、意気込む。
“漢気”石渡伸太郎は、2017年の地獄の5連戦以来のバンタム級トーナメントに向け、「自分が優勝するつもり出ています。だけど、2回戦のこと考えていたら負けると思っているので、ここでどうなってもいいから勝つ、そのつもりの覚悟で進みます」と、語った。
井上選手より強い選手とやってきた。びっくりして戸惑うことはない
──本日の公開練習では雅選手のミットに、オーソドックス構えで打ち込みました。これは試合前の動画では、サウスポーの動きを封印したということでしょうか。
「公開しない公開練習を心がけてやりました(笑)」
──雅駿介選手や原虎徹選手をはじめとするCAVEの新鋭に加え、出稽古で斎藤裕選手やAKIRA選手らも訪れているようですね。彼らとの練習はどんな刺激になるでしょうか。
「みんなそれぞれ強いところがあるのでいい練習ができます。たとえば、斎藤チャンピオンとかは次の相手の打撃スタイルにすごく近くはないかもしれないけど、そう遠くなかったりするので」
──石渡選手自身は、1年半ぶりの試合になります。動き、試合勘などはいかがでしょうか。
「毎回“久しぶり”になるのに慣れてきたんで、試合になったらいろいろ思い出せたらと。その準備をしていますね」
──身体が仕上がっているように見えますが、減量は順調ですか。
「だいぶ減量して、いつもより1週間早いペースです。大会が延期されたこともあって、いいペースで減量できています。(延期を)プラスに変えることができたと思います」
──今回のGPで、あらためて井上直樹選手から「一度フラれたけど、もう一回指名しました」と言われたことに対して、どんな思いでしたか。
「ほんとうに舐められてるから、ブッ飛ばしてやろうと思います」
──指名されたというのは、相手が自分に勝算があると判断されたという認識ですか?「舐められている」というのは。
「もちろんそうですね」
──井上選手の試合を見ての印象を教えて下さい。
「やっぱりトーナメントの前に映像を見ていたので、まあまあ(前と)同じ、強いなっていう印象です」
──「強い」というのは、ご自身がこれまで戦ってきた選手、たとえばハファエル・シウバやジョナサン・ブルッキンズ、ビクター・ヘンリーらと比べてどう強いでしょうか。
「まあ(それぞれ)スタイルが違いますから、どっちが強いかは分かりませんが、ただ、井上選手より強い選手とやってきた自信はあります」
──朝倉海選手や扇久保博正選手には、「井上選手は過大評価されているのでは」という意見もあるのですが、それについてはどう思いますか。
「……僕がいま、たぶん一番井上直樹選手を研究しているので、改めて“強いな”という印象しかないです。ただ、僕なら“ここなら勝てるな”ということは見つけているんで」
──斎藤選手のYouTubeチャンネルの動画に出演した際に、「(井上が)対戦相手として優先順位が一番低い」とおっしゃっていて、一番当たりたくない、という意味の発言と思いましたが、なぜそのように思ったのかを教えて下さい。
「あのトーナメントに出ている選手のなかで、朝倉、井上選手がまあ、トップ2なのかなっていう見方を自分でしていて、で、そのなかで知名度的に劣る井上直樹選手が一番、“美味しくない”というふうに考えていました(笑)」
──「2回戦はどうでもいいから全てをかけて勝つ」という発言の気持ちは変わらないですか。
「そうですね、もちろん優勝はするつもりなんですけど、井上選手は強いので、次は考えられない。勝てば自然と優勝への道が切り開ける。その意味で『この試合しか考えていない』ということです」
──GPの一番最後まで見据えていると。
「自分が優勝するつもり出ています。だけど、2回戦のこと考えていたら負けると思っているので、ここでどうなってもいいから勝つ、そのつもりの覚悟で進みます」
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人生のなかで、格闘技だけを頑張って生きてきたので、ここだけは譲れないぞ、というところがある
──石渡選手の試合は、いつも激闘になります。試合前の心構えなどはありますか?
「人生のなかで、格闘技だけを頑張って生きてきたので、ここだけは譲れないぞ、というところがあります」
──井上選手のいくつかの試合をご覧になったと思いますが、井上選手が苦しんだサウスポーのトレント・ガーダムとの競った試合をどのように感じましたか。
「あの試合をみて、よく研究していたんですけど、たまたま見たツイッターの投稿で、(井上が)『あの試合は怪我してた』と言っていたので、“なんだよ”と(苦笑)。まあ、自分の当日のコンディションもありますし、向き合ってみないと分からない所があると思うので、そういうときにいろんな状態で対応できるように自分を固めています」
──「向き合ってみないと分からない」ような外国人選手と多く戦ってきた石渡選手は、そういう修羅場をくぐり抜けてきた自信が試合で出てくると思いますか。
「びっくりすることはないと思います。びっくりして戸惑っちゃうことはない」
──逆に相手がビックリする場面も用意していますか。
「それがないとダメですね」
──井上選手は前後のみならず左右にも動けるステップを持ちます。石渡選手は自分の得意な距離にする必要があると思います。そこに関してはご自身でどう考えていますか。
「そんな質問しないで下さい(笑)。全部分かっていて考えがあるので、ヒントになるので言いたくないです」
──怪我で戦線から離れ、後輩を育ててセコンドに付いて、これまで格闘技を俯瞰して見てきたと思いますが、今回の日本のトップ選手が揃うバンタム級GPに出場を決めた理由をあらためて教えて下さい。
「コンディションが良くなったからです。これからもずっとやって行きたいんですけど、コンディションが良くなったので、出来そうだな、というところで出場を決めました」
──扇久保選手の公開練習では、次の対戦相手として「石渡選手と井上選手の勝者と戦いたい。石渡選手が勝つと思う」と話していました。公式動画で石渡選手の奥様と扇久保選手のパートナーが対談したり、2019年の大晦日の対戦から、扇久保博正選手との関係をどう感じていますか。トーナメントで勝ち上がったら再戦したいなどの思いはありますか。
「トーナメントで、戦いたいひとりではあります。前回負けているんで、リベンジしたい相手です。で、まあ、なんスかね、ただなんかいろんな彼の人間性とか好きなんで、トーナメント終わったらYoutubeでコラボしましょう(笑)。その前にリベンジしようと思っています」
──選べるなら、このトーナメントで試合をしたかった相手は誰ですか。
「一番弱いやつとやりたかったです(笑)。リストに名前書いてあるんですけど、たぶん悪口になるので(笑)。対戦が決まって盛り上がるんであれば、その悪口を言いますけど、今は関係ないので言えないです」
──東京ドームで戦うことについてどう感じていますか。
「スタート、(プロ)デビューした時、15年前なんですけど、ほんとう数百人入る体育館(北沢タウンホール)でやっていて、東京ドームでやれるのは素直に嬉しいですが、それに浸る事なく、試合内容がすべてだと思うので、東京ドームという場所で井上直樹をぶっ飛ばしたいと思います」
【写真】2006年10月1日、プロ2戦目「修斗 下北沢修斗劇場 第16弾~燃えろいい男~」に出場した石渡伸太郎。21歳だった。
──最後にファンへメッセージをお願いします。
「何がどうあっても面白い試合になると思います。ほんとうにぶっ飛ばしにいくので、試合を楽しみにしていてください」