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【K-1】「王者としての真価が問われる初陣」賛否両論巻き起こした“K-1ルールを変えた男”椿原龍矢

2021/05/26 14:05
【K-1】「王者としての真価が問われる初陣」賛否両論巻き起こした“K-1ルールを変えた男”椿原龍矢

ファンの間で賛否両論が巻き起こったアウトボクシングで王座に就いた椿原。今回は真価が問われる一戦に

 2021年5月30日(日)神奈川・横浜武道館『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~K-1バンタム級日本最強決定トーナメント~』。同大会の出場選手紹介VTRが、K-1のオフィシャルYouTubeチャンネルにて公開された。

 その中でも、やはり注目を集めているのがK-1フェザー級王者・椿原龍矢(月心会チーム侍)だ。


(写真)ジャブで相手の出鼻を挫く

 椿原は2020年9月のK-1で第3代K-1 WORLD GPフェザー級王者・江川優生(POWER OF DREAM)から番狂わせの勝利を奪い、2021年3月のタイトルマッチでの再戦でも返り討ちにして第4代王者となった。“怪物”とまで言われ、魔裟斗も高く評価している江川を2連戦で破った実力は高く評価されるべきだが、一部のファンからは批判の声があがっている。

 それは、椿原のファイトスタイルに関するものだ。前に出てくる江川をジャブ、または前蹴りで出鼻を挫き、それでも入って来るとパンチを打ちながら、またはかわしながらステップで離れていく。自分からも攻撃し、江川が反撃する前にスッと離れる。打ち合いをせず、自分だけ当てて回り込む姿=アウトボクシングが「逃げている」との批判にさらされたのである。


(写真)相手の見えない角度から上がって来るハイキック。江川だから防げたとの意見も

 紹介VTRでも「物議を醸すことに」と言われているように、5月25日現在、再戦の動画は高評価が384、低評価が637と低評価が大きく上回り、試合後の椿原のインタビュー動画などは高評価が657、低評価が2276と、椿原のファイトスタイルに「NO」を突き付けるファンが多いのだ。

 そしてこの試合から6日後に行われた記者会見で、中村拓己K-1プロデューサーより「判定基準の変更」が発表された。


(写真)自分の攻撃を入れた後はディフェンスしながら相手から離れていく

「K-1は2014年からスタートして開催してきて、技術のレベルが上がっていろいろなファイトスタイルが増えて僅差の勝負が増えてきた中で、我々は改めて判定基準を変更します。K-1はKOを狙って戦う競技、KOが一番の上位概念として行っています。KOを狙う選手の姿勢、ダメージを伴う攻撃、倒しに行く姿勢をより評価して判定していきたい。K-1はKOを狙う、倒し合う、打ち合う競技です。そういう戦い方をすることが勝利に近付く。K-1はキックボクシングでもムエタイでもボクシングでもなくK-1という独立した競技です。K-1はそういう戦いをする競技として見て欲しい。明日の試合からはK-1はそういう競技だと分かったうえで見ていただきたいと思います」

 つまり、軽く攻撃を当てて相手の攻撃をかわし続けるような戦い方よりも、KOを狙う姿勢・ダメージを伴う攻撃を評価するという明確な基準に変更するというもの。


(写真)攻撃の起点となるローキックは当てさせない

 これまでのK-1ルールでの採点の優先順位、(1)ダウン数、(2)相手に与えたダメージの有無、(3)クリーンヒットの数、(4)アグレッシブ度(攻撃点)に変わりはないが、僅差の場合は(3)クリーンヒットの数が倒しに行くための攻撃かどうかがより評価される。また(4)アグレッシブ度に関しても同様に倒しに行く姿勢が評価される。

 この判定基準の変更が発表された翌日の『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~K’FESTA.4 Day.2~』では、19試合中12試合がKOをマーク、その後の同じK-1 JAPAN GROUPの『Krush』でもKO・ダウンが増加傾向にある。


 いわば椿原は“K-1ルールを変えた男”となってしまったわけだが、椿原がこのファイトスタイルで勝ったのは江川との2連戦が初めてではない。それまで批判らしい批判はほとんどなく、今回一気に噴出したのは江川戦は注目度が高かったことと、特に2戦目はタイトルマッチだったこともある。ましてや椿原は挑戦者だった。

 しかし、椿原はフェザー級に階級を上げてからの第1戦でハイキックによるKO勝ち、2戦目と3戦目で江川から勝利を収めているのである。現段階で椿原のファイトスタイルに「非」を突き付けるのは時期尚早ではないだろうか。


 紹介VTRでも言われているように「王者としての真価が問われる初陣で椿原は何を見せるのか」。判定基準の変更でファイトスタイルがどう変わるのか、それとも変わらないのか。

 奇しくも今大会で椿原が対戦する玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス)は端正なルックスとは裏腹に、愚直に前に出て攻撃を繰り出してKOを狙う・倒しに行く激闘派。椿原とは対照的なファイトスタイルで、椿原が激闘派の選手を相手にどう戦うかという意味では、これ以上ない相手と言える。


 椿原は言う。「倒せるアウトボクシング、椿原流の戦い方を作っていけたらいいなって思っているので、誰もできひん僕だけのスタイルを作って『椿原選手みたいなスタイルを目指してるんです』って言ってもらった方がカッコよくないですか? そういうスタイルをやりたいですね」

 競技は違うがボクシングで歴史に名を残す名王者はアウトボクサーが多い。彼らはアウトボクシングすることでダメージを蓄積させ、最後には倒すこともある。その代表格がボクシング界のレジェンド中のレジェンド、モハメド・アリだ。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」との有名な彼の言葉は、まさに“倒せるアウトボクシング”を示す。シュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズ、フロイド・メイウェザー・ジュニアなどボクシングファンでなくともその名を知っている選手たちもだ。

 K-1の3分3R+延長1Rという短い試合時間の中で、倒す展開まで作れることができるか。それができたならば椿原はK-1に革命を起こすことができるだろう。今大会はABEMAにて生中継される

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