キックボクシング
レポート

【NJKF】国崇がKOは逃すも2度のダウンを奪う圧勝で、地元岡山での連勝記録を伸ばす

2019/04/30 22:04
【NJKF】国崇がKOは逃すも2度のダウンを奪う圧勝で、地元岡山での連勝記録を伸ばす

 4月21日(日)、岡山コンベンションセンター・コンベンションホールにて、NJKF拳之会主催興行『NJKF 2019 west 2nd』が開催された。同ジム主催興行は14回目を数えるが、過去13回中11回の舞台となった倉敷山陽ハイツ体育館が昨年閉鎖されたため、2007年以来の岡山市での開催となった。

 今回、キックボクシング初開催となった岡山コンベンションセンター・コンベンションホールは岡山駅から直結している比較的新しい会場で、豪華な演出も好評。そんな中、前半戦8試合中5試合がKO&TKO、うち3試合が1R決着と激闘が続き、ソールドアウトの観客が大いに沸く大会となった。

(レポート&写真:高崎計三)

▼ダブルメインイベントII 日本vsイタリア ISKAムエタイ国際戦 58kg契約 3分5R ※ヒジあり
○国崇(NJKF拳之会/WKAムエタイ世界フェザー級王者)
判定3-0 ※50-43、50-43、49-44※全ラウンドマストシステム
●“Artigiano”ロベルト・パレスティーニ(イタリア/WFC世界フェザー級王者)

 大会の大トリを飾るダブルメイン第2試合は拳之会のエース、国崇の国際戦。イタリアからWFC世界フェザー級王者&元イタリアムエタイ協会フェザー級王者のロベルト・パレスティーニを迎え、ISKAルール3分5R戦に臨んだ。

 これがプロ93戦目となる国崇は1R序盤から積極的に前に出て、得意の左ボディを叩き込んでいく。アマ戦歴も豊富でパンチを得意とするパレスティーニは国崇の前進にパンチを返す場面も。しかし国崇はローからボディを入れ、終盤になるとパレスティーニはローが効いている様子も見せる。


 2Rには試合が大きく動いた。国崇はローから左ボディのコンビネーションでパレスティーニの足元がぐらつかせ、敵陣の青コーナーに詰めるとローと左右ボディで畳みかけ、ダウンを奪う。再開されると、国崇はすぐにまたニュートラルコーナーに追い込み、連打で2度目のダウンを奪取。場内は「早期KO決着か」と大歓声に包まれるが、残り時間が少なくこのラウンドは終了。

 3R開始の時点でパレスティーニは大きく息をつき、余力わずかな様子。国崇はとどめを刺すべく前進し、またも青コーナーに詰めてラッシュ。ローから左右ボディ、ヒジなども交えて攻め。後半にはハイキックもヒットするが、パレスティーニは倒れず、やや回復してきた様子すら見える。

 4Rも、パレスティーニがほとんど自陣コーナーを背負った状態で展開。しかしそれまでとは違い、国崇の攻めにパンチを返す場面が増えてくる。中盤には何発かのヒットも。だが国崇は前蹴り、左ボディで主導権を渡さず、右ストレートもヒット。


 最終5R、KOで決めたい国崇はローから左右ボディ、ハイ、飛び込んでのヒジなどで攻め込む。パレスティーニは左目の下をカットし、終盤には国崇が飛びヒザ蹴りを繰り出すと客席は大きく沸く。が、最後までパレスティーニが倒れることはなく、終了のゴング。

 ISKAルールでラウンドマストの判定は、50-43、50-43、49-44と、2回のダウンを奪った国崇の勝利に。これで国崇は2004年の真二戦以来、地元・岡山県では全勝となる11勝目を挙げたが、追い込みながらも倒しきれなかった試合展開には苦い表情。

 試合後の控室では「攻め疲れもありましたが、途中から足があまり動かなくなって…ダメですね」と反省しきり。だが、プロ100戦目が見えるところまで来ており、今年2月にKO勝利を果たしたタイの「MAXムエタイ」ではタイトルマッチの話も来ているということで、「まだまだやりますんで」と、最後には笑顔を見せた。


 また試合に先立って、前ISKAムエタイ世界フェザー級王者・国崇がISKAの殿堂入りをすることが発表され、ISKAより表彰状が授与された。ISKAの殿堂入りを認定されたのはジョルジオ・ペトロシアンに次いで2人目で、もちろん日本人では初。表彰セレモニーではピーター・アーツとボブ・サップのお祝いコメントも読み上げられた。同時にISKAのスーパー王者として認定された国崇には後日、記念ベルトも贈られるという。

▼ダブルメインイベントⅠ ISKAムエタイ女子アトム級(48㎏)世界王座決定戦 3分5R ※ヒジあり
〇白築杏奈(138KICKBOXING CLUB/WPMF女子世界フライ級&NJKFミネルヴァライトフライ級王者)
TKO 2R1分42秒 ※右ローキック→レフェリーストップ
●“Sniper”ブランカ・ヘルナンデス(スペイン/ISKAスペイン アトム級2位)
※白築がISKAムエタイ女子アトム級新王座に就く。

 ダブルメインイベント第1試合では、前WPMF女子世界フライ級&元NJKFミネルヴァ・ライトフライ級王者の白築杏奈が、2大会連続のメインイベント登場。スペインの“Sniper”ブランカ・ヘルナンデスとISKAムエタイ女子世界アトム級王座決定戦を戦った。


 お隣の広島県を拠点とする白築は応援団の声援を背に、日本人初のISKA女子世界王者を目指してリングイン。アマチュアでIAMTF世界47kg級王座を獲得し、その後タイに渡ってWMF世界47kg級王座も手にしているヘルナンデスと対峙すると、体格では白築が有利なことが分かる。


 1R、ミドルを出してくるヘルナンデスに対し、白築は前に出てミドルやパンチを繰り出す。ヘルナンデスも中盤にはスピードの乗ったミドルなどで攻めるが、白築はロー、ミドルからパンチ。

 2Rに入ると白築のローにヘルナンデスは体勢を崩す。勝機と見た白築はヘルナンデスを青コーナーに詰めて連打で追い込み、ボディがヒットするとヘルナンデスはしゃがみ込むようにダウン。何とか立ち上がったが、ローを受けると崩れ落ち、すぐにレフェリーが試合をストップ。白築は拳之会興行3戦全勝とともに、2本目の世界王座を獲得した。


 勝った直後は弾けるような笑顔を見せていた白築だったが、腰にベルトを巻かれ、マイクでジム会長や関係者への感謝を述べていると感極まり、涙に言葉を詰まらせた。

▼セミファイナル NJKF 70kg契約アグレッシブマッチ 3分3R延長1R ※ヒジあり
○白神武央(NJKF拳之会/元WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者)
判定3-0 ※三者とも30-28
●こうた(NJKF TEAM武心會/NJKFスーパーウェルター級2位)

 セミファイナルでは元WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者・白神武央が登場。NJKF同級2位のこうたを迎え撃った。


 こうたは184cmの長身と長いリーチを武器に大阪大会を沸かせているランカーで、180cmの白神は「自分より背の高い相手とはあまりやっていなかったので」とやりづらさを覗かせたが、前蹴りやテンカオ、ハイで有利に試合を進め、1Rには右フック、2Rにはヒジをヒット。NJKF王座を見据えるこうたも、上位食いを狙って食い下がったものの及ばず、白神が判定勝利。

 勝った白神はこれで連敗を6で止めて脱出し、安堵の表情を見せつつ、「WBC王座も獲って海外でのタイトルマッチも経験して、次の目標をどこに置いたらいいか、探しているところですね」と語った。

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